糖尿病ではインスリンの作用不足により血液のブドウ糖濃度(血糖値)が高い状態(高血糖状態といいます)が続きます。
高血糖状態が続くと細胞の代謝が変化し、網膜や腎臓の最小血管や神経が障害されます。これが糖尿病特有の合併症である、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経症といわれるものです。
糖尿病性網膜症は網膜の細かい血管の障害により出血を来たしたり、血管が増殖したりして網膜剥離をおこし、失明にいたります。わが国では毎年3000人が糖尿病性網膜症により失明しており、大人の失明原因の第一位になっています。
糖尿性腎症は、腎臓の糸球体という血液を濾過する細かい血管の障害により、最初は蛋白尿が出現します。徐々に慢性腎不全が進行し人工透析を必要とする状態になります。現在、わが国では約1万人が糖尿病性腎症による慢性腎不全で人工透析を受けており、人工透析を受けることになった原因疾患の第一位を占めています。
また、高血糖状態が長く続けば、大動脈などの大きな血管の動脈硬化が進行し心筋梗塞や脳梗塞がおこる可能性が高くなります。
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