Essay

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2003.5.5〜ゴールドコンサートに参加して

5月5日のこどもの日に、東京の内幸町ホールでNPO日本バリアフリー協会と東京新聞の共催で
行なわれたオーディション形式のコンサートに出演者として参加してきました。
参加したきっかけは、日本バリアフリー協会の代表の貝谷嘉洋さん
(私と同じ筋ジストロフィーという障害を持ちながら、普通高校、大学と進学、
その後アメリカに留学し、数年前から電動車椅子でも運転できるジョイスティック車
…アメリカで自分が実際に教習を受け…を日本に紹介する活動をしていて
<そのためにNPOをたち上げました>、著書も出版されています。
私と同い年ですが、人間的に素晴らしい方で私が尊敬する人の一人です。)
とメール上でやりとりをさせてもらっていたのですが、その貝谷さんからお誘いを受け、
せっかくの機会なので参加することにしました。

このコンサートは、「目指せ!21世紀のスティービー・ワンダー」
というキャッチフレーズがつけられているようにミュージシャンを目指している障害者の方対象に開かれたものです。
(現在は主旨が変わっていて障害者の方の音楽の発表するイベントです)
作詞・作曲・歌唱(オリジナルあるいはコピー)の総合部門、作曲部門、作詞部門の
3つの部門で発表・審査が行なわれました。
歌手の弘田三枝子さんや国会議員(野田聖子さんほか男性議員4人…Gi!nz<ギインズ>という
バンドを組んでいます)の皆さん、車椅子のサックスプレーヤーの方など、が審査員として来てらっしゃいました。

出演者の方たちの障害は車椅子の方、視覚障害の方、聴覚障害の方、知的障害の方など
軽い障害から重い障害まで様々。視覚障害で最優秀歌唱賞を受賞された男性は、ギターもしっかり弾いていました。
まさしく、レイ・チャールズやスティービー・ワンダーのようでした。
また、最優秀作曲賞を受賞された女性は、事故で右手と左手の指3本を失った方でした。
シンセサイザーを使っていたようです。
両手で弾くのに比べてかなりのハンディですが、それを全く感じさせない様子でした。
この方が作曲された曲が金子みすゞをテーマにした舞台でも使われているそうです。
その他にも5人グループでそのうち4人が聴覚障害というバンドも参加していました。
音が聞こえないので、アイ・コンタクトで合わせて演奏しているそうです。
このような感じでかなりレべルの高い方がたくさん参加されていました。

この日、私は少し早めに起き、すべてぬかりなく準備してもらって車で会場へと向かいました。
会場までは高速を利用して1時間ほど。
その日は、会場のまわりで大学のブラスバンドとチアリーディングのパレードが行なわれていました。
珍しいものを見れてラッキーでした。久しぶりの都会の風にもあたることができました。
午後2時頃に会場に到着すると主催者側の配慮ですぐにリハーサルとなり、ピンマイクのチェックと立ち位置の確認。
そして、本番までこれも主催者側の配慮で用意してもらった近くのホテルの部屋で休ませてもらうことにしました。
本当に助かりました。私は6番目に出る予定でした。
それが5時過ぎなので、かなりゆったりとできました。そして、出番が近づいてくるにつれ、
少し緊張し始めました。背中には、汗が…結構小心者なのです。(^_^;A
いよいよ本番。
あらかじめテープで送っておいたBGMが流され、それに合わせて「この世でいちばん」の詞を朗読していきます。

    この世でいちばん。

この世でいちばん、えらいのは、
どんなひとだというのでしょう。
たとえば、それは、おかねがたくさんあるひとでしょうか。
いいえ、そんなことはありません。
この世でいちばん、えらいのは、ひとのためにおかねをつかうことのできるひと。

この世でいちばん、つよいのは、
どんなひとだというのでしょう。
たとえば、それは、ちからがとてもつよいひとでしょうか。
いいえ、そんなことはありません。
この世でいちばん、つよいのは、じぶんのこころのよわいこと、だれよりもしっているひと。

この世でいちばん、やさしいのは、
どんなひとだというのでしょう。
たとえば、それは、なんでもきみのいうことをきいてくれるひとでしょうか。
いいえ、そんなことはありません。
この世でいちばん、やさしいのは、
いけないことをしたときに、なみだをながして、しかってくれるひと。

この世でいちばん、すてきなのは、
どんなひとだというのでしょう。
たとえば、それは、かおやすがたのうつくしいひとでしょうか。
いいえ、そんなことはありません。
この世でいちばん、すてきなのは、
こころがどんなひとよりも、うつくしいひとなのです。

でも、ほんとうはね。
みんな、みんな、この世でいちばん。

いつもそうなのですが始めると汗はすーっと引いて、落ち着いて朗読できました。
スポットライトがあたっていたので、客席はほとんど見えませんでした。
それが緊張しないで出来た理由かもしれません。何とか無事終了。

◆終了後、司会者の方に話を聞かれているところ
 (右の方は手話通訳者)

司会者:「出来はいかがでしたか?」
私:「落ち着いて出来ました」
司会者:「これからの目標は?」
私:「社会人として仕事を続けながら、
   詩やエッセイを書いていきたいです。
   そして、それをいつか形にしたいと
   思います。」

司会者:「ありがとうございました。」

(写真・神奈川新聞社提供)

他の方の演奏を聴くつもりでしたが、体のことを考えて、表彰式までもう一度休憩することに。
そして、6時30分頃からゲストの弘田三枝子さん、Gi!nzのステージがあり、Gi!nzの皆
さんの演奏(オリジナル曲)は素人とは思えない本格的で素晴らしいものでした。
歌で若い人に大切なメッセージを送ろうとしている点で私と共通したものを感じました。
それはしっかり見ることができ良かったです。
その後、表彰式へ。審査員特別賞、最優秀作曲賞、と発表されていき、最優秀作詞賞が発表される順番が来ました。
「最優秀作詞賞は…鈴木信夫さん!」と呼ばれびっくりです。
そんなことは考えていなかったので、何と言っていいか分からない不思議な気持ちでした。
作詞賞は、たまたま運よく頂きましたが、このコンサートに参加して色々な面で勉強になりました。


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