剣の枝 0.  地獄の絵に 剣の枝に ひとの貫かれたるを見て


 神よ、
 神よ、
 神よ。

 オレは、貴方のしもべ。
 この血も肉も、すべて貴方からの授かりもの。
 オレの意志が左右する部分など微塵もなくて、全て貴方で。
 貴方に、道を示してもらって、オレは生きていて。

 だから。

 これは、貴方の望みですか。
 貴方がオレに与えた、試練ですか。
 耐えよと、乗り越えよと、貴方への忠誠を見せよと。
 そう思われての、ものでしょうか。

 ならば神よ。
 オレの懺悔をお聞きください。


 オレは貴方を裏切るでしょう。
 貴方の心を、踏みにじるでしょう。
 貴方が下さったこの身を、ひとの血で染め抜くでしょう。
 いつか、人々の怨嗟が、オレを、呪い殺すやも知れません。

 貴方の設けてくださった、神の国への遥かな道。
 それを、オレは、自ら、閉ざすことになるでしょう。

 赦しは求めない。
 でも、どうか、どうか―



 オレを、捨て置いて。






 神よ。


20030202
中世パラレル始動。
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