シネマ大全 さ行・シ

 呪怨〜パンデミック    2006年 アメリカ

住宅街の一角に、ひっそりと建つ幽霊屋敷として有名な“ある家”。その家に足を踏み入れた者たちは次々と謎の死や失踪を遂げていた。 そこでは、かつて伽椰子という女性が夫に惨殺され、当時6歳だった息子・俊雄も行方不明のままとなっていた。 そして今、またもや少女たちの面白半分の悪ふざけが、その家に宿った恐ろしい怨念を呼び覚ましてしまう…。 


大ヒット怨霊ホラー・ハリウッドリメイク第2弾。清水祟監督の“どうやったら、お客さんを怖がらせる事が出来るか?”という希求は、益々、“どうやったら、お客さんを楽しませる事が出来るか?”という、ある種純粋な思いへと昇華されている。
このシリーズの“お化け屋敷的脅かし”が嫌いだった人は、少なからず驚くに違いない。
前半のアメリカン・スクールでの“「キャリー」的”イジメが、後で、どの様な恐ろしいツケを払う事になるか、ここには書けない。


“生理的にダメ”という言葉がある。そういう、“もしかして、こんな感触があったらイヤだろうな”という、そのものズバリをやってしまってくれている。多くは書けぬが、例えば、もしも、何らかの理由により、自分の目の届かない所で、手探りで、携帯電話を探していて、やっと掴んだのが、子供の足のくるぶしだったら…。そういう“ゾッとする感触”“生理的嫌悪感”と、“悪意の伝播”のオンパレードは、一秒たりとも観客を飽きさせる事はない。

パート1で、新宿のイタリア料理店の店長である私がナンパしようとした(本編ではカットされてしまったが)カレン(サラ・ミシェル・ゲラー)の唐突な死は痛かったが、それは彼女の妹による新たな“悪意との戦い”の始まりだったのだ。 

9・11→アフガン戦争→イラク戦争→ロンドンのテロ→…。

“悪意の伝播”の終わりなき闇の恐ろしさ。問題は何一つ解決せず、謎は今も謎のままで、事態は悪化の一途を辿るのみだ。
そこに、救いはない。
でも、誰かが何処かで、無理やりにでもエンドマークを出さなければ、我々はこのリングから出られず、いつまでも誰も幸せにはなれない。


もう、いい加減、“悪意の伝播”は、終わりにしようよ。さようなら、JUON…。

2007.6.27)