シネマ大全 さ行・セ

 戦場のピアニスト 2002年 フランス/ドイツ/ポーランド/イギリス

1939年、ナチス・ドイツがポーランドに侵攻。ワルシャワのラジオ局でピアノを弾いていたウワディスワフ・シュピルマンとその一家は、ユダヤ人に対するゲットーへの移住命令により、40年、住み慣れた我が家を後にする。
ナチスの虐殺行為がエスカレートする中、ウワディスワフは、カフェのピアノ弾きとして日々を過ごす。’42年、シュピルマン一家は大勢のユダヤ人と共に収容所へ送られるが、ウワディスワフは警察の友人の手で一人収容所行きを免れた。
’43年、ウワディスワフはゲットー脱出を決行。旧知のポーランド歌手ヤニナの手引きで隠れ家に移った彼は、僅かな食料で食いつなぎ、ひっそりと暮らし続けた…。


ロマン・ポランスキー監督の実体験とも重なるせいか、戦争時の虐殺などの描写がエグイのに、誰かが見つめている風景の様にドンドン過ぎて行って、妙なリアリティーがある。 

それらは奇をてらった「映画的飛躍」や「映画的効果」を狙ったものではなく、実に淡々と起こって行く。 そんな事実の積み重ねが映画としての厚みを生み出しているので、“ナチスのホロコーストを一人で生き抜いたピアニストの物語を今、私は観ているんだ”という、観客の立場をあまり感じないで、最後までたどり着いてしまう。 

“俳優が、頑張っています”という、ありがちな力みも排除されていて、“別に観客に感動してもらうのが、私の目的ではない”とでもいうような、巨匠の老獪さを感じた。

2003.3.8)