Development//Meet again, but unhoped-for...
 

 

SCENE 5(フルキフェル・正位置)


GM:では,シーン・プレイヤーはコロです。
ジュリアン:結局一緒に行動しちゃっていいんだろうか。
GM:いいんではないでしょうか。でもシャイニー様,食い扶持増えますね。
シャイニー:(鷹揚に)増えたといっても,たかが銀貨1枚か2枚のことだろう。
一同:おーっ(拍手)。
ジュリアン:一生ついていきます!
シャイニー:君に一生ついてこられても困るがね。ま,ラーヴァホーンまでは楽しくやっていこうじゃないか。
GM:そうこうしててると,ラーヴァホーンの麓の村に着きます。
ネモ:(手を挙げて)今登場判定していいの?
GM:何で?
ネモ:[鎖]欲しいから(笑)。
GM:じゃあこうしよう。村に着いて,宿をとったまでは一緒に行動。その後コロは……。
コロ:ご飯食べに行く。
GM:だ,そうだ。ちなみにここ,えらく寂れた村だ。建物とか,農地までほったらかしにされてるみたい。
シャイニー:人が鉱山の方にとられてるのか?
GM:そうかもしんない。でも,今鉱山が開店休業状態なんで,おっちゃんたちがまだ日の沈みきらないうちから酒くらってる。で,シーンはそういう酒場から。登場したい人は登場判定。これはしてもしなくても構わない。
ジュリアン:(ころころ)奢りの機会は逃さない。当然ついていく。
シャイニー:私は酒場に行く気はないんだが?
GM:そのへんは自分で宣言して。で,酒場なんだけど,少し年食った,30がらみの吟遊詩人がいて,ぱらぱらとまばらな拍手が起こっている。

「それでは,名高き勇者,龍殺しのグレイド卿のお話は,これくらいにいたしましょう」
 頭を下げた彼に,気のない拍手がまばらに起こる。
 この付近の住人なら,グレイド卿の武勇譚は誰でも知っている。いかな英雄といえど,すっかり聞き古された話に,好き好んで耳を傾ける者もない。
 吟遊詩人は全く気にやむ風もなく,リュートをかき鳴らした。
「では次の曲……何かご希望はございますか?」

GM:と,言ってるんだけど,周囲の反応は鈍いね。
シャイニー:下手なの?
GM:上手だよ。ただなんつーか,パフォーマンスに欠けるんじゃないか。ぼんやりした感じだし。
コロ:えーとね,おにーさん。なんか楽しい曲。
GM/吟遊詩人:「そうですか。それでは少し毛色の変わった話をいたしましょうか。グレイド卿の一行に,この村で生まれ育った少年がいたのはご存知ですか」
コロ:ふるふる(と,首を横に振る)。
GM/吟遊詩人:「では,その話をいたしましょう」

 今でこそ鉱山として栄えているが,龍が猛威を振るっていた頃,この辺りは貧しい農村地帯だった。
 彼はそんなどこにでもある貧しい農家に生まれた。どこにでもいる普通の少年だった。彼は家族を,友人を,日々の生活を,そして何よりも,貧しくはあるが素朴で,美しい自然に囲まれた故郷を愛していた。
 生まれながら貴族であり,騎士であったグレイド卿と,彼がどうやって知り合ったかは定かではない。伝え聞くところによると,彼はグレイド卿に懇願し,危険な山の道案内を買ってでたらしい。
 ……少女1人が大人しく耳を傾けるうち,酒場のドアが静かに開いた。
 入ってきた身なりのいい若者は,その歌に軽く目を細めた。
  
