Research Phase //Rat Rase//
SCENE 14
(カゲムシャ)
藤田:勇基に盗聴機を渡しておきたいんですがね。というわけで登場を……
アンジェラ:そんなもん、都合よく持ってんの?
藤田:持ってます(←断言)。
RL:いいんだけど、何で判定する気?〈トロン〉じゃないでしょ、この場合。
藤田:うっ。〈追跡〉で12ではダメですかな?
RL:いいですよー。こっちは〈セキュリティ〉で14ね。
藤田:えっ? ケネスさんが?
RL:ロージャだよ。そのためについてきてるようなもんだもん(笑)。「新条さん、悪いんだけど、さっき千早の人から渡されたモノ、僕に渡してくれないかな?」
勇基:(ケネスを見る)
RL/ケネス:「すまん勇基。できるなら、千早には聞かれたくないんだ」
勇基:じゃ、盗聴機は手で握りつぶそう。
藤田:あっ、ヒドイ。
アンジェラ:私は最初から登場する気ありませんので(笑)。
RL:と、いうわけで4人で話を進めさせてもらおう。「見当はついていると思うが、千早も、G.C.I.のビル・アーメンガードも、真に欲しいのは私ではなく、この子なんだ」
勇基:待てよ。そんな話、デヴィに聞かせていいのかよ?
RL:彼女はずっと君にしがみついていたんだが、いつの間にか顔を上げている。その表情は全くの無表情だ。君をちらりと見て(無機質な声で)「私からご説明いたしましょう、新条さん」
勇基:……もしかして、おまえが“デヴァナガライ”か?
RL/デヴァナガライ:「その通りです」
勇基:話が見えない。デヴィはいったいどうした?
RL/デヴァナガライ:「彼女はカモフラージュのための表層人格。ベースはあなたを父親として設定された“プシィ・キャット”です。それであなたを父と呼ぶわけなのですが」
勇基:それで? おまえはなんだ?
RL/デヴァナガライ:「私は“DEVA”の統括管理AIです」
勇基:だから、それはなんだ?
RL/デヴァナガライ:「一口に言うなら、“災厄”前に飛び立った外宇宙探査船です」
勇基:がいう……はぁ?! なんじゃそりゃ! そんな時代にそんな技術があったのか?
RL/デヴァナガライ:「さあ。私は気づいたら宇宙にいたのです。誰が私を作ったのかは私のデータにはありませんし、現在は覚えているものもいないでしょう」
アンジェラ:えーと、ケネスさんっていうのは……。
RL:ケネスは普通のタタラですよ。ただ、“デヴァナガライ”が自我を持った時点で、偶然彼女にアクセスしちゃっただけで。
アンジェラ:んじゃ、ホントにオマケじゃないですか。
RL:それを言うな(笑)。
勇基:ま、俺はケネスの事情はわりとどっちでもいいんだ(笑)。つまり、アンタが大変なオーバーテクノロジーを保有してるってことだよな。G.C.I.だの千早だのがよってたかって欲しがってるのは、それか?
RL/デヴァナガライ:「もちろんそれが本来の目的です。ただ、私の本体は地球に向けて帰還中です。いくらドライブを繰り返しても、太陽系に到達するまであと数年はかかります。その間、地球とのアクセスはこの体を通すほかないよう、設定されています。それで彼らはこの体を欲しがっているわけなのですが」
勇基:……まだよくわからん。あんたにアクセスして得られるのは、その技術と、なんだ?
RL/デヴァナガライ:「“PFU”です」
勇基:あー、あのファイル。
RL/デヴァナガライ:「具体的には、外宇宙における居住可能惑星のデータです」
勇基:…………は?!
藤田:おおう。それは素晴らしい。
アンジェラ:それって、そんなにすごいこと?
