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手紡ぎ編

5.撚り止め

Q.撚り止めは何故するのか?

A. 織の場合はよくわかりませんが、
   編物の場合は、撚りの加減によって編地が斜めにゆがんでしまいます。
                                 (このことを斜行と言います)
   特に丈の長い作品や鈎針で作品創りするとき、輪で編む場合など、
   撚り止めをした後、編地の確認をしないと、出来上がったものが、
   スパイラル状態になって、悲しいことになってしまいます。
   特に 単糸の場合は、その傾向にあるので、糸の毛質に合った撚り止めを
   することをおすすめします。

   注 斜めに流れる模様のときは、糸の撚りと関係なく斜めにゆがむ編地もあります。
〈 単糸の場合 〉
一般的には
    1.織をする方は、木枠に巻いて蒸す。
    2.編物をする方は、カセにしてから湯につけてオモリをつけて干す。
    3.     〃      、          〃           オモリをかけずに干す。

その他、
    ・ボビンに巻いたまま、しばらく置いておく(シェットランドレースなど)
    ・玉に巻いて、蒸す。

 など、色々な方法を聞いたことがあります。
 自分がこれから作る作品にあった、撚り止めの方法でいいと思いますが、
 以下の実験?を見て、今後の参考にしてみてください。

実験!単糸の撚り止め

ロムニー のスライバー 3色を 単糸に紡ぎました

単糸の太さ・撚りの角度

●インチあたりの巻き回数 27回 (細糸)
●撚りの角度 30°(堅撚り)

参考文献アシュフォードの「手紡ぎの本」

素材

ロムニ|
1 2 3
@方法
オレンジ
玉に巻いたまま
30分蒸して撚り止めをする

写真とり忘れました


木枠に縮れを伸ばしながら
しっかり巻いて30分蒸して
撚り止めをする

黄色
カセにして、湯(40度ぐらい)
につけオモリをつけて乾す

A乾す

コーンに巻いたまま蒸し
そのまま 乾かす
(コーンに巻いているので非常 に乾きにくい)
木枠に巻いたまま乾かす。
風通しが良いのですぐ乾く
オモリをかけまっすぐに引張った状態で乾かす。
この時は、缶詰2個分を錘にしました。(ちょっと重かった)
B糸の状態で検査
比べるために、乾いてからカセにしました
撚りがきっちり伸びていないのでカセが、ねじれている
糸は、所どころ縮れがあるが、ふっくらと柔かい
撚りは伸びてしっかりと止っているカセは ねじれない
糸は、硬い感じがする
撚りは伸びてとまっているが、
オモリをかけたところに癖がある糸は、ふっくらと柔かい感じ。ただオモリが重過ぎで伸びた感じ
C編地 1 2 3
ゲージ 縦×横
11cm×16cm

斜行している角度 14°

撚りが伸びていないところは、瘤状になっていたり多少編み難い部分がある。
ゲージ 縦×横
11cm×16cm

斜行している角度 9°

糸は硬いが、編みやすくしっかりした感じがする。
梳毛糸や紳士物を紡ぐときはこれぐらいしっかり撚り止めしたほうがいいかもしれない。
ゲージ 縦×横
11cm×16cm

斜行している角度 9°

ふんわりとして紡毛糸の撚り止めには、やはりこの方法がよいように思う。
D
考察
・ 今回の撚り止めは2 or 3 がよいように思いました。1の状態(玉巻き)できっちり撚り止めができたら、ひと手間省けてラッキーと思ったのですが、NGだったと思います。

・2&3が 9°斜行しているのは、紡いだ糸(実験用の糸)の撚りがきつかったと思います。
やはり単糸で作品を作るときは、撚りの角度が30°ではきついのでしょう。
糸は15°ぐらいが適正なのかもしれません。
斜行しない適正な撚りの角度については、また今度実験しようと思います。
Eその後 斜行に関しての考察
やはり 斜行しない単糸を作るには 撚り止めよりも 斜行しない角度で紡ぐという事が 基本だなと思います。斜行しない角度で紡いだ糸であれば、オモリを下げなくても、充分な強さと風合いのある糸に仕上がります。