シャイニー:(ころころ)登場判定に成功しました。
GM:あなたはその吟遊詩人に見覚えがあります。
シャイニー:アルさんですね。
GM:そうですね。ところで,彼はあなたが入ってきたのを横目に見て,ふつりと歌をやめてしまいます。「……では,本日はこのくらいにいたしましょう」
シャイニー:…………。
コロ:ねー,で,その人どーなったの?
GM/アル:「グレイド卿は首尾よく龍を倒され,少年も無事に生きて帰ることができました。グレイド卿は褒美として,この村を少年に与えたということですよ」
ジュリアン:それ,領主というより名主さんなんじゃ。
GM/そうとも言う。「領主」って言葉の正確な定義なんて訊かんでくれ(笑)。ちなみに,件の鉱山はここから少し離れているのよ。わかりづらくてすまんね。
ネモ:……こんな村じゃルナギルドはないよな。
GM:あったらそれはそれで嫌だなあ(笑)。
ネモ:じゃ,酒をちびちびやりながら,酒場のオヤジに訊く。盗賊に襲われてるって噂を聞いたんだが,今鉱山の方はどうなってるんだ。
GM/酒場のオヤジさん:「えらいことになってるよ。なんでも,すでに鉱夫連中の宿舎まで焼き払われちまったそうで,この村にも出稼ぎにいったヤツらが大勢戻ってきてるよ」
ネモ:領主が討伐隊を募っていると聞いたが……それじゃもう遅いんじゃないか?
GM/酒場のオヤジさん:「そうだね,グレイド卿が腰を上げなさるのが遅かったんだ。遠いところに住んでるお人だしね。でも,今盗賊を叩いておけば,また皆働けるようになるんじゃないかねえ」
ネモ:俺はこの通り旅の傭兵でな。その……アロイスとかいう領主のところに行けば雇ってくれるのか。
シャイニー:そこで割って入りまーす。(ネモに)ちょっと待ってくれ。ここのご領主はロアルドという名前じゃないのか。
ネモ:いや,俺はアロイスと聞いたが……。
GM/酒場のオヤジさん:「ああ,ロアルド様はアロイス様の兄上様で,前の領主様なんです」
シャイニー:そうか……それで,今ロアルド様は?
GM/酒場のオヤジさん:「さあ……数年前に跡目をお譲りなされた後は……」
シャイニー:…………。
ネモ:とりあえず,そのアロイスとやらのところに行ってみないか。弟なんだろ?
シャイニー:そうだな……。
GM:ちなみにコロ,アルさんはそのまま立ち去ろうとしてる。
コロ:お兄さん,お歌ありがとう。……別にシャイニーの知り合いだって知らないもんねえ。
GM:ですね(笑)。ちなみに,お金払ってないですな,君。
コロ:それはそれでらっきー。
GM:(苦笑)それでは,「優しいお嬢さん,よい夜を……」と気障ったらしく一礼して去って行こう。シーン変えます。

 

SCENE 6(アルドール・逆位置)