RL:いわゆるハイパードライブの技術を“DEVA”が持ってるでしょ。冷凍睡眠とかの技術はあるから、どこへ向けて飛べばいいかプログラミングしておけば、本当に別の惑星に住めるようになる。コロニーとか作っちゃう方が速いには速いが、今は事実上日本が軌道世界を席巻しちゃってる状態だから……。
藤田:もし、それが手に入れれば、日本の手垢がついていない新世界が作れるというわけですな。G.C.I.っつーか、北米連合の喜びそうなネタです。
RL:うーん、ちなみに“PFU”の名づけ親って北米連合なんだわ。
アンジェラ:訊こうとは思ってたんだけど、それっていったい何の略なの?
RL:(恥ずかしそうに)……“ピルグリム・ファーザーズ・セカンド”。
一同:(大爆笑)
藤田:これだからアメリカ人というヤツは!
アンジェラ:それも偏見だと思うけど、にしたってひどいネーミング(笑)。
勇基:もしかして、北米連合はその恥ずいネーミングを抹消しようとして……。
アンジェラ:あっ、ありえる。
RL:いくらなんでも、んなわけあるかい!
勇基:まぁそれはジョークとして、んで? 俺にどうして欲しいって?
RL/デヴァナガライ:「私の望みは、このまま地上で静かに暮らすこと。もっと具体的に言うなら、抹消を防ぐことです。つまり、北米連合はどうしても“PFU”を見たい。ですが、“PFU”の閲覧とともに私は初期化されることになっています」
藤田:あ、そー言えばそんなメッセージもありましたね。
勇基:何で。
RL/デヴァナガライ:「何故とおっしゃられましても、それは私の製作者がプログラミングしたことなので、私にはわかりません。わかっているのは、“PFU”を開けば私が『死ぬ』ということだけです」
勇基:それは、どうにもならんことなのか?
RL/デヴァナガライ:「彼(ケネス)がそのプログラムを解析している最中です。新条さん、私があなたに頼みたいのは、私をそれまで護って欲しいということなのです」
勇基:北米連合からってことか?
RL/デヴァナガライ:「北米連合からでも、千早からでも、日本からでも……ですね」まぁ千早にとってはそんなに目の色変えてまで欲しいものじゃないだろうけど。
藤田:ただ、自分以外の誰かが持ってるってのは非常にマズイですよね。
RL:そうそう。さらに、多分どーしても抹消したいと思ってるのは、軌道千早とか、日本だろうね。
勇基:世界を敵に廻して戦えってか?!(一同笑)
アンジェラ:いいじゃん。女の子を護って世界を敵に廻す!
藤田:男のロマンですな。
勇基:俺はシュワルツ○ッガーかっつーの!
RL:ケビン・コス○ー狙えば?
勇基:んなもん、護る相手にもよるだろうが!
アンジェラ:確かにガキじゃ不満かもしれんが(笑)。
勇基:だいたい、その解析とやらはいつ終わるもんだ?
RL/ケネス:「解析して、さらに無力化するには、まぁ1ヶ月か2ヶ月……」
勇基:待てるか!(笑)
RL/ロージャ:「だーからね、最初の予定通り、僕がN◎VAの外に逃がしてもいいんだけどねー」
勇基:おまえが信用できるかどうかにもよるわい。
RL/ロージャ:「あっ、ひどい」
藤田:(小声で)ですからねー、千早と手を組んで、まず敵を減らしておくというのもいい手だと思うんですよー。
勇基:おまえはさらに信用ならんし。
藤田:あっ、ひどい。
RL:でも、実際それもいい手だけどね。メルちゃんになら、ケネスさんの作業が終わるまで待つ余裕があるだろうし。
アンジェラ:少なくとも、私と藤田はその条件でないと手を貸せません。
勇基:ケネスは千早に行ってもいいって言ってるんだよな。
RL:デヴァナガライを千早に渡してもいいって意味じゃなくて、もともと自分が囮になって、デヴィを逃がすつもりだったの。
勇基:逃がすって、どこへ。
RL/ロージャ:「そりゃこの広い世界、身を隠す場所なんていくらでもあるさ。その気になればね」
勇基:…………。
RL/ロージャ:「……じゃあ、こういうのはどうかな。自動初期化プログラムが解除されるまで、デヴィちゃんもケネスも、千早に匿ってもらう。見返りとして、PFUを渡す」
勇基:アンタはそれでいいのか?
