登場人物(注意:さくらと一郎は実在の人物ではありません)
さくら----目黒区緑が丘出身。11中を卒業後、何をしていたかはよく判らないが、
ステキなだんな様と巡り合い、カワイイ二人の子供達に囲まれて幸せな日々をおくる。
一郎----目黒区自由が丘出身。11中を卒業後、自分を磨くため職を転々とし、22歳からは遠洋マグロ漁船の乗組員として世界の海でマグロを追う。生活のほとんどを船の上で過ごすこと15年。その後、手にした資金を元手に事業を起こし、今は目黒に住む。
物語(注意:さくらと一郎はフィクションですが、同窓生との話はノンフィクションです)
4月になった
社長室で決算書に目をやる一郎。
平成不況の荒波は一郎の会社にも押し寄せている。
こんな時はいつも、苦しかったマグロ漁を思い出す。
地獄のインド洋・・・インドマグロを追い、荒波にもまれ、はえ縄を巻き上げる日々。
プルルル。
一郎の携帯電話が鳴った。
「もしもし」いつもの渋い声。
「ア、一郎さん。さくらです」元気なさくらの声。
「一郎さん、これからインドのお料理を食べに行かない?」
「インドマグロですか?」
「違うわよ。カレーとかタンドリーなんとかのお料理よ」
「そ、そうですよね。ちょうど今、インド洋の航海を思い出していたところだったので・・」
「同窓生が荻窪でインド料理のお店を開いているのよ。これから行きましょうよ」
「いいですね〜。では2時に品川駅で待ち合せましょう」
品川駅で待ち合わせした二人、久々の再会である。
さくら「一郎さん、元気そうね。今日はインド料理だけど一郎さん、大丈夫?」
一郎「さくらさん、久しぶり。インド料理、もちろんOKだよ」
さくら「では早速荻窪まで行きましょう」
中央線の荻窪駅で降りて、南口から徒歩1分の商店街の中にインド料理店「ナタラジ」がある。(ナタラジの看板1、ナタラジの看板2)二人で地下に降りると、犀川さんがにこやかに待っていた。
さくら「犀川さん、久しぶり」と微笑むさくらには25年前に犀川さんの弁当の「おかずを横取り記憶」がよみがえった。
一郎「犀川さん、久しぶり、いや懐かしい」と言う一郎は、世界中を駆けめぐっていたせいかインド料理店の雰囲気にすでに馴染んでいた。
犀川「お二人とも久しぶり、さあこちらへどうぞ」
奥のテーブルに三人で席に着いた。店内にはインド音楽が流れている。(行ったことはないが)まさにインドそのもの。
さくら「中学時代のおとなしそうな犀川さんとインドが結びつかないけど・・いきさつを教えて下さい。それに旦那様はインドの方だとか」(再会した犀川さんとさくら)
犀川「最初は出版社で児童書の出版の仕事をしており、インドには漠然と興味を持っていて行ってみたいなと思ってました。主人とは友人を通じて日本で知り合って結婚し、主人の実家があるインド中部のアメダバードでお披露目をしました」
一郎「インド料理との結びつきは?」
犀川「インドの男性は料理を作る人が多く、主人も元々料理が得意で、日本でインド料理でも始めようかということになりました。最初は9年前に高田馬場で開店しましたが、まだライブを行うほどのスペースがない小さいお店でした」
さくら「このお店はいつから? あと、ナタラジとはどういう意味かしら」
犀川「荻窪で開店したのは5年前で、1年半前にここに新装オープンしました。元の場所には、「ばしょう」というお店を出しました。ナタラジではインド料理、「ばしょう」は無国籍料理をお出ししています。どちらも菜食主義のお店です。ナタラジは「踊り」という意味で、ここで踊りを含めたライブをしようと考えた名前です」
一郎「どうして菜食主義なのかな」
犀川「主人もそうですが、インドでは肉はあまり食べず、菜食主義の人が多いですね。後でお出しするチャパティが主食です」
さくら「インドだと時間に対する感覚が私たちと違うということを聞いたことがあるけど、そうなのかしら。」
犀川「インドでは日本と違って時間に対する感覚はゆったりとしていて、待ち合わせしても時間は大幅にずれます。最初はとまどいましたが、今では慣れました」
