SCENE 9


GM:えー,戻りまして君嶋のシーン。連行していくところ。
真琴:あ,そうだ。もちろん,ボディチェックをしておくぞ。
GM:あいよ。小口径の拳銃くらいは身につけてるよ。あと,スーツの下に薄手の防護服とかも。
真琴:それだけ?
GM:それだけだよ。そんな,隠しようがないし。
真琴:本当にそれだけか? 身包みはがしてやりたいな。
GM:てか,マジでマッパにしたいんですか。
真琴:そういう意味ではなく,何を隠し持っているか信用ならんからだ。
GM:持ってないって言ってんのに。疑り深いなー。
真琴:テンペストの便利グッズとか。
GM:ないよ! 007じゃあるまいし!
ユウキ:だからぁ。そんなに心配なら,手と足に一発ずつぶちこんでおけばいいんだよ。
一同:(笑)
晟:教育的指導っ!(笑)
真琴:そんなことはしません。わたしゃ○レスくんじゃないつーに。まぁいい。GMが本当に持ってないというなら,信じてやろう。
綾:あ? ちなみにジェームズくん,ワーディングマスクは?
GM:つけてないよ。
綾:あれ? オーヴァードだったっけ?
晟:違う。こいつは人間。それはGMにかたーく言い含めた。
GM:そうなんだよー。絶対ダメって言うんだもん。
晟:ダメったらダメです。
真琴:その方がいいだろう。毎度毎度千葉みたいなのばっかりじゃな。
晟:でしょ?
綾:で,何で平気なの。ただの特異体質ってオチじゃないだろうね。
ユウキ:薬とか使ってんじゃないの?
GM:そのへんは秘密だけど,少なくともこの人は人間ですな。特殊能力とかも持ってません。とりあえず黙って進みます。
真琴:その後ろを,銃をつきつけたままついていく。きっかり2メートルの距離を保って。あと《水晶の眼》も飛ばしておくぞ。
GM:ほいほい。ではしばらくいったところで,ライトがおもむろに口を開く。「ところで君は,デモンズシティの生まれか?」
真琴:(ぼそっと)黙って歩け。
GM/ライト:「まぁそう言うな。どうせ君の方が圧倒的に有利な立場なんだ。私には武器もないし,格闘の心得もないしね。話くらい,聞いてくれてもいいんじゃないのか?」
真琴:……黙って歩けと言っているだろう。
綾:とりあえず,腕折ってそれでも黙らなければ足折っとけや。
晟:おいおい(笑)。
ユウキ:それでも黙らなけりゃ,最悪浣腸という手もある。
GM:おいおいっ!
ユウキ:壁にめりこませてやれ!(←狂暴)
真琴:そういうことはしません! とにかく,この場合は何言おうと無視だ。ひたすら歩かせる。
GM:じゃあ,ライトもそのまましゃべり続けるよ。「君は自分がオーヴァードだということをどう思っているのかね」
真琴:…………。
GM/ライト:「忌むべき能力だとは思わないのか? 制御がきかないのだろう? いつ自分がバケモノになるかどうかわからない……」
真琴:…………。
GM/ライト:「一歩間違えば,かつての味方に処理されて終わりだ。君はその運命を呪ったことはないか?」
真琴:…………。
GM/ライト:「人間に戻りたいと思ったことはないのか?」
真琴:…………。
GM/ライト:「もし,その方法があるとすれば?」
真琴:…………。じゃあ,そこで片眉がぴくっと動く。
GM/ライト:「もし私に協力してくれれば,その方法を教えてやる。そう言ったらどうする?」
真琴:…………。
晟:(その横で)岐路に立たされてますよ。
綾:普通主人公が立つべき岐路だよな。ゆーきとか。
ユウキ:俺ぁこんなこと言われたってちっとも堪えませんよ。
綾:君じゃないよ。藤原の悠貴くん。
一同:(笑)
綾:ほら,やっぱこういう場合にふさわしい主人公は彼のような人でないと(笑)。
GM:それはともかく,君嶋は本当に何も答えない?
真琴:…………。では言おう。私は,この力を忌むべきものだとは思っていない。
GM/ライト:「ほう?」
真琴:この力のおかげで,私はおまえのような輩から人々を守れる。今はそれで十分だ。
GM/ライト:「今は,ということは,いつかは必要なくなるとは思っているのか」
真琴:そんな先のことはいい。
GM/ライト:「そうか? 君は,自分が明日死ぬかもしれないと考えたことはないか? その時君は,そんなバケモノのままで死んでいくのか? それで後悔しないのか?」