GM:シーン・プレイヤーはさっき出られなかった(←登場判定に失敗した)ファリィちゃんね。
ファリィ:多分酒場を敬遠したんでしょう。鉱山の人って気が荒いですしね。とりあえずご飯は食べに行きたいけど。普通の食べ物屋。定食屋とか。
ネモ:あるか,そんなもん?
GM:ないと思う。多分宿屋が村に一軒,従って酒場とか食堂も一軒(笑)。
ファリィ:教会行こうかなぁ……。
GM:じゃ,教会は宿から少し離れた場所にある。で,夕闇に沈む教会の前に,一人の若い男が立っています。年の頃は20前後,金髪で色白,長身痩躯,物静かな感じの優男です。
ファリィ:軽く会釈して中に入ろうと……。
GM/若い男:「その教会,今は無人だぞ。司祭が鉱山の方に出ていってしまってる」
ファリィ:(おっとりと)あら,まぁ……。
GM/若い男:「教会に何か用でも?」
ファリィ:いえ,ちょっと酒場にいづらかったもので,ご挨拶かたがた,静かにお食事がいただけるところはないかと思いまして。
GM/若い男:「そういうことなら,いいところを知ってるから,案内しようか?」
ファリィ:まあ,ご親切に。
ネモ:待て。それはナンパされてんじゃないのか?
ファリィ:気にしません。わかってないんで(笑)。
GM:では,ファリィちゃんは知らない男についていったと。彼に案内されたのは,ぽつんと一軒立ってる瀟洒な家だ。客は他に誰もいない。というか,こんなとこでホントに商売やってんのかって感じ。ノリとしてはビルの屋上に立ってるバーに近かったりして(笑)。
コロ:それ……怪しさ大爆発……。
ファリィ:それでもよくわかってません(笑)。
GM/若い男:「すまんが,このお嬢さんにパンとワインと,何か温まるものを。私はいつものでいい」
ファリィ:あ,あのぉ……。
GM/若い男:「これも何かの縁だしな。ご馳走というほどのものでもないが」
ファリィ:まあ,本当にご親切にしていただいて。
ネモ:……ますますナンパモード入ってないか?
シャイニー:ファリィ,酒はあんまり飲まないほうがいいぞ。
GM:外野うるさいぞ。出たかったら登場判定せーな。
ジュリアン:でもここは見ていた方が面白いよーな……。
GM:期待を裏切って悪いが,別にそういう雰囲気にはならない(笑)。男は無口です。しばらく黙々と食べるうち,思い出したように,「お嬢さん,旅の途中?」
ファリィ:ええ,こちらのご領主さまが,何やら,討伐隊なるものを募ってらっしゃると伺ったので,そのお手伝いにと司祭様に言いつかりまして。
GM/若い男:「貴女が討伐隊?」
ファリィ:別に戦うわけじゃなくて,治療とか,そういうお手伝いですけど。
GM:そんな話をしていると,ドアが乱暴に開かれて,いまいち人相悪げな男が2人入ってくる。おにーちゃんに何か耳打ち。
ネモ:(ひそひそ)これっていよいよ……。
シャイニー:(ひそひそ)売り飛ばされるぞ……。
GM:だから,何でだっつーねん。
ファリィ:(それでもおっとりと)お友達の方ですの?
GM:そう言うと,後から来た男たちの方がぎょっとしてあなたを見るけど,若い男は平然と,「いや,友達などというものじゃないがね」と言って席をたつ。同時に,男たちが,やたらゴツイ剣を彼に手渡す。「それじゃお嬢さん,夜道にお気をつけて。気にしないで食べていてかまわんから」
ファリィ:はい,本当にありがとうございました。ところでお名前伺ってもよろしいでしょうか?
GM/若い男:「名前? そうだな,ロアルドとでも名乗っておこうか」
シャイニー:……え?
ネモ:……でも,若いよな?
GM:そうだね,20いくかいかないか。
シャイニー:ロアルドさんは10年前に20ちょっと前だったけど……。
ファリィ:(←全く頓着せず)私はファリィ・フローと申します。あなたに神のご加護がありますよう,心からお祈りさせていただきますわ。
GM:名乗られてしまったなぁ(笑)。ひとまずシーン変えとくか。他に出たい人? いないねー? ではシーン変えます。

 

SCENE 7(アクア・逆位置)


