ワタボウシタマリンSaguinus oedipus
[霊長目真猿亜目広鼻猿下目オマキザル上科マーモセット科マーモセット亜科タマリン属]
ウマが最高の進化形態となるならば、ヒトの直立二足歩行は一体どういう位置づけになるのか。まだ、霊長目を観ていない。そこから話を続けよう。霊長目は、確かに蹠行性という原始的な移動様式であるが、その安定性は重要である。ワタボウシタマリンは長く赤い舌を執拗に上の鉄格子に絡ませていた。綿帽子という名の由来はふっさりとした頭の白い毛であろう。尾は長く、直線に伸びて、バランサーとなっている。前肢もかかとにあたる部分までで格子をしっかり掴んでいる。引っかけているのではなく、親指と残りの四指を対向させて全体で掴んでいる。母指対向性、これは霊長目の特徴である。つまり、登攀においてこの前肢は役に立つということだ。霊長目を除く他の動物の登攀は、地上に於ける移動と同じ形態で行われた。しかし、それであると、樹に張り付いているためには、体重が軽くなくてはならない。吸盤や、鉤爪は大きな重量には耐えられない。霊長目的登攀は、樹や枝を抱き込んだり、しっかり握ることによって、体重という制限を無くした。脳の成長が可能となる。前肢を使うことによって、脳も育つ。森には、食べ物が多いから、成長にはもってこいだ。霊長目は森の支配者となった。