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「……ちょっと待たんか」 
「なんですか?」 
「このタイトル,色々と間違ってとりゃせんか。というかこれ,結局次回予告なのだろう?」 
「一言で申しますと,リベンジです」 
「新年そうそうリベンジしてどうする。だいたい何のリベンジかね」 
「私がせーっかくちょっぴりノスタルジックな想いも込めて台本作りましたのに,前回はちっともウケなかったんです。ホロリ」 
「あれはあの2人に演らせたのがそもそもの敗因だろう」 
「まったく不甲斐ないですわねディアフレンド?」 
「本人たちに言いたまえ。それで? 今回はどうするんだね」 
「前回同様,神奈川県にお住まいのO.Sさんにネタをいただきました。タートルネックのシャツにジャケットだけで雪道を歩いた挙句,凍えながら考えたネタだそうです。O.Sさん,いつもありがとうございまーす♪」 
「……ダメっぽい……」 
「というわけでタイトル通り,まんが日本昔ばなし『アリとキリギリス』をお送りさせていただきます。朗読は上杉直人さんです。はい皆さん,拍手をどうぞ♪」 
「……瑚唄くん」 
「なんですか?」 
「いや……いい。もうツッコミどころが多すぎてどこからどうツッコんでいいかわからん」 
「わざわざ戦場で三身合体するイ○パ○ス○ン○ムみたいですわね。ホロリ」 
「君,自分で言っててイタくないのかね」 
 
 
 アリとキリギリス 
 
 (注:けっこう長いのでバカバカしくなったら読むのをやめてください) 
 昔むかし,デモンズシティという所に,一匹のキリギリスが住んでいました。 
 キリギリスは夏じゅう,とても楽しく遊びました。歌ったり踊ったりケンカを売って回ったり,オオタニアリのところにあがりこんでは酒をくらって眠ったり,バナナの皮を剥いてラップにくるんで冷凍して食べたりしました。キリギリスはとても幸せでした。(……幸せか?) 
 
 そして,冬がやってきました。寒い寒い冬です。キリギリスは夏も秋も遊んでいたので,食べるものがバナナしかありませんでした。 
「とりあえず真のとこにでもいくかなー。鍋とか菊水とかあるかもしれないし」 
 例によってオオタニアリのところにたかりにいくことにしたキリギリスでしたが,彼女にはとにかく計画性がありません。天気予報で(天気予報?)「例年よりも寒くなりそうです」と言っていたにも関わらず,やたらに軽装で家を出てしまったのでした。 
 
 その日の東京(東京?)は,年末には珍しく雪が降っていました。薄着で家を出てきたキリギリスは寒くてしかたありません。手にした冷凍バナナ(手にしてるのか)はいい感じで凍っていますが,いくら「体はバナナで出来ている」と言われるキリギリスさんでも食べて暖まりそうにはありません。 
 
