#Extra 
大谷さんのダブルクロス講座  第3回
 


 みなさんこんばんは。そろそろ後続に譲るべきかな,とか考えている相模原泪です。
 登場人物が年をとっているわりにちっとも大人にならなくても変わらぬご愛顧,まことにありがとうございます。そうこうする間にも『ダブルクロス』もセカンド対応となり,急遽,セカンド対応版「大谷さん講座」が開かれることになりました。
 えーと,「急遽」というわりには発売後1年近く経ってるんじゃないかなんて私は何も言ってませんよ。大谷さんがいつも私に隠れてこそこそやっていて忙しいのはよくわかってますし。
 えー,では大谷さん,今回もよろしくお願いいたします。

 


 ◆第1時間目:マイナーアクションの変化と『範囲』の扱いの変化
 


大谷:今からダブルクロス2nd対応緊急講義を始めたいと思う。毎回講師役の大谷・真(おおたに・まこと)だ。
キルス:いいかげんにこの自己紹介も飽きた生徒役その1,キルスティン・ビョルクよ。
咲耶榎:では,最近友人から『世界一ひとひねりの効いた女の子』との感想を頂きました生徒役その2の姫宮・咲耶榎(しんぐう・さやか)です。
大谷:なんと言うか,いきなり言いえて妙だな。
キルス:いいなぁ,そーゆーの。私には何か無いかな?
咲耶榎:では,『テーマソングはターミネーター』では如何でしょう? だだんだんだだん♪
大谷:やめんか。
キルス:それだといつもショットガン持ちあるかなきゃね。
大谷:お願いだからやめて下さい。
キルス:(やたら偉そうに)仕方がない。
大谷:…ダブルクロス2ndが発売されてそろそろ1年。色々判ってきたからこうして講義を開いた訳だが。
キルス:看板に偽りオンリーってカンジね。全然緊急じゃないじゃない。
咲耶榎:いえいえ,相模原さんから早く書けーって言う追及が厳しくなってきてそろそろ命の危険を感じてきたから『緊急』なんですよ(笑)。
大谷:さくっと裏事情ばらさないように。じゃあまず,ぶっちゃけダブルクロスは2ndになってどのように変化しただろう?
咲耶榎:捜査系のエフェクトが減りました。
大谷:正解。だが言葉は足りない。
キルス:戦闘に偏った。
大谷:それもまた正しい。だが一面的だ。
キルス:じゃあ,あんたはどう思うのよ?
大谷:俺が思うに,ルールから『曖昧さ』とそれから発生する不都合を排除した結果として,ダブルクロス2ndは戦闘のルールが充実したんだ。
咲耶榎:どういうことですか?
大谷:1st時代には,いくつかルールが曖昧で処理に困ったり,またその曖昧さから強力すぎる効果の発生するエフェクトが存在した。
咲耶榎:代表格でいえば《抗いがたき言葉》とかですね。
キルス:ああ,アレは困ったよね。
戦闘中でも決まっちゃえばそれで戦闘終了だったし…。
大谷:で,そういう困ったエフェクトの効果をちゃんと調整して数値化したり,強力すぎたエフェクトのパワーダウンを図った結果こうなってしまったんではないだろうか。
咲耶榎:どうして数値化されると戦闘寄りになるんですか?
大谷:『不都合がないように数値化され整備された』と言ったが,もともとダブルクロスのルールの中で,もっとも数値化がしっかり進んでいたルールは『戦闘』だったんだと思う。逆に,しっかり数値化されていなかったりフレーバーで判断するようなエフェクトは『捜査系』に分類されていた。
キルス:つまり,変なのを排除していったらいつの間にか戦闘系に偏っちゃったって事?
大谷:まあ,そうだな。数値化した結果として効果の激烈さが失われ,また激烈すぎた効果を別の効果と替えていった結果としての戦闘偏向なのだと思う。多少,変えなくても良かった効果まで変えてしまった感もあるが。
咲耶榎:正直な話,《ドクタードリトル》や《プロフェット》は変えないで欲しかったです(苦笑)。
キルス:ちょっと遊びが無くなったよね。
大谷:まあ,その辺はおいおい調整されていくことに期待しよう。まあ,一言でダブルクロスは2ndになってどうなったかと言えば『ルールが整備されて,バランスが取られた』でいいと思う。細かい変更点は順に話していくことにしよう。一時間目は『マイナーアクションの変化』についてだ。
キルス:マイナーアクション,何か変わったの?
大谷:正確にはマイナーアクションのタイミングで使用するエフェクトの扱いが変わった。組み合わさらなくなった。
咲耶榎:とゆーことは,マイナーアクション時に使用できるエフェクトは一度に一つになった,ということですね?
大谷:そうだ。この変更によってマイナーアクションでダイスやオプションを迅速に得る戦術はほぼ成立しなくなった。
キルス:へー。マイナーアクションエフェクトを幾つも同時にバーっと起動されたりするとなんか「もーだめだーっ!!」って気分になったけどね。
咲耶榎:侵蝕値から考えると実はそこまで有効でもないんですけど。
キルス:そうなの?
大谷:まあ,あんまり効率の良い行動でもなかったな。だが,侵蝕値が100%を越えた状態でのゴリ押しとしては悪くなかったし,何よりも魔法使い型にとってマイナーアクションエフェクトの同時起動はダイス数を得る方法として貴重な手段だった。
キルス:それが出来なくなったんだ。
じゃあ,魔法使い型がクロスブリードにするメリット,減ったんじゃない?
大谷:を? なかなか賢いな。お前の言うとおり,ダイス増加系のマイナーアクションエフェクト,つまり《主の恩恵》《雷の加護》《炎の加護》等を同時起動させる事でダイスを多く得ることは難しくなった。コレによって魔法使い型がクロスブリードにする意義のひとつ――,つまりダイス数の確保は失われ,魔法使い型はよりピュアブリードの方が向いていることになった。
咲耶榎:でも,マイナーアクションのエフェクトを同時に使用できるようにするエフェクトも出たんですよね。
大谷:ああ,使用することによってあと二つマイナーアクションエフェクトを起動させることが出来るようになるエフェクトだな。
キルス:それ使えば魔法使い型がダイス稼げるんじゃない?
大谷:まあ出来なくは無いが,侵蝕値が大きくなるからお勧めはしないな。1st時代と同じで,侵蝕率100%を越えた時のゴリ押しに使うくらいに抑えとくのが良いと思う。
咲耶榎:確かに,侵蝕率80%で《主の恩恵》《加速装置》《雷の加護》を全部2LVで使用したとしても,侵蝕値6点に対してダイス4個ですか。効率は悪いですね。
キルス:何ていうか,金返せってカンジ?
大谷:まぁ,魔法使い型は2ndになってからそれを補って余りある武器を手に入れたからな。
咲耶榎:範囲攻撃のことですね。
キルス:範囲攻撃って…前から無かったっけ?
大谷:あった。…まだ時間もあるし,今説明しておくか。1st時代にもエンゲージ一つや周囲に対する攻撃は存在したが,あまり有り難がられなかった。何故だと思う?
咲耶榎:味方を巻き込む可能性が大きかったからです。
キルス:だから,周囲の『敵だけ』を選んで攻撃できる《獅子奮迅》は凄かったのよね。
大谷:だが,2ndになってからこの扱いが変わった。どの範囲攻撃でも任意の目標を選択して攻撃を仕掛ける事が出来るようになった。
キルス:へー,便利になったのね。
大谷:今まで,範囲攻撃が使いづらかったからな。この変更によって魔法使い型は味方を気にせずに範囲攻撃を撃てる様になった訳だ。
咲耶榎:範囲攻撃は魔法使い型の主能力の〈RC〉系エフェクトに多かったですからね。
大谷:まあ,これからの魔法使い型は広域殲滅型が流行るだろうな。パーティー内での役割はトループや敵の従者の一掃になる。
キルス:ふ〜ん。一度作ってみようかな。
大谷:それが良いかもな。そろそろ時間だ。コレで1時間目を終了とする。
咲耶榎&キルス:おつかれさまでしたー♪

