らんま1/2 親子編

第2話 消えた道場を取り戻せ


小鳥の美しい音色が響く中、早乙女乱馬は目を覚ました
「よしっ!久々に道場で朝ゲイコすっか」
乱馬は柔道着にささくさと着替え道場へ向かった…が

「ない!道場がなくなってる…」
道場はきれいさっぱり姿を消し、変わりに売り地と書かれた立て札が
さらにもう買い手がいるようで立て札には"済"の文字が…

「あ、あかね!」
「こんな朝早くから何よ?騒々しい」
あかねはことねと台所で朝ご飯を作っている最中だった
「なんで道場が壊されて売り地になってるんだ!?」
あかねはいったん手を止め、深刻そうな顔をして口を開いた
「2年前にお父さんと早乙女のおじ様がお金に目がくらんで売ってしまったの…」
ことねも料理の手を止め、あかねの話に耳を傾けた
どうやらあかねはこのことをことねにも話してなかったようだ
「あのクソ親父め!、それで2人は今何処にいるんだ?」
「2人とも九能先輩の家にいるわ」
「九能の家?なんでそんなとこに」
「なびきお姉ちゃんが2年前九能先輩と結婚したのよ」

乱馬は一瞬にしてどういう経路でこうなったかを悟った
なびきはもちろんのことあの2人…特にげんまが九能家の財産に目がくらんだのは間違いない
そして用なしとなった道場を売ってもまったく不思議ではない…と

「あかね…そんな重大な問題を俺がいない間、1人で抱えてたのか?」
「ことねを心配させたくなかったし、乱馬が帰ってくるまで誰にも言わず隠してたの…」
「あかね…」
「乱馬〜!」
あかねは乱馬の胸の中で泣いた、今まで耐えていたものを全部出すように
「心配するなあかね…おやじ達の好きなようにはさせねぇ!」
「で、でも…どうやって?」
「なあに簡単だ、今から九能のトコにいって親父達に道場を建てさせるんだ!」

乱馬が帰ってきたことなど知る由もないこの2人は楽しんでいた

はっはっははは、実に楽しいね天道君」
「早乙女君、誰のおかげかわかってるよね?」
「そりゃあもう、天道君が結婚の条件に僕も一緒に暮らすことをつけてくれたおかげだよ」
「はははははははは」

ここは九能家宴会場・・・げんまと早雲は豪勢な料理を目の前にして笑いが止まらなかった

「まま、 いっぱい」
…トクトクトクトク
「おっとっとと…ああ愉快、愉快」
「ほんとここは天国、天国だよ」

…バン!

宴会場のふすまが勢いよく開け放たれた
そしてそこには怒り狂った顔をした乱馬の姿が
そして横にはお父さんの何か役に立ちたい…とついてきたことねがキョトンと立っている

「な、なに〜!?」

乱馬は動揺しているげんまの首根っこをつかみ投げ飛ばした
「なぁにが天国だ!」
「乱馬君か!?…いや違うこんな10年以上立つんだから、こんな若いはずは…しかし…うーん?」
怒りのあまり乱馬はすっかり自分が少年の姿になっていることを忘れていた

(マズイ!ここで俺が本人だってバレたら…)
乱馬は旅に出る前に早雲と約束していた、変態体質がなおらなかったら切腹する…と

「おじいちゃん!この人は私の兄です!」

「なんだと!」
そうだよね?お兄ちゃん」
「ああ、まぁな」
乱馬はことねの予想しなかった言葉に驚いたが…その場は調子をあわせ
もし本人だとバレたら切腹をしなければならないという理由からだが

