第2話 ○○○になったクラウド

クラウド・ストライフは電車の中で、読書にふけていた
彼にとって通勤電車は会社までの移動手段であるのはもちろんのこと、読書の場でもあった
勤める会社までの所要時間は約1時間、それは彼が薄い単行本一冊を読むのにかかる時間、と同等である
そんなわけで通勤途中に本を読む。それはいつの間に決められた彼の習慣だった

彼の乗っている電車は地下鉄、つまり光の反射で窓やドアに自らの姿が写しだされている
それを利用し自分の髪の毛を直したりする人もいる、が彼はそういう行為は行わない
それは自分のスタイリングに自信を持っているあらわれであり、その手の心配は皆無だと思っている

しかしその自信がとてつもない大失態を起こすとは…さすがの彼も知る由はない
いや、もし読書に熱中していなければ気が付いたかもしれない

午前8:58

ニブルヘイム株式会社に到着、勤務時間は9:00〜、よってギリギリだ
彼のオフィスでの役職は係長、上からも下からも文句を言われる損な役職だ、と彼はよく同僚に愚痴をこぼすが
心の奥底では少し誇りに思っている、それは同期の社員はみなまだヒラ。と、単純な理由だ

周囲の目が少し冷たい、遅刻ギリギリで出社したからかもしれない
いや、それより先日彼が企画したリストラ候補倍増計画に対するねたみの可能性の確立の方が高いだろう
そう言えば反対者が多いことを小耳にはさんだ気もする

「おはよう」

彼なりに挨拶をしてみたが返事は誰からも返ってこない
一人の女性社員がくすっとかすかに笑った様に見えた、しかし彼と目が合うと彼女はすぐデスクに視線をそらした
返事が返ってこないのはいつものことだが、少々様子がおかしい。
こんなとき唯一社内の親友といえるザックスに相談するのだが、あいにくまだ来てないようだ
彼が遅刻しない日はないから当たり前と言えば当たり前なのだが

こんな余計なことを気にするのはやめて仕事だ…
クラウドが会議の議題である、リストラ計画についての報告書の見直しにかかろうとしたとき、
オフィスの廊下からなにやら物音が聞こえてきた。
リズムよい足音、どうやらスキップで進んでいるようだ
そして次々に聞こえる女子社員の悲鳴…キャー!痴漢!…なんて声が聞こえたような気がする
その足音はゆっくりながらも着実に近づいてくる…

刹那。

バタン!

勢いよくオフィスの扉が開かれた…ザックスの足によって、そして足の持ち主はポーズを決めながら入ってくる
「社員のみなさんおっは〜♪ってクラウドどーしたのよ?その頭、イメチェンかい?」
「何言ってるんだ?そうか、お前頭だけじゃなくて目も悪かったのか…」
「そうだな、そろそろ老眼鏡買わなきゃナ…って、違う!お前もしかして気づいてないのか!?」
きつく拳を握りめずらしく真剣な顔でザックスはにじりよってきた。
両手の手のひらを空に向け広げるポーズでそれを迎えると彼は
「お前の頭が大変なことになっているんだよ!!」
「お前の頭の中身じゃなくてか?」
興味ないね、とクラウドがデスクの仕事に戻ろうとすると
「じゃこれでどうだぁぁぁ!」
ザックスは近くにいた女子社員から鏡をひったくり、彼に見えるよう頭を映し出した

「…へ?」

あまりの驚きに言葉が浮かばなかったのか、クラウドが間の抜けた声をあげる

「全くとぼけちゃって♪最初から仕組んでた事なんだろ?」

「コレってもしかして…例のアレ?」

「またまたとぼけちゃって♪アフロだろ、ア・フ・ロ!」

うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

なにやらうめき声をあげながら彼はオフィス内を3周半走った

バタン!

彼がオフィス走り4周目にさしかろうとしたとき、勢いよくドアが開いた

「何だね、騒々しい!朝のティータイムの妨げになるんだよ!…うん?、クラウド君なんだね!その髪型は!?」
「あっ、社長!見て解らないんですか?アフロですよア・フ・ロ!」
「私はそんなことを聞いてるんではない!クラウド君!その髪型で今日の会議にでるつもりかね」

「あの…いえ…あのですね」

頭の中が混乱し、うまい単語が出て来ない・・・がそれでも何か言わなければなるまい
さもなければ今まで培ってきたこの会社での地位は確実に落ちる。努力を水の泡にしたくはない
クラウドはかみ締める様に言葉を吐き出した

「実はですね、ウチの家内が…」

しかし…彼の言葉を遮り、ぶち壊すような

「まぁまぁ社長!これも彼の個性ですから」

というザックスの一言がオフィスの温度をいっきに絶対零度まで下げた…とさ

続く…(事ができました)

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あとがき

まず最初にザックスファンの方ごめんなさい…あんなバカじゃないですよねザッ君は(核爆)
今回はエアリス&クラウドらぶらぶシーンがないから書いてる本人も不満ですわ(←オイ)
微妙にマサルさんを意識(ぇ、つーかもうネタないです(ぇ

<(T◇T)>わぁああああ!どうするよ!(何