竹炭と竹酢液の効用について(平瀬川まちづくり協議会 2002.3.22)

開催日:平成14年3月22日18時30分〜
場所  :JA向ヶ丘支店大会議室
講師  :日本木酢協会会長 三枝敏郎氏
メモ  :萩原哲 編集:竹井

概要

1.炭の効用

炭は無農薬有機栽培にはかかせない。
10アール当たり200kgの炭で土壌改良効果がすぐにでる。1俵2,000円、10俵で200kg。
土中に入れた炭も減る、炭を食べるバクテリアもいる。
堆肥を与えるより効果的である。
ホウセン菌があると根の先だけでなく、根全体で養分を吸収できる。
ただし、イネ科の植物のように酸性植物には使わないこと。

2.土中生物、土の砂漠化、地力

10アール(深さ1m)当たり、年間1tの微生物が生き死ぬ。
果樹園や牧草地な土壌が豊かな農地では5〜6tにもなる。
バクテリアの生命は40分から10日、平均2〜3日の寿命。
誕生と死滅を繰り返しながら、栄養ある土壌になる。
土中生物の寿命は,変体を繰り返しながら生きても1ヶ月の寿命である。
土中生物の大きさは10μ、中国から飛んでくる黄砂と同じ大きさ。

施肥をするということは、バクテリアを殖やすことである。
バクテリアが分解し養分として植物に摂取される。
バクテリアが人と同じ大きさだとしたら、1日に3万杯の飯を食う。
日本の土壌の腐食が少なくなっている。以前は土中の腐食が5パーセントであったものが、
現在は3パーセント以下になっている。このことは、微生物の住みかがなくなっているもので、
土の砂漠化が進行していることである。
土壌に炭粉を混ぜると微生物の住み家となる。
土の砂漠化とは土が膨らむ余地がそれだけ少なくなり、固結化が高まること。
南(暑い地方)の土は腐食しない、北(寒い地方)の土は腐食する。

植物の地上部は昼間酸素を供出し、夜間二酸化炭素を排出するが、根は、夜間でも酸素を
吸収しつづけている。
トマトは20パーセント以上酸素がないと病害がでるので、高植えにし酸素を吸収しやすく
している。植物からも有害物質は生産される。トマトの根からフェノールがでる。
炭の粉を入れる行為は地中に酸素を供給し、微生物の生息環境を改善することである。
地力とは微生物の多さである。

3.炭焼き温度

備長炭はウバメガシを1,000度以上で焼く、オガクズでも1,000度で焼けば備長炭と同じになる。
硬い炭ができる。硬いということは、炎がでない。炎は水であり、湿気である。
樹種により焼く温度決まっているが竹の種類別温度はまだ不明。
ミズナラ700度、コナラ1,000度、マツ、ヒノキ300度。

焼き温度   主な呼名 樹種例
1000度   備長炭   ウバメガシ(オガクズでも備長炭と同じになる)
 500度   黒炭    コナラ,ミズナラ,クヌギ,カシ
 300度          マツ,ヒノキ

炭は繊維質が多いものなら何でもできる。ラッカセイ、サトウキビ、モミガラなど。
炭化物と木炭では似ているが異なるものである。

4.シイタケ栽培、木酢液

シイタケ栽培は、効率よく生産するためコナラ、クヌギを使う。
年輪が密の木では、菌糸が廻れないので生産性が低いが少しずつ多年に渡り生産できる。

麻竹(まちく)、孟宗竹、真竹、全て竹酢液の味が違う、麻竹はメンマの材料。
明治から大正初期まで木酢液から酢を作っていた。
販売している木酢液や竹酢液には表記が二通りあるので注意。
木酢液の○○パーセント、木酢液の有機酸の○○パーセント、
前者を使用すること。
蟻酸(植物の成長を抑止する)は竹が木より3倍多くでるが、酢酸(植物の成長を伸ばす)は
1/2.5である。

   竹酢液の蟻酸(植物の成長を抑止する)量は、木酢液の2.5分の1
   竹酢液の酢酸(植物の成長を伸ばす)量は、木酢液の2.5〜3.0倍
   用途目的によって、使い分ける。