 


 ◆第2時間目:バッドステータス
 


大谷:よし,2時間目をはじめようか。
キルス:んー,ちょっとまって。ええと,クイーンで角。
咲耶榎:では,この歩が成ってチェックです。
大谷:…今度は何をしとるかね? キミタチは。
咲耶榎:将棋対チェスの異種対戦です。意外と面白いですよ?
キルス:うー,降参。三連敗。
咲耶榎:じゃ,五戦中三勝無効二ですね。勝利です♪
大谷:えーとなんだ,その無効ってのは?
咲耶榎:キルスさん,最終手段として盤をひっくり返すんです。
キルス:なによ,その眼。私の中学じゃ立派なハウスルールだったんだから。
咲耶榎:業界用語で言う所の「ゲドンを撃つ」だそうです。
大谷:お前ら,とりあえず将棋の神様とチェスの神様に謝っとけ。あと,その用語を作り上げた業界の人たちにも。で,2時間目のテーマは『バッドステータス』についてだ。
咲耶榎:bad statusって和製英語でしょうか? 正確にはbad conditionじゃないかと思うんですが?
大谷:おそらくcondition だと体調の事だけになるからstatus(状況)にしたんだと思う。今までダブルクロスにはバッドステータスと言う概念はなかったが,2ndになってからはダメージの一種として登場した。登場したバッドステータスは4種類。キルス,言えるか?
キルス:あ,あたし? ええと,毒,麻痺,混乱,呪文封じ。
大谷:どこの世界だそれは。
咲耶榎:大谷さん知らないんですか? ド○クエですよ? あ,ネク○マンサーもですね。
大谷:こ・こ・は・ダ・ブ・ル・ク・ロ・ス・だっ!! 判んないならわかんないと言えっ!! 〔転倒〕〔捕縛〕〔目眩〕〔気絶〕!! …このうち〔転倒〕と〔捕縛〕は回復に行動を要するうえに効果が大きい。まあ,ひとつずつ順番に説明していこうか。
キルス:出来るだけ簡単にしなさいよ? 只でさえあんたは説明が回りくどいんだから。
咲耶榎:(「きるす」と書かれたサルのヌイグルミを撫でながら)キルスさんが単純すぎるとゆー意見もありますが。
キルス:(バッ!!と咲耶榎の方に振り向く)
咲耶榎:(バッ!!とヌイグルミをしまう)…何か?
キルス:…今,何をしまったのかしら?
咲耶榎:(机の中から巨大なピンクのワニのヌイグルミを取り出して)…んむ人形ですが?
大谷:お願いだから…,授業を聞いてくれ(泣)。

 
◆転倒

大谷:まずは〔転倒〕。平たく言うとコケてる状態だ。
効果としては移動が行えなくなる上に,全ての行動に1個のダイスペナルティがつく。
キルス:あんまり大した事無いわね。
咲耶榎:そうですね。射撃距離への攻撃が出来るキャラクターにはあんまり意味がないかもしれませんね。
大谷:移動が封じられるのは結構凄いと思うぞ? 射撃系のキャラがマイナーアクションで常に遠ざかりながら射撃するという姑息な戦法が出来なくなるからな。
咲耶榎:それって,相手も射撃距離に攻撃出来たら意味が無いじゃないですか(笑)。
大谷:…それもそうか。しかも,射撃距離への攻撃って結構簡単だしな。
キルス:まあ,コケたまま攻撃っていうのはビジュアル面でどうかと思うけどね(笑)。
大谷:もっともだ(笑)。〔転倒〕はマイナーアクションを消費することによって回復する。つまり立ち上がるわけだ。立ち上がるまでは移動が出来ないから,相手を〔転倒〕させてから逃走っていうのは戦術的にはともかく演出的にはいいと思うぞ。
キルス:真,何かセコイ。
大谷:うっさい。

 
◆捕縛

大谷:次,〔捕縛〕。武器一つが使用できなくなるバッドステータスだ。
回復にはマイナーアクションとメジャーアクションを消費する必要がある。
キルス:絡め取られてるカンジかしら? 地味ね。
咲耶榎:そうですね。魔法使い型には関係有りませんし,素手で戦えるタイプの戦士型にも関係ないんじゃないでしょうか?
大谷:甘いな。ダブルクロスにおいて『素手』も装備として扱われるんだぞ?
キルス:え? そうなの?
咲耶榎:確かに,そうですね…。
大谷:つまり〔捕縛〕は『素手を含む』相手の主武器を封じて,文字通り『手も足も出ない』状況に縛り上げることが出来る強力なバッドステータスだと言える。
キルス:へー,陰険ねー。
咲耶榎:……
大谷:ん? どうした,姫宮?
咲耶榎:大谷さん,フケツです。
大谷:…は?
咲耶榎:縛りだなんて,マニアックではないかと思います。
大谷:gufd8kvd;nc0っ!!?(言葉になっていない)
キルス:まあ,仕方ないよ咲耶榎。真は基本的にムッツリだし日々追い詰められてるわけだから多少マニアックでも,ね?
咲耶榎:そうですね,仕方ないかもしれませんね…,ホロリ。
大谷:て…手前ら,正気に返らんか〜〜〜〜〜〜〜ッッッッ!!!!
キルス:わ〜,真が怒った〜っ(笑)。
咲耶榎:きゃ〜っ(笑)。

