ソフィア・ローレン演ずる商売女に迫られ、マルチェロ・マストロヤンニは、遂に折れて結婚したのだが…。
巨匠、ヴィットリオ・デ・シーカ監督が描く結婚の悲喜劇。
|
17歳から40歳までを演じるソフィア・ローレンは、撮影時30歳だった。
可愛くて大らかで、強くて弱くて、女らしく幸薄いこの女を、圧倒的な安定感で演じ切っている。
「どうしたんだ?」
「…泣いてるのよ。いいわね、泣けるのって…」
これは、この映画のラスト・シーンでの会話。
最後の一言で、この女がこれまでどれだけ辛い日々を過ごして来たのかが解って、胸が熱くなった。
コメディーなのだが、ハッピーエンドとはちょっと違う。
勝者はいない。
“それでも、人生は悪くないよ”って、地下のデ・シーカ監督に教えられている気がした。
かつて“油が付いている手で内臓を直接掴む様な感じ…、それがイタリア映画なんです”と言ったのは、淀川長治さんだった。
そういう、人と人との距離が近い感じ、主張と主張のぶつかり合う激しさもまた楽し、って感じの映画を久々に観た気がした。 明日の夕食は、ピザかパスタか?
(2005.1.21)
|