国際フォーラム・子どもと自然〜自然体験活動の意味を考える〜(2000.6.24)

国際フォーラム・子どもと自然〜自然体験活動の意味を考える〜

        日時:2000年6月24日(土)13:00〜17:00
        場所:代々木・青少年オリンピック会館


特別基調講演「子どもと自然」河合隼雄(国際日本文化研究センター所長)

・心の自然を失っている。自然が先生。
・自然、人間の持っている2面性。自然の中に人間が入っているか、外から自然を見るか。
・知っていることを言い回るのは間違い。答えられないと不機嫌になる先生。
・観察している子、木登りする子。子どもから学ぶ、自然から学ぶ。
 発見していく授業。先生が答えを知っていて先生が教えることも大切だが、
 先生も含めて自然から発見し ていく教え方。
・自然に対する態度はいろいろある。正しい答えはない。ウサギ狩り、食べない子もいる。
 先生が考えていること、思っていること、子どもはすぐ分かる。

・自然、心の癒し、ヒーリングと関係つけて言われるが。
 人間の2面性、自然の一部だが、自然に対するもの。
 human nature は nature(自然)に反する。
・成長するにつれ、自然から外れる。不自然なことをしている。
 絶対自然から離れられないこと、死ぬということ。偉そうにしていても死ぬ。
 死んだ時に何を持っていくか。「これは私なんですよー。」、、自然の中で生きてきたこと。
・木がスーと伸びている、鹿が走った姿。

・自然が大事。学校に行ってなかった子、不登校と動物、イヌ、ハト、、、。
・小学校の先生の話し「話をしない子。動物が好きらしい。亀を水槽を飼い、飼育係。」
 亀がいなくなる。みんなで亀を探す、でもいない。泣いて「亀がいなくなったー。」と話した。
・拒食症、食べるようになったら、犬が食べなくなり死んだ。
・自然について知る、心が癒される。


□パネルディスカッション

・富岡賢治(国立教育研究所所長)
 ・自然体験学習を頼みにしていたのは学校、林間学校等。家庭、地域の関心も低い。
 ・全国1万人の子どもに実施。自然体験な豊富な子どもほど、老人に親切、社会的働き。
  手伝いをする子どもほど、モラルの高い行動をする。
 ・国際調査結果、日本は努力が足りない、軽視している結果。
  満天の星を見る、昆虫を採る。親の関心もない。
 ・日本の親は、いじめは良くない、勉強しなさい、等言わない。しつけもない。
 ・何が出来るか。
   一つは、学校で工夫する、総合的学習、道徳、実験観察。環境教育。
   一つは、地域、社会全体で。農家で2週間生活。ユースホステル。自然な水路。
        旅行会社で自然体験ツアー。
  強制は出来ない、希望者。自然体験活動を増やしていきたい。

・松井石根(日本PTA全国協議会会長)
 ・実体験が減っている。安全第一、危険を予知する経験もない。
 ・総合学習、人、地域、国際、ふれあいを増やしていくこと。
 ・アジア子育てサミット。どこの国も同じになってきている。
  自然は文化。特有の文化はなくなってきている。
 ・自然の中に入って行けることを作っていく。
 ・ボーイスカウト、外への連携を求めていくことを始めた。
 ・情報のアンテナが必要。コーディネーター。
  学校、地域、家庭の連携、学校がイニシアティブが希望。
  学校評議会制度、一緒に自然体験のカリキュラム作りをやっていきたい。
 ・都市型の自然、大自然の中の自然の違い。自然を作っていくことも出来るのではないか。
 ・大学に行くだけの進路より主体的に生きて行けるには、知識より多様な体験が必要。

・べルナール・ミュッフル(ドイツ・バイエルン州高等教育センター所長兼教授)
 ・子ども、若いというのは何か?個人差がある。政治的関心、宗教的関心、、、
  若く、異なっている、20才までの80%が学生。
  一人っ子が増えている。共稼ぎ、一人で留守番、物を買い与える、甘やかす。
  親は勉強せよと主張。テレビ、VTRが新しいメディア。悪い情報も伝える。
  ポルノ、暴力。ヴァーチャル、引きこもる。
  学校は終わりなきパーティー。技能、体験は教えない。知識のみ。
  社会的習得機会の損失。学校は社会的体験、自然体験を創出する必要あり。
 ・家庭。片親、継親、共同生活。両親をパートナー化、友達化している。
  子どもが3人以上はまれ、貧困化。
  子どもホーム、相談にくる子どもが増えてきている。
  親の非教育指向、放任指向。学校にまかせきり。
 ・ソーシャルワークの状況。少子化、教育サービスのコストアップ。
  大学は実践より理論。体験学習はようやく5年前から大学で取り上げる。
 ・一つの解決策。プロジェクト、体験学習、アドベンチャー学習、全身的学習。
  比喩による学習、CD−ROM。