 
◆目眩

大谷:(ぜぇぜぇ)つ…次,〔目眩〕。この状態になると全ての行動にダイスペナルティが2個つく。実際はあんまり使わないな。
キルス:どーして?
大谷:クリンナップフェイズになると自動的に回復するし,相手の行動を封じられるわけでもないから,まあ,使っても悪くは無いかな程度。
咲耶榎:せいぜい2ndアクションフェイズのときにちょっと有利になるぐらいですね。
大谷:ああ,あんまり狙っても得が無い。
キルス:侵蝕値が勿体無いわね。
大谷:そーゆーこと。

 
◆気絶

大谷:最後,〔気絶〕。
この状態になると一切の行動が取れなくなる上に,攻撃を食らうと一瞬でHPが0になる。
咲耶榎:で,クリンナップで回復するんですよね。
キルス:強いじゃん。
大谷:うむ。だが,コレを与える方法が無い。
キルス:…は?
大谷:全エフェクト496種(ブレイクアップ,及びアルターラインで追加されたものも含む)のなかで〔気絶〕を与える方法は一つも無い。
他の手段,アイテムとかも同様だ。
キルス:なにそれ,意味無いじゃない。
咲耶榎:一般人をワーディングでエキストラにして〔気絶〕させると宣言するとゆー極めてマニアックな手段ならありますが(笑)。
大谷:まあ,きっと演出用だな,コレは。一般人のNPCが〔気絶〕させられてる時の処理に使うんじゃないだろうか。

大谷:と言う訳で4つ説明したんだが。
咲耶榎:言っていた通り,〔捕縛〕が激烈ですね。
キルス:うん。その他はあんまりたいしたこと無いけど。
大谷:〔捕縛〕と〔転倒〕とか,複数のバッドステータスを同時に与えられると結構厄介だからな。対抗策があるなら持っておくといい。
キルス:対抗策?
咲耶榎:サラマンダーの《揺るぎ無き心》とかブラム=ストーカーの《冥府の柩》とかですね。マイナーアクションで全バッドステータスを解除できますから便利です。
大谷:ま,あればの話だな。で,バッドステータスについての話はコレで終りだ。まだ質問はあるか?
キルス:じゃあ,〔捕縛〕の効率いい与え方教えて。
大谷:うーん,やっぱりエグザイルの《エンタングル》がピカ一だな。通常ダメージと同時に〔捕縛〕を与えられる。
咲耶榎:うまく使えば一方的に殴れますね。
大谷:ちょっと凶悪だ。もう質問は無いな? それじゃあ,これで2時間目は終了とする。お疲れさん。
キルス&咲耶榎:ありがとうございましたー♪

 


 ◆第3時間目:シンドロームの変化
 


大谷:さーて,3時間目いこーか。この時間はアホみたいに長いからな,覚悟しておけよ?
キルス:イヤ。メンドい。
咲耶榎:内容が内容だけに長くなるのは仕方ありませんが,ちょっと憂鬱ですね。
大谷:はいはい,お前らが脱線しなきゃちょっとは短くなるんだから,真面目に聞け。
キルス&咲耶榎:はーい♪
大谷:返事は…良いんだよなぁ(嘆息)。
キルス:返事まで悪いほうがいい?
大谷:最悪だお前。
咲耶榎:大谷さん,御自分で言ったそばから脱線されてますよ?
キルス:やーいやーい,怒られてやんのー。
大谷:ガキかお前は。2ndになって最大の変更点といえばやはりシンドロームの追加とエフェクトの効果の変更だろう。シンドロームでは新たに「モルフェウス」「バロール」が追加され,多くのエフェクトがその効果を変えた。
咲耶榎:実際既存のエフェクトの2割ぐらいが効果が変わってますね。
キルス:そんなに変わったんだ。
大谷:ああ,シンドロームによっては全くの別物になった感すらある。で,また俺なりの大まかな評価を表にしてみた。
 

 

クリティカル ダイス増加 ダメージ 特殊
エンジェルハィロゥ
ブラックドッグ A
ブラム=ストーカー
キュマイラ
エグザイル
ハヌマーン
モルフェウス
ノイマン
オルクス
サラマンダー
ソラリス
バロール

(※=優れている B=標準的 =苦手/使用が困難)


大谷:ま,こんなもんか。
キルス:相変わらずノイマンだけがクリティカルの評価がAなのね。
咲耶榎:あいかわらず《天性のひらめき》が強力ですからね。ところでオルクスの評価,下がってませんか?
大谷:まあ,思う所あってな。その辺は後で説明するとして,シンドロームごとの細かい説明いってみようか。
キルス:えー? あれまたやんのー?


 ◆オールマイティな同族殺し:エンジェルハィロゥ

   クリティカル:B ダイス増加: ダメージ:B 特殊能力:B

大谷:と言うわけで第一のシンドローム,エンジェルハィロゥだ。このシンドロームは1stの頃は他のシンドロームに較べて防御能力が高く,装甲無視や範囲攻撃など様々な『使い勝手の良い』エフェクトを多数保持していた。
咲耶榎:でも,防御能力は落ちましたね。
大谷:ああ,もっとも強力な防御エフェクトの一つだった《鏡の館》の効果が変更され,代表エフェクトでもあった《光の衣》もパワーダウンした。
キルス:《鏡の館》が対エンジェルハィロゥのエフェクトになったんだ。
大谷:この変更によってエンジェルハィロゥは唯一の対同シンドロームエフェクトを二つ保有しているシンドロームとなった。
咲耶榎:でも相変わらず使い勝手はいいんですよね。
大谷:そうだな。《御使いの声》や《光の衣》の弱体化は目立つが,それでもその使い勝手は非常にいいと思う。ダイスが増加しないところも相変わらずだけどな。あと,範囲攻撃能力が非常に高い。2ndになってからはこの特徴は非常に有利だな。
キルス:ふーん,どんなタイプに向いてそう?
大谷:向いているタイプは盗賊型と魔法使い型。ダイス数が確保できるなら戦士型も十二分に働くことが出来るだろう。
咲耶榎:お勧めのエフェクトは《主の恩恵》《主の右腕》《スターダストレイン》《ピンポイント・レーザー》《ミラー・コート》辺りですか?
大谷:《ミラー・コート》は〈RC〉で回避できるから,魔法使い型には必須かも知れないな。
《スターダストレイン》は死ぬほど強力だが,侵蝕率も大きい。あとは《光の衣》かな。
キルス:不意打ち専用になったのは残念ね。
大谷:そうだな。

 ◆体力不足,解決!!:ブラックドッグ

   クリティカル:B ダイス増加: ダメージ:B 特殊能力:

