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□パネルディスカッション
  コーディネータ/虫明功臣(東京大学生産技術研究所教授)
  パネリスト/宮村忠(関東学院大学工学部土木工学科教授)
          岸由二(慶応義塾大学経済学部教授)
          恵小百合(江戸川大学社会学部環境情報学科教授)
          鈴木茂樹(千葉県土木部都市河川課主幹)
          小林正典(国土交通省土地・水資源局水資源部水資源計画課長)

□虫明氏
・流域マネジメント−健全な水循環系への構築−へのプロセス
  現状と問題点の確認
  基本目標と戦略の設定
  各種施策代替案の選択と比較評価
  役割分担の調整
  マスタプランと実施計画の策定
  協調と連携による総合的推進
  評価、見直し
・共通認識を醸成するための前提
  計画当初から、スティクホルダ、広い意味での関係者を含める
  実態と将来予測をヴィジブルにする
   水循環システムとしての全体像の把握
   現状認識→健全性の判断
   流域水循環モデル、ツール 計算機、衛星
   モデルはデータがなければ出来ない(モニタリング)
   モデルリングは構造化、体系化
   実態把握から好ましい姿が見えてくる

□鈴木氏
・海老川での情報の共有化。
 今までは河川流量のデータを持つのみ。環境部局で水質データを持つ。
 東京大学、千葉大学、土木研究所で、研究対象としてデータを持っていた。
 浸透試験で浸透量のデータを得るようにした。
・行政の1担当部局では情報が少ない。横の連絡、インターネットの活用。

□岸氏
・鶴見川流域ネットワーキンク。それぞれの団体が動いている。54団体。
 川関連の実質活動は20団体。流域の啓発活動。最低限の規約を守る。
・情報。流域の地図を共有し、安全、やすらぎ、福祉、、、こころざし。
・流域という面白いものに関心を持とうとアピール。バクの形を浸透させる。
・総合治水体系。流域の緑、農業、流域対策で、洪水を防ぐ。
 丘陵の緑を守る、雨水を浸透させる、、水田を守ると洪水対策になる、、、
 実態的な情報の共有。市民の間、河川管理者の間に広まった。
 国、都、県、町田市、それぞれの担当の職員が、きちんと認識していない。
 市民団体が仲立ちをして、河川管理者を京浜事務所に、誘った。
 森を守ることが洪水を緩和する、、昔はタブーだった。
・自治体の区の区政推進等の職員たちも必要。
 地域のまちづくりをやっている人が結びつけている。
・ルービックキューブを結びつけること。
・流域が土台。エトス、エンジン、思い入れ。流域人としての自覚。
 流域体験、流域地図の共有。

□恵氏
・荒川流域ネット。1994年から。試行錯誤している段階。
 鶴見川はブレインを抱えていてうらやましいなと感じた。
・山の源流地域の人に話し合いにいくと、向こう側の山を含めた広い視点が必要。
 源流を訪ねる。支流単位で考え、共有、交流しあう。
・現場に行ってみないと、問題は分からない。
・現場に行ってて、情報を確認する。
・事務局を変えながら、毎年やっている。
・飯能市、合併処理浄化槽制度に対して表彰。地域の関心を喚起する。
・100年前からの汚染。あなたの家が汚していることを理解してもらう。
・行政との活動のきっかけは、荒川上流事務所が地域住民に呼びかけたこと。
 縦割り行政を、つなぐ側になることを最初から割り切って活動。
 いろんな行政に声をかけるイベントをやっていった。
 我々が話している言葉と、行政の言葉が違った。言語の共有化を図った。
・よく分からないから、話してきた。いろいろな勉強会を開いた。
・源流は水開発者、直轄区間、支流は県、市町村、本流は国。
 つながないといけない相手は、市民と、行政の組織。
 つなげていくことで、水の循環を考えていくことにつながる。
・600万以上の人がいる。出した情報の2割しか届かない。
 多様な市民に対して、多様なプログラムが必要。
 全体での活動は年に2〜3回程度。後は、バラバラに活動。
・情報を受け取る訓練が行き届いている人と、そうでない人で、情報の渡し方が違う。
・人のタイプに、アリのタイプ、鳥のタイプ、イルカのタイプがある。
 水質、土質等、足元をみる人、、全体を見る人、、海からの観点を持つ人もいる。
 そういう市民がネットワークを持ち、連携していけば、力を持つことが出来るのかな。

□宮村氏
・情報の共有化は大切だが、分かりにくい言葉。難しい。
・23万個のため池が残っている。それぞれにコミュニティがある。
 なかなか出てこない。新しい人に知らせるのは面倒くさい。
・情報の共有化をしなくちゃいけない。しかし、面倒くさい。
 秘密にして教えたくないこともある。ある場所では、いつも会う人は同じ。
・情報の共有化には弊害もある。