・金道朱(大韓民国・社会教育学会会長、前檀国大学総長)
 ・家庭教育。伝統的、公教育、家庭史教育。現代、公教育、独立心、入試強要。
 ・76.4%が家出したい衝動を持つ。家庭環境が厳しい。父母との関係が原因。
 ・家庭教育が大切。100の青少年団体、新家庭運動。
 ・儒教。先生の日がある。ソウル大学。

・ニコラ・マッジ(イギリス・ナショナル・チルドレンス・ビューロー研究員)
 ・半分以上の子どもは高い山に登っていない。
  日の出、日の入りも見ていない、認識していない。
  一人用のTV。親もうるさくない。
 ・子どもの権利、自然環境に触れる権利。
 ・小さなことから、近所、通学路、平日夜、週末。
  ホームゾーン、家の外で安全に遊べる環境作り、歩行者優先。
  WALK TO SCHOOL 2000。車ではなく歩いて通学。
  カリキュラム、遠足、動物飼育、体験学習、自然学習。
  景色を通して学習する。近所の木を選んで、種を集めて自分で育てる。
  校庭を自然でいっぱいにする。
  地域のワイルドライフ組織。蛾、小羊、野鳥観察、自然環境保護、、、
  ナショナル・サイクル・ネットワーク。安全なサイクリングコース。
  たくさんのキャンプがある。手や足を忘れていく、木工キャンプ。
  ボーイ・ガール・スカウト。
 ・情報化、社会性、、、、新鮮な空気。バランスの問題。
 ・自然の楽しさを継承していくのには、親の参画が必要。

・デボラ・チャップマン(アメリカ・テネシー大学健康・人間行動学部助教授)
 ・家の手伝いをしている方。親も積極的に指導。
 ・自然体験は多い方。
 ・9万校、公立、私立。学習時間も長い。キャリアアップ重視。早期教育。
  高校出たらすぐ大学が増えている。大学進学率も高まっている。
 ・新しい取り組み。新基礎カリキュラム。
  先生の新しい評価方法、議論重視、ポートフォリオ評価。
  インターネット。
 ・片親、親が高校を卒業していたい。両親がいない。
  酒、薬物、タバコ。学校犯罪、セキュリティ。


学校教育、地域、家庭

・米デボラ:学校では道徳教育は薄い。
       3ケ月の夏休み。地域が担い手。スポーツ、キャンプ。政府も補助金、8週間。

・英ニコラ:各々が担うべき。
       自然に関心がある若い人。日々の生活の中に活かせるチャンスを設ける。
       スカウト活動。古くもなってきている。お祈り等はきらわれる。
       子どもたちを計画作りに参画させることが大切。

・韓国金:自然との体験、ふれあいは難しい。遠い。
      青少年の施設、自治体と民間がある。
      民間、高級ホテル並みから、安全性に問題あるのも。
      体力が落ちている。51%が体力鍛練。夏休みに集中。

・独ベルナール:体験と学習をどう結びつけるか。例えば、雨を問題にする。
         学校は午前中、午後は家庭、地域。様々なメニューが用意されている。
         子どもに付き添う、それが教育。体を動かすことも重要。
         学ぶということは体を動かして解決していくこと。どうでも良い知識は無駄。

松井:地域でのカリキュラム。地域の中に学校、家庭がある。
    学校のやらないことの明確化。地域、家庭のやることの明確化。
    生活空間を活かす。人とのふれあい、自然とのふれあいがある。
    木に登っても良い、ふれることができる都市公園。地域住民が関わっていく。
    埼玉。教育の民間研究所。子どもの休暇、教職OBがつきあう。

富岡:先生に地域教育を理解してもらうことを言い続けてきた。でも限界。
    自然体験も、学校のカリキュラムに入れることは難しい。地域が担うべき。
    総合学習、環境学習、英語、自然体験、、、地域も入らないと不可能。
    学校評議会。校長にどんどん文句、要求を言えば良い。
    生涯現役大作戦、学校に関わる、地域起こし、まちづくり。

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