真琴:後悔はしない。自分で決めた道だ。
GM/ライト:「『人間』を守るために,か? その『人間』は君に何をしてくれるのかな?」
真琴:そんなことはおまえに関係ない。……それに,私はすでに色々な人に守られてきた。だから,今度は私の番なんだ。
GM/ライト:「…………」
綾:(←外野)おお……。
晟:ああ,何かいいお話ですよ瀞南寺さん?
真琴:そう,君嶋は大谷や栄吉っちゃんの愛に包まれて,こんなにまっすぐ育ってきたんです。
晟:そうだな。……いいなぁ,まっとうな愛で。
一同:(笑)
晟:僕なんか,歪んだ愛に育てられすぎて,すっかり歪んじゃいましたよ。
GM:うーむ,人選間違ったな。そっちに話をもっていけばすぐにオトせたな(笑)。
晟:(サワヤカに)一発で陥落しますね。はっはっは。
真琴:そういうわけで,まっとうに育ってきた私は陥落しませんよ。何を言われようと。
GM:では,そこでライトはくるりと君の方を向き,じいっと目を覗き込んでくる。「そうか。君はオーヴァードを憎んでいないんだな。あのバケモノを」
真琴:前を向け。歩け。
GM/ライト:「最後にもう一度だけ訊こう。……協力する気はないんだな?」
真琴:愚問だ。
GM/ライト:「……ならば仕方ないな。ここでお別れだ」
真琴:逃げられると思っているのか?
GM:ライトは薄く笑って,答えない。
真琴:…………? 念のため訊くが,殺気とかそういうのは感じるか?
綾:実はこいつもちーさんレベルだったりとか?
晟:だからオーヴァードじゃないってば。
綾:わかんないよ? ほら,ちーさんのごとく,「ルール外」からやってきた異次元生物かもしれないじゃないか(笑)。
晟:それも許さん。こいつはあくまでも「人間の悪役」。そう言ったな?
GM:言われたよ。だから,してないってそんな設定は。
晟:だからさ,どうせちーさんが助けにくるんだよ。だから余裕ぶっこいてんだ。
GM:だから勝手に設定をぽんぽん決めるなよっ。
綾&晟:違うの?
GM:……いえ,違いません。えー,ではごく一部に熱狂的ファンを持つあのお方の登場です。皆さん拍手でお迎えください(笑)。
真琴:え,何? どこに? 後ろか?
GM:いや,君とジェームズくんの間,その2メートルという距離の中に突拍子もなく,だ。
真琴:む。では拳銃をライトに向けたまま,反射的にもう一丁をクロスして構えるが……。
GM:そこでその男の目を見たとたん,君はプレッシャーのため動けなくなる。
真琴:……やはりな。ちなみにGM,私は千葉のことを知っているのか?
晟:詳しくは知らないんじゃないのか。教えちゃうとかえって危険になるからね。
綾:かといって全く知らせないってのも危険だと思うけどね。
GM:だから,UGNでも第一級のブラックリスト。大谷や紫音から君嶋が言われているのはただひとつ,「関わるな」。
真琴:いや,それ以前にだな,こいつが今までやってきた悪行を,私がどれだけ聞かされているかということが重要なのだ。デモンズシティの出現とかな。それによって私の対応も違ってくるんだが。
GM:別に何も悪いことはしてません。むしろ助けてくれることの方が多いんじゃないか。
一同:(いっせいに)そうかぁ?
GM:…………。
晟:また「目が澄んでる」とか言ったら怒りますよ。
GM:言わねーよ!
綾:いや,きっとちーさんも目は澄んでるんだよ。目が澄んでりゃいいってもんでもないけど(笑)。
GM:放っておいてくれ。
真琴:というわけで私は固まっているのだが,目だけはきっと千葉を睨んでいるぞ。必死にトリガーを引こうとするのだが,指が動かない。
GM/千葉:「勇気のある方だ。しかしそれはやめておいた方がいい。私には効きませんよ。それに,そんな状態でトリガーを引くと危ないんじゃないんですか」
真琴:おまえが千葉か?
GM/千葉:「所長からお聞きおよびかと思いますが?」
真琴:本物だな。
GM/千葉:「ええ。では改めて名乗らせていただきます。私が……」
晟:ちばんばんばばんばん……♪
GM:ちげーよ!
一同:(爆笑)
ユウキ:(その横で歌っている人)千葉のキャッチコピーは〜♪ 「教育の国さわやかハート千葉」〜♪