GM:では全員で領主さんのお屋敷に向かう,とゆーことでいいんだろうか?
一同:はーい。
GM:ではそゆことで。シーン・プレイヤーはシャイニーね。お屋敷は泊まった村から1時間ばかり歩いた山の中腹にあります。景色はとてもいいです。かなたに焼き払われた建物の残骸なんかが見えたりして,あれがかの鉱山だろうと。で,そうやってえっちらおっちら上っていると,質素な構えのお屋敷があって,門のところで冒険者らしい風体の男たちとすれ違うんだけど。
シャイニー:お仲間かもしれない。会釈しておこう。
ネモ:それ,人相風体どんなもんよ?
GM:シャイニーの「お仲間」というにはちょっとアレかも(笑)。さて,お屋敷に入ると,執事の……セバスチャンが出迎えてくれます。
ジュリアン:やっぱ執事はセバスチャン?
GM:別にパーカーでも山岡でもいいんだけどさ。字数少ないからパーカーにするか(←いいかげん)。「何のご用でしょうかな?」
ジュリアン:何でも討伐隊を募ってらっしゃるとか。
ネモ:同じく。
コロ:さらに同じく〜。
ファリィ:私は司祭様のお言いつけですわ。
GM/パーカー:「ああ,ファリィ様のことは伺っておりますとも。ただいま主人を呼んで参りますので,少々お待ち下さいませ」
シャイニー:…………。
コロ:どったの?
シャイニー:いやぁ,口をはさみ損ねたな,と(笑)。とにかく,本人が現れるのを待とう。
GM:はあ。では現れたのは,ネモが似顔絵で見たのと同じ顔で,さらにファリィがご飯おごってもらった人と同じ顔。シャイニーの記憶にある顔とも同じ。
一同:……あら?
GM:20歳くらいで,金髪色白,いかにも文弱の貴公子っぽいカンジ。
ファリィ:ゆうべの方は,別にそーゆー感じじゃありませんでしたよね?
GM:いかにも,ではなかった。なんせこっちの兄さん,何故か車椅子に乗ってるし。
ネモ:(のプレイヤー)車椅子……ってあったかなあ,この時代。
GM:車輪が発明されてりゃおっけーじゃないの? タイヤゴムにしろとは言ってないしさ。ダメなら杖でもいいよ。そしたらかわゆいメイドさんを付き添いにだしてやる。
コロ:メイドさんつーと,やっぱエプロンドレスにヘッドセットなアレ。
ネモ:なんかコイツの本性が見えた気がするぞ。
GM/ハンス:「ししょー,うらやましいっすねー……」(笑)
ジュリアン:何を言う。天慧院に復讐するまで,あんなもんは修行の邪魔だ!
GM/ハンス:「ししょーこそ何言ってんすか。今メイドさんは靴下だけでもマニアに高く売れる時代なんですよ」
ジュリアン:むっ……ハンス,おまえなかなか知恵をつけたな。
シャイニー:ちょっと待たんかい。それ聞こえるように言ってんの?
GM:ハンスは言うよ。こいつバカだから(笑)。ジュリアンは……
ジュリアン:バカじゃないですよ。でも言うけど(笑)。
シャイニー:(呆れて)君たち……ここに何しに来たのかね?
GM&ジュリアン:金もうけに(笑)。
ファリィ:(マイペースに)あぁ,ロアルドさん。昨日はどうもありがとうございました。
GM/領主さん:「は?」
ファリィ:えー,昨日夕食をご馳走になったものですが……。
GM/領主さん:「すみません,覚えがないんですが」
ファリィ:あら?
シャイニー:失礼ですが,あなたはロアルドさんでは?
GM/領主さん:「いや,私の名はアロイスですが」
ファリィ:そう言えば昨日の方はふつーに歩いていらしたけど……。
ネモ:待て。そゆこと口に出すんかい。
コロ:【知性】7のワタシでさえ黙っていたことを!
ネモ:マーテルだろ! 司祭だろ!
ファリィ:(慌てて)頭の中で思ったということでっ。
GM/領主さん:「(苦笑ぎみ)別にかまいませんが,どうもあなたがたは人違いをされているようだ」
シャイニー:ではロアルドさんは……。