RL/ロージャ:「僕? ケネスがOKで、仕事料をちゃんと払ってくれるならね。むしろ仕事が楽になってラッキー♪ってなもんで」
勇基:……だそうだ。どうする、ケネス?
RL/ケネス:「……千早は、それで本当にOKしてくれるだろうか。私は、要するに彼女を助けられればそれでいいんだが……」
勇基:それは交渉しだいだな。
RL:えーと、じゃあここでシーンを変えておくかな?
SCENE 15
(マネキン)
RL:では、アンジェラのシーン。
アンジェラ:勇基さんたち、部屋から出てきたんだよね?
勇基:と、いうわけで、かくかくしかじかだ。
一同:あっ(笑)。
RL:と、いうわけで、お2人さんは登場していいようです(笑)。てゆーか勇基。それですますか。
勇基:だって、全部説明しなきゃ千早の助力も何もないじゃん。
RL:“デヴァナガライ”がデヴィの中にいる、ってゆーのは、隠そうと思えば隠せたんだが……。
藤田:ま、バレバレですがな。
RL:うるせい。
勇基:とにかく、これで千早は味方についてくれるのか?
藤田:“PFU”が確保できれば、問題はないですよ。千早としては、自分が持っていたいわけであって、使いたいわけじゃないですから。
アンジェラ:(肩をすくめて)それが千早の判断なら、私はそれで構いません。
RL:では、次の日の朝まで話を進めていいかな? 皆さんはそろってロージャんとこに泊まったということで。(アンジェラに)電話がかかってきたようです。
アンジェラ:はい?
RL/ダニング:「ダニングです。アンジェラさん、仕事の運び具合はどうですか?」
アンジェラ:……この依頼、マイケルがキャンセルしたはずでは?
藤田:後ろで「適当にごまかせ!」とポーズをとっています(笑)。
アンジェラ:……少しずつ進展はしていますが。
RL/ダニング:「ガブリエル・リデルと接触はとれましたか」
勇基&藤田:(腕で×を作っている)
アンジェラ:留守でした。今は捜索の途中です。
RL/ダニング:「そうですか。ところで、ケネス・サマーランドに娘がいるという情報が入ったのですが、あなたは聞いたことがありますか」
勇基&藤田:(腕で大きく×を作っている)
アンジェラ:いえ……。
RL/ダニング:「年齢は6歳くらい、黒髪のかわいらしい少女だということですが……」
アンジェラ:そうですか。発見しだい、保護しておきます。
RL/ダニング:うーん、ハートがでない(笑)。「そうですか、では、引き続き捜索を続行してください」
勇基:やっぱデヴィのこと、G.C.I.にバレてんじゃねーのか?
藤田:はっ。そう言えばガブリエルさんとロジオンさんはどうしました?
RL:いますよ、ちゃんと。四六時中目を離さずにいたかどうかまでは知らんけど(にやにや)。
アンジェラ:……この2人、雇い主はケネスさんなんですよね?
RL:うん、まあ、一応ね(笑)。
藤田:ヤサ変えた方がよろしくないですかな。
勇基:俺のマンションは駄目だぞ。
藤田:ええっ、どーして。
勇基:これ以上てめーらに荒らされてたまるか!
藤田:では私のところですか。狭いですよ。
RL/ロージャ:「港の方にも隠れ家があるんだけどさー」
勇基:……それも却下。
RL/ロージャ:「あれ。信用ないんだなぁ」
勇基:(ガブリエルに)このまま千早に送り届けようと思うんだが、どうだ?
RL:ガブリエル:「いいんじゃないのかい? あたしはこのままケネスを護送して千早へ行く。その隙に、あんたらがその娘を連れていけばいい」
藤田:それでは、護送車と千早のカブト20人ばかし用意します。それに乗っていらしてください。
RL/ガブリエル:「よほどあたしが信用ならないってこったね?」
藤田:いやいや、囮には目だっていただいた方がよいからですよ。RL、とゆーわけで社長に連絡します。コネで13です。
RL/千早雅之:「はい、なんですか」
藤田:あ、千早さん? 護送車とカブト20人、至急送り届けていただけます?
