シネマ大全 さ行・セ

 戦争のはじめかた  2001年 イギリス/ドイツ

冷戦が終結しつつある’89年の西ドイツ。同地に駐屯する米軍陸軍基地は平和をよそに、法規が乱れていた。補給部隊に所属するエルウッドも物資の横流しや麻薬の密造などで、退屈をしのいでいた。ところがある日、新しい上官が赴任する。エルウッドはみずからの生活を守るため、上官を何とか丸めこもうとするのだが…。


実在した米軍基地での不祥事事件を基にし、ピューリッツァー賞フィクション部門にノミネートされた小説を映画化。
2001年に完成していたが、ストーリー的なものもあり、9月11日の対米同時多発テロ事件の影響などで、全米公開が5度も延期された問題作だ。
主演は、「ヴィレッジ」(’04)のホアキン・フェニックス。 

どうしても、ロバート・アルトマン監督の傑作「マッシュ!」と比べてしまうが、あの映画の様に、奥に“戦争反対”みたいなメッセージはない。そんなものを込めるのは、今やもうピンと来ないくらい我らアメリカ人(?)は堕落してしまった気がしてならない。

“人類が平和な時には、戦争自体が戦争をし始める” これは、偉大なるニーチェの言葉。だが、これに従うと、永遠に平和は来ない事になりかねない。
二ーチェは人類の一員だったが、彼の死後に残された言葉は、もうアイテム=道具の一つでしかない。

常に希望や理想を持つべし!
11月25日は、34年前に三島由紀夫が自決した日だが、89年前、アインシュタインが相対性理論を完成させた日だし、20年程前には、1125本の走査線の数から発想して、日本では“ハイビジョンの日”と決められた。未来は常に真っ白で、明るいはずだ、きっと。

2004.11.26)