GM/アロイス:「兄です」
ファリィ:双子のお兄さん?
GM/アロイス:「いえ? 私より10近く上ですよ。どうして双子だと?」
ネモ:……とりあえず,この人はあんたらが探してたのとは別人らしいな?
シャイニー:どうやらそうらしい。(アロイスに)私は10年前,兄君に命を救っていただいた者です。このたびご恩返しができれば,と思って参ったのですが……。
GM/アロイス:「10年……そうか,10年か……(遠い目)」
シャイニー:……ロアルド様は今,どちらに?
GM/アロイス:「え? ああ,私も存じません。前から放浪癖があったんですが,数ヶ月前ふらりと旅にでていって,それきり音沙汰がないもので」
ネモ:盗賊が出始めたころと合うよな。
シャイニー:それは? 聞こえるように言ってる?(笑)
ネモ:まさか(笑)。そ知らぬ顔でアロイスに言います。ところで話は変わるが,あなたが討伐隊を募ってると聞いたんだが。
GM/アロイス:「ええ。あなたがたも?」
ネモ:まあ,そんなところだ。
GM/アロイス:「そうですか。では,実務的な話はパーカーと」で,パーカーさん登場。えーと,いきなり報酬の話に入っちゃっていい? ひとり頭5フローリンで,成功したら5。合わせて10。
ネモ:そんなもんじゃないのか。
シャイニー:(いきなり)いえ! 我々腕は未熟ですが,熱い魂を持っております! そうだな,みんな!?
ジュリアン&コロ&ハンス:(ネモが何か言いかけるより早く)おー!!
ネモ:おーい。
シャイニー:盗賊なんて怖くないな!
ジュリアン&コロ&ハンス:おー!!
シャイニー:と,いうわけで謝礼などはとんでもない。是非正義のために働かせていただきます! そうだな,みんな!
一同:…………。
シャイニー:何故そこで黙る(笑)。
ジュリアン:いや,タダ働きは私の主義に反する。
コロ:おにいちゃん,タダ働きは……。
ネモ:断じて却下だ(笑)。
GM/アロイス:「えーと……」
ファリィ:(おっとりと)私は司祭様に言われてきておりますので,お金は結構ですよ。
シャイニー:私も結構です。これはご恩返しですので。
GM/アロイス:「はあ,それでは余った10フローリンは……」
コロ:素直に引っ込めとけば?
GM/ハンス:「あ,僕がいただいてもいいっすか?」
ジュリアン:どげし。
GM/ハンス:「はうっ!」(一同笑)
ジュリアン:(ふと)……あのさぁ。エキストラってどれくらい強いの?
シャイニー:強い,というか,ただの一般人だから。
ネモ:今俺がここで「殺す」と宣言したら死んじゃうレベル(笑)。
ジュリアン:シャイニーのお供の騎士も?
GM:もちろん。騎士だけどエキストラだから。「殺す」といえば瞬殺できます(笑)。
ジュリアン:1対エキストラ1万人でも?
GM:何か間違ってる気するけど,それがルールだからなぁ。
ジュリアン:(しばし考え込んだあとで)ハンス,やっぱおまえがもらっとけ。
一同:(爆笑)
GM:い,今なんかスゴク不穏なものを感じたんだけど?
コロ:死ぬ前に少しはイイ目をみせてやろうみたいな(笑)。
シャイニー:それで死んだらもらうモンはもらってやるみたいな(笑)。
GM/ハンス:(袋をしっかと抱えるポーズ)「え,いやししょー,僕ここで銃後の守りを固めてますんで!」
ジュリアン:死ぬなら戦って死のうとか思わんのか。
GM/ハンス:「思えませんよぉ。ししょーは僕を殺す気ですか!」
ジュリアン:ははは,今のはもちろん冗談だとも(と,袋を取り上げるポーズ)。
シャイニー:(その袋をさらに取り上げるポーズ)と,いうわけでこれはこのままお納めください,アロイスさん。
ネモ:てゆーか,ファリィとシャイニーがもらっとけって。かえって話が混乱するから(笑)。