 えーと。
 結局これがちーちゃんのテーマソングということで,ひとつ。 

真琴:え,えーと,あの,
ユウキ:(歌っている)千葉の人は〜,関東の中にある〜,ほかの県のことをライバル視してる〜♪ 特に神奈川・埼玉〜,東京の二番手は譲れねえ〜♪
晟:あはははははは!
真琴:……おーい。
ユウキ:ちなみに千葉から見て〜,茨城は東北〜♪
晟:(けたたましく笑っている)
真琴:……マスター! もう何とかしてよこの人!(怒)
GM:ほっときなさい。
晟:あっはっはっは。だってヒマなんだもんよ。
綾:さっきまでの俺らの気持ちがわかっただろう(笑)。
晟:私らは,それでもまだちゃんと話を聞いてるぶんマシだ。遙ちゃんを見ろ。すっかりくつろいで漫画を読んでいるぞ。
遙:(読んでいる)……ん〜?
晟:(ぼそっと)おっしえてやるぜへい♪ ただしいきょうだいあーい♪
GM:もういいから! 話を進めるぞ!
真琴:(咳払い)で,その千葉が何の用だ。
GM/千葉:「単刀直入に申し上げますが,その人を返していただきたいのです。私にとってはまだまだ必要な方なのでね」
真琴:…………。
GM/千葉:「そうそう,UGNのみなさんに千葉がよろしく言っていたとお伝え願えますか」
真琴:………。
GM/千葉:「そうそう,それから……」
真琴:(思わず)まだあるのか。
GM/千葉:「……例のお三方にもくれぐれもよろしく。楽しみにしています,とお伝えください。それでは」と言って,ライトともどもふっとこの場から消えます。
真琴:では静かに銃を下ろしてため息をつこう。
GM:では,そこでシーンを変えます。いやー,お父さん合流できなかったねえ。
綾:……もういいよ。轟音を響かせながら破壊の限りを尽くしてるから(泣)。

 

 

