2003/03/22

  ThinkPad 701C,CSの64MBメモリー(技術編)

701C、CSは、BurmyGreen最愛のThinkPadではあるのですが現在現役マシンではありません。でもデスクの脇には今でも701CS(2SU)というUS版のマシンを置いています。自分の中では「まだコレクションには回していない」という想いからです。
以前もどこかで書いたことがあるのですが「長年付き合った仕事のパートナー(恋人だったかも)が今は、友として側にいてくれる。」といった感じです。

今回、Ishimoto氏から64MBメモリーを譲っていただいたことに加えとても状態の良い5TJを入手できたことで、すっかり舞い上がってしまい前後の見境なくページを作成し(それも中途半端に)701ファンの方々、またDriverの作者Ishimoto氏ご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします。

そんな中、
xlr8butterflyさんから弊「ThinkPadの掲示板5」宛に詳細な解を投稿いただきました。現在過去ログの検索機能を持たせておらず、整理もしておりませんのでこのままではこの貴重な情報が探しにくくなりますのでxlr8butterflyさんのお許しを得て内容をそのままHPの方へ掲載させていただくこととしました。
 

Q1. 701のメモリの上限は?
A1. 現時点では64MBが最大です。


 



ThinkPad 701はオンボードに8MB(一部のモデルは4MB)を搭載し、増設用として底面に72ピン SO-DIMMソケットが1つあります。701が発表・販売された1995年当時、純正のオプションとして用意されていたのは32MB SO-DIMM(IBM P/N:92G7281)が最大でしたので、長い間8MB+32MB=40MBが上限であると思われていました。


しかし一部の人々にはそれ以上搭載可能であることは知られていたようで、
ThinkPad Mailing-ListにおいてもRudolph Wratten氏が2000年2〜3月に数回か投稿しています。発言によっては64MB以上も可能であるように読めるのですが、同氏にメールで確認をしたところ、オンボード32MB+32MB SO-DIMMで64MBが上限であるとのことでした。残念ながら、本体の改造方法については明確な答えが得られませんでした。

その後も何とか
40MB超達成を願っていましたが、2002年末にeBayの出品者である
cuiinc701用64MB SO-DIMMを出品していることに気づきました。早速連絡をとり輸入して取りつけたところ、念願の64MB化が本体を改造せずに成功することが分かりました。

 

Q2. なぜ8MB+64MB=72MBとならないのですか?
A2. 設計上の制限です。


 



ThinkPad 701はOPTi社の82C465というメモリ・コントローラを採用しており、このチップがCPUからのアドレス信号全てを使っていないからです。チップのピン数を減らすためのトレードオフであったと思われます。



 

Q3. 64MB化すると、何か制限がありますか?
A.3 ハイバネーションができなくなります。

 



BIOS設定画面でHibernation File SizeとしてCurrent Memory Size選べば一見動作するかのように見えますが、実際にハイバネーションを起動するためにFn+F12キーを押すと、画面が消えた状態で止まってしまいます



 

Q4. 64MBでは64K色(16ビット・カラー)が使用できないと聞いたのですが?
A4. 半分だけ正しい情報です。
 



ThinkPad 701にはChips & Technology社(のちにIntelに買収)の65545というグラフィックス・コントローラが使われており、対応するドライバとしては"Chips & Tech. Super VGA"と"Chips & Tech. Accelerator"の2種類のドライバがWindows 95/98には入っています。前者は256色のみ、後者は256色と64K色をサポートしています。64MB化した状態で後者が使えないために64K色がでないと表現されていたようですが、本質的には色数とは無関係です


この症状は、AcceleratorドライバがLinear Frame Bufferを使用することに起因しており、64MB化した状態では65545のLinear Frame Bufferとメイン・メモリが干渉してしまうために発生します。




 

Q5. では、64MB化した701でW95/98のAcceleratorドライバを使用するには?
A5. TP701MEM.SYSを入手してください。

 



このドライバは
A4で説明した症状を解消する「おまじない」で、CONFIG.SYSにDEVICE=TP701MEM.SYSの行を追加して使用するDOSドライバです


某所では「専用ディスプレードライバー」と書かれているようですが、それは別物であるか、あるいはまったくの勘違いです


 

Q6. TP701MEM.SYSはどうやって手にいれるの?
A6. cuiincからメモリを買うと、「おまけ」としてついてきます。

 



A1で説明したようにcuiincが701ユーザーに新たな道を開いてくれた功に敬意を表して、cuiincもしくはその再販者から入手できます。
ドライバの作者自身やメモリ購入者によるドライバ「単独」の再配布は避けることにしています

お急ぎで英語はまったくダメという人でなければ、cuiincから買えば約70ドル+送料で済みます。



 

Q7. Windows 95/98以外ではどうなるのですか?
A7. 申し訳ありませんが、分かりません。

 



同じように
Linear Frame Bufferを使用するドライバを使用するOSでは問題が 発生するはずです。残念ながらWindows 95/98以外試したことがなく、それ以外のOSでの解決策は現時点では考えていません



 

Q8. TP701MEM.SYSがうまく動かないのですが?
A8. 公式にはサポートはありません。



ハードウェアを直接操作して不具合を回避しているため個別に問題が発生する可能性もあるので、
readme.txtに書いてあるように"AS-IS"で配布しています。動かない場合には諦めてください

xlr8butterfly@mail.goo.ne.jpに詳しい状況を報告頂ければ、お助けできるかもしれません。。。尚、A6の理由により、ドライバ提供に関する問合せはお断りしています。


 

Q9. 64MB SO-DIMMを701以外に使えないのですか?
A9. 72ピン 3.3V FPM SO-DIMMを使うPCならば可能性があります。
 

 



ちなみにIBM 2435で試してみましたが、POST中にハングしてダメでした。
 

BurmyGreenコメント:

このメモリーを利用できる可能性のあるPCとしてDECのHi-Note Ultra IIがあります。こちらもいまだにファンの多いマシンです。
しかし、このマシンはTotal 40MbがマックスのようでTrancesend社の32Mbを2枚挿しても40Mbまでしか認識しません。今回のメモリーを挿すと64Mbをカウントしますがそこで止まってしまいます。

701の64Mb壁説(?)に対しては、humiさんが達人様になにやらお願いをしておられるようです。何か進展がありましたらご報告します。 (^^)

 

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