さて、膵臓のβ細胞で合成されたインスリンは細胞の近くをとりまく膵島門脈系と呼ばれる血管網に分泌され門脈を通って肝臓に運ばれたあと血液により全身に運ばれます。
インスリンがその作用をあらわすにはインスリン受容体と結合することが最初のステップです。つまり、インスリンは血液にのって体中の細胞に運ばれますが、そこの細胞がインスリン受容体を持っていないとインスリンの作用があらわれないのです。
生体内で主に肝臓、筋肉、脂肪細胞にこのインスリン受容体があるため、インスリンは主にこれらの組織(インスリンの標的組織といいます)でその作用をあらわします。
筋肉ではインスリンの作用によって血液中のブドウ糖が筋肉の細胞内に取り込まれてグリコーゲンになります。グリコーゲンは筋肉が収縮し運動するときのエネルギーとなります。
脂肪組織では血液中のブドウ糖がインスリンの作用によって脂肪細胞の中に取り込まれ中性脂肪として脂肪細胞に貯えられます。
肝臓ではブドウ糖は筋肉と同じようにグリコーゲンになりますが、このグリコーゲンは筋肉のグリコーゲンとは違い、ブドウ糖が食物から供給できないとき、つまり空腹時や寝ているときに肝臓のグリコーゲンが分解され再びブドウ糖になり血液にのって脳などいつも一定量のブドウ糖が必要な組織にブドウ糖を供給するために使われます。
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