SCENE 10


GM:ではエンディング。ユウキたちに戻ります。
晟:(侵蝕値の計算をしていた)はい,GM。よろしいでしょうか。
GM:はい?
晟:さっきユウキさんが怪我していたので《癒しの水》をかけようと思います。これで侵蝕値がぴったり120になります。
GM:おお,入れ替わったのか? では倒れて起き上がった瞬間に「貴っ様ああぁ!」となるわけか?
晟:いや,それはあんまりなので(笑),高熱を発してぶっ倒れたというバージョンで。
遙:ではそれを炎華が治してあげよう。
晟:演出でやってるのでそれは困るのだが……。
遙:うん,わかってるけど,
晟:わかってやってるんかい!?
一同:(笑)
遙:いやいやいやいや(笑)。
晟:貴様,一体何がしたいんだー!
GM:ギャグか,ギャグしかさせてもらえないのかー!(笑)
遙:いやいやいや。そんなことは(笑)。
ユウキ:どっちなんだよ。てゆーか話を進めてくれ。
晟:えー,ですから39度から40度くらいの熱だして人事不省です。
GM:まだ最上階ですから,ユウキに負ぶわれて帰ってくることになるのかな。なんかマヌケだな。
綾:いやー,素直に負ぶってくれればまだいいと思うけど。
ユウキ:たぶん,足首つかんで引きずるくらいなもんだと思う。
晟:ひでえっ!
ユウキ:だって俺,ゆかりを負ぶって帰らなきゃなんねえしな。
晟:(必死の形相)ユウキさんユウキさん! 今回僕がんばりました! ゆかりちゃんが撃たれるの防ぎました!
綾:ほら,せめて小脇に抱えるくらいしてやんなよ。
ユウキ:ああそうか,そうだな。せめて手荷物扱いにはしてやろう。
一同:(爆笑)
晟:(さめざめと泣いている)
GM:では,エンディングなんで,特に戦闘とかなしで脱出できたことにします。君たちは山崎たちと待ち合わせた場所に戻ってきました。そこにはすでにトレーラーに戻った青い機体と,鵬也,山崎が待っていました。が。
一同:が?
GM:様子がおかしい。
ユウキ:何ぃ!?
綾:ゾンビになってお互いを貪り食っていると?
GM:何でやねん。どういう感じかというとですね,山崎くんがぐったりと地面に横たわり,その上半身を鵬也が支えている。
真琴:あ!? まさか!?
GM:そのまさかだ。
晟:ああ〜!? 君島ファンのワタシになんてことをぉ!?
ユウキ:……ではコレ(晟)をぼてっと地面に落として,山崎に駆け寄る。
GM:鵬也が沈痛な面持ちで,「ユウキ,すまない……」と言ってきます。
ユウキ:いったい何があった!
GM:すると山崎がうっすらと目を開きます。「おお,ユウキくん……陽動はうまくいったみたいだなぁ」
ユウキ:……ああ,そうだな。
GM/イサム:「……へへ……どうだよ,俺だって少しは役にたつだろ……?」
ユウキ:ああ……。
GM/イサム:「ゆかりちゃん……無事なんだよな」
ユウキ:ああ,無事だ。ちゃんと助けた。
GM/イサム:「そうか……よかった……」
ユウキ:大丈夫だ。大丈夫だから,もうしゃべんな。
GM/イサム:「そんなこと言うなよ……なぁユウキ,見せてやりたかったぜ……」
ユウキ:何をだ?
GM/イサム:「あの青いヤツの肩に乗って,戦った俺の勇姿……」
ユウキ:肩に乗るからだろーがッ!?(激怒)
一同:(大爆笑)
ユウキ:おら山崎ぃ! てめ,何でそんなあからさまに「撃ってください」みたいな真似してんだよ! ああ!?
GM:すいません,肩に乗っていたのは冗談です(笑)。いや,だから拳銃構えてパンパンパン!とか撃ちまくってたんですけどね。
晟:意地があんだよ,男の子にはァ!
GM:そうそう。そんな感じ。「何人かは,ちゃんと俺がやっつけといたんだぜ……」
ユウキ:そっか。わかったから,もうしゃべるな。ちゃんとおまえも医者に連れてってやるから。
GM/イサム:「ああ,頼むよ……金は,後でちゃんと払うからさ……で,とりあえずさぁ」
ユウキ:何だ?
GM/イサム:「そろそろ俺,眠いんだけどさ……」
ユウキ:……ああ。
GM/イサム:「少し,眠っていいかなぁ……あ,ちゃんと連れて帰れよ? おれだけ,置いていったりするなよな……」と言って彼は,眠るように目を閉じます。
ユウキ:…………。