RL/千早雅之:「それは目立つようにしろ、ということですか」
藤田:はいな。
RL/千早雅之:「わかりました。では」
藤田:うーん、便利便利。
RL:メルちゃんを便利屋扱いするとは、いい度胸だなー(笑)。そうこうしていると、へい、護送車にカブト20人、お待ち〜♪
勇基:は、早ぇ(笑)。
RL:で、ガブリエルさんとケネスさんが乗りこんで、と。
アンジェラ:私も同行させていただきます。
勇基:え、何。そっち行くの?
アンジェラ:デヴィの方には、新条さんも藤田もいるようですし、こっちの方が人手が必要でしょう。と、ガブリエルさんの方を伺ってみる。
RL:ちょっと苦笑いしてるカンジかな。で、ケネスさんが振りかえって、「勇基、デヴィを頼む」
勇基:あァ、任しておけ。
藤田:(ひそひそ)……任しておけ、だそうですよ。
アンジェラ:(ひそひそ)言質とられましたね。
勇基:おまえらなぁ!
RL:という冗談はまぁ追いとくとして、アンジェラはここで退場ですね? ではシーン変えます。
SCENE 16(カリスマ)
RL:では藤田のシーンです。
藤田:残った我々が何をするかというとですね。ここは社会科見学しかないと思うんです。
勇基:……はぁ?
RL/ロージャ:「……あー、千早のアーコロジー見学に行くわけね」
藤田:ワタシ、これでも社員ですので。ちゃんと社員証も持ってますよ。
RL/デヴィ:「ねーお父ちゃま。どっかお出かけ?」
勇基:ああ。社会科見学だそうだぞ。
RL:……どうでもいいんだけどさ。もう「お父ちゃま」って呼んでも何も言わなくなったね、勇基。
勇基:あっ!
藤田:もう先は決まりましたな。
勇基:俺の楽しいシングルライフが……(涙)。
RL/デヴィ:「わーい、お父ちゃまとお出かけー」(笑)
勇基:だー! デヴァナガライ、おまえが出てこーい!
藤田:そんなんしたら一発でバレますがな。
RL:そういうわけで千早のアーコロジーに行ったということなんですが。
藤田:私が1日だけの社員IDを作ってもらいますんで。これで入れない場所とか行っちゃダメですよ。あと、1回出たら無効になりますからね。(RLに)あ、社長って今お忙しいですかな?
RL:え? どのへんに訊いた?
藤田:受付通して、まず早川さん。
RL/早川美沙:「藤田さん、例の件でしょうか?」
藤田:あー、一応社会科見学ですので。(声をひそめ)社長は?
RL/早川美沙:「……今、どうしても顔を出さねばならない会議中です。あと1時間はかかるでしょう。終わり次第お取次ぎいたしますので、こちらでお待ちください」
勇基:(いきなり)今のお姉さんって、美人?
RL:美人だよ。美人なんだが、だから?(笑)
藤田:……やめた方がいいですぞ。あの人怖いですから。
RL:しかもどーもメルに惚れてるっぽいし。
勇基:ちっ。
RL/デヴィ:「お父ちゃま、デヴィちょっと退屈」
勇基:あん? じゃ、公園行くか。
RL/デヴィ:「わーい、じゃあお弁当食べよう! ピクニックみたいにしたいな!」
勇基:(頷きかけ)……あーっ、どんどん所帯じみていくっ!
藤田:何を今さら。
RL:んじゃ、4人でランチタイムだな。
勇基:ん? 4人?
RL:ロージャがおるねん。
勇基:あ、そうか。
藤田:(勇基に)はい、これ。あなたの分ですよ、と。中には“.45calストッパー”があったりして。
勇基:……おう。
藤田:この中にも敵が紛れていないとは限りませんからな。
RL:……あのさ。千早のアーコロジーって〈転移〉で入れる?
藤田:結構上層部に来てますからなぁ。達成値によるのでは?
RL:19だと?
