Exposition//His hero is a...
 

 

SCENE 1(アクシス・正位置)


GM:ではシャイニーのシーンからにしましょう。シャイニーって元は貴族だったんだよね。
シャイニー:です。しかしある人に助けられ,あるものを渡されて以来,自分の運命に気づいた,みたいなカンジで。
GM:そうですね。では,これは過去のシーンです。あなたはまだ7つの子供で,父親がつけた従者に連れられてとある辺境を旅していた。そのつもりで聞いてください。あなたたち一行は,ラーヴァホーンといわれる高峰に差し掛かった。辺りは岩だらけの険しい山です。
シャイニー:何でそんな山に登ったんでしょうね。
GM:実はその辺りには邪悪っつーか凶暴な龍が住んでいたのですよ(笑)。で,街道や麓の村を襲うもんで,旅人はわざわざ険しい山道を通らざるを得なかった。もちろん,その山道にもたまーに龍がやってきたりするわけですが。
シャイニー:で,しっかり襲われたと(笑)。
GM:そうそう。しかーし,丁度その時,グレイド卿という騎士が,龍退治に来ていたとゆー(笑)。
シャイニー:マスター,なんか説明が投げやり。
GM:この人は話に関係ないんで,適当に聞き流してちょ。

 龍の炎が幼いシャイニーを襲った時,その命を救ったのは,グレイド卿の従者と思われる金髪の若者だった。まだ二十歳に達してはいまい。他の一行に比べると貧しいありあわせの装備をつけていたが,顔立ちは凛々しく,戦意も盛んとみえる。
 彼がシャイニーを岩場の陰に連れていくと,そこへ同じ年くらいの吟遊詩人が駆け寄ってきた。
「アル,その子を安全な場所に」
 彼は吟遊詩人にシャイニーを託し,自らは闘いの場に赴こうとする。
「では,私はこの子と一緒に隠れていよう。ロアルド,君もこんなところで死んでは駄目だよ」
 ……シャイニーの記憶はそこで途切れている。気づいた時には麓の村。
 ベッドに寝かされていたシャイニーの傍らには,彼のものと思われる剣があった……。

シャイニー:彼は死んだんですか。
GM:それはどうでしょうね。では,現代に戻ります。今はどーしてるの?
シャイニー:とりあえず貴族の子息として,騎士団に入ろうと修行中でしょう。
GM:そんな時風の噂で聞いたんだけど。
シャイニー:はあ。
GM:ラーヴァホーンは,龍の脅威が去った今では,鉱山として栄えているらしい。が,どうも最近山賊に襲われているとか何とか。で,討伐隊を募っている辺り一帯の領主の名が,ロアルドというらしい。
シャイニー:まさか,あのロアルド様では……。こうしてはいられない。エキストラ数人連れて,支援に向かうぞ!
一同:おおーっ(拍手)。
GM:(ノリが良くて助かるなあ……)では,ここでシーンを変えます。

 

SCENE 2(デクストラ・正位置)


GM:デクストラか……じゃ,シーンプレイヤーはジュリアンね。
ジュリアン:ところでGM,うちの弟子は決めてくれましたか。
GM:ああん?(投げやりに)そーだなー,男で,まだローティーンで,情けなさそうに「し,ししょー!」みたいな感じで。
ジュリアン:そうですか。じゃ,名前はハンスにしましょう。
GM:(何故ハンス?)ところで,ジュリアンは未来がデクストラなのか……この時点で錬金術とかに興味はある?
ジュリアン:もちろんです。このキャラはですねえ,宮廷用のローブなんぞ持ってるくらいだから,元はかなり地位ある魔術師だったんです。ところが,俺様の才能を妬む奴らに追い出されて,それなら別のことで偉くなって見返してやろう!とか思ってるんですよ。だから全然OKっす。
GM:は,はあ……(すじが通ってるんだかいないんだか……)。
ネモ:それでロケットしか使えないあたり,すでに道を踏み外してませんか。
一同:(笑)
ジュリアン:(咳払い)ところでハンス,私に何か用か。
GM/ハンス:「ししょー,ラーヴァホーンって鉱山をご存知ありませんか?」
ジュリアン:さて,聞いたことはあるが。金になる話か。
GM/ハンス:「んーと,そこではデクストラなら垂涎ものの鉱物とかが安く手に入るそうですよ」
ジュリアン:ふーん?
GM/ハンス:「実は僕が今とりかかってる研究に,これこれこーゆー鉱物が必要なんですが,ししょー,一緒に採りに行きませんか?」
ジュリアン:なるほど,それを高く売りさばけば金になるか……。
GM/ハンス:「……自分の研究に使おうという気はないんでしょうか……」
ジュリアン:(無視)まあいいだろう。とりたてて用事もないしな。つきあってやるからありがたく思え。
GM/ハンス:「なんかめっちゃエラそうっすねししょー……」と,いうところでシーンを変えよう。

