シネマ大全 さ行・ソ

 続・男はつらいよ 1969年 日本 

フーテンの寅こと車寅次郎は、故郷・葛飾を離れ、弟分の登としがない稼業を続けていた。そんなある日、北海道でうまい仕事があるとの知らせに出発したが、途中なつかしい妹さくらや、おじ、おばの顔みたさに東京で下車したのが運のつき。
茶一杯で退散と決心したが、中学時代の坪内先生の家の前を通りかかり、懐かしさの余り、玄関先で挨拶のつもりが、出てきたお嬢さんの美しさに惹かれ、さっきの決心もどこへやら、上がりこみ、飲むわ食うわがたたって、腹痛を起こし、病院へかつぎこまれた。
苦手の注射を打たれて卒倒し、一週間の入院を命じられた…。


シリーズ第2作目。山田洋次監督の一番すごい所は、何といっても“語り口”の上手さだ。その秘密を少しでも探ろうと思っている。散歩先生(東野英治郎)の家でご馳走になり、飲み過ぎた寅(渥美清)は入院し、医師・藤村(山崎努)に、こうカラむ。

“てめェ。さしずめ、インテリだな”

これぞ、名セリフだ。患者役で、財津一郎も出ている。実の母(ミヤコ蝶々)は、京都の“連れ込みホテル”の因業な女主人になっており、一目会いたさに、やっとの事で探して行った寅に“お前にやる金はあらへんで”と冷たくあしらう。
この連れ込みホテルの階段での親子の怒鳴り合いは、本当にやり切れなく悲しい。

やがて来る散歩先生の死。葬式を取り仕切る寅は、自身が恋した散歩先生の娘・夏子(佐藤オリエ)と藤村医師が恋仲である事に気付いてしまう。
この時の寅の台詞。“お嬢さん、お棺が出ますよ”渥美清の表情が絶妙だが、このシーンに何故か犬の鳴き声がかぶっている。

これは、一体どういう効果を狙ったものなのか、何度考えてもまだ解らない。

2005.8.10)