「早乙女君、男の子が生まれたなんて聞いた?」
「そんな話聞いてないよ、もしや乱馬…修行先で子を作ったか…」
げんまはいつの間に起き上がっていた

「んなわけねぇだろ!!!!!!!!」

「はぅ!」
乱馬の蹴りが豪快にげんまの脳天にヒットし、再びげんまは夢の中へ
「それはそうと、なんでいままで一度も祖父である我々の前に姿を現さなかったのかい?」
(マズイ…なんていったらいいのか思いうかばねぇ)
「お母さんから聞いた話なんだけど"お兄ちゃんはお父さんが修行の旅に連れて行ってたらしいの"」
(ナイスフォローだ…ことね)
子は両親それぞれの長所を受け継ぐと言われている
ことねは乱馬の行動力、あかねの頭の良さや優しさを受け継いでいるようだ

「なんだ、なんだ、そうゆうことだったの♪」
「えへへ、そうゆうことなんです。久しぶりに再会した私のお兄ちゃんなんです♪」

「ことね!ちょっと…」
「なぁに?」
乱馬はことねをいったん外に連れだし、あたりに誰もいないことを確認し口を開いた
「早雲おじさんを騙せたのはいいとして、名前はどうする?乱馬じゃおかしいだろ」
「大丈夫!だってお父さんは高校生のとき女の姿になっても"らんま"って名乗ってたって…」
「それとこれは別問題だろ…てっ、お前!!その話誰から?」
「お母さん」
(あかねのヤロー!ことねにだけは昔の変態体質のこと言うなって釘をさしておいたのに!)

「おーい!ことねちゃん達〜ところで今日は何しにここに?」
(おっと!いけねぇ忘れるトコだったぜ)
なんで道場売ったんだ!」
乱馬の怒鳴り声がここ九能家宴会場に響いた

早雲は困惑した顔を、げんまは水をかぶってパンダになりとぼけている
「だ、だって…君のお父さんが昔、無差別格闘流には道場はいらないって言ってたんだもん…」
「思い出はどうなるんだ!じいさんにとって道場は思い出でいっぱいだろ?」
「でもね…思い出はお金にはならないのだよ、実はあの道場を建てる時に借金してたんだよ」
「パフォ、フォ〜(初耳だよ天道君)」
「返済期間が過ぎ、結局手放すことになってしまったんだ、許してくれワシが不甲斐ないばかりに…」
早雲は涙をいっぱいにためながら顔をしずめた

「おじさん、顔上げてくれよ」
早雲は顔をあげると同時に驚いた表情を見せた
「えっ!…今なんて言ったの?」
「すいませんおじさん…俺、結局完璧な元の体には戻れなかった」
「お父さん!」
「いいんだことね、俺は早雲おじさんの話を聞いていて、自分が恥ずかしくなったんだ」
(早雲おじさんの苦脳をまるで知らないで、責めたてた自分を…)

「あかねのために死んでもらうよ、乱馬君!」
早雲はどこから取り出したのか、日本刀を乱馬に振りおろした
「ひぃ〜!やっぱり怖い!てかホンキだっのかよ?」
「お父さん〜!白刃取りよ〜!」
「パフォパフォパー(生き残れよ〜!)
「のん気なこと言ってないで、誰か止めれくれ〜!」

ここ九能家宴会場は今日もまた賑やかである

続く

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天道家のみなさんの家族会議

ことね:おじいちゃんってすごく酷い人だったんですね!

げんま:こ、これにはわけがぁ!

早雲:早乙女君がどうしてもっていうから…

げんま:ずるいよ天道君!僕にふるなんて

バキャー!

早雲andげんま:あーれー

乱馬:言い訳ばっかしてんじゃねぇ!

ことね:やっぱりお父さんってつよーい

欄間:お母さんの作る料理の毒でノックアウトされるのにっスか?

バシーン!

欄間:あーれー

あかね:いい加減なことをいうな!

乱馬;それにしても驚いたよ、なびきが九能のヤローと結婚するなんて

なびき:金のためよ、愛なんてないわ

欄間:次回で離婚させちゃうもんね^!

なびき:そうしたら5000億円ぐらい九能ちゃんから慰謝料とろうかしら