川崎学サロン「自然を友とするために〜生態学の視点から〜」(三島次郎教授・2002.03.12)

川崎学サロン「自然を友とするために〜生態学の視点から〜」
  日時 2002年3月12日(火)18:30〜20:00
  場所 高津市民館第5会議室
  講師 桜美林大学名誉教授 三島次郎
  主催 川崎市市民アカデミー

・タイトルには、川崎の文字はあえて入れなかった。
・地球的スケールから始める。

・1988年、米イエローストーン国立公園。山火事が起こったが、消さなかった。
 レンジャーたちは消火活動を許さなかった。
・結果として、東京都と神奈川県を合わせた規模の森が燃えた。
・科学的事実。火事も自然のうち、と結論した。
   @過去に何回も火事があったことを示す。炭の層。
   A草原から森への遷移。森の動物と草原の動物。
   B火事によって開く、ロージポール松の松毬。
    DNAの中に火事が起こることをプログラミングされている。
   C陽樹林から陰樹林へ。植物通しの競争と火事。
    ロッジポールの下に陰樹が生えている。
    火事の後は、ロッジポールが生えてくる。

・ご存じですか?自然の法則。
・あなたが、レンジャー/森林保安官だったら。
・「知っているか、知らないか」でね180度異なる判断。
・生物的自然の科学的知識を!!

・お答えください。「自然を大切にしていますか?」
           「自然が好きですか?」

・生態、遷移 ・陰樹と陽樹 ・動物の植生 ・生活場所 ・適応

・生態学(ECLOGY) OIKOSと・・・

・34億6千500万年前の自然破壊。シアノバクテリアは語る。
 長い雨が降る、水の惑星の誕生、海が出来る。生命の誕生。
 炭素同化作用。6CO2+12H2O=C6H12O6+6H2O+6O2。
 二酸化炭素の量は70%を超えていた。
 二酸化炭素という資源と水で、どんどん酸素というゴミを作り出した。
・嫌気性バクテリアを殺しただろう。(今でも嫌気性バクテリアは地中に)
・今は0.03%という濃度。微妙な地球温暖化への影響。

・もしも、この反応の逆が無かったら?? 繁栄から滅亡へ。
 二酸化炭素(資源)の枯渇  酸素(汚染)の増加
・動物が植物を食べ、シアノバクテリアを食べた。敵もまた味方。
・オオカミはヒツジを救う。
 200頭分の植物しかない、絶滅してしまう。オオカミが減らす。

・地球共生系の誕生。バランスメカニズム。
 仲良くやっていくだけでなく、お互いに食べることも。

・西オーストラリア、ハメリンプール。シアゾバクテリアが未だ生きている。
 ストロマトライト(シアゾバクテリアのコロニー)

・生物が創った星、地球。

・ダーウインの研究、「ミミズと土」。生物が作った部分は、生物によって壊されやすい。

・地球の大気層。直径1mの地球に対して、大気は4mm。薄い、いかにも壊されやすい。

・地球共生系のシンボル。
 まもなくサクラが咲く。1枚のサクラの葉から学ぶ。
 葉柄のところのぽちぽち、蜜腺。
 アリをあがらないようにしておくと、葉が毛虫に食べられる。
 →動物を使って身を守る。
・植物と動物が、巧みに使いあって生きている。
・ハンマーオーキッドの誘惑。バラの香りに酔う時。
 メスの蜂に似ている花、フェロモンも出している。花粉をつける。

・復習。ツバメと昆虫とは、切り離して存在できない。
    ムシを増やさないとツバメは来ない。
    でも、ムシを増やすことには、人間はいやがる。
    人間からの評価、「○」の生物と「×」の生物。

    ○の生物だけでは、生きてられない。
    両者が複雑に関係しあって、全体の生態系を作っている。

・個と群についての論議。すべてのものは、個であり、群でもある。

・カエルについて理解するために?
 カエルの血、心臓、、部分の説明をした後、全部集まるとカエルになる。
 という説明では、「カエル?」は分からない。
・全体から部分へ。whole to parts。事物の理解。
・属性の創出。集団は単なる個の集まりではない?

