レーダー装置への電源と配線
10cm波長の射撃管制・対空レーダー装置への電源は特殊な電動発電機から供給された。この電力は電圧安定回路によって非常に安定な電源となった。最後まで残った新鋭空母葛城は主電源が直流であったので電動発電機が用いられたが、これは非常用発電機への切り替えが可能だった。
ケーブルの大部分は防護されていたが甲板や隔壁を耐摩擦処理されずに引き回されることも多かった。ケーブルのシールドへの接続は雑であり当初からと言うよりも発生した問題の解決のために行われていた。ケーブルの取り付けは隔壁に木材で行われていた。
耐震対策
振動への対策は最も微妙な装置である送信部と表示部に対してのみ行われ、その他の装置は木製の机に取り付けられた金具にボルトで止められた。真空管の障害は多かったが、これは砲撃による衝撃よりも製造段階における不均一性のためと言われている。
フィーダーとアンテナ
10cm波長の装置における外周75mmの導波管は標準的な縁での接続により配管されていた。湿気による問題は発生していないとされていたが駆逐艦から外された管では亜鉛メッキの状態は良くなかった。
水上艦における対空レーダーのフィーダーは単純な平行線である。潜水艦に対しては各種の可撓または硬質の同軸ケーブルが用いられた。
10cm波長のアンテナはホーンアンテナであり、潜水艦用には送受一体型のものが、水上艦には送受別のものが用いられた。対空用アンテナとしては各種の指向性アンテナが用いられた。レーダー波検出受信機(逆探)のアンテナには無指向性のものや手持ちのパラボラアンテナが使用された。
潜水艦における導波管の水密バルブは耐圧扉から2mのところに設けられていた。
指向性アンテナは機械的に動かすのであるが、10cmの射撃管制アンテナにはセルシンモータ(複数のモーターが同期して等角度で運動するメカニズム)駆動が行われた。対空レーダーの一部では単純なモーター駆動が行われた。
艦隊行動における保守
・保守担当員
駆逐艦以上の大きさの艦においては一般に電気科卒である電装担当の技術士官が少なくとも一人配置されたが事前にレーダー教育を受講した場合としなかった場合があった。大型の潜水艦においても同等の資格の士官が配置された。この士官の下に何人かの基本的な電気コースを終えた技能水兵がレーダー、無線、ソナーの訓練を受けて配置された。
代表的とされる駆逐艦花月の例では3人のレーダー要員、2人の無線要員、2人のソナー要員の構成であった。
・保守記録
全ての保守記録は敗戦時に日本側で焼却処分されほとんど記録は残っていない。保守記録はつけられていたが定期的な事前保守は機能していなかったらしい。
22型レーダーは滅多に動作させていなかったが、その機能維持には困難が伴い、必要時の稼働率は50%程度であった。
13型対空レーダーは必要時に平均して96%の稼動が可能であった。
21型対空レーダーはほとんど問題を起さなかったが200MHzにおける受信感度の低さから満足できる動作はできなかった。
逆探装置は始終起きる真空管の故障以外には問題は少なかった。
障害の多くは真空管と抵抗で発生した。同一箇所の抵抗が断線したが後に製造された同一モデルにおいても設計変更や規格の変更は行われていない。
真空管の期待寿命には大きなばらつきがあり、それが主要な障害の原因であった。
操作手順と性能
22型射撃管制・対空レーダーは主表示器を観て距離を測るのと小さな表示器で角度を読みゲインを調整する計2人の操作員で操作する。この他に4人の操作員と一人のレーダー技術士官がレーダー室で対レーダー受信機と電話を操作する。
この装置は戦闘が切迫しているときか極めて視界が悪いときにのみ動作させられる。この装置の最小有効距離は1500mであることから調整の目的で使用されることは稀である。
駆逐艦における主要な役割は15秒ごとに砲術部門に距離データを報告することである。レーダーによる方位の調整は視界が得られない場合にのみ行われた。
セルシンモータによって方位と距離の情報が艦橋に居るレーダー将校に伝達され、この将校がデータを図表化して艦長に伝えた。目標を艦橋からレーダーの方位操作員に伝達して指示することもできた。
伝声管と電池電源の艦内電話が艦橋・レーダー室・射撃指揮所間の連絡手段であり、伝声管が主体であった。射撃管制レーダー室と対空レーダ室の間の連絡は小窓で行われた。
このレーダーによる実際の距離と精度の値は以下の表に示されている。
22型射撃管制・対水上艦載レーダーの性能
対空レーダーの操作は概略射撃管制レーダーと同様である。13型レーダーは2人の操作員を要しそれ以外に3人が敵レーダー探知と電話連絡に従事した。レーダー技術将校は戦況に応じて対水上または対空のいずれかを支援した。
対空レーダーは二台とも戦況の切迫時に動作させていたが、その両者の情報を照合する有効な手段はなかった。装置からのデータは射撃指揮所、艦橋、砲塔に伝声管または艦内電話で伝達された。
対空レーダーが短期間のみ動作させられていたのに対して、逆探は危険領域においては常時監視されており、その性能には高い信頼が置かれていた。単機に対する対空レーダーの探知性能は50kmと言われていた。
実戦配備状況
終戦時に使用されていた艦載対空レーダーは13型と21型のみであった。
また10cmレーダー22型の実戦配備には2機種があり、改造3型は対水上艦用として潜水艦に配備、改造4型の417は対水上艦、43は対水上艦と射撃管制用として水上艦に搭載されていた。
レーダー波検出機(逆探)にはメートル波用のE27型とセンチ波用の3型があり、ほとんどの戦闘用艦船に搭載されていた。艦船向けのレーダー妨害装置は搭載も開発も行われていなかった。