#Extra 
大谷さんのダブルクロス講座  第2回
 


 みなさんこんばんは。毎度便利屋道中の相模原泪です。
 いつも私どものダブルクロス・キャンペーンをご愛顧いただき、誠にありがとうございます。 え、最近全然更新されてない……って、いや、それはGMさんが続きをやらないせいだということにしておきましょう。
 こほん。さて、それはともかく、大谷さんのダブルクロス講座も第2回となりました。今回も大谷さんがいつも通り苦労して楽しく丁寧にダブルクロス について講義してくれます。
 えー、では大谷さん、どうぞ。

 


 ◆第1時間目:戦闘の特殊性
 


大谷:じゃあ,第2回ダブルクロス講座をはじめたいと思う。前回から引き続き,講師役の大谷真(おおたに・まこと)だ。
キルス:同じく,生徒役その1のキルスティン・ビョルクでーす。
咲耶榎:永遠の生徒役その2,姫宮咲耶榎(しんぐう・さやか)です。
キルス:ダブルクロス講座,第2回開設おめでと〜っ!! ドンドンドンドン,パフパフパフ〜ッ♪
咲耶榎:良かったですねえ,大谷さん。これで3食銀シャリ食べ放題ですよ,ホロリ(←わざとらしく口で言ってる)。
大谷:素直に喜んで良いものやら……。しかも,銀シャリって……一体いつの人間だ?
キルス:男が細かい事をグチグチいうな〜っ,はげるぞ〜っ!!
大谷:やかましい。授業はじめるぞ。今回のテーマは『戦闘の特殊性』だ。
咲耶榎:あれ,前回シンドロームについて話すって言ってませんでしたっけ?
大谷:そうしようと思ってたんだが,それ以前にダブルクロスの戦闘の特殊な性質について理解しておいて貰わないと,話にならなさそうだからな。
キルス:あんたって,几帳面に見えて実は結構行き当たりばったりよねえ。
大谷:臨機応変と言え(笑)。で,都市部で事件が起きた時,敵として出てくるだろうと予測される相手を3つあげられるか? じゃあ,キルス。
キルス:ええと……不良,ヤクザ,警官。
大谷:アホかお前は(笑)。
キルス:なによーっ!? 真面目に答えたのにーっ!!
大谷:全然違うわボケ。正解は『人間,オーヴァード,ジャーム』だ。ではこのうちで,戦闘を行うに当たって最も手ごわいであろうと予測されるのはどれだ?
咲耶榎:侵蝕率にもよると思いますけど……,オーヴァード,ですか?
大谷:正解だ。逆に人間は最もくみしやすい。なぜなら話が通じるし,ワーディングで無力化できるし,殴れば基本的に勝てる。ジャームは,高い能力値,高いHP,強力なエフェクトを持っているが,それと同時に超えられない限界ももっている。
咲耶榎:限界?
大谷:300点ダメージを食らったら1発で死ぬってことさ。
キルス:そんなの誰でも死ぬと思うんだけど……。
大谷:そう,それが常識だ。だが,その常識を覆すのがオーヴァードだ。彼らは,侵蝕率が100%を超え,ジャーム化が起きるまで,決して『死』なない。いかなるダメージを受けようと,何度でも《リザレクト》で復活する。
咲耶榎:限定的な『不死』ですね。
大谷:そうだ。残念ながら,これを普通の人間が一対一で倒すのは不可能といっていいだろう。ここにファルスハーツの対抗手段としてのUGNが認められた理由がある。
キルス:オーヴァードは,オーヴァードじゃなきゃ倒せないってこと?
大谷:そうだ。じゃあ,対人間の戦闘,対ジャームの戦闘,対オーヴァードの戦闘,順番に説明してみようか。
キルス&咲耶榎:は〜い。
大谷:じゃあ,まず対人間の戦闘だ。敵が単体で出てくることはまずない。必ずトループとして出てくる。
キルス:なんで?
咲耶榎:オーヴァードと一般人じゃそれくらい戦闘力に差があるんですよ。
大谷:そうだな。とりあえずはワーディングをかけること。それで倒れなかったら相手はオーヴァードかジャームの可能性が極めて高い。対ワーディングマスクも存在するが,それはつけていたら一発でわかるしな。もし,マスクをつけている集団だったら,そんなに侵蝕値のかからないコンボで殴れば充分だ。
咲耶榎:あんまり強力なコンボを使っても勿体無いだけですからね。
大谷:次に対ジャーム戦闘だが……基本的な戦闘能力ではオーヴァードよりも彼らのほうが優れている。高い能力値と,高いエフェクトレベル,そしてダイスボーナスとHPボーナス。まずは当たらないと話にならないし,1回殺せばいいだけだから,侵蝕値を気にせず全力で殴れ。あとは基本的に一対一では戦わないこと。
キルス:やっぱり勝てない?
大谷:別に勝てないわけじゃない。こっちには《リザレクト》があるからな。経験を積んだ戦闘系オーヴァードならかなりの確率で勝てるだろう。
キルス:じゃあ,なんで?
大谷:それをやっちゃうとだな,戦ったオーヴァードが結構高い確率でジャーム化するんだ。
キルス:あ,そっか……。
咲耶榎:より強いジャームが生まれてしまうんですね。
大谷:それが最も避けたい事態だからな。だから一対一は出来るだけ避けること。まあ,ジャームでも雑魚のヤツとかトループのヤツとかもいるからその時々なんだけど。で,最後に対オーヴァードの戦術。これが一番特殊なんだ。
キルス:どんな風に?
大谷:生命力がなくなることを『死ぬ』と定義しよう。じゃあ,オーヴァードはどうやったら死ぬ?
キルス:動かなくなるまで殴ったら(真顔)。
大谷:……いや,もーいい。姫宮……どうおもう?
咲耶榎:相手の侵蝕値を100%越えさせて,《リザレクト》を起動させないようにしてから昏倒させます。
大谷:そうだな。オーヴァードでも侵蝕値が100%を超えた状態でならHP以上のダメージを受ければ昏倒する。その無限の生命力はひとえに《リザレクト》によって支えられているからだ。つまり,『100%までの残り侵蝕値=生命力』の図式が成り立つ。それじゃあ,どうやったら侵蝕値は上がる?
キルス:衝動が起きた時と……,エフェクト使ったときぐらいじゃないの?
咲耶榎:正確には《ワーディング》以外のエフェクトを使用したら,ですね。
大谷:そう,オーヴァードは《ワーディング》以外は例外なく侵蝕されながらエフェクトを使用する。これはさっきの図式からもわかるように,自分の生命を削っているのと同じだ。
キルス:あの……,さっきから聞いてると,エフェクトを使うのは自殺してるのと同じだって聞こえるんだけど……。
大谷:その通りだ。
咲耶榎:気の滅入るお話ですねえ。
大谷:で,このオーヴァード同士での戦闘方法は,その例えで言うと『互いにできるだけ死なないよーに自殺しながら相手の自殺を促進させようとする』って事になる。《リザレクト》一回で侵蝕される平均値は幾つだ?
咲耶榎:ええと,5.5です。
大谷:つまり,5以下の侵蝕値のエフェクトで相手を一撃で倒し,敵の一撃を5以下の侵蝕値のエフェクトで回避する。これを延々と繰り返すのが対オーヴァード戦の最も効率のいい方法だ。多少の裏技と,例外も無くはないけどな。
キルス:5以下って……,ロクなコンボ使えないと思うんだけど。
大谷:別に,たいした打撃力が必要なわけでもないだろう? 20点ぐらいのダメージを与えれば大抵の相手は倒れるんだし,逆に例え100点のダメージを与えた所で相手は《リザレクト》が一回起動するだけなんだから。
キルス:なんか,随分と味気ないわね。
咲耶榎:(ルールブックを読んで)……実際,大谷さんはそれで戦闘することが出来ると思いますか?
大谷:まあ待て。これにはちゃんと続きがあってな。侵蝕値が100%を越えたからといって,オーヴァードがすぐに昏倒するわけじゃない。逆に100%を越えてからが本番とも言える。100%を越えてから,相手の攻撃を全て回避もしくは無効化し,強力で防御が困難なコンボで,同じく100%を越えた相手を昏倒させるんだ。戦闘が終わった時に侵蝕値が120%を越えてなければ,ロイスを4つほど持っているオーヴァードなら,充分ジャーム化を免れることが出来る。
咲耶榎:なるほど。不安だったら,経験値を半分にして振るダイスの数を倍にしても良いわけですしね。
キルス:……随分と複雑な話ね。
大谷:簡単な話,人間相手には《ワーディング》をしろ。ジャームは一対一を避けて全力で殴れ。オーヴァード相手のときは互いに100%を越えてからが正念場ってことだ。
キルス:最初っからそういえばいいのよ♪
大谷:…………(嘆息)。
咲耶榎:ええと,他に気をつけることはありますか?
大谷:そうだな……,特には無いな。 じゃあ,これで1時間目は御終いだ。
キルス&咲耶榎:ありがとうございました〜。

