*** SCENE 20 ***
 



 カードをもうちょっと調べてみよう。ひょっとしたら,何か仕掛けがあるのかもしれん。

 カードを裏返してみた。真っ白だ。何も書かれていない。しかし,何かぼんやりと染みのようなものがついているような……。
「これ,もしかして……」
「……試してみましょうか」
 上杉も気づいたらしい。彼はカウンターの内側にまわり,コンロの火をつけた。その様子を見ていた藤原が,「わぁ,懐かしいな」と無邪気に歓声をあげる。

 炙り出し。
 やると思った。

「というかベタだ。ベタすぎるぞ千葉……」
 頭を抱えた俺の隣で,店主が「で,何て書いてあるんだい?」とのんびり呟く。上杉は茶色の文字が浮き出たカードを一瞥し,
「『お見事! よく見つけましたね。ご褒美をあげるのでここまで来てくださいね』だそうです。地図がありますね――どうやら第3ゲート付近のようです」
「…………」
 黙ってカードを受け取り,立ち上がった。
「行くんですか?」
「もうここまで来たらヤケだ。行くとこまで行ってやるさ」
「そうですか」
 上杉は淡々と言った。しかし気にはなるのか,眉がひそめられている。
「……しかしわからんな。意味不明だ。何故ヤツはこんな手のこんだ真似を……?」
 ぶつぶつ言っているその声を背に,俺は「北風」を後にした。

 ――ちなみに,それはだね上杉くん。キャラを満遍なく出したいから,とりあえず場面増やしてお茶を濁そう,というどこぞの管理人の姑息な陰謀じゃないのかな。たぶん,それだけだよそれだけだと思うよ。そしてそれに毎度毎度振り回されてる俺はいったいなんなんだよこんちきしょーめ。(⇒次へ