・まとまりの系列(レベル)
 分子→細胞→組織→器官→個体→個体群→生物群集→生態系。

・自然観察と動植物観察。
 子どもの観察は植物や動物を観察した。自然を観察したのではない。
 動植物についての観察は、自然観察だろうか?
・カワセミ、、鳥を保護しているのであって、自然を保護しているのではない。
 カワセミが増えると魚たちが困る。
・巣箱と自然保護。巣箱に入る鳥と入らない鳥。なぜ、あの鳥だけ?
・自然は全体。エコシステム。

・帰っておいで、ホタル。
 超単純化された植物連鎖パターン。
 ホタル幼虫を放す、、、カワニナを入れる、、、(生産者・植物)
 数年は、ホタルの数が増える。カワニナがエサを食べ尽くす。
 ばったりといなくなる。他から、カワニナをもってくる。
 ホタルの復活ではなく、ホタルを飼育することになってしまう。
・ホタルの捕食者をもってくる。全部食べてしまう。
 捕食者の捕食者をもってくる。

・ホタルの復活に成功した川は無い。飼育、マネジメントはあるが。
・いなくなったのは、ホタルではなく、ホタル生態系・エコシステム。

・どぶの中の自然。イトミミズが湧いている。
 ユスリカ、アカムシの幼虫。水がきれいになる。
 汚染生態系の担い手。
 活躍によって資源は枯渇する(浄化、自浄作用)

・白いヌルメル、バクテリアの群落。強力な分解者。
・側壁などの植物、カタバミ、ギシギシなど。

・どぶさらいをするなと言っているわけではない。どぶの中も自然であることを知って欲しい。

・豊かな自然を取り戻そう!!の幻想。
 豊かな砂漠の自然。「砂漠は生きている」。サイバワインダー、サソリ、サボテン、、、
 砂漠には砂漠の豊かな自然がある。
・人間が○を付けた生き物だけが、生き物ではない。
・ユスリカがいる川は、アユにとっては悪い自然。

・三島式電気ショック型ライトトラップ。1970年代に作った。
 長野県菅平、夕方〜12時、2916の蛾。144種。
 クロマダラメイガは700、25.9%。種類と数、指数関数的な分布。
・元村の法則(対数)。
・一ノ瀬でも。生田緑地の鳥類の目撃個体数も。
・(個体数の)多い種は(種類は)少なく、(個体数の)少ない種は多い。

・元村の法則が教えるもの。
・この夏、菅平に行ってみよう!
 電気をつけて、窓をあけておく。ガが入ってくる。
 クロマダラメイガ  25.9%。
 ウスアミメキハマキ 40.2%。

・知っていますか?
  ヤンバイクイナ
  ジャイアントパンダ
  トキ

  ハキダメギク
  ギシギシ
  エノコログサ
 あまり知らない。家の回りに「雑草」として咲いている。
 自然を知ることではない。

・自然は 純粋培養 を許さない。
・イネをほったらかす。草ぼうぼう。穂をとる。
 労力をかけて10俵、手をかけないで2俵。大収穫。

・同じ種類だけ生えている。不自然。

・松が枯れてなぜ悪い。やがてほっとおくと、常緑樹林になっていく。
 松がずーっとあるのは不自然。
 自然界のパイオニア。荒れ地、攪乱地の植物、遷移の出発点。適正な順位へ。