□虫明氏
・情報は力だが。知っている人は知っている。
・ブラックボックス、農業用水と地下水。
・社会秩序を継続するには、、、、
・水をつないでいけば、流域にまでいきつく。そうでもない場合もある。全てが流域では無い。

□岸氏
・リバーベースン、トップダウンで科学的に原因究明していく手法。
・ウォーターシェッド。分水嶺の意から、流域。(福祉でも転換の意で使う)
 草の根主義、暮らしの地域を考える。
 足元の見方、、、最初から流域を考えることはない。
 流域で暮らすことは気持ちよい、、、直観、、、サブカルチャーで良い。
 生活クラブの人は、水循環で相模川の活動に移った人もいる。
 川辺で遊びたい、、、そういう人が一緒にやっている
・流域にこだわってきた。都市住民は関係ない。

□小林氏
・数多くの省庁が関係。閉塞感もあったので空中分解せずまとまったのか。
・4地区でマスタプラン作り、一歩一歩、着実に進んでいる。
・国土交通省ではホームページも設けており、各省庁へもリンクする。

□海老川での問題意識(鈴木氏)
・平成7〜11年、4ヶ年でまとめた。わりあいこじんまりした規模。
・市町村、市民へのアンケートをとったら、問題意識は同じ。
 @水質 A洪水 B自然環境
・川を中心としたものに関心を持つ人が多かった。
 共通認識が最初からあった。
・すんなりいったわけではない。行政間のケンカが一番大変。
 河川と都市計画。宅地開発にともなう調整池の設置。
         売れない土地を作るのでいやがる。
         開発は民間、どう担保するか。管理は市町村で行いたい。
         河川に水害耐力あれば、調整池を埋め戻せるのに。
 合併浄化槽はうまくいった方。補助制度。
 下水とつながったら雨水貯水も考えている。
・毎年、市民と懇談会を持っている。どういう人をターゲットにしたら
 一番効果があるか? →小学生向けパンフ。大人には期待薄。
・水質。被害者意識でスタートしたが、加害者でもあることも意識。

・厳しい対立がないところに、インテグレーションはない。
 川が被害者で、都市計画に要求する。流域の視点から。

□岸氏
・1991年、TRネットの立ち上げ。
 前年の総合治水。洪水は、都市計画が起こすもの。川は被害者。
 デコボコのところに都市を作るから洪水が起こる。
・空間管理計画。流域ビジョン。流域、水と緑のネットワーク。
 市民側から緑と水のネットのエンジンになろうとした。
 東京都、神奈川県、町田市等の、計画。
・その後を受けて、マスタプランができた。
 総合治水だけでなく、水質、水量、、自然環境、生物多様性、
 流域というランドスケープの中で、尾根を守り、校庭に池を作り、
 防災、、、流域の文化、こどもの話し、、、、、、
・中身のある議論を、、丁寧にまとめた。
・本流、支流、、3つぐらいつに分けて、、地域単位の分科会を設けて
 提言を受け止めてもらった。
・流域連携、難しい。当初の自治体の反応は、
   市民団体が国と一緒になって、攪乱しにくる。
   国が市民を使ってくる
 でも、現在は源流の泉は広場になった。
・町田市は、今はその判断を喜んでいる。
 流域で考えることは自分たちにも役立つと、、、考えている。
・河川管理者と下水管理者の関係の難しさ。会議をしても決裂。
 乗り越えられない壁。
・水マスタプランに、都市再生と書いている。
 洪水から開放されて、仲良くしようとしている市民がでてきた。
 新しい、安全を作る、住みやすく、まちづくりに、、なろうとしている。

□恵氏
・荒川。いろいろなタイプのNPO、NGOがいる。
 尻尾をふるペット・犬もいるし、政策提言をするNPOをいる。
 シープドック、、縦割り行政を先導するタイプが必要。
 公平一律、総合、、、市民側は全部やりきれない、、、
 水ガキ(子ども)復活キャンペーン。文部科学省への働きかけも必要。
 かつての水の文化を復活させること。流域での新しい経済のメカニズム。
 流域の資源をきちんと活用することの復活が必要。農業、土地の価値。
 例えば、木材を、学校の机に使うとか。活力、雇用とかの視野も必要。
・おつきあいの仕方の仕組みが、少しずつうまくなる。
 どんな子どもたちを育てたいか、、、

□宮村氏
・以外に縦割りも良いところがある。縦割りの担当範囲の組み替え。
・国の方針が自治体に伝わるには10年かかる。
・バランスの問題を考えないとみんながやりにくい。
・川のまわりにあった教育方針。報徳教育。二宮尊徳。
 開発する時に余力を持てよ。維持管理を考えること。
 淡水魚をなくさない。ため池で七草をとる。

□岸氏
・水マスタプラン。河川管理者がしっかりしてきた。

□恵氏
・ビオトープ、事務所が買い上げてくれて、管理は市民。
 国から出てきたゴミを、市が処理しなかったが、そのうち、
 3市が順番に処理してくれるようになった。
・自己責任であることをはっきりさせて、おんぶに抱っこじゃないことを
 明確にする必要がある。

・新しいことは市民組織が増えたことかな。地縁組織もあるが。

□推し進めていくには?

