直線上に配置


********** 第55回理窓光学会定期講演会 ご報告*********
日 時: 平成21年12月5日(土) 13:30〜16:30
場 所: 森戸記念館 第2フォーラム  (神楽坂)

    
 
   目黒 多加志 講師                                戎崎 俊一 講師

 
                        
講師を囲んで集合写真

    
      
懇親会 風景      (中央は新運営委員の小川貴代さん)

     
                         
懇親会 風景



<<講演テーマおよび要旨>>
1) 史上最大の屈折望遠鏡で宇宙の極限へ挑戦する−JEM-EUSO
                 戎崎 俊一氏 ( 理化学研究所主任研究員 )
要旨
EM-EUSOは宇宙ステーションから地球を見下ろす史上最大の屈折望遠鏡である。16Jものエネルギー(トッププロのサービスボールのエネルギーと等価)もの極限的なエネルギーをもつ粒子の到来方向とエネルギーを決定して、その起源を探査して宇宙最大の巨大加速器の謎に迫り、さらに基礎物理学の限界に挑戦する。  極限エネルギー粒子が大気中に作る巨大空気シャワーから放射される紫外線光子を観測する。 口径は約2.5mで±30度の超広角屈折望遠鏡で、直径500kmの地球大 気を一度に観測する。  これまで最大の屈折望遠鏡は1897年に建設されたヤーキース天文台の102cm望遠鏡であるが、それを大きく上回る屈折望遠鏡である。屈折 望遠鏡はレンズが厚く重たくなること、色収差があることなどが問題になって大 きなものは作られなくなっていた。これらの問題は、軽量の大型プラスチックフレネルレンズの超高精度加工技術の進展、回折光学レンズの適用などの技術ブレー クスルーが解決した。 JEM-EUSOは宇宙から地球を見る「地文台」であり、宇宙の基本問題とともに、地球大気の発光現象の網羅的観測にも挑戦する。

2) 高配向性グラファイトへの多価イオン照射によるナノダイヤモンド形成
                目黒 多加志氏 (東京理科大学理学部教授)
要旨
高配向性グラファイトに多価のアルゴン(Ar8+)イオンを照射することにより導入した照射欠陥にSTM探針からトンネル電子を注入すると、ナノサイズのダイヤモンドが生成することを発見した。グラファイトに1価のイオン照射を行ってもsp2結合をsp3結合に変化させることができるが、その場合高いドーズ量が必要であるために非晶質的な構造になってしまう。一方Ar8ではグラファイト表面に数ナノメーターの照射欠陥を作り、その周囲の結晶性を保持したまま欠陥の中心部が局所的にsp3結合に変化し、その領域には走査トンネル分光測定で6 e V程度のエネルギーギャップが観察される事が分かった。さらにこの構造を水素雰囲気中で熱処理し、照射欠陥の回復、未結合手の水素終端化を行うことにより、多結晶ダイヤモンドと同等のフィールドエミッション特性が得られる事確認した。


********** 第54回理窓光学会定期講演会・実施報告*********
日 時 : 平成21年6月20日(土) 午後1時20分〜4時30分
場 所 : 理窓会館3階会議室


 

1)講演テーマ 植物工場の現状と環境問題
講  師:  シナジー研究センター 植物工場研究所所長 芦田 章 氏
講演要旨:  植物工場は1950年代後半に北欧で太陽光利用型が世界で初めて始まったといわれる。
1960年代に入り米国で人工光利用型が始まったが、採算が合わず途絶え、1970年代に なって日本で本格的な研究開発が始まり、今や世界でトップクラスの技術を持つまでに なった。最近になり、消費者の顔が植物工場製品に向けられるようになり、農水省、経産省も本腰を入れて産業化に向けて手を差し伸べるようになってきたことは隔世の感がある。
この動きの背景には、食の安心安全・安定供給、食料自給率の向上などがある。無農薬、新鮮長持ち、高栄養価という付加価値が認識されてきたことも大きい。一方、地球の環境破壊は狩猟から農耕文化に移ることで始まっており、人口増、工業の発達により環境悪化が進み、地球温暖化という地球の生物にとって存続の危機が招来してきた。植物工場は土地利用度が高く、地産地消、水資源利用の最小化、食糧増産に寄与し、地球の問題解決に大きく貢献することが見えてきた。