大谷:二番手はブラックドッグ。このシンドロームを一言で言ってしまえば,『パワーはあるが不器用』だ。
キルス:装甲無視できないし,自分がダイスペナルティ受けるエフェクト多いもんね。制御しきれないのかな?
大谷:そうなんだろうな。ブラックドッグには少しパワーダウンしたがまだまだ強力な《雷の槍》や,効果が変更されて攻撃型になった《雷の砦》など魔法使い型に嬉しいエフェクトがそろっている。
しかし,今回はそれ以上に射撃が強力になった。
咲耶榎:やっぱり《ロックオンサイト》と《リニアキャノン》は強力ですね。
キルス:射撃系じゃ最強なんじゃない?
大谷:いや,装甲無視エフェクトが無いし,防御も射撃型に向いたエフェクトが無いからどうかな? 
戦闘はダメージと達成値だけで決まるわけじゃないし。
咲耶榎:相変わらず捜査系は苦手みたいですね。
大谷:その辺りは戦闘力の為の犠牲になってるんだろ。
お勧めのタイプは盗賊型と魔法使い型。
白兵戦に向いているエフェクトの数が少ないから戦士型にするには少し無理がある。
咲耶榎:でも,シンドロームの組み合わせ次第でなんとでもなるんですよね?
大谷:無論だ。あくまでも『お勧め』でしかない。
お勧めのエフェクトは《雷の加護》《雷の槍》《ロックオンサイト》《バリアクラッカー》《フルインストール》。
まだまだあるな(苦笑)。
キルス:うわ,何この《フルインストール》!! やったら強いわね。
咲耶榎:《バリアクラッカー》もまだまだ強力ですね。
大谷:その二つはブラックドックの『鬼札』だな。やたらめったらに使える物じゃないが,持っておいても損はない。


 ◆従者! 従者!! 従者!!!:ブラム=ストーカー

   クリティカル:B ダイス増加: ダメージ: 特殊能力:B

咲耶榎:三番手は陰険と名高いブラム=ストーカーですね。
大谷:まあ,他のシンドロームに較べて使い方がテクニカルなエフェクトが多いのは認める。ブラム=ストーカーは『従者』と呼ばれる使い魔を操ることに特化された特殊なシンドロームだが,2ndになってからその傾向はさらに強くなった。
キルス:本人は弱くなったの?
大谷:ぶっちゃけてしまえば,そうかもしれない。従者の使い勝手は上がったが,本人が使用するエフェクトは弱くなった。
咲耶榎:なんというか,微妙にヘタレ度が上がってますよね。
大谷:また訳のわからん評価を(苦笑)。確かに,《ブラッドバーン》が侵食率80%以上を前提とするエフェクトになってしまったから,本人が白兵攻撃を行うのもままならなくなってしまったんだけどな。
キルス:ヘタレじゃない。
咲耶榎:お勧めのタイプとエフェクトはなんでしょう?
大谷:お勧めのタイプは,難しいな。従者を使用した特殊な戦術がメインになるからどのタイプにも当てはめづらいんだが,あえて言うなら戦士タイプか僧侶タイプ。従者で仲間の補佐をしたり情報を集めたり,敵を引っ掛けたりするトリッキーな行動も可能だ。お勧めのエフェクトは《赤き剣》《渇きの主》《クロスアタック》《血の従者》《主人への忠誠》《闇夜の呪い》あたり。従者系のエフェクトは独特で強力なものが多い。
キルス:その分本人はヘタレ気味,と。
大谷:もうほっとけ。


 ◆使いやすさアップのパワータイプ:キュマイラ

   クリティカル: ダイス増加:B ダメージ: 特殊能力:B

大谷:お次はキュマイラだな。
キルス:圧倒的な攻撃力が気持ちいいシンドロームよね。
咲耶榎:戦闘方法に特にひねりを入れなくても闘えますし,その気になれば奥が深いところも高評価だと思います。
大谷:そうだな。キュマイラは攻撃力と使いやすさ,そして奥の深さを兼ね備えた良シンドロームだ。特に2ndになってからは以前にあった小さな不満点,代表エフェクトである《完全獣化》に行動を消費する,《完全獣化》中は言葉を喋れない,等が解消された事によってその評価はさらに上がった。
咲耶榎:《完全獣化》や《一角鬼》等の変身系エフェクトは大体マイナーアクションで起動するようになりましたし,獣化中でも喋れるようになりました。
キルス:戦闘中はワンワン,じゃ様にならないもんね。
咲耶榎:イイじゃないですか,かわいくて(笑)。
大谷:シリアスシーンぶち壊しだろうが。だが,この変身系エフェクトのタイミング変更は同時にキュマイラに限界ももたらしてしまった。なんだと思う,キルス。
キルス:ええっと…マイナーアクションだから,組み合わせられない?
咲耶榎:その通りです。ごほーびに飴玉をあげましょう。身体に悪そうな着色料満点ですよー♪
キルス:わーい♪ バリバリ噛んで食うぞー。
大谷:色々悪いからやめとけ。歯とか体とか頭とか。
咲耶榎:良いじゃないですか。大谷さんみたいに人生が悪いよりは。
キルス:そうだそうだー♪
咲耶榎:…あ,すみません。致命傷でした?
大谷:…ほっといてくれ。ま,昔のように獣化して翼とえらと角を同時に作り出すなんてイカレてかっこいいマネは出来なくなった訳だ。どんなに頑張っても《ハンティングスタイル》を使用して二つの変化までしか同時に出来ない。
咲耶榎:それで十分,という話もありますが。
大谷:そうだな。向いているタイプは相変わらず戦士型。お勧めのエフェクトは《一角鬼》《完全獣化》《破壊の爪》《竜鱗》《フルパワーアタック》あたりか。
キルス:《復讐の刃》とか《神獣撃》とかもカッコイイよね。豪快で。
咲耶榎:そうですね。その辺のエフェクトの破壊力こそキュマイラ・シンドロームの真骨頂ですよね。


 ◆圧倒的トリッキー:エグザイル

   クリティカル: ダイス増加: ダメージ: 特殊能力:

