シネマ大全 さ行・シ

 四月の雪 2005年 韓国

コンサート会場の照明チーフ・ディレクターのインスの元に、妻の交通事故の知らせが届く。海岸沿いの小さな町・サムチョクの病院に着くと、そこには見知らぬ女性・ソヨンと、もうひとつの受け入れがたい事実が待っていた。事故に遭った時、インスの妻とソヨンの夫は同じ車に乗っていたのだった。デジカメ、携帯電話には、二人が知りたくない秘密が残されていた。突然の出来事に、戸惑いながらも、看病をする二人。二人にしか分からない苦しみを背負った彼らは、励まし合う内に、いつしか互いを心の支えにしている事に気付く…。


この世で最も難しい事は、男と女の関係をフィルムに定着させる事だ。
その難しい事に果敢に挑んでいる一本。韓流ブームの火付け役、ペ・ヨンジュンが「冬のソナタ」以降、初めて出演したラブ・ストーリー。
アップでの表情の多様さ繊細さはさすがだが、身体全体の芝居に今一つ迷いを感じてしまう。

監督は、「8月のクリスマス」のホ・ジノ。この映画の日本でのリメイク版が、同じ17日に公開され、私も出演しているが、ちょっと気になる所がある。
この殺伐とした気持ちを抱えた2人。この2人が結ばれる過程の、非常にデリケートな描写のつみ重ねが、この作品の核となっているのだが、そこへ辿り着くまで、もう1・5シーン早い気がしてならないのだ。

これは、日韓の感覚の違いか?
個人的な恋愛観の違いか? 
撮りこぼしか? 
編集ミスか? 


“まあ、そんな事は、それぞれの解釈でいいじゃないですか?”

と、もしもホ・ジノ監督が答えたら、絶対に殴ってやろうと思っている。

私は、男と女の事を描いたら、宇宙の全ての事を描いた事になると思っているのだ。
非常に暗示的なラストは、キライではない。
おい、男なら、はっきりしろ!


2005.10.20)