真琴:(ぼそっと)パトラッシュ……僕,今とっても眠いんだ……。
晟:(←パトラッシュ)くぅん……。
ユウキ:……おまいら,少し黙れ。
真琴:あーいや。ここでシリアスに流れてしまうと……。
晟:本当に山崎くんが死んでしまうなぁ,とか……。
綾:ギャグにできるなら,ギャグの方がいいけどね。
ユウキ:そりゃまぁそうなんだが……俺がここで,「山崎ぃ!」とか叫んですがりついたとたんに,「なぁにぃ〜?」とか言って起き上がってくるわけか?
一同:(爆笑)
GM:ご,ごめん。俺も今その誘惑に抗しきれなかった。「山崎ぃ!」とか言ってゆさぶったら,かーっといびきかいてたりして。
ユウキ:そんっなにぶん殴られたいかワリャ!?
真琴:で,それどこまで本気なんだ。
GM:あはは。うーん,申し訳ないけど,そういうことなんだよな……。
ユウキ:では無言のまま山崎の拳銃をベルトに挟んでおこう。
晟:……ではそんなとこで,ワタシもそろそろ目を覚ますとしてよろし?
GM:覚ますの? 混乱が拡大するだけだと思うよ?
晟:そういう気もするが,このままではいつまでもタイミングが掴めないのだよ(笑)。では目を開けて……見知らぬ景色なので,目をぱちくりさせています。
遙:ちなみに,私が膝の上に載せて,顔を覗き込んでいたりするのです。
晟:では慌てて身を離して,言います。……ここは,どこだ?
遙:(冷たい口調で)外ですよ。
晟:……外? では,君は誰だ?
遙:(←というか炎華)私のことは後でお話します。とにかく,今は車にお乗りなさい。
晟:事情は説明してくれないのか?
遙:「危険だ」というだけでは,納得してくれませんか。
晟:……と言うより,俺は何でここにいるんだ?
遙:それは,もう一人のあなたに問い質してみたらいかがですか?
晟:…………?
遙:それすらもできませんか?
真琴:……はい,質問。
遙:はい? 何ですかにゃ?(←いきなり戻る)
真琴:あのぉ,何でそんなに冷たいんですか?
晟:あのぉ,ワタシもそう思います……。
遙:あははははー。
晟:その笑いは何っ!?(泣)
綾:そうか,きっと炎華は楓が嫌いなんだな。
一同:(笑)
晟:…………。
綾:何かなその目は? 俺は別に「晟が嫌い」とは言ってないよ(笑)。
遙:別に嫌いとかそんなことはないですよ。単に,無表情にやってるとこうなってしまうだけでして。
晟:……ホントに?
遙:あははははははー。
ユウキ:で,そんなことぐだぐだ言ってると,俺はずかずかと歩いてきて言います。おら,いつまでやってんだよ!? とっとと車に乗れよ!
晟:……何だ貴様は。
ユウキ:あ,そういう態度? んでは襟首をがっと掴む。いいから乗れっつってんだよ!
晟:だから何なんだ貴様は!と,振り払います。
ユウキ:ああ!? やンのかてめえ!?
晟:そっちこそ,いきなり何の真似だ!?
真琴:(小声で)やった! ここでケンカが始まるよ!? はいコーラぁ〜。ポップコーンいかぁすか〜?
綾:らうんどわん,ふぁいっ!(笑)
GM:おまえらなぁ……(笑)。
遙:あー……もしもし。お二人とも。
ユウキ:いきなり何の真似,だ!? てめえこそ,それはいったい何の芸だよ!
晟:芸!? いきなりやって来て,わけがわからんことをわめいているのは貴様だろうが! まず,事情を説明しろ!
遙:もしもし。
ユウキ:ああ!? 見てわかんねえっつーのかよ,タァコ!
晟:貴様はッ!
遙:……では,二人の頭上から冷水を浴びせます。
GM:文字通り?(笑)
遙:文字通り。……今はそんなことをしている場合ではないでしょう? わかりませんか?
GM:それと,今までちょっと呆然としてた鵬也が言います。「おまえら,山崎をこのままにしておくつもりなのか?」
晟:…………? 誰か,死んだのか?
ユウキ:……ああ,そうだ。
晟:では事情がわからないので,困惑しておる。
ユウキ:…………。
晟:…………。てゆーか,ツラくなってきた。このシーンそろそろきってくれ。
綾:シリアスシーンになるとそうやって逃げるんだから……。
晟:うるさいやいうるさいやいっ!(泣)
GM:いや,まぁ,俺もつらくなってきたので切りましょう。それでは夕焼けの中,山崎くんの遺体がそっと車に運び込まれるあたりでシーンを変えます。

