2003年8月15日


 定時制の現場のことを良く知っている保護者や教職員を「検討委員会」のメンバーにできるだけ多く加えてください

   教育委員会の審議で、定時制の保護者が意見陳述

 

8月12日(火)、午後1時半より川崎市教育文化会館において川崎市教育委員会臨時会議が行われ、「定時制高校を守る市民の会かわさき」(代表 浅野栄子)が提出していた請願(請願5号)の審議が行われました。当日は、前の日までの暑さがまだ残るなか、10数名の傍聴者が駆けつけました。まず、教育委員会事務局が「請願書」の請願の要旨と理由を読み上げました。

 つづいて、「市民の会かわさき」代表の浅野栄子さんが意見陳述を行いました。

 浅野さんは、不登校であった息子さんが夜間定時制に入学し、そこで自らの居場所を見いだし、1日も休まず登校するようになったこと、そして部活動や生徒会活動に生き生きと取り組むようになり、今は4年生として充実した学校生活をおくっていることを紹介、「定時制があって本当によかった」、定時制に助けられたという、母親としての体験と思いを感銘深く語りました。

 そのうえで、もし市教委が計画している夜間定時制の統廃合が行われ、近くに定時制高校がなくなってしまうと、自分の息子のような不登校の子どもたちの行き場がなくなってしまうことになるので、夜間定時制の数を削減するのではなく、是非とも夜間定時制を通いやすいところに残してほしいと訴えました。

 また、9月に発足が予定されている「(仮称)定時制課程検討委員会」のメンバーに定時制の現場をよく知っている保護者や生徒、さらに定時制の教職員をできるだけ数多く参加させ、今後の定時制高校のあり方をしっかりと検討していただきたいと要請しました。

 これを受けて、教育委員会委員長がこの意見陳述を踏まえて審議していくことになるが、今日は継続審議としたい。後日(8月26日)審議を行いたいと提案し、了承されました。

 なお、5月27日の川崎市定例教育委員会において、「川崎市立高等学校教育振興計画(案)」に対する審議の際、「計画案」を一部「修正」して「可決」したという事態に対して、「定時制高校を守る市民の会かわさき」が6月に発表した見解を以下に資料として紹介します。


2003年6月

「川崎市高等学校教育振興計画」の「可決」という事態にあたって、私たちの考え

定時制高校を守る市民の会かわさき

代表 浅野栄子

 

私たち、「定時制高校を守る市民の会かわさき」は、昨年3月発表の「川崎市立高等学校教育振興計画()」に盛り込まれていた、定時制高校の再編統合計画の見直しを求めて活動してきました。おかげさまでたくさんの方々のご支持をいただき、昨年11月に始めた教育委員会・市議会にあてた講願署名には、一万七千名を越える皆さんのご協カをいただきました。これまでの、皆さんの深いご理解とご協カにあらためて心から感謝申し上げます。

さて、この「川崎市立高等学校教育振興計画()」については、昨年12月以降、9回の定例・臨時教育委員会議で審議・議論がありましたが、去る527目の定例教育委員会議において、一部分修正されたものが可決されました。たいへん残念です。

今回の事態について、以下に私たちの考えを示し、皆さんのより一層のご理解とご協カをお願いする次第です。

1.「修正案」について

「お寄せいただいたご意見・ご要望、教育委員会議での協議内容もふまえ」てつくったという「修正案」では、もとの案にあって、市民説明会などでも最も多く批判が集まった「5校ある定時制課程を、2校に再編成します」という表現が消えています。教育委員会事務局は、学校数を明示しないことをもって、「学校数など(具体的な)再編のあり方については、今後、検討委員会において検討を進める」としています。

私たちは、現在、5カ所にある定時制高校を減らすことに疑間を投げかけているのですから、教育委員会事務局の説明するとおりに、最も大切な学校数が今後の検討課題なのであれば問題はないのですが、お読みいただければおわかりになるように、「ア..三部制(午前・午後・夜間)の新設、イ.単位制の夜聞定時制の設置、ウ1.入学定員は現状と同程度の一学年11学級規模」と、学校数が消えた以外はすべて、もとの案と同じ内容ですから、新しいタイプの高校をつくるために今の定時制高校は減らす、という姿勢はそのままです。

不登校、引きこもりの増加、不況による家庭の経済状況の悪化という昨今の事態にあって、定時制高校で再出発を果たそうとする子どもたちは、今後も減りはしないと思います。新しいタイプの高校が、横浜市の例のように、高い志願倍率となり、競争に不利な状況の、たくさんの生徒たちが行き場をなくすことになるのではないかと、私たちは心配しています。また、現在の5カ所が、4カ所、3カ所、2カ所と減らされることによって、通学時間、通勤時間が長くなり、通いにくくなる、あるいは、通えなくなる生徒が出てくることを心配しているのです。

2.教育委員会議での、私たちの請願の取り扱いについて

527日の定例教育委員会では、上述した「修正案」が可決される一方で、私たちの提出した請願2(平成14年度第7号「定時制高校5校を減らさないでください」と、平成15年度第4号「修正案についても説明会を開いてください」)については、審査結果が不明確であっただけでなく、審査が終了したのかも不明確な、あいまいな扱われ方でした。そして、後日、「採択・不採択の議決をしないことを決定いたしました」との「審査結果の通知」をいただいています。

しかし、傍聴した私たちの印象は、「議決しないことを決定いたしました」という積極的なものとはかなり異なったものでした。委員長さんは、ひとりでまとめの陳述を続け、他の委員さんの意見をことさら問うこともなく、結論をあいまいにしたまま会議を閉じたというのが実態です。

私たちは、前項1で述べたように、今回の「修正案」は、学校数の表現を削除しただけで、実質的には何ら「修正」したことにはなっていないと考えていますから、私たちが請願した、「定時制高校を減らさないで」という主張は、依然として、「川崎市立高等学校教育振興計画」の方向と相容れない内容であり、学校数の表現が削除されたので、採決・不採決の議決の必要がなくなった、とは思えません。ましてや、これまでの教育委員会議の議論でも、定時制高校の数を減らすことについては、教育委員さんの中からも疑問の声がいくつもあがっていたはずでず。

3.「検討委貝会」のメンパー構成について.

教育委員会は、「今後、検討委員会において市良代表等の参加をいただき、公開の場で広く情報提供をしながら検討を進める」としていますが、そのメンバー構成についても、私たちは不安を感じています。「市民代表」といっても、恣意的に選ばれるのであれば、議論はいかようにも誘導されうるからで、そのことへの疑問は、教育委員さんからも出されていました。

今、定時制高校に実際に通っている生徒たちの実状、気持ちをよく知っている方々を、「検討委員会」に、是非とも入れていただきたいと思います。定時制高校とは無関係な「市民」ではなく、当事者である生徒やOB、保護者を、また、各学校の先生を入れて検討が行われるように、私たちは強く求めていきます。

まだまだ言葉は尽きませんが、取り急ぎ要点だけをまとめてみました。今後も、皆さんのご指導とお力添えをいただき、活動を続けていく所存です。今後とも、よろしくお願いいたします。

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