シネマ大全 か行・キ

 キング・アーサー 2004年 アメリカ

ローマ帝国の栄華に陰りが見え始めた時代。

ローマのために数々の武勲を立ててきたアーサーと円卓の騎士たちは、15年間の兵役を終え、それぞれの故郷に帰ろうとしていた。だが教皇の権威を振りかざす司教は、彼らの兵役解除と引き替えに、ブリテンに住むローマ人貴族を救出せよという予定外の任務を命じる。ブリテン地方は、森に潜むゲリラ軍ウォード、新たな侵略者サクソンの三つ巴の戦乱にさらされた危険な地域だった。それでもアーサーと騎士たちは、今度こそ自由を得られると信じて最後の任務へ出発してゆく…。

“これまでに流した血となくした時間の決算が、この瞬間なのだ” これは、映画の終盤、死地へ赴くアーサーが、反対する友人に言う台詞。“男”という性が、もしも戦士を指すのなら、いずれは戦いで死なねばならないのかもしれぬ。だとすれば、こういう心境に到達出来る機会を得られるのは、むしろ幸せといえるだろう。

あれから、1500年。現代のニッポンにおいては、形を変えた“ここ一番の戦い”と出逢えるかどうかが、“男の幸せ”の分かれ目かもしれない。オレは、もう出逢ったのか? それとも、まだ始まってもいねぇのか?忘れていたそんな事を思い出させてくれる一本。

夏のひと時の兵(ツワモノ)ども達、見応えは充分だった。

(2004.7.30)