 

SCENE 11


GM:では君嶋とお父さんのシーン。
君嶋:私は拳銃を下ろし,しばし彼らがいなくなった虚空を見つめている。
GM:身体の硬直はそろそろ解けたころだ。そのへんで,お父さんも戻ってくるかな?
綾:ん〜? まだ破壊工作の音を響かせてるな(笑)。
晟:どっかーん,どっかーん,ばっこーん,ばっきーん♪
君嶋:ではそれで我に返ろう。始まったか,と小声で呟いて走り出す。
GM:で,瀞南寺は具体的にどうしてるの?
綾:全部破壊するのは不可能としても,所長に「破壊しました」と胸張って言えるくらいには破壊しますよ。
真:(隣から)つーか,破壊してくれなきゃどーしようかと思いましたよ。
一同:(爆笑)

 先般申し上げた通り,大谷プレイヤーはいずれGMを引き継ぐ予定。
 ……そりゃ困るわな。

GM:(さりげなく無視)ではそのへんで合流したことにしよう。ちなみに栄吉っちゃんと一緒に,紫音も待っていたり。
綾:おや,珍しい。
GM/紫音:「お疲れさん。始末はつけてくれたようだな」
綾:ま,一応はな。肝心の獲物は取り逃がしたようだが……。
真琴:私は無表情だが,親しい人には表情の変化がわかるかもしれない。
綾:ふむ。では君嶋の頭の上にぽん,と頭をおいてあげよう。
君嶋:じゃあ無表情だけどほんの少しうなだれている。
晟:……ちなみに,頭を置くの? 頭に? 手じゃなくて?
綾:がーん!
一同:(笑)
ユウキ:それはぽん,じゃなくてごん!だろう。むしろ。
真琴:(生真面目に)何するんですか瀞南寺さん。
綾:してねえ(笑)。とりあえず,千葉とライトの関係がわかっただけでも上出来だ。おまえさんはよくやったよ。
真琴:私は別にしょげてはいない。ちょっと疲れてるというか,呆然とはしているが。ちなみに,紫音さん。
GM/紫音:「ん?」
真琴:千葉が,皆さんによろしくと言っていました。
GM/紫音:「そうか。おまえさんも災難だったな」
綾:(頷いて)で,久遠紫音よ。これからどうする気だ?
GM/紫音:「一番ヤバいものは破壊してもらったにせよ,そうだな,いいかげん親玉と決着をつけにゃならんだろう。大谷からもそろそろ連絡があるころだ」
綾:で,どうするよ。今日はとりあえず帰るか? ここまでご足労いただいておいてナンだがな。
GM/紫音:「いや,何。力を使わないで済んでほっとしてるよ」
綾:そうか。俺はもう少し力を使いたかったがな。
一同:(笑)
綾:てゆーか。てゆーか。俺このまま自律判定したら,基本侵蝕値より下がるぞこれ!?
GM:あはは……ではエンディングはこんなところということで……ちなみに,帰ってこられなさそうな人,いる?
晟:120点。全然平気。
遙:150てーん。経験点減らしますぅ。
ユウキ:俺もそんなもんだな。
綾:そして俺は62点だー!
一同:(爆笑)
ユウキ:それ,下手したらゼロにならんか(笑)。
綾:(すがるように)振らなきゃダメ? 振らなきゃダメ?
GM:ま,まぁ一応ルールだから……(笑)。
晟:(その横で)あ。よく考えてみたら,ひっくり返った時点でロイスが4個に減るんだわ。
GM:おいおい。それはそれで大丈夫なのか?
晟:いや,でも20点ぐらいなら多分……危ねー! 98!
GM:何だ。何だかんだ言って,一番高い経験値とってんじゃん。
晟:まぁ,日頃の行い?
GM:(サワヤカに)それはないな。
綾:わはははー! 侵蝕値ゼロまで下がったぞー!
一同:おおー!(爆笑)
晟:初めて見たな,ゼロ(笑)。