 


 ◆第2時間目:ピュアブリードとクロスブリード
 


大谷:よーし,お前ら席に着けー,2時間目はじめるぞー。
キルス&咲耶榎:はーい(ジャラジャラと,何か片付けて財布をしまう)。
大谷:ん? 何やってたんだお前ら?
キルス:麻雀。
大谷:……がはっ!!(吐血)
咲耶榎:キルスさん,やたらと強いんですよ。さっきだって七対子にドラが六つも乗っちゃって。 もう1万円ぐらい負けてます……って,どうしたんですか?
キルス:きっと真もやりたかったんだよ,麻雀。後でやろうね(笑)。
咲耶榎:血を吐くだなんて,よっぽどお好きなんですね(笑)。あ,でも3人だと面子が足りませんね。あとでおにー様も呼びましょうか。
大谷:(搾り出すように)……あ……あ…………。
キルス:あ?
咲耶榎:(いそいそと耳栓を準備)
大谷:
アホかああああああぁぁああぁあああああぁああっ!!!!

 ご迷惑かと思いますが,暫くお待ちください。

大谷:気を取り直して,2時間目はじめるぞー。
キルス:はーい。
大谷:? どうした,姫宮?
咲耶榎:……あ。大谷さん,お話終わりました?(笑)
キルス:あ,耳栓してたんだ。じゃあ,気づかないのも無理ないかもね。
咲耶榎:はい,準備できました。授業再開してください(笑)。
大谷:(何かを諦めた顔)ああ……そうか……。ええと,2時間目は『ピュアブリードとクロスブリード』について講義していきたいと思う。
キルス:ええと,確かシンドロームが両方とも同じ人が,ピュアブリードって呼ばれるんだよね?
大谷:その通りだ。この特徴からピュアブリードの事を『純血種』,クロスブリードの事を『雑種』と表現することもある。まあ,大して意味は無い。
キルス:なんか腹の立つ呼び方ね。
咲耶榎:まあ,生まれる確率は約5分の1程度だそうですから,チョコボールで銀のエンゼルが出た程度には誇っていいんじゃないでしょうか?
大谷:なんかあんまり誇れなさそうだな,それ。
キルス:でさぁ,真。ピュアブリードとクロスブリードってどっちが強いの?
大谷:どっちが強いともいえないな。というか,両者に差は無い。どちらも作り方次第だ。そうだな……前に各シンドロームの能力の特徴表を見せたよな?
咲耶榎:ええと,これですね(プリントを取り出す)。
 

 

クリティカル ダイス増加 ダメージ 特殊
エンジェルハィロゥ
ブラックドッグ
ブラム=ストーカー
キュマイラ
エグザイル
ハヌマーン
ノイマン
サラマンダー
ソラリス
オルクス