藤田:それは入れますでしょう。
RL:うん、ごめん。抜けるほうなんだわ(笑)。では、そーやって2人が話していると、すぐ脇でデヴィとロージャの姿が消えます。
勇基:消える瞬間にデヴィの手を掴む!
RL:んーと、〈アイデンティティ〉か〈アスレチック〉かなんかで19以上出してくれい。
勇基:うわ、ダメだ。カード回します。
藤田:こっちも無理です。
RL:では、やっぱり2人の姿は消え失せる。
勇基:あの野郎、やっぱG.C.I.の回しもんか! 藤田、追うぞ!
藤田:お任せください。あのIDカードの発信装置って、結構高性能なんですよねー(笑)。
RL:確かにそういう装置があってもおかしくはないが……多分転移した直後に投げ捨てるぞ。
藤田:だったら、今装置がある場所だけでもサーチできませんかな。
RL:うーん。国際空港の近くだな。
藤田:ホンキで高飛びする気ですか、あの人。
勇基:よし、それじゃ国際空港に電話だ!
藤田:ちょっとちょっと、どうする気ですか。
勇基:「俺はN◎VAの明日を憂うテロリストだ! 滑走路に爆弾をしかけたぞ!」で、がちゃん。
一同:正しい!(爆笑)
勇基:よし、今いくからな、デヴィ!
アンジェラ:……勇基、マジ?(笑)
SCENE 17
(カゲ)
RL:あ、カゲが出た。でもアンジェラのシーンだな。
藤田:なんですと! 私のキーですぞ!
RL:(冷たく)やりたきゃ出れば?
藤田:RLが冷たい……。
RL:(無視)というわけで、車内は静まり返っている。ケネスさんもガブリエルも口を開かない。
アンジェラ:こっちも黙ってる。
RL:…………。
アンジェラ:…………。
RL:…………。
アンジェラ:…………。
勇基:なんかしゃべれよ(笑)。
RL:でも、ひたすら静まり返ったまま、車は進みます(笑)。
藤田:話が進みませんです!
RL:そうだよなー。では、いきなり護送車が急停車する。で、燃料タンクがふっとぶ。
アンジェラ:えっと、どうしたらいいですか?
RL:干渉自体をとめるなら、〈セキュリティ〉で18。ダメージをかわすなら〈回避〉で15。
アンジェラ:〈回避〉なら出せるけど、ケネスさんは……。
RL:ガブリエルが〈反射防御〉と〈鉄壁〉だろうな。悪いが、今のでトループは全滅したことにしよう。で、煙の中からゆっくりとダニングが姿を現す。
アンジェラ:…………。
RL/ダニング:「一別以来ですね、アンジェラさん?」
アンジェラ:ずいぶん物騒なご挨拶ですね。
RL/ダニング:「失礼。それでは早速用件にはいりましょう。最初の依頼通り、ケネス・サマーランドを引き渡していただけますか?」
アンジェラ:先ほどマイケルから連絡が入りまして、この仕事はキャンセルになったということですが。
RL/ダニング:「そうですか。私には初耳ですが」
アンジェラ:なら、連絡の行き違いですね。今の私の仕事は彼を安全な場所に保護することです。彼をお渡しすることはできません。
RL/ダニング:「それは、グローリー氏の違約ととってよろしいんですか?」
アンジェラ:(唇を噛む)私にはそういう事情はよくわからない……。
RL/ダニング:「ふむ……ではこれならいかがですか。彼の娘さんがどうなってもよいのですか?」
アンジェラ:彼女の安全は私の契約には入っていません。
RL/ケネス:「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
アンジェラ:ケネスさん、ここで引いたら彼の思うつぼです。大丈夫、新条さんと藤田を信じてください。
藤田:……ここで私が「出しぬかれちゃったー」とか電話入れたらどうすんです?
一同:(爆笑)
RL:ケネスが思わずものすごーく不安な顔になったりして(笑)。
アンジェラ:知るか、そんなん!
