シネマ大全 か行・キ

 きみに読む物語

2005年 アメリカ


療養生活を送る老婦人の元に、足繁く通う老人が、物語を読み聞かせる。
それは、1940年の夏、南部の小さな町で始まる物語だ。

休暇を過ごしに都会からやって来た17歳の令嬢・アリーは、地元の製材所で働く青年ノアと出逢い、恋に落ちる。しかし、娘の将来を案じる両親に交際を阻まれ、都会へ連れ戻されてしまう。ノアは365日、毎日手紙を書くが、一通の返信もないまま、やがて、第2次世界大戦が始まる…。


未見の方の為に、ネタバレになる事が書けないのが辛いが、二重構造になっている映画全体の語り口が、実にうまい。タイトルからすると、小品のようだが、大掛かりな戦闘シーンも出て来て、意外に大作だった。人の気持ち程あてにならないものはないのに、1940年のアメリカの片田舎での小さな恋が、一生ものになり、現代まで繋がっている奇跡、心の純粋さ。

誰かが何故、誰かを好きになるのか?本当の所は、その人の心の中だけにあるものなので、言葉なんて不自由な道具では簡単には説明出来ない。本当に素敵な女性に、クズみたいな男がくっ付いている例もあれば、その逆もある。でも、その“本当に素敵な女性”だと思っていたのが、実はトンデモ女だったりする事もあるし、勿論、その逆も有り得る。人生は、面倒だネ。

ジーナ・ローランズとジェームズ・ガーナーの老練な演技と、枯れていない魅力。いつか… そう、今から40年後くらいに、R・ディカプリオとK・ウィンスレットで、こういう映画を作って欲しいな。

(2005.3.18)