一郎「そうそう、昨年はインド映画「踊るマハラジャ」がヒットしたね。インドは映画大国でたくさん作られるとか」
犀川「家にも何本かインド映画のビデオがあります。どれも途中ですぐ音楽に合わせて踊りだすんですよ」
一郎「ナタラジと料理の話は後のお楽しみで・・近況を教えてください」
犀川「お店の他に、5〜6年前から出版の仕事も始めました。自宅兼事務所でインド関係を始めに児童書やエッセーなどを出版しました。今度はインド料理の紹介の本を出版してみたいです」
さくら「お子さんもいらっしゃると聞きました」
犀川「ええ、今年小学校2年の女の子で。子供とは日本語で話をしていますが、主人とは英語で話をしています」
さくら「インドの方と結婚されたなら、インドの名前もあるのかしら」
犀川「犀川・カハール・真佐子といいます」
ここでナタラジのインド小物の紹介を・・お店にはいるとすぐにインド小物が並んでいます。販売しているものは、衣装(衣装の写真)、アクセサリー、お香、インド音楽のカセット・CD(CD・カセットの写真)、紅茶、置物などなどぎっしりと並んでいます。
覗きに行く、さくらと一郎。
さくら「まあ素敵、アクセサリーもインドの衣装も・・おみやげに買って帰ろうかしら」
一郎「さくらさん、先にインド料理を味わいましょう。買い物はその後で」
さくら「ついつい夢中になっちゃって。インド料理も楽しみね」
席に着き、早速メニューを見るさくらと一郎。
さくら「カレーが24種類もあるわ。どれもおいしそう」
一郎「本当においしそうだね。どのカレーも肉を使ってなくて、菜食主義の料理だね」
犀川さんとも相談して、カレーはナタラジカレーとマタール・マサラ、パンはナンとチャパティ、それにチャイというお茶を二人は注文した。
カレーが運ばれてきて、さっそく食べ始める二人。(カレーを食べるさくらと一郎)
一郎「ナタラジカレーはスパイシーでおいしい。これは肉のようだけどナタラジは菜食主義では・・」
犀川「ナタラジカレーに入っているのは、大豆グルテンです。味付けをしてお肉のようにしています」
一郎「大豆だと言われないと、歯ごたえもあって本当の肉のようだ」
さくら「マタールマサラも甘くておいしいわ。こちらはグリーンピースね。これならば、辛いのが苦手な人も大丈夫」
一郎「ナンもチャパティもふっくら暖かくておいしい」
さくら「チャイは甘い紅茶で、カレーによく合ってほっとするようなおいしさね」
食事が終わって早速ショウウインドウを見て回るさくらと一郎。
さくら「このアクセサリ素敵、欲しくなってしまうわ」
一郎「置物もインドの雰囲気があっていいね」
さくら「インドの衣装もきれい。ねえ犀川さんちょっと着てみていいかしら」
犀川「どうぞどうぞ。これはパンジャビ・ドレスといってインドでは普段着なの。どの色がいいかしら」
さくら「私はこの鮮やかなレモン・イエローがいいわ。犀川さんも着てみてよ」
別室で着替えた犀川さんとさくら。あでやかなインド美女の登場である。
一郎「いやこれは美しい。二人ともよく似合っているね」
さくら「軽くて肌触りが良くて着心地抜群よ。これを着て帰ろうかしら」
一郎「それはちょっと・・まだ寒いしね」
まだショウウィンドウを見るさくら。結局アクセサリを買って帰ることにした
さくらは、嬉しくて一郎やお店の料理長と記念写真を撮ってしまう。
この後、テーブルに戻り、おいしいデザートをいただいた。
さくら「犀川さん、今日は本当にありがとう。カレーもデザートもどれもおいしかったわ」
一郎「本当のインド料理をごちそうになった気がする」
犀川さん「久しぶりにお二人に会えて嬉しかったわ。また来てください」
さくら・一郎「他の同窓生や家族と来てみます。今日は本当にありがとう」
第六話に続く・・(はず)
シリーズ<さくらと一郎の「遊びに行こう!」>では、 さくらさんと一郎さんが皆様をお訪ねします。どうぞよろしく。
さくら役は芹沢啓子(A組)・一郎役は梶誠一郎(A組)でした
企画・取材・出演・撮影・執筆のスタッフ一同