 

SCENE 8 (レクス・逆位置)


GM:[鎖]の数申告してねー。シーン・プレイヤーはコロ。他は全員登場でいいですね?
一同:はーい。
コロ:えーと,盗賊さんたちについても少し情報ください。まず,規模はどれくらい?
GM:50人ばかしいっせいにやって来て,鉱山襲って,さっとひきあげて行ったらしいよ。
ネモ:それ,めちゃくちゃ大規模じゃないか?
GM:大規模ですね。しかも統率がとれてる。鉱山を襲うだけ襲って,麓の森とかに消えてゆく。ちなみに近隣の村に全く被害はない。
コロ:ホントに鉱山だけ?
GM:そうなりますな。
コロ:じゃ,盗賊の秘密基地とかも全然わかんないの?
GM/アロイス:「秘密基地があるかどうかは謎ですが(笑),彼らが去って行った方向などを探索はさせておりました。しかし,成果のほうは……」
ネモ:ところでひとつ訊いていい? 例のドラゴンが出たってのは,その鉱山?
GM:えーと,本格的に発掘が始められたのは龍退治の後です。いい鉱脈があるってのは昔から知られてたんだけど,ドラゴンが邪魔で掘りに行けなかったのね。それでグレイド卿が龍退治して,鉱山ひらいて,10年かけて発展してきたわけだけど,ここにきて盗賊に襲われた,と。おっけー?
ジュリアン:何の鉱山?
GM:ごめん,あんまり決めてないや。そうだな,デクストラに必要な火薬の材料とか……。
ジュリアン:硝石に硫黄?
GM:そっかな。そんなもんかな。
ジュリアン:ついでに宝石とかどうです?
コロ:硝石に硫黄に宝石?(笑)
ネモ:さすがファンタジー世界。もうムチャクチャ(笑)。
ジュリアン:(うっとりと)金もうけが私を呼んでいる……。
GM/アロイス:「それはともかく(笑),あなたがたにも調査に出ていただこうと思っております」
コロ:他にもいるの?
GM/アロイス:「ええ,まあ,あなたがたと同じように雇われた人たちです。私はそちらのお嬢さんが言われたように,自分では動き回れないので」(笑)
ファリィ:あう。す,すみませんですぅ。
GM/アロイス:「失礼。冗談が過ぎましたね。とにかく,私はこのような形でしか協力できませんが,鉱山や,ひいてはこの村が荒らされるのを放っておくわけにはいきません。みなさんには,くれぐれもよろしくお願いしたい」
ファリィ:もちろんですわ。私にできることなら何でもいたします。
コロ:ところでマスター,今何時くらい?
GM:お昼くらいかな。何時ごろ動くかは自分たちで決めて。で,そうしてると,門のところですれ違った冒険者が入ってくる。ちなみに2人ね。で,「(たどたどしく)え,えーと,あ,アロイスさま,例の調べはつきましたぜ。ヤツらは夕方ぐらい,鉱山に戻ってきて,もう一度めぼしいものが残ってないかどうか探すそうで,ええ。そういうことです」
一同:…………。
コロ:激しくアヤシイんですけど。
ネモ:こーゆーのって何?〈知覚〉でいい?
GM:いいんではないでしょうか。じゃあ全員〈知覚〉で判定してください。
シャイニー:私はいいです。こういうしゃべり方する人なんだなぁと思ってるから(笑)。
ネモ:お坊ちゃまはほっといて,2です。
GM:ん? なんかあからさまに怪しいなぁこいつら。しかも人相悪いし。でも冒険者には人相悪い人なんていくらでもいるしね,みたいなぁ?(笑)
ファリィ:アロイスさんは?
GM:やっぱり疑わしそうにしてる(笑)。
ネモ:……よし。おまえら,そこへ案内してもらおうか。
GM/冒険者たち:「ええっ?」
コロ:あ,そーだね。あたしたち,場所全然知らないしね。
GM/冒険者たち:(一瞬の間)「……は,はい。喜んでご案内させていただきますんで,へえ」
ジュリアン:少しは戦力にもなるんだろう?
GM/冒険者たち:「へえ,それなりには……なあ,A?」「おう,そうだとも,B!」(笑)
一同:(爆笑)
ジュリアン:A・Bですか……弾除けぐらいにしかならなそう……。
コロ:(無言でジュリアンをどつく)と,ゆーわけなので,よろしくねAさんもBさんも。
GM/A:「へ,へえ。そーゆーわけで今から案内しますので」