・普通のものほど大切?
・上位の捕食者の生存。
   普通のものがいなければ、上位のものは生存できない。
・上位のものから消えてゆく。
・種の保護と群集の保護。

・貴重な自然。1種類の蝶の生存のために、自然の「セット」が完備していなければいけない。
・たくさんの生物はいるが貴重な生物はいない。でも良い。

・「蛾がいる」 自然が残っていることの証拠。
 多摩川、上流の方が蛾が多い。

例題1・森は荒れているか?
・人工林と自然林
   杉、桧の林・・・・木材の生産工場
   間伐、枝打ち・・・上質な木材生産のための作業
・里山の雑木林
   薪炭、腐食土・・・生活必需品の生産の場
            手入れではない、薪をとるため、炭を焼くため。
            切ってもきっても生えてくるコナラが好まれていた。
  今はどうだろう?
  自然に戻れよ、、、鬱蒼とした森、、常緑樹になるかも。
・自然の時間と、人間の時間は違う。
 見事な自然が戻ってくる。人間の評価とは異なるかもしれない。
 カタクリ、、人のおかけで数を増やした。ゴキブリと同じ。
・自然を自然に戻すという発想があっても良い。
・棚田の復活。もちろん結構だが、博物館的な結構。
 米を作る場としては、どうか。もとは森だった。広大な休耕田を使えば。

・わりばし。間伐材で作っている。森林を救うことにもなる。

・管理の主役。君たちに自然を任せよう!!
 自然がやってくれることは、自然にまかせる。

・何もしないという自然つくりの基本。
・ビオトープという名の動植物園。

・自然が好きですか?
 自然を大切に、とは?

例題2・田んぼの自然。
・典型的な不自然地域・・殺虫剤、除草剤、施肥
 たんぼに自然がありますか?
・トンボの食べものがありますか?・・たくさんの昆虫

例題3・きれいなことと汚いこと
・ゴキブリと吊皮。かぐわしい匂い、集合ファロモン。
・どっちが汚いか?
・今のゴキブリは、人間と同じに生活して、汚くない。
 汚いというのは感覚論。
・ダニはお友達。ダニ博士の言葉。

・見えない敵! スギ花粉症−なぜ増え続けるのか。
        スギを切っても、次が登場するだろう。
 とっても怖いこと。ピコグラムの世界。1兆分の1。
 1000杯分の水に1グラム。50m×20m×1mのプール。

・生物は外界(環境)を変える
 人間も例外ではない。

・容存酸素の日変化。日中増える。生物の働き。
 二酸化炭素でph変化。

例題4・生活の中の環境教育
・人のいない教室の電気 ちょっとした気づき
・校庭の緑 雑草ですか?
・空き缶ひろいの目的 余りジュースに蜂が溺れる

例題5・いつわりの自然 学ぶべき大切なもの
・造花、、、生き物と作り物が区別がつかない
・仮想現実−−シミュレータ。学ぶべき大切なもの。
・疑似体験の危機。
・飛行機の操縦。失敗するとお客が死ぬ、一番大切なものを学べない。

・恐竜が栄えた年月・・・・・・・・・1億年
 人類が出現してから・・・・・・400万年
 人間らしい生活してから・・・・・・1万年
 化石燃料を使い始めてから・・・・300年?

・こんなけしか生きていないのに、この地球を壊して、、、どうする。

例題6・雑草
・自然駐車場。生田緑地の駐車場。雑草が生えてきた?
・見苦しい? 家の庭の雑草?  綺麗になった?

・雑草と呼ばないで。タンポポ、ハコベ。
 ひっそりと咲いているのに、なぜ抜くの? 緑です。
 私たちを美しいとは思いませんか?
 きれいでかわいい、一部の動植物がエコヒイキされて良いですか?
 公園に木があっても森はない。落ち葉が捨てられ、下草も刈られる。
 ゴルフも芝である必要はない。刈り込めば良い。
・自然を見つめる目、自然とつきあう態度。
・自然にやさしい生態工学。
・自然を大切には、価値観の転換、人間にとって何かが大切か?
・道端の草花も美しい。

・見えない自然の働きを知ることが大切。
・自然を大切にしていますか
・自然が好きですか?

・・・・川崎の中にどんな自然があるか??


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