Opening Phase //Death of the Living Dead//


SCENE 0

 学校。
 トーキョーN◎VA――この混沌の都市にもこんな小世界がある。ここが都市、仮にも現代の文明都市である以上、それは当たり前のことであるはずなのだが、
 ――何故大人は、そのことをすぐ忘れてしまうのだろう?

 例えばこんな雨の日、僕はふと思う。
 僕もいつか忘れるだろうか。
 大切な僕の世界。
 騒がしい街から切り離された世界。静かで、穏やかで、何より安全な場所。
 それからこの退屈。この倦怠。この憂鬱。この焦燥。

 ……どうして僕はここにいるのだろう。


SCENE 1 (ハイランダー)

RL:かくして運命の扉は開かれた……と。シーンカードはハイランダー。政臣のシーンです。学校は?
政臣:今日も今日とて重役出勤〜♪
RL:じゃあ仲間と軽く流してるということで。
政臣:んん〜? でもたまには学校でなきゃならないからな〜。今日はこのまま学校行くかあ。
RL:とか言ってもうお昼すぎですが。
政臣:学校行く気があるだけ進歩だもんで。
RL:はあ(笑)。じゃ、そうやって走っていると、いきなりあなたの横を、すごい勢いでバイクが通り過ぎていきます。
政臣:は?
RL:さっきまで一緒に流してた仲間の1人。名前は亮太。それが加速して、明らかに無茶な速度でコーナリング、勢いあまってフェンスに突っ込んでいく。
政臣:止め……。
RL:無理ですね。爆発炎上が起きます。
政臣:……助からなさそう?
RL:無理じゃないかな、とあなたの理性は言う。感情はどうか知らんが。
政臣:とりあえず自分のバイクに急ブレーキ。降りて、炎の中に突っ込んでいきます。(ふと)……あれ? あ、ごめん。元力何にするか決めてなかったわ(笑)。
RL:こらこら(笑)。
政臣:風使いか火走りにしようと思ってたんだけど、火走りでいい? この際だから。
RL:まあその方がかっこいいから認めよう。では、燃え盛る炎はあなたの身体を傷つけることはない。その中で亮太がゆっくりと起きあがる。で、首が明らかにありえない方向に捻じ曲がっていたりする。
政臣:おまえ……ゾンビだったのか。
一同:「だったのか」じゃない!(笑)
RL:そゆこと冷静に言わんでください。
政臣:はは、今のはプレイヤーのボケですんで(笑)。じゃあそのまま駆けよっていくが……亮太は燃えてないんですか?
RL:火がついてじりじり焦げてる。で、燃えながらケタケタ笑ってる。
政臣:肩を掴んで火を振り払ってみるが……。
RL:首ががくがくと変な方向に曲がる。その目は虚ろで何も見ていない。
政臣:え、えっと……。
RL:では、君に襲いかかってくる。
政臣:(冷静に)かかってくるな。
一同:(笑)
RL:いやかかってくるなと言われても困るんだけど。そうだなあ……じゃあ「電波が来るよぅ電波が!」(一同爆笑)
政臣:来ねえよそんなもん!
RL:一応【感情】で制御判定を。
政臣:成功。
RL:じゃあ冷静にその状況を見据えることができるな。
政臣:いやあ、プレイヤーが混乱しとるんで(笑)。うーん、じゃあ「亮太、おまえ一体俺をどうしようってんだ」
RL:ゲタゲタ笑ってます。
政臣:こ、この……よしわかった。殴ってみよう。
RL:殴ってどうする(笑)。
政臣:じゃあ羽交い締めにしてひきずっていって、後部座席にくくりつける。
RL:それもどーかと思うが……まあいいでしょう。
政臣:ひとまず病院。
RL:走りだしていいですが、そこで〈知覚〉判定を。
政臣:【理性】で16。
RL/亮太:(弱々しく)「……が、学校……」
政臣:ん? ……学校がどうした?
RL/亮太:「フェザー……」
政臣:フェザー?
RL/亮太:「…………」
政臣:フェザーって何?
RL/亮太:「…………」
政臣:フェザーが何だ、フェザーが。他に言うことはないか?
RL:すると、その身体が急速に治っていきます。首が曲がってたのもびきっと元に戻る。
政臣:(考えて)いい。そのまま走る。
RL:いきなり強い力でがっと君の腕を掴む。何かを訴えかけるように。
政臣:走りながら、目線だけでふり返る。
RL:あり得ないことだが、目が正気に戻っている。
政臣:……また目線を前に戻す。で、彼を見ないまま「学校。フェザー。その次は何だ?」と。
RL/亮太:「政臣……すまない……」
政臣:俺に謝らなくていいから。その次は何だ、その次は?
RL/亮太:「…………」
政臣:何で俺に謝る必要があるんだ。そういうのは嫌なんだよ。それより言いたいことを言え。
RL/亮太:「……手、出しちまった……」
政臣:何に?
RL:そこで、手がばたっと落ちます。
政臣:バイクを止めて、ふり返る。
RL:老衰してます。
政臣:老衰?
RL:だから、年をとりすぎて事切れてる。
政臣:…………。
RL:どうします?
政臣:やっぱ病院には行きたくない。できれば闇医者とか……コネからワタリつけらんないかな?
RL:弾王かな。
政臣:俺もそう思うんだけどね。クラブがなくてね(笑)。
RL:ひとまず連絡だけつけてみたら? あやつは首つっこみたがりだし(笑)。
政臣:じゃあ路肩に寄って、弾王にコールかな。
RL/弾王:「はい弾王……」
政臣:あ、弾王のオッサン? 俺。
RL/弾王:「…………」
政臣:俺。政臣だって。
RL/弾王:「……学校はどうした?」
政臣:アンタにそゆこと言われたくないなあ。
RL/弾王:「俺はガッコ行きたくても行く金がなかったんだよ。で、用件は? どうせロクでもないことだろ?」
政臣:そう? 闇医者を紹介して欲しいだけなんだけど。でなきゃ、バイオハザートとかに詳しいヤツ。
RL/弾王:「んー……?」
政臣:……あ、ヤク! ヤク関係で誰か知り合いいない? それか、フェザーって知らん?
RL/弾王:「悪いが、知らんな。だが闇医者ならいいのがいる。直接会えるか?」
政臣:もちろん。
RL/弾王:「じゃあ30分後にアサクサでな」と言って電話が切れる。
政臣:上着を脱いで、亮太の身体をちゃんと包み直す。で、また後部座席にくくりつけてアサクサへ。
RL:では、シーン変えます。


