シネマ大全 か行・キ

 キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン

2002年 アメリカ

1963年NY州ブロンクスヴィル。16歳のフランク・アバグネイル・ジュニアは、両親の離婚のショックから家を飛び出し、生きるために小切手詐欺を思いつく。だが偽造小切手は怪しまれやすい。そこでパイロットの制服を手に入れた彼は、人々をあざむきつつ、提携する航空会社の飛行機で世界中をタダで飛び回る。やがてFBIが動き出す。ベテラン捜査官のカール・ハンラティは躍起になって犯人を追うが、なかなか正体をつかめない。そんな中、フランクは偶然行った病院で新米看護婦ブレンダに一目惚れし、その瞬間、小児科医に変身。病院に就職してしまう…。

オープニングのタイトルバックから、’60年代のサイケデリックなイラスト風で、実に楽しいムードだが、「オースティン・パワーズ」の様な懐かしいコメディーではない。S・スピルバーグ監督の作品群からいうと、むしろ「太陽の帝国」に近い。何をやっても上手い監督だが、今回は“スピルバーグ印の娯楽映画ですよー!”という、ある種のイヤラシサが皆無。 かといって、こういう“コン・ゲーム”(詐欺師もの)映画の黄金のパターンに、はまってもいない。 そう、どういう展開になれば、目の肥えた観客が退屈し出すのか、彼にはよーくわかっているのだ。 時間軸をバラバラにした構成の脚本で、それを巧みに避けている。

“お約束”ではないが、想像を絶する、しかし嬉しいラスト。これが実話だというから、アメリカという国はやはり、そうとう懐が深いに違いない。