(※=優れている B=標準的 =苦手/使用が困難)


大谷:この特徴がピュアブリードでは強調されると思ってくれれば良い。
キルス:えーと…………
大谷:やっぱりあんまり良くわかんないか?
キルス:うん(きっぱり)。
咲耶榎:確かにピンときませんね。
大谷:そうだな……ピュアブリードの特徴は言えるか?
キルス:え〜と……なんだっけ?
咲耶榎:シンドロームがひとつなので取れるエフェクトの種類が少なく,その代わりにエフェクトを3LVにする事が出来ます。
大谷:つまり,ピュアブリードは一点集中型だ。ダブルクロスでは,侵蝕値はエフェクトのレベルには左右されない。つまり,エフェクトのレベルは高ければ高いほど効率がいい。
咲耶榎:つまり『特盛りでもお値段は並といっしょ』ってことですよね(笑)。
キルス:あ,なんか凄く納得。
大谷:まったくその通りなんだが,なんでこう,お前らは情緒とか詩情にかける表現を好むかね(苦笑)。例えばキュマイラの《龍鱗》を1LVで使用した場合,侵蝕値は2上昇し,10点の装甲値を得ることが出来るが,3LVで使用した場合,同じ侵蝕値で30点の装甲値を得ることが出来る。
キルス:絶対LV高いほうが得じゃない。
咲耶榎:そうなんですけど,エフェクトはクロスブリードでは2LV,ピュアブリードでも3LVまでしか習得することが出来ないんです。
大谷:その通りだ。これによってピュアブリードは,同じ侵蝕値でクロスブリードの1.5倍の効率を誇ることが出来る。さらに,クリティカル系エフェクトを3LVにすることによってクリティカル値を7にすることが出来るのは大きい。
キルス:いつも思うんだけどさ,クリティカル値が1違うだけでそんなに違うもんなの?
大谷:そうだな,ダイスを8個振れるコンボを作ったとしよう。その場合,クリティカル値が8だった場合の期待値は約16。それに対しクリティカル値が7だった場合の期待値は約36にまで達する。まあ,この計算値は低めに見積もってあるんだが……。
咲耶榎:計算式に問題が在る気もしますが,大体そんなものですね。
キルス:……圧倒的じゃない。さっき強さに差は無いとか言ってなかったっけ?
大谷:まあな。なぜこれでも互角かといえば,ピュアブリードはできることの範囲が狭い事があげられる。自分の持っているエフェクトを活かしきれない事もしばしばだ。さらに,戦闘では,そのシンドロームが得意とする戦術しか採りようが無く,攻めようによってはあっさり崩れたりする。
キルス:結構リスキーなんだ。
大谷:その通りだ。それに対してクロスブリードは,ピュアブリードと較べて達成値は低く効率もあまりよくないが,それを補って余りある戦術や,エフェクトの持つ能力をピュアブリードより引き出しやすいという特性から,どのシンドロームでも採りようの無い,独特で強力な戦闘方法を採ることが出来る可能性を持っている。まあ,これも作りようによってはクロスブリードは何も出来ないダメダメ君になる可能性もあるんだけどな。
咲耶榎:純粋な『力』であるピュアブリードと,多彩な『技』のクロスブリード,というわけですね。
キルス:トンボ型の3号は出てこないのかしら?
咲耶榎:それには一旦悪の組織を壊滅させないと。日本だとUGNくらいが適当でしょうか?
大谷:正気に返れお前ら。んでだな,最後にピュアブリードの弱点をもう一つ教えておいてやろう。
咲耶榎:まだありましたっけ?
大谷:比較的土壇場に弱い。
キルス:うわっ(顔をしかめる)。
大谷:正確には,クロスブリードは,侵蝕率が100%を越えた時点でエフェクトレベルが増加するから,クリティカル値が下がって戦闘力が跳ね上がるんだが,ピュアブリードはせいぜいダイスが2個増えてエフェクトの威力が2,3点上がる程度だ。しかも,クロスブリードのようにダイス増加系のエフェクトを2つ取っておいて100%を越えた時点でダイスが4個増える何てことも,まず出来ん。まあ,普段からの強さの代償みたいなものだな。
キルス:エリートの坊ちゃんが挫折を知ったときみたい(笑)。
咲耶榎:やっぱり男は土壇場の打たれ強さだ,と一条ゆかりも言ってますし。
大谷:いや,別にそれが真実かどうかは知らんけどな。それにピュアブリードはそんな土壇場に引きずり込まれることも少ないから,そこまで気にしなくていいぞ。
咲耶榎:ええと,ピュアブリードに向くシンドローム,向かないシンドロームを教えてください。
大谷:ピュアブリードに向いてるのは,エンジェルハイロゥ,ブラックドッグ,ノイマン,サラマンダーってとこだな。逆に向いてないのはエグザイル,ハヌマーン,ソラリスの3つだ。キュマイラ,ブラムストーカは使い方次第,オルクスは……べつにどっちでもたいした変わりが無い。まあ,細かい話は又今度だな。じゃあ,2時間目はこの辺でおしまいにする。
キルス&咲耶榎:ありがとうございました〜♪

 


