GM:では,シーン・プレイヤーはコロです。
ジュリアン:結局一緒に行動しちゃっていいんだろうか。
GM:いいんではないでしょうか。でもシャイニー様,食い扶持増えますね。
シャイニー:(鷹揚に)増えたといっても,たかが銀貨1枚か2枚のことだろう。
一同:おーっ(拍手)。
ジュリアン:一生ついていきます!
シャイニー:君に一生ついてこられても困るがね。ま,ラーヴァホーンまでは楽しくやっていこうじゃないか。
GM:そうこうしててると,ラーヴァホーンの麓の村に着きます。
ネモ:(手を挙げて)今登場判定していいの?
GM:何で?
ネモ:[鎖]欲しいから(笑)。
GM:じゃあこうしよう。村に着いて,宿をとったまでは一緒に行動。その後コロは……。
コロ:ご飯食べに行く。
GM:だ,そうだ。ちなみにここ,えらく寂れた村だ。建物とか,農地までほったらかしにされてるみたい。
シャイニー:人が鉱山の方にとられてるのか?
GM:そうかもしんない。でも,今鉱山が開店休業状態なんで,おっちゃんたちがまだ日の沈みきらないうちから酒くらってる。で,シーンはそういう酒場から。登場したい人は登場判定。これはしてもしなくても構わない。
ジュリアン:(ころころ)奢りの機会は逃さない。当然ついていく。
シャイニー:私は酒場に行く気はないんだが?
GM:そのへんは自分で宣言して。で,酒場なんだけど,少し年食った,30がらみの吟遊詩人がいて,ぱらぱらとまばらな拍手が起こっている。
「それでは,名高き勇者,龍殺しのグレイド卿のお話は,これくらいにいたしましょう」
頭を下げた彼に,気のない拍手がまばらに起こる。
この付近の住人なら,グレイド卿の武勇譚は誰でも知っている。いかな英雄といえど,すっかり聞き古された話に,好き好んで耳を傾ける者もない。
吟遊詩人は全く気にやむ風もなく,リュートをかき鳴らした。
「では次の曲……何かご希望はございますか?」
GM:と,言ってるんだけど,周囲の反応は鈍いね。
シャイニー:下手なの?
GM:上手だよ。ただなんつーか,パフォーマンスに欠けるんじゃないか。ぼんやりした感じだし。
コロ:えーとね,おにーさん。なんか楽しい曲。
GM/吟遊詩人:「そうですか。それでは少し毛色の変わった話をいたしましょうか。グレイド卿の一行に,この村で生まれ育った少年がいたのはご存知ですか」
コロ:ふるふる(と,首を横に振る)。
GM/吟遊詩人:「では,その話をいたしましょう」
今でこそ鉱山として栄えているが,龍が猛威を振るっていた頃,この辺りは貧しい農村地帯だった。
彼はそんなどこにでもある貧しい農家に生まれた。どこにでもいる普通の少年だった。彼は家族を,友人を,日々の生活を,そして何よりも,貧しくはあるが素朴で,美しい自然に囲まれた故郷を愛していた。
生まれながら貴族であり,騎士であったグレイド卿と,彼がどうやって知り合ったかは定かではない。伝え聞くところによると,彼はグレイド卿に懇願し,危険な山の道案内を買ってでたらしい。
……少女1人が大人しく耳を傾けるうち,酒場のドアが静かに開いた。
入ってきた身なりのいい若者は,その歌に軽く目を細めた。
シャイニー:(ころころ)登場判定に成功しました。
GM:あなたはその吟遊詩人に見覚えがあります。
シャイニー:アルさんですね。
GM:そうですね。ところで,彼はあなたが入ってきたのを横目に見て,ふつりと歌をやめてしまいます。「……では,本日はこのくらいにいたしましょう」
シャイニー:…………。
コロ:ねー,で,その人どーなったの?
GM/アル:「グレイド卿は首尾よく龍を倒され,少年も無事に生きて帰ることができました。グレイド卿は褒美として,この村を少年に与えたということですよ」
ジュリアン:それ,領主というより名主さんなんじゃ。
GM/そうとも言う。「領主」って言葉の正確な定義なんて訊かんでくれ(笑)。ちなみに,件の鉱山はここから少し離れているのよ。わかりづらくてすまんね。
ネモ:……こんな村じゃルナギルドはないよな。
GM:あったらそれはそれで嫌だなあ(笑)。
ネモ:じゃ,酒をちびちびやりながら,酒場のオヤジに訊く。盗賊に襲われてるって噂を聞いたんだが,今鉱山の方はどうなってるんだ。
GM/酒場のオヤジさん:「えらいことになってるよ。なんでも,すでに鉱夫連中の宿舎まで焼き払われちまったそうで,この村にも出稼ぎにいったヤツらが大勢戻ってきてるよ」
ネモ:領主が討伐隊を募っていると聞いたが……それじゃもう遅いんじゃないか?
GM/酒場のオヤジさん:「そうだね,グレイド卿が腰を上げなさるのが遅かったんだ。遠いところに住んでるお人だしね。でも,今盗賊を叩いておけば,また皆働けるようになるんじゃないかねえ」
ネモ:俺はこの通り旅の傭兵でな。その……アロイスとかいう領主のところに行けば雇ってくれるのか。
シャイニー:そこで割って入りまーす。(ネモに)ちょっと待ってくれ。ここのご領主はロアルドという名前じゃないのか。
ネモ:いや,俺はアロイスと聞いたが……。
GM/酒場のオヤジさん:「ああ,ロアルド様はアロイス様の兄上様で,前の領主様なんです」
シャイニー:そうか……それで,今ロアルド様は?
GM/酒場のオヤジさん:「さあ……数年前に跡目をお譲りなされた後は……」
シャイニー:…………。
ネモ:とりあえず,そのアロイスとやらのところに行ってみないか。弟なんだろ?
シャイニー:そうだな……。
GM:ちなみにコロ,アルさんはそのまま立ち去ろうとしてる。
コロ:お兄さん,お歌ありがとう。……別にシャイニーの知り合いだって知らないもんねえ。
GM:ですね(笑)。ちなみに,お金払ってないですな,君。
コロ:それはそれでらっきー。
GM:(苦笑)それでは,「優しいお嬢さん,よい夜を……」と気障ったらしく一礼して去って行こう。シーン変えます。
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