RL/ダニング:「いい度胸をしていらっしゃる。娘さんの死体と対面なさりたいならそれでもよいのですがね」
アンジェラ:えーい、仕方ない! では、場所と時間を指定してください。彼女の無事を確認してから取引に応じます。
RL/ダニング:「よろしいでしょう。では、今日の夕方5時に、国際空港近辺の倉庫街でいかがです?」とアドレスを。
アンジェラ:それともう1つ! 今、彼女の声を聴かせてください。
RL/ダニング:「さて、難しいことをおっしゃる。誰に聴かれるかわからないのでね。お疑いなら、私が同行いたしましょうか?」
アンジェラ:え?
RL/ダニング:「私が人質になろうと申し上げているのですよ。いかがです?」
勇基:これは……。
藤田:うーん。有利そうに見えて、どう転ぶかわかりませんね。危険牌です。
アンジェラ:(少し迷って)いえ、その必要はありません。
RL:ダニングは幽かに笑って去っていく。で、ケネスが呆然とくずおれる脇で、ガブリエルが忌々しそうに楯を置く。
アンジェラ:では、彼女とケネスさんの間に割って入ります。ガブリエルさん、単刀直入に訊くわ。あなたはケネスさんに雇われただけ? それともG.C.I.の回し者?
RL/ガブリエル:「きっぱりした子だね。そういうのは好きさ」
アンジェラ:からかってるの?
RL/ガブリエル:「いや、あの千早のおっさんみたく掏れてるよりいいってことさ。質問の答えだけどね。両方正解だよ。あたしとロージャは、ケネスに雇われて、アーメンガードのおっさんにも雇われてる」
アンジェラ:それは要するに、裏切りじゃないの?
RL/ガブリエル:「厳密に言えばね。でも、ケネスを護衛するってあたしの仕事に変わりはないもの」
アンジェラ:どういうこと?
RL/ガブリエル:「まず、G.C.I.がイコール北米連合という考え方はやめなよ。アーメンガードのおっさんは、別にケネスや“デヴァナガライ”をどうこうしようって気はないのさ。“PFU”を欲しがってるのは確かだけどね。彼があたしに依頼したのは、宰(つかさ)兄妹からケネスと“デヴァナガライ”を護ること」
アンジェラ:それは初めて聞く名前だわ。誰?
RL/ガブリエル:「宰秋宗と宰鞠子。双子の兄妹だって話だね。兄貴の方には今会ったろ?」
アンジェラ:まさか、ダニングさん?
RL/ガブリエル:「そうさ。3年前からG.C.I.でクグツやってるけど、ついこないだアーメンガードのおっさんがシッポをつかんだ。奴らは軌道千早のエージェントさ」
アンジェラ:目的は“デヴァナガライ”の抹殺……。
RL/ガブリエル:「どうだい、手ェ組まないか? 今んとこ、あたしらの利害は一致してるだろ? “デヴァナガライ”はどうやら奴らの手に渡ったようだし」
アンジェラ:(少し考えて)わかった。それからの話は、宰兄妹とやらを排除してからね。
RL:ガブリエルはにやりと笑う。では、シーンを変えていいかな?
藤田:あっ、舞台裏!
RL:……そうか、クリティカルがあったか……。
藤田:〈社会/N◎VA軍〉で国際空港近辺を封鎖します! 口実は某テロリストを逃してはいけないということで(笑)。
RL:キー効果出されりゃどうしようもないわなー。おっけーです。シーン変えます。
SCENE 18
(ハイランダー)
勇基:おいこら、急ぐぞ藤田!
藤田:(のんびりと)運転頼みますね。私はアンジェラに連絡とりますから。
勇基:さっさとしろ、さっさと!
アンジェラ:では、登場します。しくじったのね、藤田。
藤田:あっはっはっは。
アンジェラ:今ガブリエルに聞いた話をします。で、夕方5時に待ちあわせよ。場所はこれから転送する。急いで。
藤田:了解です。さて、どうしますかね? 向こうに〈転移〉がある以上、封鎖してあるとしても迂闊には動けないんですよねぇ。
一同:(いっせいに議論を始める)
RL:おい、ちょっと待て。君ら、ガブリエルの話、ちゃんと聞いてた?