 ◆第3時間目:必要なエフェクト・その2
 


大谷:じゃあ,3時間目『必要なエフェクト・その2』について講義をはじめたいと思う。
キルス:はいはい。
咲耶榎:キルスさん,お疲れですね。
キルス:そりゃあそうよ。さっきまでの話が長かったんだもん。
大谷:今回は出来るだけ短くしてやるからそう言うな(苦笑)。
咲耶榎:で,今回のテーマですけど,……説明が難しそうですね。
キルス:そう? パーっと羅列してきゃいいじゃない。
大谷:お前,ダブルクロスに合計幾つのエフェクトが存在してると思ってやがるんだ?
咲耶榎:(間髪いれず)352種類です。
大谷:…………。
キルス:……全部おぼえてるの?
咲耶榎:詳細までは自信がありませんけど……,どうしました?
大谷:……いや,恐ろしいやつだなと思ってな。まあ,いちいち挙げていっても仕方が無いからな,初期キャラクターを例にあげてすこしづつ話していこうか。
咲耶榎:それが良さそうですね。
大谷:ええと,基本的にこのゲームで絶対に必要なエフェクトってのは存在しない。なぜなら,そのキャラクターごとに戦術が存在してて,それにあわせて様々なエフェクトが選択されていくからだ。だが,そんな事を言ってたら話にならないからな。『高い達成値で叩き潰す』という,ダブルクロスでは最も基本的な戦術に合わせて話をしていこう。
キルス&咲耶榎:はーい。
大谷:じゃあ,まずは基本的な質問だ。作成したばかりの初期データキャラクターは合計何レベルののエフェクトを持っている?
キルス:ええと,8Lv?
大谷:まあ,概ね正解。正確には自由に選ぶことのできる8Lvと,自動的に取得される《リザレクト》と《ワーディング》が1Lvずつの計10Lvだ。
咲耶榎:初期はこの8Lvをやりくりするのが楽しいんですよね(笑)。
キルス:そう? あたしはもっとドドーンと取りたいとか思うんだけど。
大谷:で,確か前回の授業の時も話したと思うが,キャラクターのタイプとシンドロームによって取るべきエフェクトというのが変わってくる。
キルス:キャラクター作りってめんどくさいよね。嫌いじゃないけど,作ってる間に頭の中がこんがらかって来て,もう『きぃーーっ!!』って感じになるよ,あたしは。
咲耶榎:(無言でバナナを取り出し,少し迷った後にやっぱり無言でしまう)
キルス:(殺し屋のような目で)……アンタ,今,なんかとんでもない事やらなかった?
咲耶榎:いいえ? べつに,なにも?
キルス:ならいいんだけど……。
大谷:まあ,キルスみたいに頭がこんがらかる人は意外と多いと思うんだ。だから,簡単に取るべきエフェクトを取ったキャラクターを作る方法を考えてみた。
キルス:早くそれを言いなさいよ。
大谷:まずは,シンドロームを選ぶ。それから,そのシンドロームのなかで,クリティカル値を下げるエフェクトをピックアップするんだ。
キルス:ふむふむ。
大谷:で,その中で組み合わせられる技能の範囲が出来るだけ広くてタイミングが〈能動/受動〉のものを選ぶんだ。組み合わせは『様々』がベストだが,これはノイマンの《天性のひらめき》しかない。次善の組み合わせは『シンドローム』だが,これには少し気をつける必要がある。
咲耶榎:何か問題が?
大谷:第一に,そのシンドロームに出来ない事は,クリティカルしなくなる。例えば,俺はエグザイル/ブラム=ストーカーで,ブラム=ストーカーの《血族》を使用しているが,ブラム=ストーカーには回避エフェクトが一切無い。だから俺は回避が一切出来ないわけだ。
キルス:第二は?
大谷:コンボを組む際に,必ずそのエフェクトと同じシンドロームのエフェクトを組み合わせる必要があるからな。必ずそちらのシンドロームのエフェクトを優先的に取る様にしたほうがいいということかな。
咲耶榎:キャラクターが何となくそっちのシンドロームに偏りがちになってしまいますね。
大谷:そうだな。ま,その辺りを気をつけておけばいい。で,選んだシンドロームのどちらにもそれが無かった場合,次は組み合わせが『能力値』のものを選べ。とはいってもこれはハヌマーンの《電光石火》しかないんだけどな。
キルス:もし,それも無かったら?
大谷:まだ許せるのはノイマンの《オウガバトル》か,キュマイラの《鬼の一撃》ぐらいだな。それ以外だったらあきらめろ。
キルス:速っ!?
咲耶榎:まあ,確かに《オールレンジ》や《ファクトリー》だけで戦えって言われたら,絶望的ですね。
大谷:そういう組み合わせしか出来ない場合は,シンドロームから選びなおすか,エフェクト以外の能力でシナリオを引っ張れるパーティープレイ重視のキャラクターにするしかない。
キルス:難儀な世界ねえ……。
大谷:で,クリティカル値を下げるエフェクトを選んでそれを2Lv,できれば3Lvとったら,回避を行うエフェクトを取るんだ。回避は《リザレクト》がかかるうちは大して意味は無いが,侵蝕値が100%を越えた時に大きな意味を持ってくる。ちゃんとクリティカルするかどうかを確かめてから取れよ。
キルス:とって見て,実際使う段になってから組み合わさらない事が分かった時ってショックだもんねえ。
咲耶榎:経験者は語りますね(笑)。
大谷:ここで指す回避を行うエフェクトとは,回避技能と組み合わさるものばかりを指すわけじゃない。ソラリスの《命の盾》や,エンジェルハイロゥの《ミラーコート》のようなRCで回避を行えるエフェクトもあるから,色々見ておいたほうがいい。
キルス:(ルールブックを読んで)へー,こんなのもあったんだ。
咲耶榎:キルスさんってたしか登場回数二番目に多いんですよね?
キルス:うん,そーだよ?
咲耶榎:せめて自分のシンドロームのエフェクトくらいは……。
大谷:姫宮,それは間違いだ。
咲耶榎:?
大谷:……キルスだぞ?
一同:…………。
咲耶榎:……そうですね。
キルス:……あんたら,ケンカ売ってる?
大谷:まあまあ。で,次からはタイプ別になる。興味が無ければ自分のキャラクターのタイプの所だけ読んでくれ。
咲耶榎:いい判断ですね(笑)。