 

SCENE 9(グラディウス・逆位置)


ネモ:マスター,逆位置多いって(泣)。
GM:(無視)シーン・プレイヤーはシャイニーです。さて,みなさん鉱山に向けて出発してよいものかね? シャイニー何か言うことないの?
シャイニー:だってロアルドさんいないんでしょ。
GM:うん。
シャイニー:じゃ,「ロアルドさんのかわりに,この地は俺が護る!」とか拳固めて叫んでます。屋根の上で。
一同:何故。
シャイニー:何故と言われてもねえ。よっこらしょと(降りる)……さ,みんな行こうか。
一同:…………。
ファリィ:(何事もなかったように)では,出発しましょう。
GM:どういう風に行くかとか,そっちが決めてよ。
シャイニー:そりゃ正攻法で,突撃しかないだろう。
一同:…………。
ネモ:……そのへんはおいおい考えていこう。とりあえず,人気のないところまで来たら……(GMに目配せ)。
GM:夕方で,山道ですねえ。A・Bは前を歩いてますが。
ネモ:2人を地面に引き倒して,首筋にダガーをあてる。
GM/A・B:「うぎゃぁ,何をするんだぁ!」
コロ:どーしたの,おにいちゃん!
ネモ:(構わず)おい,おまえらのアジトを吐いてもらおうか?
GM/A:「へ? な,何のことっすか?」
ネモ:何もこんな寂しいところで消されたくないよな?
GM:〈自我〉の判定……はあっ! エキストラじゃサイコロすら振れやしねえ!
ネモ:トループですらなかったか(笑)。
GM/A:「わ,わかったよ。アジトはあそこの(と指差すポーズ)森ン中にあるんだ」
ネモ:おまえらのボスは? 何者だ?
GM/A:「知らねえ! 本当だってば!」
コロ:知らないって,どーして?
ファリィ:会ったことがないわけじゃありませんよねえ。
GM/A:「会ったことはあるが,名前は知らねえ。黒い鎧着て,ゴツイ剣持った金髪の……」
シャイニー:もしかして,アロイスさんによく似た人か? 
GM/A:「そ,そうだ。雰囲気は違うけどよ」
ファリィ:その方……ロアルドさんじゃありませんか?
GM/A:「え? そ,そう言えば誰かがそんな風に呼んでたような……」
ジュリアン:名前知ってるじゃねえか。嘘はいかんぞ。
GM/A:「いや,別に今のは嘘ついたわけじゃ……な,なあ,俺らをどうするつもりなんだよぉ」
ジュリアン:そうだな。どうしよう。
ネモ:……どんな死に方がいい?
GM/A・B:「うにゃああああああぁ!!」
シャイニー:待て待て。それは止めてやろう。いくらなんでも非道だぞ君たち。
ジュリアン:うむ,俺も鬼じゃない。有金おいていけば許してやるぞ。
GM/A:「へ? 金っすか? 俺金ないっすよ」
ジュリアン:そうか? 嘘ついたら許さんぞ。ほれ,ジャンプしてみろ。
シャイニー:やめんかい(どつく)。
ファリィ:とりあえず武器はとりあげて,案内は続けていただくしかないんじゃありません?
ネモ:よし。アジトの場所を偽ったら即座に殺すぞ。
ジュリアン:まあアレだ。運が悪かったと思って諦めろ。
GM:……思いっきり悪人やな君ら。ま,ひんひん泣いているA・Bくんの道案内で辿りついたのは,森の中の一軒の家ですね。少し開けた場所に建っています。煙突からは煙が漏れていて,灯りもついている。どうやら人がいるらしい。さて。ここで〈知覚〉判定をしてもらおうか?(にやにや)
ネモ:俺の4が一番低いですが。
GM:成功した人は全員気づいていいよ。周りに人の気配がするなー。
ネモ:……いきなり開けた場所にでるような愚はおかさないはずですが……。
ジュリアン:(いきなり)隠れてないで出てこい!
コロ:こらーっ!(笑)
ネモ:それ言うのか? マジか!?
ジュリアン:言うよ。俺自信たっぷりだもん(オオイバリ)。
GM:(苦笑)そしたら,「ずいぶんと自信があるんだな?」という声とともに,黒い鎧を着た男が姿を現す。顔はアロイスさんと全く同じ。ただちゃんと自分の足で立っていて,鎧も剣も凶悪そうだが。
コロ:え? えー,でもお兄さんは10歳くらい上だって……。
GM/男:(冷笑)「それは何の話だ?」
コロ:え,えー?
ファリィ:ロアルドさんですか?
GM/男:「……ああ,あの時のお嬢さんか」
ファリィ:あの時は本当に嬉しかったですわ。だからこそこういう形でお会いしたくありませんでしたけど……。
シャイニー:…………。
GM/男:「まあ,そういうこともあるさ。ところで,その間抜けな部下たちを放してもらっていいかな?」
ジュリアン:ん? 俺はいいと思うけど。
シャイニー:ロアルドさんの方に向けて蹴り出す。
ネモ:おいおい,一応人質なんだが……。
シャイニー:俺は人質をとるような闘い方はしたくない。
ジュリアン:大丈夫だ,俺は勝てる自信があるぞ。
ネモ:おまえらなぁ。
ファリィ:……ネモさん,はっきり申し上げてしまうとですね。
ネモ:ん?
ファリィ:人質になるんでしょうかこの方たち?
GM:その意見が一番正しい。
一同:(爆笑)
GM:だってなあ,下っ端なんだもん。かわいそうだから解放してあげて(笑)。
ネモ:(頭を抱えている)じゃ,そーゆーことで……。
ジュリアン:それじゃ,こっちからもひとつ訊かせてもらおう。鉱山を焼き払うなんて,ずいぶん効率の悪い真似をするんだな。何故だ。
GM:…………。
ジュリアン:どーしました?
GM:……いやぁ,誰もそれに突っ込んでくれないなぁ,と思ってたんだよな……。
ネモ:マスターごめん。俺,鉱山焼き払ったのドラゴンだと思ってた(笑)。
GM:なるほど。でもドラゴンはばっきり死んでるんだよ。
ジュリアン:と,いうわけで,改めて。何故だ。
GM/男:「こっちにはこっちの事情があるのさ。(遠い目)そう……あのドラゴンが死んでから10年たった。今では懐かしい思い出にすぎんな」
シャイニー:待ってください。あなたは10年前のことを知ってるんですか?
GM/男:「さぁ,どうだろうな……」
シャイニー:あの時私を助けてくれたロアルドさんですか? そうなんですね?
GM:男は答えない。さて,前哨戦として,てしたーず20人ばかりに襲いかからせてもらうが,よいだろうか?

