「茶事」とは「懐石と濃茶、薄茶とをいただく本格的な形式」で、「懐石を省略し、お茶だけをだす」「茶会」とは区別されます。
茶事にはたくさんの種類がありますが、「正午の茶事」が最も基本的な形式です。ここでは、「炉・正午の茶事」の内容を示します。
風炉の場合は、初座の懐石と初炭の順番が逆になります。
寄付 | 1.寄付(よりつき) | 正午の茶事では12時席入が標準。寄付で身支度を整える。 |
2.待合(まちあい) | 待合で連客が揃うのを待つ。ここで湯をいただき、正客の合図で腰掛待合へ進む。 | |
3.迎付(むかえつけ) | 腰掛待合では正客が円座を並べ、連客はここに座る。茶室から亭主が手桶を持って現れ、蹲踞の準備を整え、客に挨拶する。 | |
4.蹲踞(つくばい) | 正客から順に蹲踞まで進み、柄杓を取って蹲踞の水で手と口を清める。 | |
席入 | 1.入室 | 躙(にじ)り口から扇子を前に置いて、躙り入る。 |
2.床(とこ)拝見 | 躙り入ったら、床の間に進み、床の掛け物を拝見する。 | |
3.釜拝見 | 次に釜を拝見。釜は濡れたまま炉にかけられているのが普通で、釜を拝見後は仮座の後、定座(ていざ)へ。 | |
4.挨拶 | 末客が躙り口を閉めて掛金をかけたのを合図に、客が全員定座に着く頃を見計らって、亭主が茶道口を開ける。ここで主客総礼をする。 | |
初座 | 1.初炭(しょずみ) | 亭主との話が終わった後で、亭主はいったん茶道口に下がり、炭手前(初炭)が始まる。正客から順に炉の周囲に出て、炉中を拝見する。 |
懐石 | 1.膳(飯・向付・汁) | 膳には、ふつう、手前左側に飯椀、右側に味噌仕立ての汁の入った汁椀、向こう側に刺身やしめた鮮魚、乾物などの向付の三品がのっている。 |
2.酒(一献目) | 亭主に酌をしてもらい、お酒をいただく。 | |
3.飯器による飯と汁替え | 銘々が飯器からご飯をよそい、替えの汁をいただく。 | |
4.煮物椀 | 澄まし汁仕立ての煮物椀が膳の向こう側に置かれる。 | |
5.酒(二献目) | 亭主が正客からお詰めまで酌をし、その後客同士で酌をし合う。 | |
6.焼物 | 切り身の焼魚や焼鳥などが、手付きの器などで供される。 | |
7.進肴(しいざかな) | 焚き合わせや酢の物などの進肴が出される。 | |
8.飯器による二回目の飯 | 銘々が飯器からご飯をよそう | |
9.箸洗 | 小吸物、湯仕立ての箸洗には口直しの意味があり、一同そろっていただく | |
10.八寸と酒(三献目、千鳥の杯) | 亭主が海のもの、山のものの二種を盛り合わせた八寸と燗鍋を持ち出し、客とともに杯を交わす。 | |
11.湯斗(ゆとう)と香の物 | 最後の湯斗と香の物が出される。 | |
12.主菓子 | 客は黒文字を使って主菓子をいただく | |
中立 | 主菓子をいただいたら、中立(なかだち)といっていったん退室し、腰掛待合で後座を待つ。 | |
後座 | 1.席入 | 初座と同様に入室し、床や飾付を拝見し、定座に着く。 |
2.濃茶 | 一椀に客の人数分をまとめて練って、回し飲みをする。一椀を分け合って飲むことにより、同胞の意識を高める。 | |
3.後炭 | 初炭と同様に炉中を拝見する。 | |
4.薄茶 | 干菓子をいただいてから、薄茶をいただく。 |