大谷:まずは戦士タイプだが,まずは肉体,もしくは〈白兵〉のダイスを増加させるエフェクトを取る。ダブルクロスでは達成値が大きくなれば大きくなるほどダメージも大きくなる。ダメージそのものを増加させるよりダイス数を増やして達成地をあげるほうが有効だ。できればLv×2個増えるものがいいな。お勧めはキュマイラの《完全獣化》,エグザイルの《貪欲なる拳》,ノイマンの《コンバットシステム》,サラマンダーの《炎神の怒り》《炎の加護》,ソラリスの《アドレナリン》,ってとこだな。
咲耶榎:《炎神の怒り》と《炎の加護》は1Lvずつのほうが効率はいいですね。
キルス:まあ,HP消費がちょっと怖いけど。
大谷:そうしたらタイミングが『能動』となっている攻撃エフェクトを1Lv取るんだ。やっぱりこれも組み合わさる事を確認しておけ。
キルス:なんで1Lv?
大谷:ここまでで話したが,大抵のキャラクターはクリティカル系エフェクトの組み合わせ技能が『シンドローム』になっているはずだ。その場合,この攻撃エフェクトが無い場合,攻撃がクリティカルしないこととなる。逆に2Lv以上とってもダメージが2,3点上昇するだけだ。だから,初期キャラクターでは1Lvだけとるのが最も効率がいい。まあ,これに関しては結構例外があるんだけどな。
咲耶榎:キュマイラの《フルパワーアタック》とかですか?
大谷:あれは2Lvとらないとリスクに見合う効果が無いな。それに,大抵この条件はさっきのダイス増加で満たしている場合が多い。キュマイラ辺りがちょっと気をつけておけばいい。んで,この時点で6Lv分ぐらい消費してると思うんだが,これからはさらにシンドローム別になっていく。このあたりはまあ,個性のために消費してしまってもいいとは思うけどな。
キルス:個性?
大谷:エンジェルハイロゥが入っているなら《光の衣》とか,ブラム=ストーカーなら《血の従者》とかの個性的なエフェクトって奴だ。
咲耶榎:まあ,遊びの範囲になってくるわけですね。
大谷:そういうことだ。で盗賊タイプも基本はいっしょだ。今度は感覚,もしくは〈射撃〉のダイスを増やすエフェクトを選ぶ。とはいってもこれはブラックドッグの《ロックオンサイト》《ガンマウント》,ノイマンの《シューティングシステム》,サラマンダーの《炎神の怒り》しかない。だから,タイミングが『マイナーアクション』のモノも活用するんだ。
キルス:はあ,セコイ感じね。
咲耶榎:せめて芸が細かいと……(苦笑)。
大谷:まあ,そんな感じはするけどな。これらのエフェクトで射撃に使用できるものはエンジェルハイロゥの《主の恩恵》,ブラックドッグの《雷の加護》,サラマンダーの《炎の加護》の3つだけだ。もし,ノイマンもブラックドッグもサラマンダーも取らずに射撃戦キャラを作るとしたら,それはかなり厳しいといわざるをえない。
咲耶榎:キュマイラとかソラリスとかで射撃キャラはちょっと無理がありますよね。
大谷:そうだな。そうしたらあとはもう自由だ。セカンドアクションをとるも良し,他の捜査系エフェクトをとるも良し,装甲値無視なんかもいいな。
キルス:好みの問題よね。
大谷:んで,次は魔法使いタイプ。こいつらはダイスを増やす手段はマイナーアクションしかない。だから攻撃に幅をもたす方向に活路を見出すしかない。まずはダイスを増やしてくれるマイナーアクションを2Lv。ちゃんと組み合わさることを確認してから攻撃エフェクトを1Lv。最後に手数で押し切るためにセカンドアクションをとる。それから,足止め系のエフェクトか範囲攻撃系のエフェクトをとるんだ。もしレベルが足りなかったらマイナーアクションのエフェクトを削ってもいい。回避エフェクトもいらないかもな。
咲耶榎:なんか,悲壮な感じですねえ。
大谷:どのゲームでも,魔法使いは最後まで苦労するようになっているんだ(笑)。
キルス:そんな,D&○じゃないんだし……。
大谷,いや,まあ魔法使いタイプは最も苦労するかもしれないけど,能力の応用範囲は広い。あとは強力な攻撃エフェクトだけを持って砲台と割り切るか,という選択肢になる。
咲耶榎:まあ,砲台でもいいんですけどね。
大谷:というか最初は砲台に徹して,そのうち色々手を伸ばすのがお勧めだな。で最後の僧侶タイプなんだが……。
キルス:どしたの?
大谷:いや,こいつらは下手すると今までの前提すらひっくり返しかねない奴らでな。極端な話,仲間のサポートに徹する場合,相手に抵抗される事が無いからクリティカルが要らない場合すらある。
咲耶榎:それは極端すぎると思いますけど……。
大谷:まあ,そういう選択肢もあるという事も覚えておいてくれ。で,このタイプは主に〈交渉〉と〈RC〉を使用するんだが,この〈交渉〉をクリティカルさせるのは非常に難しい。
キルス:そうなの?
咲耶榎:ええ,〈交渉〉のクリティカル値を下げるエフェクトは,ノイマンの《天性のひらめき》か,オルクスの《領域調整》しかないんです。
大谷:まあ,防御する方もクリティカル出来ないことが多いんだけどな。もし,確実に〈交渉〉で敵に影響を与えたいなら,ノイマンかオルクスを取る事をお勧めする。で,次に〈交渉〉のダイスを増やすエフェクトをとるんだが,これはソラリスの《錯覚の香り》とハヌマーンの《エンジェルヴォイス》しかない。ソラリスは支援能力がずば抜けているといわれる理由の一つだ。
キルス:ソラリス/ノイマンなんて最悪じゃない。
咲耶榎:支援キャラの王様ですよ,それ(笑)。
大谷:それから必須というわけじゃないが,他人のHPを回復させるエフェクトをとる事をお勧めする。これはエグザイルの《カンビュセスの籤》,ハヌマーンの《気功》,ソラリスの《癒しの水》の3種類だ。
咲耶榎:ブラックドッグの《覚醒の電光》は違うんですか?
大谷:即効性が無いから,あんまりお勧めはしないな。それから,《カンビュセスの籤》は一般人につかうとオーヴァード化しちゃう可能性があるから気をつけろよ。まあ,あとは交渉の役に立つエフェクトとか,仲間のダイスを増やしたり,セカンドアクションをとらせるエフェクトとかをとるんだが,実はこれらは全部ソラリスとオルクスが持っている。もし僧侶タイプのキャラを作る場合は,このシンドロームのどちらかをとる事をお勧めしよう。
キルス:で……?
大谷:?
キルス:これのどこが短いの?
咲耶榎:……この時間だけで第1回目の半分以上の量がありますね。
大谷:(逃げるように)じゃあこれでこの時間は終了とするじゃあなっ!!
咲耶榎:あ。
キルス:あ〜〜〜〜〜っ!! 逃がすかああぁぁあああっ!!