 

SCENE 10 (ステラ・正位置)


ネモ:これ対決ステージでは……。
GM:んにゃ,それはまだ。では,周りを取り囲んでいる男たちなんだが,ファリィが昨日見た顔もいる。アロイスの屋敷の前ですれ違った奴らもいる。
ジュリアン:まだエンゲージはしてないんだよな……じゃあ《煉獄》。(ころころ)クリティカル。
GM:でねえよそんなん(笑)。ダメージどうぞ。
ジュリアン:よし,Cの10点!
GM:いっきに半分削れたじゃねーか(泣)。
シャイニー:マスター,悪いんだけどさ。魔法のクリティカルって,ダメージダイスが2倍なのね。
ジュリアン:と,いうことは?
シャイニー:もいっこダイス振って。
ジュリアン:4。ということはCの14点だな。
GM:……(しくしく)。
コロ:エンゲージ。
ネモ:同じく。
ファリィ:それではシャイニーさんに《光の翼》を……。
シャイニー:コロかネモにして。私はこのターン,エンゲージして終わりだから。
ファリィ:じゃ,コロさんに。成功です。
GM:じゃ,こっちの攻撃かなぁ。エンゲージしてるのってネモとコロ?《旋風撃》だけ重ねさせてもらおうか。一応,当たるとでかいぞ。コロに攻撃。(ころころ)9。
コロ:普通に回避しまぁす。(ころころ)5で避けた。
GM:ちなみにお兄さんは酷薄な笑みを浮かべつつ見てるだけ。では,2ndアクションを宣言する人ー。
コロ:《縮地》《鉄拳》で攻撃。8以下。(ころころ)3で成功。
GM:それは終わったな,というんだよな……ダメージください。
コロ:Cで13点でーす。
GM:うむ,あっさり全滅したな。A・Bはまだ転がってるだけなんよな。では,無視してお待ちかねの大ボスをださせていただこうか。
ネモ:待ってない待ってない。
GM:(無視)転がるてしたーずの死体を横目に,「ま,こんなものだよな……」とゆっくり男が歩み出てくる。
ジュリアン:おまえも同じ目に遭いたいのか?
GM/ロアルド:「ほぉ,たいした自信だな。しかし,私はそう簡単には死なんぞ」
ネモ:単純暴力でなら,いくらでも殺しようがあるんだろ?
GM/ロアルド:「……ふむ。君はどうやら私の秘密に気づいているようだ。さては君もご同類というわけかな?」
ネモ:さて,な。
シャイニー:あのぉ,今の会話プレイヤーレベルではわかってるんですが,キャラクターとしては……(笑)。
ジュリアン:こっちはプレイヤーレベルでもわかりません(笑)。
GM:え? この場合,説明はネモがしてよ。
ネモ:……いわゆる[不死者]というヤツだな。殺されるまで,年をとることも死ぬこともない。
コロ:おにいちゃん,その同類だったの?
ネモ:何を言う。俺はぴちぴちの19歳だぞ。
コロ:そのわりには老けてるよね。
ネモ:やかましい。
シャイニー:ロアルドさん,私はあなたが何者だろうと興味はない。伺いたいのは理由です。あなたはこの地を愛しておられたはずだ。そのあなたが,どうしてこんなことを?
GM/ロアルド:「そうだな。私が龍に挑んだのは,生まれ育った村のためだった。今でもその想いに変わりはない」
シャイニー:だったら,何故……。
GM/ロアルド:「変わりないからこそ,とでも言っておこうか? これ以上は君たちに話すことは何もない。ただ,私にその聖痕を捧げてくれればよいのだ」
ネモ:まずい! ∵不可知∵使っとけばよかったっ!
GM:遅いよ〜ん♪(←嬉しそう)ちょうどいい具合に[鎖]がみんな開いてるしねー♪ 「捧げよ聖痕!! 今宵は殺戮の宴なり」というわけで,お待ちかねの[宴]判定のお時間でーす♪
ネモ:だから,待ってないつーに。
GM:やかましい。これもルールじゃ。というわけでみなさん,持ってる正位置の[鎖]ごとに【希望】判定ね。失敗した人は?
コロ&ジュリアン:1枚ひっくり返りましたー。
GM:ちっ,それだけか。
シャイニー:それだけかってねー。そもそも,マスターが逆位置だしまくるから,最初から逆位置のが多いの。
GM:あーい。では,対決ステージに入ります。