最初から結論:「旧トライマスターのフォッケに臓物を入れちゃいかん!」
実を言えば、このキット作成のモチベンーションは元々気楽なものでした。
1)ハセガワ・ドラゴン(旧トライマスター)のフォッケは過去2個つくった(グラーフとダール機)とはいえ、かなり前のことなので、もう一度みっちり作っておきたい。
2)古いバーリンデンのレジンパーツをそろそろ成仏させてやりたい。
というものでした。
そのうちこのふたつが合体し、エンジン、機銃内臓でカバー開閉可動をやってやろう、ということになり、さらに2000年になってCMKのBMW801エンジンが発売になりやっと具体化し始めました。しかし思えばこれがそもそも間違いの元、「トライマスター」のキットで、1)、2)を一緒に実現しようとしちゃいかんです。なぜなら、トライのキットはカウリング・胴体・翼の接合が異常に手間がかかることで有名なキットなのですが、そんなものに、合わせに気を使わねばならないエンジン等を入れるということは、苦労を金を出して買うようなものだからです。
老婆心ながら、もしも同様のモチベーションをお持ちの方がいらっしゃたら、
1) 旧トライのキットは外形を重視して作ることをお薦めします。出来あがれば、カウリング周りの雰囲気など、タミヤのキットがおもちゃに見えてしまうほど雰囲気をもったキットです。難物といわれるカウリングまわりも、金型自体は正確で、プラの肉が薄く、分割が多いために変形がおきてしまうのですから(ロットによって、一発で合ったりするものもあるそうです)、「キットの精度が悪いのではなく、あなたの腕が悪いのだ」と心掛けてシムやスペーサーをいれれば、巷間伝えられるほど大変ではありません。もう一度いいます。トライのフォッケの設計精度は大変高いのです。合わないのは、あなたの腕が悪い!
2) エンジン等見せたいのなら、がっちりしたタミヤのキットをベースに、CMKのフルデティールセット(エンジン、ペラ、機銃等)を使うことをおすすめします。この場合、もちろん可動工作は最初からあきらめて、ジオラマ仕様にします。なぜなら、CMKのセットは寸法がかなり実物にちかく、開閉しようとすれば、中身がはみだしてしまうことになるからです。なお、このセットは、BMW801エンジンに加え、補器、排気管、エンジン架、翼MG151/20機銃本体、カウルリングカバー上下、機首機銃カバー、プロペラ、スピナーがすべてレジンパーツとして入っているので、コストパフォーマンスは高いです。なお、A−5用には機首MG17機銃も入っています。F−8用の方には機首機銃はありません。エンジン、機銃、ペラ等々別々に買うとずいぶんお値段がはってしまうはずです。なによりペラの基部が何故か細いという、著しく見栄えを損なうタミヤの欠点のひとつを気にしなくてすみます。もうひとつのタミヤの欠点である、脚カバーの形が変なのは、削るか、ドラゴンからトレードして下さい。
2.基本構想
旧トライマスターのFw190A−8/R11のキットを使用しました。エンジン内臓でなければ、ハセガワ製A−4、A−3キットの胴体が新設計で大変良いようなので、これにA−8のカウリングをつけることをお勧めします。現時点でベストな空冷フォッケになるでしょう。
今回はエンジンを入れるため、補器類にはいるスペースが、変形を防ぐためがっちりとした箱型になっているA−4の胴体は使えませんでした。水平尾翼のみトレードしています。これもA−8で問題になっていた厚みの不足、ラダーの形が修正されて、ほぼ阿部孝一郎氏の元図面とおりになっていて好感が持てます。もっとも、阿部氏自身はどんどん図面の改訂をなさっているそうなので、1989年当時の図面の再現と理解して下さい。エンジンはCMKのBMW801Dセットです。アイリスのものは、当時どこでも売りきれで入手できませんでした。モデルアートのデティールアップ・パーツ特集を見ると全くおなじものにも思えますが、確証はありません。
3.機種選定:1/NJGr.10 白14番Pilot Unknown
小池繁夫氏のパッケージアートに魅せられて、いつかは作りたかったフォッケの夜戦です。しかし専門誌その他の作例は今まで全て白11のクラウザ機か、白9ミッゲ機でしたので、ミッゲ機のバックにピンぼけで写っている白14を選定しました。結構長いことNJGr.10の新しい写真が出ないか待っていたんですが、ついに見切り発車しました。針鼠タイプならJG.300の「星の猪」がデカールも出ていないので旬でしょうけど、八木アンテナタイプにしたかったので、こっちを選びました。。機種選定にあたり、かなり確証が無いと作らないケース、デッチアップでOKしちゃうケースの区別は、自分でも特にないようです。でも塗装図だけを頼りにっていうのは、独機の場合は、人任せで嫌。逆に1枚でも写真があればとりあえず候補になっちゃいます。幸いGreenhillのAT
WARにサイズのおおきいカットがありましたので参考にしました。同じ写真に写っていること、塗装が白11のようにRLM76のオーバースプレーが無いことからA-8のFUG218
3J NEPTUN搭載型と判断しました。したがって基本的に白9に準じた仕様とし、コックピット下のパーソナルレターのみ、デッチアップです。
クローズ状態 フルオープン状態
どうです、ちゃんと?臓物があっても開閉してますでしょ!まあこの苦労は先に述べたように自己満足に過ぎませんけど。そうなんです、2000年のJMCコンテストに出品しましたが、可動といっても別にモーターライズな訳じゃあ、ありませんから、そこらに良くある(失礼!)レジン製別バーツ使用キットと見た目は同じなんです。しかもこの年は前年よりぐーんと出品作のレベルがアップ、ジオラマ臓物系もたくさんあって、小作など霞んでしまい、努力の割には特別賞どまりでした。前の年は楽だったんだけど(^o^)。結果と努力は必ずしも正比例しないという見本です。でも、隣に足の真っ直ぐなタンクTa152が出ており、そんなのと同じレベルにしか評価されないとは、情けない(泣)。審査基準は発表されていませんが、基本的には工作技術・塗装技術コンテストであり、実機に対する考証は関係ないということです。うう、もうちょいしっかり審査して!ハセガワさん(^o^)。ついでに言うと、2000年から入賞のトロフィーが賞状にダウングレードしてしまいました。寂しい!しかしメーカー主催ではなかなか他のスポンサーを見つけることも難しいでしょうから、ぜいたくは言えませんね。