大谷:第五のシンドローム,エグザイルだ。このシンドロームはダメージこそキュマイラに敵わないが,いくつもの隠し玉を持ち,全シンドローム中でもトップクラスの決定力を誇っている。
キルス:決定力って?
大谷:具体的に言えば,相手に攻撃をぶち込む能力だな。以前にも説明したように,オーバード同士の戦闘では侵蝕率が100%を越えた状態の時に如何に決定打を叩き込むかが勝敗を分ける。エグザイルは相手のクリティカル値を上げるエフェクトが多く,決定力が非常に高い。
咲耶榎:防御時にクリティカル値上げられると,基本的に手の打ち様がありませんからねー。
キルス:うわー,サイアク。
大谷:しかもダイス増加能力も相変わらずのトップクラス,ダメージ能力の低さは他のシンドロームや武器,そして達成値で補えば問題無いときている。これで弱いはずは無い。調査の時にも色々使えそうなエフェクトも多数持ってるから,使いでがあるだろうな。
咲耶榎:でも全体的に相当トリッキーですし,クリティカル系エフェクトの脆弱さは相変わらずですから,使いこなすのは難しいかもしれません。
キルス:つまりは相変わらず『マニア好み』なのね。
大谷:かもな。向いているタイプは戦士型。まあ,その気になれば色々できるから,器用な戦士になるだろう。
咲耶榎:戦闘しか出来ない若い戦士じゃなくて,小技の効いた熟練の戦士って感じですね。
キルス:で,結局最終回に仲間を庇ったりして死んじゃうのよね(笑)。
大谷:ええい,縁起でもない(←シリーズ中唯一エグザイルのヒト)。お勧めのエフェクトは《異能の指先》《エンタングル》《擬態の仮面》《貪欲なる拳》《マルチアタック》。《伸縮腕》や《異世界の因子》も良いな。
キルス:んー,便利そうではあるんだけど…,やっぱり悪役っぽいのよね。
咲耶榎:大丈夫。そんな時は麦わら帽子があれば(笑)。
キルス:(やたら大げさな口調で)わぉ,悪役が一瞬で大人気の海賊船長にっ。驚きだねボブ(笑)。
大谷:何でそんな深夜の通販番組みたいな口調なんだよっ。しかもボブって誰だボブって!!


 ◆使い勝手の悪い『宝の山』:ハヌマーン

   クリティカル: ダイス増加: ダメージ:B 特殊能力:B

大谷:お次はハヌマーン。もしかしたら前作から扱いが一番変わったシンドロームかもしれん。
キルス:そうなの?
咲耶榎:実際のところ《マシラの如く》の効果が変更されただけなんですけどね。
大谷:《獅子奮迅》が範囲の扱いの変更に伴って相対的に弱くなった事も相まって,ハヌマーンの物理戦闘系シンドロームとしての地位は一気に下がった。
キルス:ねぇ,思うんだけど…エンジェルハィロゥの方が便利なんじゃない?
大谷:実はそうでもない。〈白兵〉〈射撃〉攻撃時の装甲無視である《吼え猛る爪》,シーン全体への装甲を無視する〈RC〉攻撃の《サイレンの魔女》,〈知覚〉〈交渉〉のダイス増加能力,一般人にも安全な回復能力の《気功》,そして単発ではあるが全ての技能に組み合わせることが出来る強力なダメージ増加能力になった《マシラの如く》。クロスブリードにとっては宝の山だ。
咲耶榎:確かに《白兵》や《射撃》で戦うなら,エンジェルハィロゥに軍配が上がりそうですが総合的に見れば互角以上。玄人が使うと真価を発揮するタイプです。
大谷:まあ,エグザイルと同じくクリティカル系エフェクトの使い勝手が悪いから,決してメインに使えるシンドロームじゃないけどな。
キルス:ふーん。エンジェルハィロゥは使いやすい補助,ハヌマーンは使いづらいけど便利な補助ってカンジ?
咲耶榎:そんな所ですね。いかにも大谷さんが好みそうです(笑)。
キルス:真性ルールチキンだもんね。
大谷:そこ,うるさい(苦笑)。そんな訳でお勧めのタイプはまあ,どれでも。お勧めのエフェクトは《アクティブソナー》《エンジェルヴォイス》《気功》《サイレンの魔女》《吼え猛る爪》だな。
キルス:強いのはわかった。でもさ…。
大谷:ん?
キルス:《マシラの如く》は変えないで欲しかったよね。
咲耶榎:そうですよね。
キルス&咲耶榎:はぁ〜(嘆息)。


 ◆器用な新人:モルフェウス

   クリティカル:B ダイス増加: ダメージ:B 特殊能力:B

大谷:さて,期待の新シンドローム,モルフェウスの番だ。姫宮,説明できるか?
咲耶榎:モルフェウス・シンドロームは非常に特徴的なシンドロームで,これに発症した人間は『物質の変質』を行うことが出来ます。ぶっちゃけて言ってしまえば物を別の物に作り変える能力を得るわけです。
キルス:ええと,は,ハ○レン?
大谷:違う。そもそも等価交換じゃないし。
咲耶榎:(ぼそっと)ごーるどえくすぺりえん○。
大谷:なんでお前はそー微妙にマイナー気味かつヤバめな方向にもって行こうとするんだ。しかもモルフェウスは生命そのものは作れないし。
咲耶榎:そういえばそうでした。私としたことが。
大谷:モルフェウスは〈白兵〉と〈射撃〉を得意とする非常に器用なシンドロームだ。また,その場で装備を作り出せると言う能力の性質上,非常に隠密性が高い。装甲無視を得意とし,範囲攻撃,ダメージ増加,回復の全てを持ち合わせているため,ダイスの数さえ確保できるならばあらゆる状況に対応できる。
咲耶榎:でも,全体的に器用貧乏気味で決め手に欠けるんですよね。
大谷:ま,これだけ便利ならそれも仕方ない。向いているタイプは戦士及び盗賊型。〈RC〉系も多少は使えるが,それをメインに押していくのは少し無理がある。お勧めのエフェクトは《インスタント・ボム》《ギガンティック・モード》《ヒール》《フォームチェンジ》《ペネトレイト》だ。
キルス:…やっぱり物を作る時は両手を打ち合わせてから作るのかしら。
大谷:だからそれはもういいっちゅーねん。