酢酸の成分は250種知られている。

5.木酢液の作り方

炭を作る目的で木酢液をとること。
全国に炭窯は○○あるがそのうち正しく木酢液を取っているのはせいぜい50〜60である。

カシなど60年以上の古木はカシノナガキクイムシなどの糞から有害物質がでるので、
木酢液を採集するには不向きである。
クスノキは樟脳があるため駄目。

古材などは釘、塗料、防腐剤など不純物があるから絶対に使用しないこと。
有害物質が発生し、木酢液に溶け込んでしまう。
産廃業者が廃材で木酢液を作っている。安く販売しているが推薦できない。
木酢液協会は産廃業者が多くなり駄目である。

木酢液を正しく採取するには、窯に隙間なくピタット詰めること。
木酢液をとる場合には窯内温度は、425度で有害物質が発生し、450度〜1,000度で
ダイオキシンが発生するので、425度以上あげないこと。

土窯で厚さ10cmだと煙の出口温度で80度〜125度の範囲で木酢液をとる。
150度で窯の中は425度である。したがって150度まで上げないこと。
ここまで上げたら木酢液はとらない。

竹では4〜5年生で3ヶ月ぐらい乾燥させてからが良い。
竹炭は窯内温度800度から900度が適温。
煙の出口76度〜125度で竹酢液をとる。
土窯で、72時間くらい木酢液を取ることが出来る。

窯(あるいは煙?)の温度は80度ぐらいで一度下がる性質がある。
この時に火が消えるとあせって薪をくべると一気に温度が上がるので注意すること。

煙突と煙突を空けることにより煙の吸出しが良くなる。
煙突から雨が入らないようにすること。長ければ長いほど良い、25m〜30m。
角度は立てるほど燃えやすいが15度が理想。
材質はステンレス(SUS304以上)。磁石がつくのは不純物が混入している。

炭焼き用土窯の例



木酢液は6ヶ月かけて沈殿させる。表面にテレピン油、底にタールが沈殿する。
木酢液の比重1.008、竹酢液の比重1.006 PHは3±0.5。

6.木酢液の利用

素人が医療としては木酢液を使用するなら水虫退治にとどめる。
タールとクレオソートで正露丸(整腸薬)ができる。
テレピン油は、戦時中は戦闘機の燃料に使用されていた。

木酢液を入れる容器は、柔らかい(たためるような)ポリタンクは可塑剤が入っており、
有害物質が溶け出す可能性があるのでよくない。ペットボトルや硬いポリタンクが良い。

木酢液に魚の内臓を混ぜて葉の表面に散布すると、硝酸バクテリアが葉の表面の栄養を
食べ尽くしてしまい病原菌が繁殖できなくなる。殺菌剤として使える。

ただし葉先に水滴として集まり蒸発により濃縮され葉先を枯らす。
硝酸はホウレンソウなどを苦くする。土中には亜硝酸菌がいる。

7.土壌、水系、河川浄化

窒素を食べる硝酸バクテリア、20分で倍々ふえるが40分で死ぬ。
静岡の茶畑では151kg/aの窒素が土中に含まれている
土中の窒素が大量に溶けて川に流れ込む。

富士川の支流では魚などの生物が住めない。
背曲がりなどの奇形がみられたら、10年で生物が消える。
男鹿の干拓村では稲作の田んぼですら、5kg/aだから、いかに多いか。
河川は上流に畑などがあると窒素が流れ出し、アオコなどが増える。

河川浄化は土手に草を生育さすより、樹木を植え無肥料で川底から窒素を
根で吸収させるのが効果的。
竹炭より木炭のほうが河川浄化効果は高いと考える。
浄化用にセットするときは川底が泥よりコンクリートや岩場が良い。

砕いてジャキ、ジャキにして入れる。
水質の悪い所では、3〜4ヶ月に1回水から上げて乾かす。
炭は、1年に1回位交換する。
水質浄化に使ったあとの炭は、砕いて畑にまいてもよい。

以上

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