SCENE 2( ミストレス)

RL:ナギのシーンです。普段は何してます?
ナギ:自分の事務所で依頼待ちかな。
RL:回線はつなげてますね? じゃあNIKからメールが来ました。「依頼アリ、連絡ヲ乞ウ」みたいな。
ナギ:んん? じゃあイントロン。
RL:では、受付のお姉さん(笑)が「仕事が入ってるんですが。お薬は嫌いですか?」
ナギ:……は?
RL/受付嬢:「ですから、麻薬です」
ナギ:クスリはやらない主義だけどな。
RL/受付嬢:「では、子供はお好きですか?」
ナギ:ロリータ趣味はないよ、俺。
RL/受付嬢:「それはよかった」
ナギ:……で? おーい、質問の意図がわからないんだが?(笑)
RL/受付嬢:「依頼というのは、とある高校の校長さんからなんですが」
ナギ:はあ? 生活指導でもやれっての?
RL/受付嬢:「安心してください。そんな平和なネタをあなたに回したりしません」
ナギ:あのさー、さくさく用件を言ってくんない?
RL/受付嬢:「6人死にました」
ナギ:へえ……そいつは穏やかじゃないな。死因は? ひょっとしてヤクがらみ?
RL/受付嬢:「そうです。校内に通称“フェザー”と呼ばれる強力なドラッグが持ち込まれていたようですね。ただ、そのドラッグ自体は即押収されたそうですが」
ナギ:押収?
RL/受付嬢:「はい。“猟犬”がでてきてしまったので」
ナギ:あらら……で? でも売人はわかってない?
RL/受付嬢:「その通りです。あなたにはその特定をお願いします」
ナギ:高校はわかってんだよね?
RL:蛍星高校という私立高校です。千早が出資してるとこで、つまるところが千早の企業戦士養成学校。
政臣:(手を挙げて)あのぉ、ちなみに俺の通ってる学校ってのは……。
RL:蛍星高校ですねぇ。
政臣:うひぃ。それで“重役出勤”なワケねこいつ。
ナギ:ふーん。紹介はもう通ってる?
RL/受付嬢:「ええ。できれば向こうと直に話をしていただきたいのですが」
ナギ:出向けってこと?
RL/受付嬢:「いえ、ウェブ上で結構です」というわけで、その校長の名前とアドレスを渡されます。えーと、ここでシーンを変えますね。


SCENE 3 (クロマク)

RL:最後は恵作です。ではセオリー通り、千早雅之サマからのお達しということで。
恵作:(ぼそっと)ちーちゃん……。
一同:…………は?
恵作:「ああ“ちーちゃん”って呼びたい!」って思いながら出頭してるのです。
政臣:やめとけ! 殺されるぞ!
ナギ:頭の中で思ってるだけだよね? ね?
恵作:思ってるだけですよ。
ナギ:それともメルちゃん(←でもこの呼称はまかり通っている)は頭の中まで検閲可能ですか?
政臣:この人ならやりかねん。マヤカシなくてもやりかねん。
RL:そーゆー質問には拒否権を行使する。で、話を進めようと思うのだが。「子供は好きですか?」
恵作:は……子供によりますね。あんまり鬱陶しくなければ。
RL/雅之:「近頃のドライな高校生などは、どうです」
恵作:はあ。好きとか嫌いとか言われても。
RL/雅之:「そうですか。では教師になっていただけますか」
恵作:……は?
RL/雅之:「蛍星高校で麻薬の取引が行われているらしいのです。すでに中毒により6人の死者が出ています。万が一他企業の介入でしたら阻止しなければなりませんし、そうでなくても、未来の社員の経歴にキズがつくのはよろしくありません。そこで……」
恵作:わかりました。必ずやご期待に添えますよう善処いたしましょう。
RL/雅之:「……では、よろしくお願いします」と、いうわけで退出して結構です。何かしますか?
恵作:まずは情報を検索。その麻薬について。
RL:まず、薬についてですが、細胞を極度に活性化させるというドラッグで、分類するならアップ系に入ります。ちなみに射つんじゃなく飲むヤツで、その点も学生には馴染みやすいんじゃないかと。通称は“F”、もしくは“フェザー”です。
恵作:それ以外は?
RL:後は不明。どういうルートを通っているかもまだわかってない。
恵作:うーん。とりあえずそのガッコの生徒(←政臣のこと)に連絡とろうとして、失敗。カードを回します。
RL:ここらでシーン変えていい? じゃ、次いきます。