 ◆最強,いまだ健在:ノイマン

   クリティカル: ダイス増加:B ダメージ:B 特殊能力:B

大谷:よーし,八番手はノイマンだ。このシンドロームは戦闘,調査,補助のいずれも高いレベルでこなすことが出来る非常に優れたシンドロームだな。
キルス:撃ってよし,殴ってよし。でも地味よね,全体的に。
咲耶榎:特殊な能力は一切ありませんからね。装甲無視とか〈RC〉攻撃とかが無いのは残念といえば残念かと。
大谷:まあ,その辺りは知恵と勇気と他のシンドロームでカバーだな。というか,そんなことまで出来たら強すぎる。
咲耶榎:そうですね。最強のクリティカルエフェクトである《天性のひらめき》,強力な防御エフェクトである《カウンター》,それから回数制限があるものの最も効率良くダイスペナルティを与える《抜き打ち》がある時点で満足しておくべきですね。
キルス:とゆーか,もうこの時点で強すぎ。反則。
大谷:そうでも無い。ノイマンにも弱点はある。
咲耶榎:そんなものあるんですか?
キルス:もったいぶらずに話しなさい。てゆーか吐け。
大谷:まず第一に武装が必要なこと。素手のダメージを変更するエフェクトを持っていないし素手のまま射撃を行うエフェクトも存在しない。装備が無い状態で戦闘になったら素直に逃げるべきだ。第二に全体的にエフェクトの侵蝕値が大きい。特に《天性のひらめき》なんか便利だからと言って乱用してたらラストバトルにはすでに侵蝕率が100%を超えてた,何て言うのも良くある話だ。
咲耶榎:リザレクトが使えるか否かでオーヴァードは強さが大きく違いますからね。
キルス:リザレクトのかからないオーヴァードなんて雑魚じゃない。素直に退場してなさいとか思うんだけど。
大谷:まあ,そこまでは言わんけどな。第三は,何でも出来る故にいろいろ手を伸ばしすぎて中途半端になりやすいって事だな。これを弱点というのかどうかは知らんが。
咲耶榎:あまり有効じゃ有りませんね。
そういうのを気休めって言うんですよ? 気休め,きやすめ,きーや−すーめ−。わかります? 
大谷:具体的な戦闘理論を話してもいいが,異常に伸びるぞ?
咲耶榎:…やめておきましょう。キルスさんが殺し屋のような目でこちらを睨んでます。
大谷:賢明だな。ノイマンが向いているタイプは魔法使い型以外。
咲耶榎:〈RC〉系が有りませんからこれは仕方がありませんね。
大谷:そうだな。お勧めのエフェクトは《達人の業》《天性のひらめき》《抜き打ち》《マルチウェポン》《カウンター》。他に情報系,知識系にかなり優れたエフェクトが多い。
キルス:ホントに便利よね。腹が立つわ。
大谷:腹を立ててどーする。


 ◆小技万歳:オルクス

   クリティカル: ダイス増加: ダメージ:B 特殊能力:

キルス:真〜っ,つ〜か〜れ〜た〜つ〜か〜れ〜た〜つ〜か〜れ〜た〜〜〜〜っ。
大谷:ええいやかましい,長いと思ってるのは俺も姫宮も読者様も同じだ。
咲耶榎:ハイハイ,あと少しでちゅからねー。
大谷:九番目はオルクスシンドローム。このシンドロームは周囲の環境を操ることによって自分に有利な状況を作り出すことに長けている。
咲耶榎:結構軍師向けなシンドロームですよね。
大谷:そうだな。基本的には補助と捜査を得意としているから,パーティーの知恵袋とか守護者とか,そういう感じの役どころが多いかもな。
キルス:あたしパス。めんどくさそう。
咲耶榎:一歩間違うと大谷さんみたいな苦労役になってしまう危険なポジションです。触らぬ神に祟り無し触らぬボールにハンド無し。
大谷:誰のせいだ。
キルス:(きっぱりと)GM。

 大急ぎで駆けて来て今にも泣き出しそうな顔で手を振るAD。

咲耶榎:…お仕事って大変ですよね。では,続けましょうか?
大谷:…以前にも話したと思うが,オルクスの真価はクロスブリードにしてはじめて発揮される。
キルス:単体じゃ役に立たないって事?
咲耶榎:小技は効くんですが基礎能力があまり高くないので,他のシンドロームで能力の方向性を特化させないと中途半端になってしまうんです。
大谷:〈RC〉で闘うには装甲無視や実ダメージエフェクトが足りないし,支援するにはHP回復や他者のクリティカル値の低下などの能力が足りない。
キルス:ホントに中途半端でイライラするわね。
咲耶榎:ですが,《ハンドリング》や《要の陣形》などの『無視するには勿体無い能力』を多数保持していますから,決して『全く使えないシンドローム』ではありません。
大谷:だから,クロスブリードにして使うわけだ。お薦めのタイプは魔法使い型と僧侶型。お薦めのエフェクトは《ハンドリング》《要の陣形》《奈落の法則》《妖精の手》《領域調整》ぐらいか。
キルス:《ハンドリング》の使い方が良くわかんない。
咲耶榎:《ハンドリング》は『自分の能力値を持った動物を自分の代理としてシーンに登場させる』というのが正しい解釈のようです。
大谷:ぶっちゃけて言えば『動物の姿に変身してシーンに登場する』と理解するのが一番早い。
咲耶榎:持続型エフェクトは自分の任意のタイミングで効果を終了させられますから,《ハンドリング》で登場している場合は,いつでも好きなときに退場できます。
キルス:ふーん,随分便利ね。私はめんどくさそうだから使わないけど。
大谷:…人に説明させておいてそれか。


 ◆バランスのいい戦闘型:サラマンダー

   クリティカル:B ダイス増加: ダメージ: 特殊能力:

大谷:お次はサラマンダーの番だな。サラマンダーシンドロームは攻撃性,ダイス増加能力に優れた非常に戦闘的なシンドロームだ。
キルス:回復とか捜査に使えそうな能力は殆ど無いのに,戦闘に使う能力は多いのよね。
咲耶榎:生命力を削ってまで戦闘力を確保するタイプのエフェクトが多いのも特徴です。
大谷:《炎神の怒り》+《ブレインコントロール》のコンボに代表されるサラマンダーのエフェクトは,全体的に攻防を通じて使い勝手が良い。HPを消費するだけの価値はあると思う。また《揺るぎ無き心》や《氷盾》等の使いやすい防御系エフェクトも充実している。この全体的な『効率のよさ』『使い勝手のよさ』こそがサラマンダーの真価だろう。
キルス:《氷剣》とか《炎の加護》とかも強いし,使いやすいよね。
咲耶榎:でも,サラマンダーってどちらかと言えばクロスブリード向きですよね?
大谷:そうだな。戦士型,盗賊型はクロスブリードの方が効率がいい。魔法使い型はどっちもどっちだと思うが。
キルス:なんで?
咲耶榎:戦士型,盗賊型が主に使用することになる《炎神の怒り》は,LVをあげてもHP消費が抑えられるだけで増加するダイスの数は増えません。ダブルクロスにおいてHPはそこまで大切な能力ではありませんから,エフェクトのLVを3にしてHPを守るより,他のシンドロームと組み合わせて能力を多彩にする方が良い結果を得やすいんです。
大谷:魔法使い型の場合は,問題となる《炎神の怒り》はあまり使用しないからHPに関しての問題はほとんど無いが,装甲無視や〈RC〉による防御能力が殆ど無い為,それらを得る為にクロスブリードにするか,高達成値のためにそれらを諦めてピュアブリードにするかの選択になるわけだ。
キルス:私,キャラ作る時そこまで考えないんだけど…。
大谷:まあ,それが普通だろ。だがキャンペーンで使用するなら,後でキャラクターが伸び悩まないように色々考えておく事をお薦めする。
咲耶榎:サラマンダーが向いているタイプは戦士型,盗賊型,魔法使い型ですか?
大谷:そうだな。サラマンダーで支援はまず無理だ(笑)。お薦めするエフェクトは《炎神の怒り》《氷の加護》《氷剣》《炎の加護》《揺るぎ無き心》。他にも使えるものは多いな。
キルス:《氷の回廊》とかも面白そうね。
咲耶榎:そんな…。キルスさんが攻撃以外のエフェクトに興味を持つなんて…。
キルス:咲耶榎うるさい。
咲耶榎:はーい♪


