利休七則について

 利休はある時、弟子の一人から「いったい、茶の湯の上で心得ておくべき最も大切なことは何でしょうか」と質問されました。
 この質問に対して、利休は、「茶は服のよきように点て、炭は湯の沸くように置き・・」と下に示すような七つの教えを答えました。しかしながら、弟子は「そのくらいのことは、私でもよく存じております」と言いました。
 すると利休は、「それだけ自信があるのなら、今言ったとおりにお茶事をやってごらんなさい。もしできたら私はあなたのお弟子になりますよ」と答えました。
 七則のそれぞれは当たり前ですが、表面的に理解するだけでなく、もっと深い、幅広い意味があることを理解しなければならないということです。

利休七則

第一則:茶は服のよきように点て
これはお茶というものは、喫んでおいしいように点てましょうというだけのことです。ただ亭主は真心を持ってお茶を点て、味覚だけでなく、もっと精神的な亭主と客の心と心が本当に通じ合えることこそ、大切なことだと利休は言っています。
第二則:炭は湯の沸くように置き
単純に解釈すると、炭はただ湯が沸くようになっていればよいというだけのことです。しかしながら、これも第一則と同様に、炭に対する知識や点前技術の優劣を言うのではなく、結局客に対する真心がこもっているかという問題になります。ただひたすら真心を尽くし、全身全霊をお茶にうち込むことが大切なのです。
第三則:花は野にあるように
お茶の理想としている「美しさ」がこの言葉で言い尽くされているといってもよいくらいです。利休は、自然の持つ個性の美しさ、その生命の尊さを、わずか一輪の花において表現するところに茶の花としての本当の意味があると言っているのです。
第四則:夏は涼しく冬暖かに
クーラーやストーブといった生理的に涼しくする・暖かくするのではなく、夏や冬の厳しい季節に茶道の稽古に励み、暑さ・寒さに耐える強い精神力を養うことが大切です。
第五則:刻限は早めに
約束の時間や決められた時間は、必ず守られなければなりません。予期しない事態が起きるとも限らないので、何事も早め早めに用意するようにという意味です。
第六則:降らずとも雨の用意
雨の多い日本のことですから、いつ降り出すかわかりません。その降り出したときの用意が常にできているかということなのです。さらに、どんなときでも落ち着いて、臨機応変の処理ができるだけの心構えと準備を怠ってはならないということを言っているのです。
第七則:相客に心せよ
亭主が真心をもって客に接するだけでなく、客同志がお互いに尊重しあい、ともに楽しい時間を過ごすということが大切だと言っています。


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