 そこへ,強化プラスチックの盾をかついだ白アリ(なぜに白アリ?)がやってきました。 
「…………。なんか『食いつぶしてばかり』とか言われたから」 
 (ひょっとして君,スネてたのか?)キリギリスはつかつかと白アリのところにやってきて言いました。 
「ちょっとアンタ。アンタ,サラマンダーよね?」 
「だから?」 
「私,今すっごく寒いんだけど」 
「それで?」 
「アンタ,ちょうどいいから人間暖炉になりなさい」 
「何で?」 
「…………」 
「…………」 
 キリギリスはしばしの沈黙ののち,手にした冷凍バナナ(そんなの持ってるから寒いんじゃないか?)を差し出しました。 
「この冷凍バナナあげるから」 
「いらない」 
「釘も打てるわよ」 
「そこまで冷たくないと思う。というか,打ててもいらない」 
「…………」 
「…………」 
 キリギリスはしばしの沈黙ののち,懐から一枚の写真を取り出しました。 
「じゃあ真琴ちゃんの写真あげるから」 
「いらない」 
「いいの? このあたしが《光の衣》使って寝室に忍び込んで(犯罪だろうそれは)激写した,寝乱れ写真よ? ほーらほら」 
「…………。いらない」 
「そーんなこと言って,いいのかなー。欲しいくせに,いいのかなー。いいでしょー? 欲しいでしょー?」 
「いい。自分で見るから」 
「…………。アンタ今,なんか不穏なこと言わなかった?」 
「別に」 
 (……一ノ瀬リカに,よく監督するよう言っておこう)何を言っても白アリが無関心なので,キリギリスはだんだんイライラしてきました。 
「晟は毎度この手でひっかかってくれるのに,(そうか,ひっかかってたのか)アンタかわいくないわよ!?」 
「だから?」 
「…………」 
 キリギリスは無言で釘も打てる(だから打てないって)冷凍バナナを振りかぶりました。すると,白アリはさっと甲羅の中に隠れました。(アリがか?) 
「あっ,この卑怯者!? 出てきなさいよ!」 
「…………」 
「おいこら! 出てこーい! 出てこないとひっくり返して腹の上に薪乗せて火つけるわよ!?」(おいおい) 
「…………」 
 カメ(いつの間に……)は返事をしません。サルは怒って(こっちはサルか。そのまんまじゃないか)殴ったり,蹴ったり,ひっくり返してぐるぐる回してみたり,ジャンピングニードロップしたり,熟していない柿の実をぶつけたり,冷凍バナナで叩いたり,《ピンポイント・レーザー》で装甲値無視の攻撃をしてみたり,腹に薪を乗せて火をくべてついでにTNT火薬で爆破してみたりしましたが,カメは甲羅の中でじっとして,危なくなると時たま《時の棺》とか《黒星招来》とか呟いてみたりして,やはりまったく返事をしません。 
「きー! ムカツクー!」 
 サルは地団駄を踏んで悔しがりました。(いいからさっさと先に行ったらどうなんだ)こうなったら奥の手,サルは背中に背負った「キルス専用バナナ・阪○タイ○ース仕様」をフルスイングしました。カメは甲羅に潜ったまま,お空の星になりました。 
「ふっ,あたしに逆らうものはこうなるのよ。思い知ったか」 
 サルはイイ表情で汗をぬぐいました。 
 思い知ったも何も,カメはすでにお空の星ですが。 
「ってあーーーーーーーッ!? アンタちょっと待ちなさいよ! 人間暖炉! 寒いんだから! ねえちょっと! 待てっつってんのに!」 
 カメは返事をしませんでした。あたりまえです。 
 
 で,どうなったかというと。 
 
 サルはオオタニガニのコタツの中で,がたがた震えていました。 
「真ぉ〜。寒い〜。風邪ひいたかもしんない〜。けんちん汁作って〜」 
「……出てけ」 
「てゆーかさぁ,この部屋寒くない〜? もっと暖房きかそうよ〜。あ,お茶お代わり〜」 
「それくらい自分で淹れんか! てゆーかすかさず俺の天狗舞を飲むな! そしてコーラで割るな!」 
 
 教訓:バナナザルは無視するのが一番です。反応するからつけこまれるのです。 
さるかめ合戦・おわり 
 
「(こくこく)真理ですわね」 
「……それは私もそう思うが,そうでなくて」 
「なんですか?」 
「(いや,もうツッコまんでおこう)これの何がどう次回予告なのだね? それらしいことは何ひとつやってないと……」 
「あら,私一度でもこれが『次回予告だ』なんて申しましたっけ? これはあくまで『まんが日本昔ばなし』ですわよディアフレンド?」 
「…………」 
「あと,次回は1月29日にプレイ予定ですから,どっちみち予告なんてできないんです」 
「…………」 
「というわけで今回はメルヘンチックに,皆様の心を暖めてみようとか思ったわけでして」 
「瑚唄くん。前回も思ったんだが……」 
「なんですか?」 
「君のギャグは,シュールすぎて笑えない」 
「ががーん!?」 
「あと,長い。ウソ予告にこんな行数費やしたら,読んでくださる方に悪いから」 
「それはしかたないんです」 
「何故」 
「だってこれ,ほぼ実話ですから。管理人さんとO.Sさんと大谷先生との」 
「…………」 
「私も色々工夫したんですけど,実話をダイジェストするのは結構難しいんですよ?」 
「瑚唄くん」 
「はい?」 
「君は,そーゆーダメな大人になるなよ」 
「もちろんですわ。今年の書初めのお題は『真人間』です」 
「…………」 
「というわけで。こーゆーダメ満載の当サイトですが,皆様今年もよろしくお願い申し上げます♪」 
「(…………。まぁいいか……)」 
 
 真面目な話, 
 今年もよろしくお願い申し上げます。(見捨てないでください……) 
 
  
  
  
  
  
  
 
 