 ◆危険な可能性:ソラリス

   クリティカル: ダイス増加:B ダメージ: 特殊能力:

大谷:よし,11番目。あと少しだ。
キルス:次はソラリスね。支援が得意なんだっけ?
咲耶榎:ええ。ソラリスは支援と調査を得意とする補助型シンドロームなんですが,使い方によっては極めて『尖った』使い方が出来る危険なシンドロームでもあります。
大谷:HP回復,昏倒からの復活,味方の2ndアクション,クリティカル値の下降,ダイス増加,交渉等々,多彩な能力が目を引くソラリスだが,《アドレナリン》や《痛みの水》等の戦闘力も意外に高い。
咲耶榎:特に《アドレナリン》の効率の良さは実は全ダイス増加系エフェクトの中でも1,2を争うほどだったりするんです。
キルス:つまり基礎体力はあるってこと?
大谷:そうだ。基本は僧侶型だが,クリティカルエフェクトの貧弱ささえ補えるなら戦士型でも充分いけるだろう。
キルス:へー。私ソラリスは支援しか出来ないもんだと思ってたよ。
咲耶榎:ところが,戦闘でも充分使えるんですよ。エグザイルに似た『色々とこなせる戦士』にしやすいです。
大谷:使い方次第ではトップクラスの強力なコンボも組めるから,色々と工夫のし甲斐があるシンドロームだ。軽く例をあげるなら自分に対して《アクセル》+《狂戦士》2LV。自分のクリティカル値−1,【肉体】ダイス+4個で2ndアクションを行うことが出来る。これに通常の攻撃コンボを組み合わせるだけであっさりと必殺コンボの出来上がりだ。
咲耶榎:実際は最初の《RC》判定で17を出す必要がありますから,《ファクトリー》も必要だと思いますけど。
キルス:キョーアク。『なにそれ』って感じね。
大谷:まあ,実際このコンボを行うには結構な経験値が必要になるからあんまり現実的じゃないだけどな。
咲耶榎:そうですね。むしろこのコンボで仲間を支援する方が現実的です。
大谷:まったくだ。お薦めのタイプは戦士型と僧侶型。戦士型は少し経験点に余裕がある人にお薦めだ。お薦めのエフェクトは《アクセル》《アドレナリン》《癒しの水》《止まらずの舌》《狂戦士》。あとは…。
キルス:ねぇねぇねぇ,真,《オーバードーズ》は?
咲耶榎:文句なしに最強です。言うなればボブサ○プ特盛十人前です。
キルス:そりゃすごいわ。
大谷:何だその単位は(苦笑)。まあ,《オーバードーズ》はヤバイ。一発しか使えないけどまさに切り札って奴だ。まあ,今度それを使った馬鹿コンボも教えてやるよ。
キルス:わーい♪


 ◆奇妙な鉄壁:バロール

   クリティカル:B ダイス増加: ダメージ:B 特殊能力:B

大谷:ラストはサプリメント『アルターライン』で追加された12番目のシンドローム,バロールだ。姫宮,説明頼む。
咲耶榎:バロールシンドロームは『宝玉』,もしくは『魔眼』とよばれる球体を発生させ,それを使用して重力を制御しているのではないかと推測されているシンドロームです。このシンドロームを発症すると限定的にでは有りますが時間と空間,そして重量を制御できるようになります。
キルス:へー。…それってすごいの?
大谷:『重力を制御している』のが本当だったら物理学の世界じゃとんでもない事だ。少なくとも現代科学の限界は超えてる。
咲耶榎:まあ,しょせん個人が扱う能力ですから,ちゃんと限界が存在するんですけどね。
キルス:つまりぶっちゃけ他のシンドロームと大して変わりはない,と。
大谷:ないな。バロールは〈白兵〉と〈RC〉を主に使用するんだが,防御と戦闘時の奇手,搦め手を得意とするアンバランスなシンドロームだ。
キルス:アンバランス?
大谷:まず装甲値増加やダメージ減少が多いが,白兵攻撃に対して〈回避〉技能が使えない。次にセットアップで使用するエフェクトが多い上に,セットアップでエフェクトを複数使用できるエフェクトを持っている。
咲耶榎:これは今までに無い新機軸ですよねー。
大谷:第三に同エンゲージに攻撃できる〈RC〉エフェクトが無い。これらを総合して考えると基本的には『接近されたら装甲無視でタコ殴りにされる』ってことになる。
咲耶榎:一見,〈白兵〉〈射撃〉〈RC〉の全てを持っていて,バランスは良さそうなんですけれどね。光るものは多いですし。
キルス:『エグザイルとサラマンダーを足してお湯で割った』みたいなカンジ?
咲耶榎:そうですね。それに梅干が入った感じです。
大谷:どういう感じだそれは。まあ,それはともかく闘い方は色々ある。一番簡単なのは魔法使い型にして,接近距離を他のシンドロームで補うという方法。
咲耶榎:その方法だと,相性が良いのはエンジェルハィロゥかハヌマーンですね。
キルス:装甲無視もつくし,他に色々できる様になるもんね。
大谷:もう一つは,カバーリングや『受け』を駆使して仲間を守る『盾使い』としての道だ。バロールは受けや防御の性能が良い。
キルス:何その『竹使い』って。
大谷:た・て・つ・か・い。受けを専門的に使う特殊な戦闘スタイルのオーバードの事だ。
細かい説明はまた今度だな。
咲耶榎:バロールのお薦めのタイプは戦士型と魔法使い型ですか?
大谷:まだ,研究し尽くしたわけじゃないから断言はできないが,多分そんなもんだろ。お薦めのエフェクトは《因果歪曲》《孤独の魔眼》《重力の城》《闇の鎖》《ワームホール》。他には《時の棺》とかも良いよな。
キルス:ま,これからが色々と楽しみね。

大谷:と,言う訳で全12種類のシンドロームを軽く解説したんだが…,長かったな。
キルス:ホントにね。ま,終わって何よりだわ。
大谷:そうだな。お疲れさん。
キルス:そっちもね。
咲耶榎:和んでいらっしゃる所に非常に申し上げ難いんですがまだ三時間目です(きっぱり)。
キルス:……。
大谷:………。
キルス:真のバカやろーーーーーっ!!!!!!
大谷:何でだぁああああっ!!!!