 このあと,大谷さんはひどい目にあったそうです。
 どんとはらい。

 


 ◆第4時間目:各シンドロームの特色
 


大谷:うぅ……,ひでえ目にあった。
咲耶榎:(クスクス笑って)キルスさん怒らしちゃいましたからねえ(笑)。
キルス:あたしとの約束を破る奴は死あるのみ!!
大谷:だからって普通,モップフルスイングするか?
キルス:それくらいで許してあげるんだから感謝しなさいよ。
咲耶榎:まあまあ,キルスさん。大谷さんもお仕事なんですから(笑)。
大谷:相模原さんには悪いが,なんかワリが合わない気がするぞ,この仕事。
咲耶榎:違いますよ,大谷さん(チッチッチッと指を振る)。
大谷:ん?
咲耶榎:この仕事『も』です。

 画面の外で,またも必死で手を振るAD。

キルス:ねえ,なんか合図してるよ?
咲耶榎:ですねー,じゃあ,授業はじめてください大谷さん(笑)。
大谷:俺,……泣いてもいいんだろうか?
キルス:うっとーしいからダメ。
大谷:…………。じゃあ,4時間目は各シンドロームの大まかな特性と,特筆できるエフェクトを紹介していきたい。

 ◆防御に優れたオールマイティ:エンジェルハイロゥ

大谷:まずはエンジェルハイロゥからだ。そうだな。姫宮,このシンドロームの特徴をあげてみろ。
咲耶榎:10種のシンドロームの中でも最も新しく発見されたシンドロームで,これを発症したオーヴァードは知覚,特に視覚が発達し,さらに光を操る能力を手に入れることが出来ます。
キルス:私たちの仲間内では一番発症者が多いよね。
大谷:そうだな。それだけこのシンドロームが使い易いってことなんだろう。このシンドロームは防御系にすぐれたオールマイティ型だ。僧侶タイプ以外は無難にこなす事が出来る。ただ,ダイス増加能力があんまり無いからパワー不足の印象は否めない。
キルス:ふーん。そうなんだ。
大谷:そうなんだって……お前,……いや,いい。とりあえず,向いているタイプは盗賊タイプと魔法使いタイプ。お勧めのエフェクトは《ミラー・コート》《ピンポイントレーザー》《鏡の館》《光の衣》辺りか。
咲耶榎:盗賊タイプには《神の目》《天からの目》もお勧めですね。
キルス:《光の衣》はちょっと凶悪だよね(笑)。
大谷:まあ,それが最も代表的なエフェクトではあるけどな。

 ◆体力不足の戦闘システム:ブラックドッグ

大谷:お次はブラックドッグ。キルス,特徴挙げてみな。
キルス:鷹村が使う奴だよね? 電気とか機械とか使うエフェクトが多いんだよね。
大谷:まあ,そうだな。ブラックドッグは魔法使いタイプの強い味方だ。その最大の特徴である《雷の槍》は全エフェクトの中でもトップクラスの攻撃力を持っている。防御能力も高いが,やっぱりこいつもダイスが増えなくて苦労する。エンジェルハイロゥほどの汎用性もない所が悩みの種だな。
咲耶榎:調査に使えそうなエフェクトは殆どありませんもんね。
大谷:まあ,攻撃性のためにその辺りが犠牲になってるんだろうがな。向いているタイプは盗賊,魔法使い。お勧めのエフェクトは《雷の槍》《ロックオンサイト》《磁力結界》《バリアクラッカー》。
特に《バリアクラッカー》は接近戦の切り札に出来るほど強力だ。
キルス:うわっ,何これ。
咲耶榎:ちょっと問答無用すぎますよね(苦笑)。

 ◆応用範囲の広い黒幕:ブラム=ストーカー

大谷:じゃあ次はブラム=ストーカーだ。これは俺が説明した方がいいかな。
キルス:ウチじゃあ,これ使ってるのあんただけだもんね。
大谷:そうだな。で,このシンドロームを発症した人間は血液を自在に操ることが出来るようになる。血を打ち出したり自分の血流をコントロールするだけではなく,従者と呼ばれる自分の意のままに操れる,所謂「使い魔」を作ることが出来る。
キルス:なんか悪役っぽいシンドロームね,それ(笑)。
大谷:まあ,そんな感じもしなくも無いな。で,能力のほうなんだが,従者を作り出したり強化する能力に偏っているため,本人が戦ったりするのは苦手だ。かなり癖が強いから,上手く扱うのは難しいな。
咲耶榎:どちらかといえば黒幕みたいな能力ですよね。従者にあれこれやらせて自分は後ろでふふーんって見てる感じで(笑)。
大谷:まさにそんな感じだな(笑)。向いているタイプは魔法使いと僧侶。お勧めのエフェクトは《赤き剣》《赤き鎧》《血の従者》《不死者の恩寵》《渇きの主》ぐらいだな。特に《赤き剣》は最も性能のいい武器作成エフェクトだから,憶えておくといい。
キルス:うわー,自虐的なエフェクト(笑)。