「みなさんこんばんはー。松山遙なのです。この次回予告も今回は最後になるかもしれない?ということでボリュームアップの特別企画でお送りするのです! よろしくなのです!」
「……どうも。相変わらず不幸街道まっしぐらの男,大谷真です」
「今回は特別企画とゆーことで,読者の皆様からのリクエストにお答えするのです! はい所長,企画書なのです!」
「……どうでもいいが紫音のヤツ,こーゆーことにばっかり時間を使っとんのか」
「えー,ではまず神奈川県にお住まいのO.Sさんのリクエストにお答えするのです!」
「…………。ちょっと待て。この『禁断のヘビとマングースコンビ再び!』って……」

「…………」
「…………」
「…………。何よアンタ」
「…………。貴様こそ何だ」
「…………」
「…………」

「…………」
「えー,ただいま両者睨みあっている模様ですので,もうしばらくお待ちくださいなのです」
「……先に予告を行うことにしよう。えー,長かった千葉との戦いにも,ついに次回決着がつく模様だ。闘志を燃やすユウキ,楓化してしまった晟,戦わずに済む方法を模索する遙。それぞれが迎える結末とは?」
「炎華姫,とってもとってもちーちゃんのこと心配してたのですよ。私も心配だったです……」
「……それはいいんだが」
「はい?」
「おまえ,晟のことは全然心配してやらなかったんだって?」
「あははははー」
「(……まったくどいつもこいつも……)」
「ところで,ゲストのお二人はどうしたのでしょう。中継の咲耶榎さーん?」
「(中継?)」

『はい,こちら姫宮咲耶榎です。現在,かなーり白熱している模様のスタジアムからお送りいたします』

「(スタジアム?)」

「なにいっ!? もういっぺん言ってみろ!」
「あ〜ァ何べんだって言ってあげるわよ〜ぉ? この


 甲斐性なしのヘッポコ男ーーーッ!!

「きっ……きっさまァーーーー!!!」
「何!? やるっての? やるなら受けてたってあげるわよ!?」
「貴様のようなヤツでも一応女だと思って我慢してきてやったが,今日という今日はもう許せん!」
「はん! こっちこそ望むところだわ! 泣きべそかかせてあげるわよ!?」
「ふん,馬鹿を言うな。貴様なんぞ瞬殺だ,この


 バナナザル
がっ!

「なっ…………なあんですってえぇぇ〜〜〜ッ!?」

『……以上,スタジアムから中継でお送りいたしました。スタジオの遙さーん?』
「……お送りしました,じゃなくて……さっさと止めんかぁ!」
『でも面白いのに……』
「面白くない! ただでさえ最近経費がかさんでるんだぞ! あいつらに好き放題壊されてたまるか!」
『でも「刻みあうほど仲がいい」ってことわざもありますし』
「あるか,んなもん! あーもういい! おいこら,キルス,楓! おまえらもいいかげんにせんか!」

うるさい! 男キラーは黙ってろぉ!

「誰が男キラーだッ!?」
「……っ……」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………。ちょっと待て。ちょっと待て楓。おまえ,
何故否定しない!?

「……あ,いや,俺は別に……」
「『俺は別に……』って何だそれっ!?」

『では皆さん,来週もまた観てくださいね』
「観てくださいなのです!」

「おいちょっと待てそこ! 何まとめに入ってんだ! おい! だからちょっと待てって!」
 


Next, “Down & Dirty,” see you later.

えー,今回は松井暁&おらんだしずめ(キルスプレイヤー)合作バージョンでお送りいたしました。
すでに予告の長さじゃないな,これ…。