藤田:え?
アンジェラ:聞いてましたけど?
RL:いや……いいや。そうすると勇基んとこに電話がかかってくる。ちなみに知らない番号。
勇基:え? 運転しながら出るけど。
RL:「いやぁ、参った参った隣の神社」という明るい声が(笑)。
アンジェラ:は?
藤田:おや。ロージャさん?
勇基:……てめぇ、どの面下げて!
RL/ロージャ:「そう怒鳴らないでくれるかな。そっちの千早の人が封鎖なんてしてくれるから、こっちは大変なんだ」
藤田:あなた、どこでも逃げられるんじゃなかったんですかね。
RL/ロージャ:「あんな疲れること、そうそうはできませんて。だいたいデヴィちゃんが泣くんだもん」
勇基:誘拐なんかするからだろう!
RL/ロージャ:「お怒りはごもっともですけどね、新条さん。今マジでヤバイの。宰兄妹がこっちに向かってる」
勇基:何?
RL/ロージャ:「僕もいつまでも逃げ回ってはいられんのよ。デヴィちゃんを助けたかったら、急いでこっちに来てくんない?」で、場所を転送。
勇基:……待て。話が見えん。
アンジェラ:(考えて)あれ? ということは? ひょっとして、ダニングさんの言った方が、ガセか?
RL:そうでーす。だってロージャはG.C.I.側って言ったじゃないか。軌道千早側のダニングにデヴィちゃん渡したりしないよ。
藤田:あの人がしくじったのかと思ったんですよ。
勇基:おい、デヴィはそこにいるのか?
RL/デヴィ:「お父ちゃまぁ……」
勇基:デヴィか?!
RL/デヴィ:「お父ちゃま、怖いよぉ……お父ちゃまがいてくれなきゃいやだぁ……」
勇基:……よしわかった。今行くから、大人しく待ってろよ。
藤田:あ、ちょっと……。
勇基:というわけで、全速力で指定場所に向かいます。
藤田:(小声で)ビジネスに情からめちゃ駄目ですよー。
勇基:やかましい!
Scene 19
(ミストレス)
RL:そろそろ最後かな。アンジェラのシーンです。
アンジェラ:ガブリエルさん、そういうことだから、私はデヴィのところに行くわ。あなたは?
RL/ガブリエル:「一緒に行くさ。ケネスの護衛しなきゃなんないだろ」
アンジェラ:あなたを信用していいの?
RL/ガブリエル:「こうなった以上、あたしとロージャはこの件から手を引くしかないね。元々タダの雇われ者だもの。金は惜しいけど、問題ないよ」
アンジェラ:だから?
RL/ガブリエル:「あんたらの邪魔はしないし、ケネスを裏切ったりしないってことさ。それでもあたしが信用できないなら、ここであたしを殺すかい?」
アンジェラ:…………。
RL/ガブリエル:「あたしとしても、あんたを安心させてあげたいとこなんだけどね、保証ができないんだから仕方ないさ。どうする?」
アンジェラ:いいわ。ケネスさんを頼みます。
藤田:そこでまたアンジェラに連絡します。アンジェラ、新条さんが今すっとばしてます。あなたも急いでください。
アンジェラ:では、現場に急行します!
Scene 20
(カゼ)
RL:とうとう20の大台にのってしまいましたよ(笑)。勇基のシーンです。あなたの頭にデヴィちゃんの声が響く。「お父ちゃま、助けてぇ」(笑)。
勇基:だから、急いでるだろうが!
RL:で、その声が急に変わる。「急いでください、新条さん。彼1人ではそろそろ限界です」
勇基:え? おまえ、デヴァナガライの方か?
RL/“デヴァナガライ”:あなたのIANUSに接続しているんです。しばらく、私が表に出ます。このままでは、デヴィの精神がもちませんので。
勇基:だーかーらー、急いでるって言ってるだろ!
RL:では、ちゃっちゃと話進めまして。あなたがたは、がらんとした倉庫にやってきました。何かの荷物の陰から、デヴィちゃんの顔が覗く。で、その無表情がだんだん泣き顔に変わっていく。「お父ちゃまぁ!!」
勇基:(困っている)……あー。無事か?