 ◆使いやすいパワータイプ:キュマイラ

大谷:次はキュマイラだな。じゃあ……姫宮。
咲耶榎:はい。キュマイラシンドロームを発症すると,肉体が様々な動物を混ぜ合わせたような異形に変形する能力と,強力な打撃力を得ます。
大谷:キュマイラシンドロームは攻撃力と環境に適応する能力に優れている。まあ,魚のエラ生やしたり羽根生やしたり出来るわけだ。で,単純な攻撃力という観点から見ればキュマイラは他の追随を許さないほどに強力だ。一発食らえばおしまいって奴だな。ただ,その能力ゆえに戦闘にしか向かないという欠点がある。
キルス:向いているタイプは戦士だけ?
大谷:そうだな。戦士型しか出来ないと思う。お勧めのエフェクトは《完全獣化》《龍鱗》《イージスの盾》《大蛇の尾》《フルパワーアタック》だな。
咲耶榎:全体的に使い易いですよ。
キルス:へー,そうなんだ。

 ◆マニア好みの万能戦士:エグザイル

大谷:5つ目はエグザイルだ。キルス,説明できるか?
キルス:グニャグニャビチビチしてて,キショい。
大谷:いや……間違ってはないんだが……。まあいいや,エグザイルは高い戦闘能力と,高い汎用性を同時に備えている優秀なシンドロームだ。惜しむらくはそれを生かすことが出来ないでいることだな。
キルス:どうゆうこと?
咲耶榎:持っているクリティカル系エフェクトが《オールレンジ》っていう,使えない能力なんですよ。
大谷:まあ,それまで使えたら強すぎるな(笑)。で,向いているタイプは戦士型なんだが,意外と万能型にすることが出来る。お勧めのエフェクトは《異世界の因子》《擬態の仮面》《異能の指先》《伸縮腕》《貪欲なる拳》って所だと思う。
キルス:強そうなのは判るんだけど,なんと言うか……イロモノ?
咲耶榎:キルスさん,それを言ったら大谷さんがかわいそうです。せめてマニア好みとか(笑)。
大谷:ええい,黙れ。次のシンドローム行くぞ。
キルス&咲耶榎:はーい。

 ◆装甲無視の手数で押せ:ハヌマーン

大谷:えーと,お次はハヌマーンだな。このシンドロームを発症すると高い運動能力と振動を操る能力を手に入れることになる。
キルス:高い運動能力って,キュマイラとどう違うの?
咲耶榎:キュマイラは主に筋力が強化されるんですけど,ハヌマーンは速度が強化されるんです。
大谷:その超高速アクション能力こそがハヌマーンの真骨頂とも言える。ハヌマーンは装甲値無視を中心とした戦闘型だが,全体的に打撃力が低く,ダイス増加能力が無い,いわばブラックドッグと同じタイプだ。
咲耶榎:ブラックドッグの攻撃力をそのまま装甲無視に置き換えたみたいな感じですね。
大谷:そうだな,ゆえにダイス増加能力の高いシンドロームと組み合わせることによってその真価を発揮する。組み合わせ次第で全タイプこなせる。ただ,その打撃力の低さから魔法使い型は少し厳しいかもしれない。お勧めのエフェクトは《気功》《マシラの如く》《獅子奮迅》《疾風剣》《ブレインシェイク》辺りだ。
キルス:《マシラの如く》はいいわよね〜♪
咲耶榎:なんと言っても3回攻撃ですからね。ハヌマーン最大の魅力です。
大谷:《マシラの如く》は使い方次第で戦局を一発でひっくり返すことも出来る強力なエフェクトだからな。その分下限値も厳しいんだが……。
咲耶榎:そのあたりはダイスの数でカバーですね。
大谷:ああ。

 ◆万能にして最強:ノイマン

大谷:じゃあ,次はノイマンだな。 これを持ってるのはウチでは久遠だけか。姫宮,ノイマンの特徴を挙げてみてくれ。
咲耶榎:はい。ええと,軽くて女好きです。
キルス:…………。
大谷:…………。
咲耶榎:冗談です。
大谷:……姫宮,一応全国のノイマンの皆さんにお詫びを入れとけ。
咲耶榎:はい。あれは只のウチのおにーさまの性癖であってノイマン症候群とは一切関係ありません。危険なのでまねしないで下さい。悪いのは全ておにーさまですので,脅迫状,決闘状,剃刀レターはすべて久遠紫音宛てでお願いいたします。ふう,危ない所でした(笑)。
キルス:確かに,毎日脅迫状来たら郵便屋さんが大変だもんね。
大谷:どこがお詫びなんだ,今のは。
咲耶榎:さあ?
大谷:『さあ?』じゃねえだろ,まったく。まあ,いいか。じゃあ,気を取り直してもう一回だ。
咲耶榎:はい。ノイマンシンドロームを発症すると,異常なまでの思考能力を得ることになります。その結果,全ての分野において天才と言えるほどの才能を発揮し,プロフェッショナル顔負けの行動をとることが出来ます。
キルス:うわー,ゴル●13みたいだねー。
大谷:またシブイところを……(笑)。まあ,間違いじゃないんだけどな。ノイマンのあだ名は『戦闘機械』だ。おそらく,総合能力では全シンドローム中最強だろうな。戦闘,調査,支援,全ての能力を高いレベルで持ち合わせている上に,最強のクリティカル系エフェクトである《天性のひらめき》まで持っている。
キルス:でもちょっと地味だよね。
咲耶榎:確かに,できることは全て『人間の能力』に基づいてますからね。
大谷:だが,それは逆に人前で使っても最もばれづらいというメリットにもつながっている。向いてるタイプは魔法使い以外。まあ,魔法使いタイプが使う能力が一切ないから仕方ないな。お勧めのエフェクトは《天性のひらめき》《守りの弾》《カウンター》《シューティングシステム》《コンバットシステム》etc,etc…ってかんじだな。
キルス:他にもお勧めはいっぱいあるね,これ。
咲耶榎:全部色々便利なんですよね。

