弦楽器の製作に関しては、古くからイタリアにおいて優れた楽器が多数生み出されてきた。イタリアのチェロ製作者では、
アントニオ・ストラディバリとドメニコ・モンタニャーナが双璧である。このダビット・テヒラーはマッテオ・ゴッフリラ
とならびそれに次ぐチェロの銘器としてソリストに求められている楽器である。
テヒラーを使用したチェリストとしては伝説の巨匠フォイヤマン(1741.年製
)、デュプレ(1696年製 )-リン・ハレルなどが知られており、現代ではウィーンフィルの首席奏者
(Franz Bartolomey 氏)などが使用している。
David Tecchler (1666-1748) はオーストリアのザルツブルグで生まれ、ベネチアの後、その多くをローマで製作した。特にそのチェロは高く評価されている。
テヒラーの楽器は音の力強さに特徴があり、驚異的なパワーを持った楽器といえる。音響学的な分析によると
低音-中音および最高音域ではストラディバリをしのぐパワーをもっていると報告されている。
テヒラーのチェロは大型のものが多く、その多くはサイズを通常の大きさに縮めたものが多い。
<参考>
【David Tecchlerチェロ 1730-40年頃ローマで製作、水口貴裕:使用楽器】
鑑定書「Dmitry Ginden, London, 2010年」:
「水口貴裕氏の所有する素晴らしいオールド・イタリー・チェロは、私の考えでは左のC字側板とペグボックス以外はダビッド・テヒラーが1730-1740年頃に製作した楽器である。この楽器のサイズは縮小されている。」(原文英語)