飛森谷戸に生息していた両生類と爬虫類(2002.3.24)

飛森谷戸の自然を守る会 第6回活動報告会 平成14年3月24日

記念講演:飛森谷戸に生息していた両生類と爬虫類 リチャード・Cゴリス氏

両生類

ガマガエル:
  背中のイボイボは毒腺、繁殖期はイボイボがなくなりつるつるになる。卵は万単位で生むが
  オタマジャクシはヤマカガシの餌となる。まだほんの少しいるが、産卵場所がなくなり繁殖で
  きずに近いうちに絶えると考えられる。

東京ダルマガエル:
  最初にこの地域から消えたカエル。田んぼの真中に住むがDDT、などで餌となる虫が少な
  くなるのと水の中が生活圏で田んぼが埋め立てられて住みかがなくなり絶滅。

アカガエル:
  田で繁殖し山に帰る。冷たい水を好み12月から1月に田んぼの残り水に産卵する。護岸工
  事が始まってから年を追うごとに少なくなりこのあたりでは絶滅。

アマガエル:
  目の後ろ側に黒い模様(マスク)がある。身体は感情状態で保護色など変化するがマスク 
  の模様だけ残る。

シュレーゲルカエル:
  マスクがないことでアマガエルと区別。精液とメスの分泌液を混ぜてアワを作り産卵する。 
  産卵量が少ないのとアワの状態の時にサギやカルガモに食べられてしまうの繁殖が難しく
  なっている。

爬虫類

カナヘビ:
  身体は褐色で地味であるが草の上を生活圏としているため、鳥に狙われやすい。寿命は1
  〜2年と短い。1年間に3回産卵、1回6個の卵を生む。

日本トカゲ:
  若い時は尻尾が青い。草の中に隠れ住む。鳥の目は青色によく反応する。尻尾は敵に攻
  撃される直前に自ら切り落とす。筋肉の構造がスギナの節のようになっており簡単に分か 
  れる。また血管にも弁が有り再生のための最小限の血しか出さない。鳥に襲われると尻尾
  を自分から離し、命令系統を失い動き廻る青い尻尾に目を奪われている最中に逃げる。
      メスは地味な茶で婚姻色はストライプが鮮明になる。
      オスは顔が赤っぽくなる。
      オスは数匹のメスと交尾する。

ヤモリ:
  耳の後ろのふくらみはカルシュウムを蓄える。これは卵を作る原料となる。この辺りが北限
  かと思われる。ゴキブリが好物。手足に吸盤がある。手の平の皺の先端に小さな吸盤が無
  数に有る。10万束電子顕微鏡の 世界。

ヤマカガシ:
  どじょう、カエルが主食であるがどじょうを好む。寿命4年、蛇としては短い。以前は無毒と 
  言われていたが毒があることを発見。頭の後ろ側の毒腺があり、敵に襲われ後頭部を噛ま
  れると毒を出して身を守る。前牙がなく、奥に牙があり毒を出す。この毒は人には危険で20
  分で気絶し、倒れたところから皮下出血、血液が凝固しなくなる毒。脳内出血や腎臓などが
  やられるので、原因が突き止めにくい。噛まれて2〜3日後に死亡。どじょうは胴体の真中 
  を咥え奥の牙から毒を出し。気絶させてから飲み込む。ただし、攻撃は出来ないので手の
  平に乗せて遊んでいるうちに噛まれることがほとんどである。

マムシ:
  この地域では、まだ1度しか見たことはない。アオダイショウの若い時の模様がマムシと似 
  ているので見間違いが多い。マムシ類は太めである。毒を刺して逃げる。死んだものも食 
  べる。主食はカエル、広いテリトリーが必要なこととオナガ、モズ、カラスなどが天敵である。
  多分、飛森谷戸にはいないだろう。蛇の脱皮は人のアカのようなもの。

アオダイショウ:
  繁殖デモンストレーションの時に臭いを出しメスに塗る。メスが生殖器を開かなければオス
  は交尾できない。1対1の交尾。卵は柔らかく細長い、卵は内側から孵化の時に卵歯で切 
  る、卵歯はすぐになくなる。小さい時はブチ模様でマムシとよく似ている。5月ゴールデンウ 
  イークに出るのですぐ子供達に見つかり犠牲となる。

シマヘビ:
  アマガエルを求めて木にも登る。鎌首を三角にして尻尾を振ると草などに当たって音が出 
  る。夏のガラガラヘビ騒動はこのシマヘビである。(昨年、夜の自然観察会がガラガラヘビ
  を見たという情報で中止になった。)舌は臭いを嗅ぐために出している。メス一匹に多くのオ
  スが集まり交尾する。メスはオスに首を噛まれることにより刺激をうけて交尾する。シマヘビ
  には無変色など黒色のものも見られる。

ジモグリ:
  サツマイモ畑に多い。餌となるネズミが多いから。

タカチホヘビ:
  夜間しか出ない。地中に生息しビーズのようなウロコを持っている。餌はミミズ。


ゴリス先生のプロフィール Richard C.Goris(リチャード C.ゴリス)

1931年アメリカ、ニューヨーク州生まれ、自然豊かなナイアガラ河畔で多くの動物に囲まれて
少年時代を過ごす。1950年に来日し東京医科歯科大学、九州大学理学部を経て、現在は横
浜市立大学医学部の客員教授。
理学博士(専門は生理学)で、爬虫類の権威として知られ、現在は日本爬虫類両生類学会名
誉会員(元会長)、比較眼科学会名誉会員、愛玩動物協会理事、ジャパンケンネルクラブ公認
訓練士、チンチラ、リス、モルモット、ウサギなどの飼育法を開発し、飼育施設を手作りするな
ど多くの工夫を重ねて、現在もヘビ、トカゲ、チンチラ、秋田犬など多くの動物を飼っている。
著書に「日本の爬虫類」「現代エチケット・マナー百科事典」「アメリカ英語辞典」「現代スラング
英和辞典」や中学・高等学校用文部省検定教科書(英語)など、数々の原著・訳本を発表して
いる。

以上  記録:萩原哲


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