 

SCENE 3(コロナ・逆位置)


GM:シャイニーのシーンは終っちゃったよな。んじゃ……ファリィかな。逆位置で悪いが。司祭様がお呼びだべ。
ファリィ:ぱたぱたぱた……はぁい,お呼びでしょうかぁ〜。
GM/司祭:「何故貴女はいつも気の抜ける話し方をなさるんでしょう」
ファリィ:(のんびりと)いーえー,地ですからぁ。
GM/司祭:「そうですか。それでは話にはいりますけど」
ファリィ:で,お話ってなんですか?
GM/司祭:「実はですね,最近ラーヴァホーンという鉱山に,盗賊団が出没するって噂なのにゃ」
ファリィ:(あっさり)そうですかなのにゃ。
一同:……なんでやねん!
コロ:まさかここの教義では語尾に「にゃ」をつけなきゃならないとか……。
ジュリアン:つぶれてしまえそんな宗教!
GM:まあそれは冗談として(←実はGMとファリィのプレイヤーには,普段から語尾に「にゃ」をつけて話す悪癖があった),えーと,まずラーヴァホーンに鉱山があって,盗賊団に襲われてて,領主さんが討伐隊を募ってるってのはシャイニーの情報と一緒ね。
ファリィ:はい。
GM/司祭:「ファリィ,貴女は神のお導きに従い,善良なる人々の助けとならんことを望みます」
ファリィ:あのぉ……。
GM/司祭:「神のお導きです。なんぞ文句があるんかいワレ」(笑)
ファリィ:だからって1人で行けとおっしゃるんですか?
GM/司祭:「大丈夫です。神が貴女をお守りくださるでしょう」
ファリィ:その人事を全く尽くさず天命だけ待てみたいなのやめてください。
GM/司祭:「とゆーか,私からアロイス卿にあてて,紹介状を書きました。貴女に討伐隊のお手伝いが出来るよう,アロイス卿がお取り計らいくださるでしょう。それと,私の代理を務める証として,このホーリーシンボルを貸しておきましょう」
ファリィ:わかりました。それでは,お馬さんに乗って出発します。

 

SCENE 4(マーテル・正位置)


