![]() かわさき市民アカデミー第11回開講式 記念講演 日時 2002年4月6日(土)11:15〜12:30 場所 障害学習プラザ4F・大会議室 ・生態学の分野で研究してきた。生物と環境との関わりについて研究。 その中でも、保全生態学。人と自然の共生に関して、調査、実現していくことを研究する。 ・知られていないが、日本は国家戦略を持っている。 ・入学式の時の思い出。私は集合写真の時、サクラの木の下で撮ったこと。サクラは満開 だった。40年以上前は小学生の入学式、今は早くなった。特に今年はであるが,気候は 変わってきている。 ・地球の環境はとても大きく変化している。温暖化している。 二酸化炭素の濃度は、数十億年、人として進化してきたが、数十年前からの変化、昔の 空気が閉じ込められている南極の氷を調べてみると分かる。 そうすると、過去40万年、変動している、氷河期と間氷期の繰り返し。 自然は不規則に変化するが、300PPMを超えることはなかったが、今、立ち上がり始めて、 外れた状態になっている。 ・なぜ二酸化炭素が増えたか? 温暖化?、雲のでき方も変わった? かつての変動の幅に戻す取り組みが様々になされている。 ・国際的目標、生物多様性の保全。 ・生物の多様性は、この地球上には数十億年の生命の歴史が作り出した夥しい種類の生き物 が互いに関わりながら生きており、ヒトもその一員であることをあらわすことば。 最近では人間活動の影響を受けてたくさんの生物の種類が絶滅したり、絶滅の危機にさらさ れ、自然の豊かさが急激に失われた。 ・カッコソウとマルハナバチ。20世紀に入っての人間活動は、地球に影響を及ぼすようになっ てきた。生物が作るまとまり、生態系でみると、干潟、湿原、失われ、水の浄化が低下。 ・自然の恵み自体が提供されなくなってきて、人類そのものの存続が危うくなってきている。 ・たくさんの種が絶滅している。レッドブック。 哺乳類、1130/4763、24%。 鳥類 1183/9946、12%。 ・霊長類も多くは絶滅しようとしている。熱帯圏に多い。 日本は、ヒトとニホンザル。ニホンザルは霊長類の北限。 ・例え、熱帯雨林の10%を保護区にしても、数十年以内に種は半分に減る。 ・分化してまもない生き物たちの現状は厳しい。 ・オレンジヒキガエル、コスタリカにいる。標高の高い保護区の雲霧林にいた。 欧米では宝石のように美しいカエルとして人気。1987年から激変。 その後、見つかっていない、絶滅しただろう。20種類のカエルのうち、半分が姿を消した。 他でもあちこち起こっている。 ・両生類の研究者が、国際的になぜ消えるかを調査した。複合的な効果?? ・ペットのための乱獲 ・酸性雨 北欧では大きな問題 オタマジャクシが育たない? ・オゾン層の破壊 強い紫外線 ・新奇な疫病の発生(外来生物の影響) 人間のウイルス性の病気。野生の動物との接触が増えたせい。 ・内分泌攪乱物質による免疫系の弱体化 性ホルモン的働き ・温暖化に伴う異常気象(旱魃など) 雨が降らずオタマジャクシを生めない ・水辺の開発による生息環境の喪失 ・オーストラリア、イブクロコモリカエル。胃液を止める。ペット化。 ・昔は、犬、猫、小鳥、金魚がペット。今は、様々な種類が対象。 絶滅の危険を高めている。販売数の1000倍くらいを捕る。乱獲。 ・毛も羽も服もない裸のカエルたち 水辺と森がないと生きていけないカエルたち 無防備、感受性が高い ・カエルだけではない。全ての生き物が影響を受けている。 ・生物の保全、多様性は、重要なことである。 ・自然の恵みとは、たとえば財として 食料、薬品、香料、燃料、野生生物遺伝子 たとえばサービスとして 健全な水循環、気候制御、水と大気の清浄、 汚染物質の吸収、 受粉、やすらぎ、感動、インスプレーション、 子どもを心身健やかに育む作用(自然の中で遊びながら育つヒトの子) 自然の恵みが過不足なく提供されていれば、私たちはそれを意識しない。 しかし、それが損なわれると強く意識しなければならなくなる。 産業や生活のために、コストをかけてそれを使わなければならない。 実り無き秋、、花が咲いても実ができない、昆虫がいなくなった 綿はマメコバチで代用しているが、お金がかかる。 失われた浄化作用、、ウエットランドの生物たちの連携プレー、 それが無くなった今、高度な技術の浄化施設が必要になってきている。 他の利便性のために犠牲にしてきた。 蝕まれる子どもの健やかな成長、、自然の中で群れて遊ぶことで心身を鍛え、 豊かな情緒を育んだ。失われた時、その 代替手段がない。このままでは深刻な影響があらわれる恐れがある。 ・生物多様性が1980年代の終わり、注目されてきた。 1992年、地球サミットで「生物多様性条約」を採択。 多様な生態系を守り、自然の恵みを持続的に利用できるようにする。 現在182ケ国が締約。アメリカは未。 それぞれの国に固有な自然を大切にする義務を負う。国家戦略。 ・日本。1995年、生物多様性国家戦略、策定。 2002年3月27日 新・生物多様性国家戦略、閣議決定。 環境省自然環境局、研究者、市民、NGO、関連省庁。 現状は? 何が問題? ・第1の危機は? 開発、利用のための乱獲など、人間の強い活動。 昔から存在しているけれど、いっそう深刻化。 第2の危機は? 伝統的な農業や生活と係わる自然への働きかけがなくなったこと、 里山や田園の自然の手入れが不十分になってきた。 第3の危機は? 日本の自然になじまない、新たにもたらされた生物、外来種や、 自然界に依存しない化学物質によってもたらされる問題。 修復が難しく有効な対策が求められる。 ・第1危機。・水辺がコンクリートで護岸され、ウエットランドも埋め立て。 明治の半分になっている。日本の水草の80種の1/3が危機。 ・森林や草原の開発で、オオタカ、フクロウ、生態系の頂点の猛禽が絶滅の危機 ・南の海の埋め立て、ジュゴンが危機 ・かつての普通の生き物も危機。メダカ、タガメ、秋の七草。フジバカマ、キキョウ。 →保全の強化、自然再生。 公共事業や各種の開発を「自然との共生」の視点から見直す。 今年度から本格化していてきた。 持続的な生物利用を。 ・第2危機。里山、差土地、、雑木林の手入れや谷戸田の耕作など、市民の多様な活動 NPOや市民の役割、一次生産者とのよりいっそうの連携。 ・第3危機。日本は外来種の問題については無法地帯。 ブラックバス、マングース・ペット化した猫→ヤンバルクイナ、アマミクロウサギ 新たな仕組みが必要。 ・外来種の利用に先立つリスク評価 ・外来種利用にあたっての管理強化 (野生化をもたらさないように利用者が責任を持つこと) ・既に問題を起こしている外来種の駆除 ○生物多様性の保全への参加のいろいろ ・直接活動に参加。リクレーションを兼ねて里山、森林の管理作業。 自然再生事業への参加。 ・間接的な参加。活動しているNPO、NGOに寄付、会員になる。 ・消費者の立場でできること。 生物多様性保全に配慮して、無農薬、減農薬で生産された農作物を買う。 自然再生のプロジェクトに積極的に参加している企業の商品を購入。 ・お年寄りは、お孫さんや若い人に昔の生き物の思い出を話す。 (生き物が豊かだった数十年前の自然は自然再生のひとつの目標) 以上 文責:竹井
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