2)講演テーマ: 生物物理学と光計測
講  師:  東京理科大学理学部物理学科教授(嘱託) 山田 武範 氏 
講演要旨: 生物物理学は、物理学の技術や物理学的な考え方を使って生命現象を解明するという、1950年頃に始まった比較的新しい研究分野です。我々が進めてきた筋収縮の分子メカニズムの研究は、生物物理学を代表する研究の一つです。筋肉の収縮は、アクチンとミオシンと呼ばれる蛋白質分子がフィラメント状に集まり、このフィラメントの束が互いに滑り合うことによって起こることが知られています。フィラメントがどのように滑っているかとか、どのような分子の変形によって滑る力が発生しているかが 問題となりますが、光計測はそれを解析するための重要な実験手段です。筋収縮の研究を中心にして、これまで取り組んできた研究の中で光計測を応用した例をいくつか紹介したいと思います。

講演会参加費 : 2000円(学生無料)
懇親会(同会場):午後4時30分〜6時20分  会費 : 3000円

 
  
      
芦田講師                    山田講師                         講演風景  


                                
 講師と参加者 集合写真 

 
            
懇親会風景             籾内運営委員長と芦田講師       山田講師と松野会長


********** 第53回理窓光学会定期講演会・報告
*********
  
       日時:平成20年12月6日(土)13:30〜 理窓会館



1) 講師: 高尾敏弘氏 タカオ技術士事務所 (S41年 理学部 応用物理学科卒)
【演題】:「薄膜基本技術からみる光学技術」
【要旨】薄膜技術はガラス、レンズ等の光学部品へのミラーや低反射成膜に原点がある。現在は成膜手段も多岐にわたり各種の産業に利用される技術となっている。現在の産業用の成膜技術の主流はスパッタリング法である。しかし、唯一、光学デバイスへの適用は以前としてボート、電子銃を駆使する真空蒸着法が基本となっている。その理由は物理的特性や精度が他の成膜手法では光学デバイスの要求する厳しい条件をクリヤすることが困難である事、設計ノウハウ、製造ノウハウの蓄積不足等が考えられる。しかし、最近では量産安定性のあるスパッタリング法による光学成膜装置が実用化されている。この出現により、光学膜製造にも真空蒸着法のような高度な成膜技能者を必要としなくなる時代がきている。パソコンの設計値と実際の成膜特性との差異が殆どないとのユーザのコメントがある。現場の経験豊な技能者の立ち入るスキがなくなったと言うことである。パソコン設計はゲーム感覚で可能であり現場の感性は必要としない。時計、カメラ関連の精密技能者と同様に成膜技能者は国内から除々に消滅して行くように思われる。しかし技能、技術は一体に構成されるべきあり、薄膜成膜の感性の原点である真空蒸着の基本技術を見直す事も意味のある事と思われるが?
 
2) 講師: 大川和宏氏 東京理科大学 理学部 応用物理学科 准教授 (S58年 理学部 物理学科卒)
【演題】:「光半導体で省エネとクリーンエネルギーに挑戦」
【要旨】 窒化物半導体は光デバイス材料として極めて有望である。高効率青色・緑色LEDと白色LEDの実現は良く知られている。高効率化は省エネルギー技術の鍵である。更なる効率化への取り組みとして非極性構造によるデバイス作製を紹介する。
また吸光デバイスとしての光触媒研究も紹介する。窒化物半導体は光エネルギーを水分解に変換することができ、水素というクリーンエネルギーを製造することができる。吸収波長領域の外部量子効率は70 %に達し、この数値は他の材料に抜きん出ている。さらにこの特性は太陽電池としての有望性も示している。

     
       高尾敏弘講師                      大川和宏講師

      
                  聴講風景


                  参加者 集合写真

  
                  講師を囲んでの懇親会



トップ アイコントップページへもどる

直線上に配置