 
ズグシャっ

咲耶榎:本気で世界が狙えそうな鋭いアッパーでしたねー…って,大谷さんが動きませんね。
キルス:ほっときゃ生き返るでしょ。
咲耶榎:はぁ…。では,三時間目はここまでと言う事で,お疲れ様でした♪
キルス:お疲れ様ー♪

大谷:俺が…何をしたって言うんだ……。
咲耶榎:まぁまぁ(笑)。 判創膏張りますから動かないで下さいね。

 


 ◆第4時間目:一般エフェクトについて
 


大 谷:さて,4時間目は『一般エフェクトについて』だ。2ndになって追加されたオーヴァードの基本能力として『一般エフェクトを習得できる』と言うものがある。つまり,一般エフェクトとは,どのシンドロームのオーヴァードでも習得できるとエフェクトと言う訳だ。
キルス:《ワーディング》とか,《リザレクト》みたいなもんね。
咲耶榎:ええ。今回その二つは『全てのオーヴァードが習得している最も基本的な一般エフェクト』と言う扱いになりました。
大谷:で,結構誤解が多いから気を付けて欲しい事がある。それは『一般エフェクトはピュアブリード,クロスブリードを問わず全て3LVまで習得できる』と言う事だ。
咲耶榎:意外に間違え易いんですよね。よく考えると《リザレクト》が3LVまで上げられる時点で,他の一般エフェクトがレベルを上げられない筈が無いんですけれど。
キルス:私,《リザレクト》のレベルって上げたこと無い。
咲耶榎:私もありませんね。
大谷:サラマンダーとかハヌマーンとかHPをクリティカルさせるのに消費させる事が多いキャラは上げておいても良いかも知れないって程度だからな。っと,話を戻そう。実はこの一般エフェクトの作成によって,今まであった『このシンドロームの組み合わせでは全く闘い様が無い』という事は大幅に少なくなった。
咲耶榎:《フィジカルエンハンス》と《マインドエンハンス》で,とりあえずどの能力でもクリティカルは出来る様になりましたからね。
キルス:レベル回までしか使えないけど,足りなくない?
大谷:別にそれだけ使えりゃ充分だろう。侵蝕率が100%以上の時点での緊急回避用に1,2回と,最後の決め技用に1回。ほら。
キルス:確かに,侵蝕率が100%越えてるのに三度も四度も回避してるんじゃ既に負けムードだしね。
大谷:そーゆーこと。例えば俺は《フィジカルエンハンス》を取ると実は回避も出来て結構楽だし,相模原さんも《マインドエンハンス》を取ると楽になるだろうな。
咲耶榎:大谷さんも相模原さんも回避がクリティカルしませんからね。他には使えそうなエフェクトはありますか?
大谷:うーむ。使いどころは難しいが…《カームダウン》は結構良い。自分のダイスも減るが,相手のダイスも減らせる。
相手にダイスペナルティを与えて防御させないタイプのキャラクターなら,効果は高い。
キルス:ねえねえ,真,《ヴァイタルアップ》は?
大谷:それはほぼNPC専用だ。1stの頃,ジャームに『HPボーナス』ってあっただろ? それが無くなって,その代わりにこれが出た。
咲耶榎:ジャームは例外なく高侵蝕値を誇りますからね。これなら確かにジャームの侵蝕値とHPを対応させる事が出来ます。
大谷:まあ,このように様々な可能性を秘めた一般エフェクトだが,やはりカバー出来ない要素もある。
キルス:何?
大谷:基礎体力。すなわちダイス数だ。
キルス:うー。やっぱりダイス数は無理かぁ。
大谷:いや,『アルターライン』で追加されているステージ,平安京やロストエデン専用の一般エフェクトならそれをカバーできる物も存在する。だが,な…。
咲耶榎:私たちの一般ステージではそれらは存在しませんからね。
大谷:俺の意見を言わせて貰うのなら,一般ステージでそれらを使おうとするのはご法度だ。何よりもGMが苦心して作ったシナリオの雰囲気を壊しかねない。だが,GMと相談して,他のプレイヤーにも了解が取れたならそれはご自由にって所だ。
咲耶榎:『ブレイクアップ』の追加ルール,Dロイスの『伝承者』の変形として使うのが良いかもしれませんね。
キルス:何よりも『皆で楽しく』が最大の目的だしね。
大谷:その通りだな。さて,そろそろ最後にまとめよう。『一般エフェクトは誰でも3LVまで習得できる』『《フィジカルエンハンス》《マインドエンハンス》は緊急時用に取っておくと楽』『《ヴァイタルアップ》はNPC専用』『基本的にダイス数までは補えない』って所だろうな。特に質問は無いな? じゃあ,これでダブルクロス2nd対応緊急講義は終了としたいと思う。長い時間よく頑張ってくれた。
キルス:ホント,疲れたわ。流石にもう駄目。脳ミソとけそう。
咲耶榎:今回長かったですからね。私も少しくたびれました。
大谷:そのワリにはしゃきっとしてんな。
咲耶榎:それはもう(笑)。
大谷:なにが「もう」なんだか知らんが…。
キルス:そー言えば次回はどうすんの?
大谷:次回は盾使いを初めとする特殊な戦闘スタイルとか,必要なダイス数を求める公式とか,そろそろ初心者向けじゃない奴を書いてみようかと思ってるんだが…。
咲耶榎:そういえばDロイスについてもまだですね。
大谷:まあ,相模原さんが書けって言ったらそれについて書くさ。とにかく,今日はお疲れ様。ゆっくり休んでくれ。
キルス&咲耶榎:ありがとうございましたー♪
 




 はい,大変お疲れ様でした大谷さん。
 次回ですか? それはもうお願いいたします。戦闘スタイルですとか,Dロイスですとか(変異種のエフェクトの解説とか,「複製体」をとった時のエフェクトの組み合わせ方とか),公式もあると確かにいいですね。
 初心者向けじゃないのも結構ですが,トループ戦闘とかのおさらいももう一度したいです。どうもトループ戦闘なるものが最近よくわからなくなってきたんで…(遠い目)。

 ……え? ヒマ,あるんでしょ? 魔街の外に出張行って,キルスさんや瀞南寺さんと温泉行ってくるヒマがあるんだから。
 そう言えば,先月の温泉旅行の明細,紫音さんが見せてくれましたよ。……いえ,慰安旅行なんだから,ちゃんと経費で落としますよ。そんな気を遣わなくたっていいじゃないですか。
 それより訊きたいのは,3人で行ったはずなのに何故4人ぶんの宿泊費が計上されているのかしら,とか……あら,何ですか? 「それは俺のせいじゃないんです,あいつらが勝手に…」? いやだわ,大谷さんのせいだなんて言ってやしないじゃないですか。 大変だったでしょ,キルスさんと楓って仲悪いから。

 ……次回,楽しみにしてます。書かないなんて言いませんよね?

 

つづく。(ようだ)