☆おまけのおまけ:実録・この辺が実話だ。 
 
大谷さんの12月28日の日記より抜粋 
 
 Xデイ。朝9時起床。なぜか居る咲耶榎をたたき起こして部屋を掃除。 
 結構しっかり片付けたはずなのになぜか散らかっている。 
「いいじゃないですか,生活感あふれてて」 
 お前のせいか。とにかく片付けてから早めに出発。白漫さん(注:ジャーム化によって不定形スライムと化した謎の物体で,UGNデモンズシティ支部ショム課に所属している),真二,キルスを迎えに行く。 
 当然の如く遅れるキルス。まあ10分以内なので許容範囲。 
 で,部屋に到着すると同時に飲み会開始。1時間ほどで早くも混迷を極め始める会場。めちゃくちゃになっていく俺の部屋。そのあたりで相模原さんが到着。手には酒。 
 ピーピー騒ぐ腹ペコ連中(主に真二,キルス)のために雛鳥にえさを運ぶ親鳥の如く甲斐甲斐しくパスタを茹でたり鳥を塩茹でしたりしながら自分の人生に疑問を覚える。 
 さらに2時間,皿を洗ったりゴミをまとめたりしているところで光登場。つまみの差し入れ。なんとなく火に油ではないかと思わなくもない。 
 8時半。飲み物がなくなったので買出し。 
 メンバーはすでに悟りに入った俺,いつになったら元気じゃなくなるのかわからないキルス,結構きている白漫さん,実はひそかにうわばみだが笑いが止まらなくなっている相模原さん,けろっとした様子の光。比較的安全メンバーの咲耶榎,真二はその間に片付け。つまり目の前で全力疾走したりしてるやつらを俺と光で面倒を見る羽目になった。……ここは地獄か? 
 9時半頃,浮沈艦(うきしずみぶね)白漫さん,撃沈。介抱しながらカーペットの染み抜き。一番の功労者は部屋の2枚のカーペットかも知れん。 
 11時半頃,帰るメンバー(白漫さんと光)を真二と咲耶榎が送るというのでバス停まで見送り,部屋に戻るとキルスが「腹が減った」と騒ぐので米を炊いてお茶漬けを作ってやる。 
 割り箸がなかったので1人で近くのコンビニまで買出し。キルスと相模原さんは寒いので留守番だそうな。家主は俺ではなかっただろうかという禁断の思考が頭を掠めるが哀しくなるだけなので無視することにした。 
「まことー,牛乳買ってきてー」 
 何の臆面もなくキルス。それに対してもはやなんとも思えない俺。 
 ……まあ,鉄に「鉄臭い」と文句を言っても仕方ないのと同じだと自分に言い聞かせる。 
「あ,大谷さん。ついでに乳液とかあったら買ってきてくださいませんか?」 
 ブルータスお前もか。ついでに明日の朝食の材料も買い込んだ。 
 その後みなでおもいおもいの場所で寝る事になり,ベッドはキルスと相模原さんが使うことになった。夜中に真二が面白い寝言で騒ぎ出したので叩き起こしてクソ寒いなかを仕方なく二人で朝6時まで深夜徘徊。雪まで降り始める。部屋に帰り,落ち着いて眠る真二。雑魚寝用の残った布団を真二に占領され,立ち尽くす俺。雪が降る夜の床は氷のように冷たい。 
 いったい俺が何をした。 
 さすがに眠れないので,結局本を読んだりコーヒーを飲んだりして,夜を明かすことに。 
 朝九時ごろにやっと皆が起きだす。 
「まことー,おなかへったー」 
 ベッドから起き出しもせずほざくキルス。 
 しかたなく買い込んだ食材でベーコンエッグを作ってやると,ヤツは海苔茶漬け生卵がけなぞという奇怪きわまりない代物を食っていた。徹夜明けの胃には視覚的にきっつい。他の連中もキルスの方を見ないようにしている。 
「たべる?」 
「……いらない」 
 結局朝食は抜いてしまった。 
 ゴミをまとめて,雪が降りしきる中,朝食を食いおわった連中をバス停まで送ってから部屋に戻る。 
 ああ,自由だ。 
 俺はようやくベッドに倒れこむことを許されたのだった。 
 ……おやすみなさい。 
 
 
 キルスさんの追記:真。3分の遅刻は遅刻とはゆわないのよ。 
 相模原さんの追記1:ちなみに供された天狗舞は純米じゃなかった……私が持っていったシャンパンも美味しくなかった……(遠い目)。そしてキルスさんに日本酒のコーラ割をさせるのだけは断固阻止した私です。 
 相模原さんの追記2:キルスさんは大谷さんの家にいる間も,私と一緒に帰る間も寒がっていました。あんな薄着をしていれば当然だと思うのですが,「寒いよー,寒いよー,人間暖炉が欲しいよー」とうるさかったです。 
 久島さんの追記:その後,真ちゃんその2は39度の熱を出して死にかけたそうな。これはその1の呪いか!? 
 大谷さんの追記:雪が降ってるのに冷たい缶コーヒーなんて飲むからだと思う。 
 
(以上の記述は99パーセント実話です) 
  
  
  
    
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