大谷:今からダブルクロス2nd対応緊急講義を始めたいと思う。毎回講師役の大谷・真(おおたに・まこと)だ。
キルス:いいかげんにこの自己紹介も飽きた生徒役その1,キルスティン・ビョルクよ。
咲耶榎:では,最近友人から『世界一ひとひねりの効いた女の子』との感想を頂きました生徒役その2の姫宮・咲耶榎(しんぐう・さやか)です。
大谷:なんと言うか,いきなり言いえて妙だな。
キルス:いいなぁ,そーゆーの。私には何か無いかな?
咲耶榎:では,『テーマソングはターミネーター』では如何でしょう? だだんだんだだん♪
大谷:やめんか。
キルス:それだといつもショットガン持ちあるかなきゃね。
大谷:お願いだからやめて下さい。
キルス:(やたら偉そうに)仕方がない。
大谷:…ダブルクロス2ndが発売されてそろそろ1年。色々判ってきたからこうして講義を開いた訳だが。
キルス:看板に偽りオンリーってカンジね。全然緊急じゃないじゃない。
咲耶榎:いえいえ,相模原さんから早く書けーって言う追及が厳しくなってきてそろそろ命の危険を感じてきたから『緊急』なんですよ(笑)。
大谷:さくっと裏事情ばらさないように。じゃあまず,ぶっちゃけダブルクロスは2ndになってどのように変化しただろう?
咲耶榎:捜査系のエフェクトが減りました。
大谷:正解。だが言葉は足りない。
キルス:戦闘に偏った。
大谷:それもまた正しい。だが一面的だ。
キルス:じゃあ,あんたはどう思うのよ?
大谷:俺が思うに,ルールから『曖昧さ』とそれから発生する不都合を排除した結果として,ダブルクロス2ndは戦闘のルールが充実したんだ。
咲耶榎:どういうことですか?
大谷:1st時代には,いくつかルールが曖昧で処理に困ったり,またその曖昧さから強力すぎる効果の発生するエフェクトが存在した。
咲耶榎:代表格でいえば《抗いがたき言葉》とかですね。
キルス:ああ,アレは困ったよね。
戦闘中でも決まっちゃえばそれで戦闘終了だったし…。
大谷:で,そういう困ったエフェクトの効果をちゃんと調整して数値化したり,強力すぎたエフェクトのパワーダウンを図った結果こうなってしまったんではないだろうか。
咲耶榎:どうして数値化されると戦闘寄りになるんですか?
大谷:『不都合がないように数値化され整備された』と言ったが,もともとダブルクロスのルールの中で,もっとも数値化がしっかり進んでいたルールは『戦闘』だったんだと思う。逆に,しっかり数値化されていなかったりフレーバーで判断するようなエフェクトは『捜査系』に分類されていた。
キルス:つまり,変なのを排除していったらいつの間にか戦闘系に偏っちゃったって事?
大谷:まあ,そうだな。数値化した結果として効果の激烈さが失われ,また激烈すぎた効果を別の効果と替えていった結果としての戦闘偏向なのだと思う。多少,変えなくても良かった効果まで変えてしまった感もあるが。
咲耶榎:正直な話,《ドクタードリトル》や《プロフェット》は変えないで欲しかったです(苦笑)。
キルス:ちょっと遊びが無くなったよね。
大谷:まあ,その辺はおいおい調整されていくことに期待しよう。まあ,一言でダブルクロスは2ndになってどうなったかと言えば『ルールが整備されて,バランスが取られた』でいいと思う。細かい変更点は順に話していくことにしよう。一時間目は『マイナーアクションの変化』についてだ。
キルス:マイナーアクション,何か変わったの?
大谷:正確にはマイナーアクションのタイミングで使用するエフェクトの扱いが変わった。組み合わさらなくなった。
咲耶榎:とゆーことは,マイナーアクション時に使用できるエフェクトは一度に一つになった,ということですね?
大谷:そうだ。この変更によってマイナーアクションでダイスやオプションを迅速に得る戦術はほぼ成立しなくなった。
キルス:へー。マイナーアクションエフェクトを幾つも同時にバーっと起動されたりするとなんか「もーだめだーっ!!」って気分になったけどね。
咲耶榎:侵蝕値から考えると実はそこまで有効でもないんですけど。
キルス:そうなの?
大谷:まあ,あんまり効率の良い行動でもなかったな。だが,侵蝕値が100%を越えた状態でのゴリ押しとしては悪くなかったし,何よりも魔法使い型にとってマイナーアクションエフェクトの同時起動はダイス数を得る方法として貴重な手段だった。
キルス:それが出来なくなったんだ。
じゃあ,魔法使い型がクロスブリードにするメリット,減ったんじゃない?
大谷:を? なかなか賢いな。お前の言うとおり,ダイス増加系のマイナーアクションエフェクト,つまり《主の恩恵》《雷の加護》《炎の加護》等を同時起動させる事でダイスを多く得ることは難しくなった。コレによって魔法使い型がクロスブリードにする意義のひとつ――,つまりダイス数の確保は失われ,魔法使い型はよりピュアブリードの方が向いていることになった。
咲耶榎:でも,マイナーアクションのエフェクトを同時に使用できるようにするエフェクトも出たんですよね。
大谷:ああ,使用することによってあと二つマイナーアクションエフェクトを起動させることが出来るようになるエフェクトだな。
キルス:それ使えば魔法使い型がダイス稼げるんじゃない?
大谷:まあ出来なくは無いが,侵蝕値が大きくなるからお勧めはしないな。1st時代と同じで,侵蝕率100%を越えた時のゴリ押しに使うくらいに抑えとくのが良いと思う。
咲耶榎:確かに,侵蝕率80%で《主の恩恵》《加速装置》《雷の加護》を全部2LVで使用したとしても,侵蝕値6点に対してダイス4個ですか。効率は悪いですね。
キルス:何ていうか,金返せってカンジ?
大谷:まぁ,魔法使い型は2ndになってからそれを補って余りある武器を手に入れたからな。
咲耶榎:範囲攻撃のことですね。
キルス:範囲攻撃って…前から無かったっけ?
大谷:あった。…まだ時間もあるし,今説明しておくか。1st時代にもエンゲージ一つや周囲に対する攻撃は存在したが,あまり有り難がられなかった。何故だと思う?
咲耶榎:味方を巻き込む可能性が大きかったからです。
キルス:だから,周囲の『敵だけ』を選んで攻撃できる《獅子奮迅》は凄かったのよね。
大谷:だが,2ndになってからこの扱いが変わった。どの範囲攻撃でも任意の目標を選択して攻撃を仕掛ける事が出来るようになった。
キルス:へー,便利になったのね。
大谷:今まで,範囲攻撃が使いづらかったからな。この変更によって魔法使い型は味方を気にせずに範囲攻撃を撃てる様になった訳だ。
咲耶榎:範囲攻撃は魔法使い型の主能力の〈RC〉系エフェクトに多かったですからね。
大谷:まあ,これからの魔法使い型は広域殲滅型が流行るだろうな。パーティー内での役割はトループや敵の従者の一掃になる。
キルス:ふ〜ん。一度作ってみようかな。
大谷:それが良いかもな。そろそろ時間だ。コレで1時間目を終了とする。
咲耶榎&キルス:おつかれさまでしたー♪
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