G M:なんでさっきから終った人のアルカナばっかでるかな。まあいいや。それではシーンカードがマーテルなのに何故か暗殺者ギルドから始まったりして(一同笑)。仕事ですよネモさん。あ,コロちゃんはちょっと待っててね。ギルドから出たら登場していいから。
コロ:(歌っている)たーいくつだなー♪ たーいくつーだなー♪
ネモ:何か適当に食っとれ!
GM:ちなみに今,お兄さんにはお金がないのね。
ネモ:こいつがめちゃくちゃ食いまくるんだよ。
GM:さて,ギルドの元締め曰く,「風の噂で聞いたんだが,オマエさん,今金に困ってるんだってな」
ネモ:(冷たく)そんなのを風の噂にしてるあたり,ヒマなんだなおまえら。
GM/ギルドの元締め:「ふん……。ラーヴァホーンって鉱山,聞いたことがあるか?」
ネモ:数年前から急に発展しだした鉱山だな。近頃盗賊団がはびこってて,あそこの領主が討伐隊を出すとかなんとか。
GM/ギルドの元締め:「それだけ知ってりゃ十分だ。今回頼みたいのは,コレなんだがな」と言って,元締めが出してきたのは,1枚の似顔絵です。色白金髪,20歳前後,わりと優男風だ。「名前はアロイス。件の領主だ」
ネモ:(黙ってころころ)……覚えてないな(←「忘却」で因縁を持っていた)。
GM:でも,なんとなく見覚えがあるんだね。顔にも名前にも。
ネモ:で? こいつをどうしろって?
GM/ギルドの元締め:「んなこたぁ訊くな。決まってんだろ」
ネモ:いくら?
GM/ギルドの元締め:「20かな。そのうち前金が10だ」
ネモ:鉱山持ってる領主だろう。安すぎないか。
GM/ギルドの元締め:「鉱山を所有してるのはグレイドって大貴族だ。アロイスってな,その領地の中で,あの辺りの村とかを納めてるだけの貧乏領主だよ」
ネモ:それ,なんでアロイスが討伐隊だしてんですか?
GM:その金出してんのはグレイド卿。当人は本拠地が山越えた向こうなんで,兵を出すのが大変なの。「どれくらいの傭兵を募るか知らんが,直轄の兵自体はホントにごくわずかだ。おまえさんなら軽いこったろう」
ネモ:……ま,いいだろう。
ファリィ:あのぉ,理由は訊かないでいいんですか? 
ネモ:訊いてどうする?
GM/ギルドの元締め:「ホントかどうかは知らんが,一応頭に入れておいてくれ。依頼人曰く,表立っては討伐隊なんて集めてるが,そもそもアロイスって野郎が盗賊団の首領だってコトだそうだ」
ネモ:話半分に聞いておこう。とにかく依頼は受けた。
GM:ではそゆことで。ここからネモがどう動くかにもよるけど,他の人登場しておっけーですよ。
ネモ:ひとまず宿屋に戻るかな。コロ待たしてるし。
コロ:(登場判定)わーい,おにーちゃん!
ネモ:……コロ,俺はこれから別の街に行くからな。
コロ:今から?
ネモ:とりあえず飯食ってからだが……。
コロ:わぁい,ごはんだごはんだ♪
ネモ:適当に食っとけと言ったろう。何も食ってないのか?
コロ:えー,だってお金全然ないんだもん。
ジュリアン:(唐突に)こら,もっと安い飯を頼まんか!(←登場判定に成功したらしい)
GM/ハンス:「えーっ,いいじゃないっすかこれくらい」
ジュリアン:バカモン! 俺が子供のころはだな,その辺の草食って,木の根を茹でて食べてたんだぞ!
GM/ハンス:「知ってますよぉ,ししょー特製,雑草サラダに木の根のスープでしょ? 聞き飽きましたよその話は」
ジュリアン:で,ハンスをぶん殴っておかずを横取りしつつ,「ん?」とネモの方を向く。
ネモ:…………。
ジュリアン:(ころころ)おお,なんだ,ネモじゃないか。久しぶりだな。こんなところで何をしてるんだ?
ネモ:そういうおまえは?
ジュリアン:俺か? 俺は気ままな旅ぐらしだ。今回は金儲けのために鉱山に行こうと思ってな。
ネモ:……鉱山?
コロ:(横から)おじさーん,これとこれとこれとこれとこれとこれ!(笑)
GM/ハンス:「……ししょー,ボクもお腹すきましたぁ……」
ジュリアン:バカモン,きさまの分はさっき食わしたろうが!
コロ:(ハンスに)食べる?