鈴木氏
・毎年の計画には批判しない。長いレンジで進むと見えてくるはず。
 一つのモデルは出来ているので、当てはめると自ずから分かる。
・行政には異動がある。次の人にどう伝えていくか。特に、市民とのつきあうノウハウは
 引継書には書けない。

岸氏
・流域イニシアティブ。一つは自治体があって、総合治水対策を作った
 京浜工事事務所。流域を主張してきた。
・流域・・と連携することを最初から考えてきた。
・ずーっと言い続ける、、、強いもの、変えないようにしたい
 スタッフを育てていく、、、学校を川とつなげようとしている
 どうやって食えるか、人生が破綻しないように。
・河川管理者が、背負っていくしかないな。
・安全でやすらぎのある流域。
・自治体、河川管理者以外が、どんどん出てくることになるだろう。
 重要な切り換えが必要。河川局だけじゃなく、都市計画も
 下水、公園、道路、、、、地方整備局レベルで全体をみる必要がある。
・市民と自治体、企業、、ゆるやかに連携できる、センター、
 ソフトが必要  コミュニティ作り、、学習の一歩 
・ある種の学習創造コミュニティ。大きな枠組みが必要になる。

虫明氏
・相互理解が無理なら、、、相互尊敬。
・市民団体があるから、積み重ねができる、継続性がある
・市民団体は調整役にはなれないだろう。

恵氏
・ちゃんと100年後をどう考えるかは責任。
 プロジェクトとしては、里山管理のようなものは簡単だが、浄化交流は難しい。
 価値のありがとうの交換を進めたい。市民だけじゃできない。
 うまく脱皮できる組織の作り方が必要
 水とのかかわり方は地域ごとに違う。それを発見していくのは地縁組織と流域縁組織。

 都会の人の帰属意識も復活できるかな。
 誰がマネジメントできるかも興味。

宮村氏
・コーディネーター、、、行政やった人しかできないだろう
            縁の下でやること。 育てるスクールがいる。

虫明氏
・農業改良普及員。環境、水循環に範囲を広げたらどうか。

小林氏
・昭和55〜56年頃、鶴見川論争、最初の総合治水を作る時。
 関係自治体と勉強会をやりながら、中身を固めていった。
 治水問題は土地利用問題。河川管理者が出て行く法律がない。
 各自治体へお願いするしかない。下流は横浜市川崎市、上流は町田市。
 町田市が一番難航。森林管理は町田市、被害は下流。どうしても調整がつかない。
 最後は、「良く分かるが、自分たちにも市民、議会がある。」
 行政通しが議論しても限界がある。強引に押し切ったが不味かった。
 実行面でも不安が残った。
・行政通しをつなぐのは市民がやはりカギ。
 市民へのPRをさぼったわけではないが、TRネットのようなものもなかったし、
 市民運動の盛り上がりもなかった。
・水循環、水マネジメンイトの問題で、突破していくのは、市民と行政の連携。
 市民といってもいろんな人がいる。市民運動の成長も必要。
 行政も説得される勇気も必要、意識の転換。
・国の機関としては、新しい法律、予算の仕組みができるのが一番良いが、まだ早い。
 誰がどうすれば効果があるかが、もう少しはっきりしないと法制化できない。
・当面、地域地域で活動していって欲しい、、支援していく。

□質疑応答

Q:埼玉)小坂さん。ボランティアで川を綺麗にしたい。
  生活排水。責任が明記されているが解決しない。
  地方の小さな河川は、死んでて、生物はいない。
A:鈴木さん。合併浄化槽、あくまでもお願い、強制力はない。
  4人家族で、50万からかかる。個人の負担が大きい。
  船橋では30万くらい補助する。

Q:手賀沼)川原さん。手賀沼流域懇談会、まもなくまとまるが、
  25団体あるが、真剣に考えている市民活動グループが入っていない。
  どんな基準で団体を選ぶのか? 3回で決めて良いのか?
A:鈴木さん。私が担当者。河川整備計画の懇談会。3月ではまだ策定できない。
  河川法の中では、みなさんの意見を聞いて河川管理者が決める。
  今、利根川、一級河川をやっていくので、各市町村から推薦。
  学識経験者は、農林関係の意見を聞いて決めている。
  懇談会外からの意見を受け付けることにしている。
  岸さん。普段から情報交換、意見交換できる関係構築が大切

Q:総合地球環境研究所)長野さん
  行政の異動があるが、地域の問題はもう少し長く関わるようにした方が良いが。
A:小林さん。ポイントを押さえた引き継ぎはしているつもり。
  前任者への問い合わせもしている。
  岸さん。市民側の姿勢は一貫していれば大丈夫。新任者への関心は高いが。


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