 ◆破滅と隣り合わせの強さ:サラマンダー

大谷:よーし,8つ目。サラマンダーだ。キルス。
キルス:ええと,サラマンダーは熱を操るんだよね。炎撃ったり,物を凍らしたり出来るけど,自分で相手を殴るのも得意みたい。
大谷:そうだな。サラマンダーはほぼ攻撃に特化された強力な戦闘型シンドロームだ。その速攻性,瞬間ごとの攻撃力はキュマイラを上回りかねない程だ。欠点としては,HPまで消費するエフェクトがあることと,やはり侵蝕率の消費が大きいことだ。
咲耶榎:《炎神の怒り》とか強力ですけど,すぐHPなくなっちゃいますね。
キルス:まあ,久島がいい例だよね。
大谷:アレはダイス目が悪すぎただけだ(苦笑)。〈RC〉による炎や氷を操る能力も高いため,魔法使いタイプにも向いてる。打撃だけじゃなくて足止めも出来る所がポイント高いな。向いているタイプは戦士,魔法使い。 盗賊も悪くは無いってとこか。お勧めのエフェクトは《炎神の怒り》《静かなる霧》《氷の戒め》《炎の加護》《氷剣》だな。
キルス:《氷剣》と《炎の加護》は素直に強いわね。
咲耶榎:ダイスボーナス(Lv+2)個は凄いですよね(笑)。
大谷:調子に乗って使いまくってるとわりと簡単に墜ちるけどな。

 ◆支援の王様:ソラリス

大谷:んじゃー,次行くぞ,ソラリスだ。
キルス:泪ちゃんのシンドロームだね。
大谷:そうだな。ソラリスシンドロームを発症すると,体内で様々な化学物質を合成し,放出することが出来るようになる。
咲耶榎:バイ○ライダーですね(笑)。
キルス:あたしはロボのほうが好きだな。
大谷:ええい,そこ,マニアックな会話するんじゃない。ソラリスは基本的には支援型のシンドロームだ。ただ,自分の能力の約6割をクリティカルさせられないため,ピュアブリードにしてしまうと本当に仲間の支援しか出来なくなってしまう。
咲耶榎:かといって,クロスブリードにしても扱いが難しいんですけどね。
キルス:本当に支援しか出来なさそうだね……。
大谷:ただ,その支援能力の高さは他の追随を許さないほどだし,上手く考えて使えば,支援以外の使い道もたくさんある。まあ,そのあたりは話すと長くなるな。向いているタイプは僧侶型。お勧めのエフェクトは《アクセル》《癒しの水》《止まらずの舌》《抗いがたき言葉》《彫像の声》。まあ,他にもいっぱいあるけどな。
咲耶榎:上手く使えばどれも強烈ですよね。
キルス:うえー,《人形使い》なんてあるんだ。
大谷:ま,どんなエフェクトも結局は『どう使うか』だからな。

 ◆魔法使いの触媒:オルクス

大谷:ラスト。オルクスだ。そうだな,姫宮いけるか?
咲耶榎:はい。全シンドローム中最も解明が進んでいないのがこのオルクスシンドロームです。このシンドロームの能力は独特で,自分の因子を撒き散らした空間を支配し,そこにあるものを自在に操ることが出来ます。
キルス:ええと,魔○空間?
大谷:そこまで大げさなもんじゃない。《ワーディング》をもっと強力にして,大地や水や植物を操るようにしたものだと思えばいい。このシンドロームはRCと支援に優れている。ただ,ピュアブリードにするよりはクロスブリードにしたほうがその能力を生かしやすい。そうだな,触媒みたいな性質を持っていると考えてくれるといい。
キルス:しょくばい……
咲耶榎:化学の用語で,物質の反応を促進させる性質を持った物の事を触媒と呼ぶんです。
大谷:魔法使いタイプのキャラクターが持つと,かなりの効果が見込めると思う。向いているタイプは魔法使いと僧侶だな。お勧めのエフェクトは《石壁》《惑いの一撃》《要の陣形》《奈落の法則》《オーバーロード》だ。
咲耶榎:相手が装甲無視を使ってこなければ《石壁》は結構使えますね。
キルス:なんていうか,ガキ大将って感じだね,全体的に。
大谷:そうかもしれんな。使い方次第では面白いと思うぞ?


大谷:で,全シンドロームを軽く説明したわけなんだが……
キルス:長かった〜。
咲耶榎:さすがに,疲れましたね。
大谷:本当はまだまだ色々話したいこともあるんだけどな。
咲耶榎:危険コンボとかですか?
大谷:ああ,他にもシンドロームごとの詳しい攻略とか,どんなジャームでも殺せる方法とかもある。
キルス:あたし,今日はもういやよ。
大谷:俺もだ。ま,ご要望がある限り続けてもいいかな,という感じだ。
咲耶榎:あるんでしょうか?
大谷:知らん。
キルス:流石に今回のは長いから,人気なくなるかもね。
大谷:ま,そのあたりは相模原さん次第だな。じゃあ,今日の授業はこれで御終いとする。
キルス&咲耶榎:ありがとうございましたー♪

 


 はい、大変お疲れ様でした大谷さん。
 ところで……『次回は相模原さん次第』ですって? なんかワリに合わない仕事とか言ってませんでしたっけ?(にっこり)
 ま、皆さんのご要望しだいというところですね(さらににっこり)。

 ……だいたい何なんですか皆さん。ちゃんと相場より多くボーナス出してるっていうのに、まるで私が大谷さんをコキ使ってるみたいに……え、何ですか鷹村さん? え? あの額じゃアンマリだ、って? え、そんなはずないですよ。だって紫音さんからちゃんと相場を聞いて……。
 あれは冗談? そういうものなんですか? 本当ですか? 本当でしょうね。
 ……じゃあ、次回からはもう少し……。

 え、何ですか鷹村さん。……アメとムチ? 私が? どうして?

 

第3回につづく。