GM/ハンス:「ううっ,ありがとうございますぅ〜」
ネモ:待て。それが俺の金だということを認識してるか?
コロ:知力7(一同爆笑)。
GM/ハンス:「お,おかわり」(笑)
ファリィ:(ころころ)そこへ登場しまぁす。ジュリアンさんを見て,おや?
ジュリアン:ばたばたやってる。(しらじらしい声で)いやぁ,すまんな,こいつの分までおごってもらって。
ネモ:俺,金ないんだけどな。
ジュリアン:俺もだ。気が合うな。
ファリィ:あのぉ……。
ジュリアン:こらハンス! まだ食う気か!
GM/ハンス:「だってコロさんがこれも食べていいって……」
ジュリアン:少しは遠慮せんか! というか俺に持ってこい!
ネモ:おい。
ファリィ:あのぉ……。
コロ:おじさん,これもう1皿!(笑)
GM/ハンス:「わかりましたよ,じゃあこちらがししょーで,こちらがボクの分」
ジュリアン:うむ。よかろう。
コロ:あー,それあたしが頼んだのにー!
GM/ハンス:「あ,すいません。(声を張り上げて)すいませーん,同じのもう1皿お願いしまーす!」(笑)
ファリィ:(根気よく)あのぉ……。
ジュリアン:(←やっと気づいたらしい)ん? なんだ?
ファリィ:あのぉ,どこかでお会いしたことありませんか?
ジュリアン:ん?(ころころ)いやあ全然見覚えないんだが(笑)。
ファリィ:(のんびりと)そーですかぁ。えーと,私もちゃんと覚えてるわけじゃないんですが,あなたの顔はどこかで見たような気がするなぁ,と漠然と思いついたものですから〜。
ジュリアン:でも神官と縁ないしなぁ俺。
ファリィ:んー,でも,どこかで見たことあるような気がするんですが……。
ネモ:(さえぎって)ここで逢ったのも何かの縁だろう。とにかくお嬢さん……。
ジュリアン:こいつが食事をおごってくれるそうだ。
ネモ:おい!
ファリィ:まぁご親切に。それではお言葉に甘えますわ(笑)。
GM/ハンス:「あ,スペシャルデラックスランチ3人前お願いしまーす!」
コロ:こっち5人前ねー!(爆笑)
ネモ:おまえら……。
シャイニー:(いきなり)おお,これはうまそうだ。
GM:と,今度はやたら身なりのいい兄ちゃんが登場したわけね?(とゆーか,登場判定を何と心得とるんだこいつら……?)
シャイニー:皆の者! これからここで食事にしよう! もうじきにラーヴァホーンだ,好きなだけ食って精をつけておけよ!(笑)
GM:ところで何人いるんです?
シャイニー:決めてなかったなぁ。(D20を振って)は? 3人?
コロ:それ「皆の者」って人数ちゃうし(笑)。
GM:地方貴族でしかも長男じゃないし,加えて完全に個人的な理由で兵動かしてるからなあ。
シャイニー:まあいい。それではスペシャルデラックスランチを4人前,それにワインを2瓶頼む。いくらでも追加注文していいからな。(向き直って)おや? そこにおられるのはファリィさんでは?
ファリィ:(ころころ)あらぁ,シャイニーさんじゃないですかぁ。
シャイニー:奇遇ですね。今は神殿で修行なさっていたのでは?
ファリィ:いえ,これも修行の一環なんです〜。司祭さまのお言い付けで,アロイス卿とかいう領主様のお手伝いをしに行くんですわ。
シャイニー:(GMに)アロイスという名前は知らないんですよね?
GM:知らないね。
シャイニー:そうですか。私はこれから昔ご恩を受けた方のところへ応援に行こうと思っているのですが……。

 と,いうわけでちょっと端折りに入る(笑)。
 ここでネモがまとめに入り(笑),一行は結局連れ立ってラーヴァホーンへ向かうことに。ちなみに,ラーヴァホーンの領主はロアルドか? アロイスか?ということだけど,各プレイヤーが意図して固有名詞を出さなかったため,キャラクターとしては何の疑問も抱いていない,はず。
 かくして,その宿で一夜を過ごし,出発。
 その間ネモの所持金がどれだけへずられたかは,GMも計算していない(笑)。

GM:えーと,ここらでシーン変えていいかな。
ネモ:是非変えてください(涙)。