RL/デヴィ:「怖かったよぉ。お父ちゃま来てくれてよかったよぉ!」
勇基:わかった、わかったから、とにかく車に乗れ。それから、ロージャは無事なんですか?
RL:結構ボロボロだけど、無事(笑)。
勇基:おまえもだ。とっとと乗れ。
RL/ロージャ:「おや。僕まで助けてくれるわけ?」
勇基:やかましい! これ以上ぐだぐだ言いやがったら、ここで撃ち殺すぞ!
RL/ロージャ:「いよっ、お兄さん、太っ腹だねー♪」(笑)
勇基:てめえ、運転席に行け! てめえが運転しろ!
アンジェラ:……この人、藤田と気が合うんじゃない?
藤田:ちびっと不本意ですが、私もそう思います。
RL/ロージャ:「冗談はともかくとして、どこへ行くわけよ」
勇基:ケネスと合流するんだよ。いいからさっさと出せ!
RL:で、発進しかけたところでブレーキがかかる(笑)。
勇基:てめえ、マジで脳漿ぶちまけたいか?
RL/ロージャ:「いや申し訳ないんだが、これホントに僕のせいじゃない」
勇基:あん?
RL/ロージャ:「車から降りた方がいいんじゃないかなー、と」
藤田:WINDSのっとられましたな。降りますぞ。私たちじゃどうしようもない。
RL:実は何とかできる人が1人いるんだけど、今は「お父ちゃまぁ」状態だから。ごめんねー(笑)。
勇基:だー!
アンジェラ:RL、いいかげん到着してもいいですか? 藤田とのコネで14です。
RL:おっけーです。えーと、これはゲーム上の処理だけどさ。ケネスとガブリエルは少し離れた場所に待機してるってことでいいね?
アンジェラ:了解。では、皆のところに駆けよります。
RL/ロージャ:「とりあえず、狙撃が心配だわな。どこかに入った方がいいんじゃない?」
藤田:……と、いうところでクライマックスですな。
RL:うん(笑)。あなたたちが手近な倉庫に入ると、そこでは1人の男が待ち構えている。ちなみにダニングさん。
アンジェラ:宰秋宗さんですね?
RL/宰秋宗:「用件はわかっていると思いますが、その子を渡してもらえますか?」
勇基:「断る」と言ったら?
RL:黙って“ガイスト”を出す。
勇基:こっちも銃を引き抜く。デヴィ、大人しく後ろで待ってろよ。
RL:ところでさらにゲーム的な処理なんだけど、ロージャとデヴィちゃんは後ろで隠れてていいかな?
勇基:さっきから、その「ゲーム的な処理」って、何。
RL:いや、戦闘に参加しないだけで、別に裏切って逃げたりしないよって意味(笑)。
勇基:あー、なるほど(笑)。
RL/宰秋宗:「その子が持っているのはパンドラの箱です。彼女が死ねば全ては丸く収まる」
藤田:開けなきゃいいじゃん。
アンジェラ:アンタは黙ってなさい!(と、勇基を見る)
RL:ちなみにデヴィちゃんは、「お父ちゃま、怖いよぉ。あの人、怖いよぉ」と後ろですすり泣いているが……(にやにや)。
勇基:…………ぐっ。
藤田:さぁ言え(にやにや)。
アンジェラ:ほれ言え(にやにや)。
RL/デヴィ:「お父ちゃまぁ、お父ちゃまぁ」(←追い討ち)
勇基:(しばしの苦悩の後)……心配するなデヴィ、俺が必ず護ってやる。
一同:(大爆笑&拍手)
勇基:ああーっ、俺のシングルライフが! 優雅な日々が! 自堕落な生活が!(涙)
藤田:(無視)あ、ところで《不可知》使わせてください。
RL:はい、どうぞ。じゃ、そろそろ戦闘いきますかね?
勇基:おう、いくぜこの軌道野郎! 独身生活に終止符を打たれた恨み、今ここで晴らしてくれるわ!