FRANCHESCO RUGGERI(フランチェスコ・ルジェリ)チェロ


弦楽器の製作に関しては、古くからイタリアにおいて優れた楽器が多数生み出されてきた。イタリアのチェロ製作者では、
アントニオ・ストラディバリとドメニコ・モンタニャーナが双璧である。このフランチェスコ・ルジェリはマッテオ・ゴッフリラ、
ダビット・テヒラーなどとならびそれに次ぐチェロの銘器としてソリストに求められている楽器である。
ストラディバリなどとならび、現代に至るまで、ルジェリをモデルとしたチェロも多く作られている。
ルジェリの楽器は裏板が楓ではなくポプラが使われている楽器が多く、この楽器も裏板はポプラを使用している。
同じ1675製のFrancesco Ruggeriのチェロはベルリンフィルの第1首席奏者(1st principal)のルートヴィヒ・クワント氏(ドイツ銀行から貸与)も使用している。(https://www.berliner-philharmoniker.de/en/orchestra/musician/ludwig-quandt/)

Francesco Ruggeri (1620- 1698年) は、ニコロ・アマティの最初の弟子で、バイオリン属の楽器をクレモナで製作した。ニコロ・アマティの弟子の中でもストラディバリとともに優れた製作者である。なお最近の研究では、ストラディバリの初期の楽器はニコロ・アマティとルジェーリの楽器の両方の特徴があり、ルジェーリの技法を使用していることから、ルジェリがストラディバリの先生であった説が有力となっている。ルジェリの生まれは1620年であるが、1670年(50歳)になるまで、自身の名前を表記した楽器は楽器は現存していない。このため、50歳になるまでニコロ・アマティの下で、iニコロ・アマティの名で楽器製作に携わってわっていた説が有力である。このため、先生のニコロ・アマティのパターンを踏襲している楽器が多く、ニコロ・アマティのラベルを貼った楽器も多く見られている。当時はニコロ・アマティの名が広く知らており、高く取引された。「シャコンヌ」で有名なヴィターリがルジェリのラベルの上にニコロ・アマティのラベルを貼ったバイオリンを買って、当時裁判になったこともある。(「シャコンヌ」で有名なヴィターリの買ったバイオリン)
クレモナを代表する製作者の一人で、特にそのチェロはバイオリン以上に高く評価されている。今日のチェロのサイズに近いチェロを最初に作ったことで、ストラディバリ等にも影響を与えた。ニコロ・アマティの楽器の中にはルジェリの製作したものが含まれていると言われており、ルジェリの製作した楽器はニコロ・アマティと同等に評価されている。
ルジェリの楽器は独特のメロウ(甘美)でブリリアント(輝かしい)な音色と音の強さ、透りに特徴がある。

大人のためのHow to チェロに戻る


【Francesco Ruggeriチェロ 1675年イタリアのクレモナで製作、水口貴裕:使用楽器】
鑑定書:「Moening, Philadelphia, 1974年」


[イメージ] [イメージ]