2006年1月28日

 1月26日、「かながわ定時制・通信制・高校教育を考える懇談会」に参加する県内の教育関係10団体の代表が、『前期選抜志願状況をふまえて、06年度入試に関する緊急要請書』を県知事と県教育委員会委員長に提出するとともに、県教育委員会事務局と話し合いをもちました。「かながわ定時制教育を考える会」の代表である中陣唯夫も、その話し合いに参加しました。
 以下に、その『要請書』を資料として紹介します。

2006年1月26日

神奈川県知事 松沢成文 様
教育委員会委員長 平出彦仁 様

06年度高校入試に関する緊急要請書
〈1.20前期選抜志願状況をふまえて〉



かながわ定時制・通信制・高校教育を考える懇談会

                             

横浜市立定時制高校の灯を消さない会

代表 高坂 賢一

よこはま定時制父母の会

代表 沢崎 三郎

かながわ定時制教育を考える会

代表 中陣 唯夫

定時制を守る市民の会かわさき

代表 浅野 栄子

不登校の親の会(こだまの会)

代表 馬場 千鶴

フリースペース・すずらん

代表 大森 雅子

教育委員会を傍聴する会

代表 土志田栄子

県民要求を実現し、県政の革新を推進する連絡会

事務局長 佐伯 義郎

新日本新婦人の会神奈川県本部

会長 高浦 福子

神奈川県教育運動連絡センター

事務局長 加藤.誠




 貴職こおかれましては、神奈川の教育の充実と発展のために、日ごろからご努力されておることに敬意を表します。
 1月20日に、06年度前期選抜の志願状況の発表がございました。その結果、私たちの分析では前年度と異なる傾向がみられることに関して、県教委の見解と重ねての調査・対策をお願いするとともに、あらゆる場合を想定しての万全の対策を講じていただけますよう以下の通り要請いたします。

 子どもたちにとっては、一生に一度の高校受験です。子どもたちが義務教育を終えて、社会へと巣立つとき、すべての子どもたちが“自己実現”の夢と希望をもって羽ばたけるように、あらゆる手立てを尽くしてください。それが、安心して子育てできる何よりの少子化対策であると考えます。



1、06年度前期選抜志願者が2000人以上減と入学定員の確保について

@前期選抜の志願状況をみると、以下に示すように志願者が2000人以上も減っています。これをどのように分析されているか明らかにしてください。

全日制 定時制
前期募集人員 志願者数 倍率 前期募集人員 志願者数  倍率 
06年度 17,271 41,811 2.24 1,339 2,003 1.50
前年度 17,152 44,503 2.59 1,260 1,859 1.48
 増減 +119 −2,692 −0.17 +79 +144 +0.02
<06年度公立高校前期選抜志願状況>

※公立中学卒業生は前年度比487人減である。それを考慮しても2,000人以上の減少である。

A中学校3年担当の先生方の話では、「前期選抜の昨年までの高倍率予想して」 「調査書重視の成績上位校では合格確率の低いことがわかるから」「特記事項などの点数が低い子は合格できないから」 「自己PR書が無駄な労力になる。それよりも受験勉強に集中する方がいいから」 「高校が学校訪問で、昨年の合格点水準を示して 合否の可能性がよめる部分もあるから」などから、前期選抜志願をあきらめて後期選抜だけを受験する生徒が増えていると開きます。

 そうした傾向を数値的に明らかにしてください。把握されていないようでしたら、“私学専願者が増えて公立受験者が減っているのか”も含め、抽出でも各中学校に調査し、後期選抜の志願状況を予測して、対応策を検討してください。

B後期選抜だけを志願する子どもたちが多数出て高倍率となった場合、公私協議会の“全日制高校への進学率を高める”との確認を実現するためにも、定時制教育のこれ以上の混乱を避けるためにも、定時制の定員調整だけでなく、全日制の増員も検討してください。

C定時制の定員拡大は限界にあるとお開きします。今年度の緊急措置にそなえて、横浜・関内地区に定時制の分教室・分校などの設置を横浜市教委と協議してください。
 川崎市立高校定時制の統廃合を中止するよう川崎市教委と協議してください。

D私学が中学校訪問して、受験生を集約している状況を把握されていましたら明らかにしてください。前年度に此べて専顧者が増えているのか、併願者が増えているのか、まだ把握されていないようでしたら、公私協議会に共同して兼任を負うべき立場の私学の代表者の方に確認して、対応策を準備してください。


2、学費補助、奨学金制度の拡充について

@知事が提案した「県立並みの学費で私学を選択できるように条件整備する」の私学生への学費補助、奨学金制度の拡充の具体的内容を明らかにしてください。

A各中学校、及び中学3年生の各保護者には、どのように周知徹底はかったか明らかにしてください。

B全日制、定時制の高倍率から、“子どものために”と苦しい家計から多額の学費を払って、サポート校・私学の通信制(連携校付通信制)に進学する子どもも多数でています。サポート校・通信制の実態に見合う学費補助制度に拡充してください。

C通学の便などから東京など近県に進学する子どもも多く出ています。県内在住者の学費補助制度を東京など近県の私学に在学する生徒にも適用してください。

D全国最下位に近い1人あたりの私学助成を少なくとも全国平均まで引き上げ、私学の学費を大幅こ引き下げるようにしてください。


3、入試制度と手続きについて

@今年度も前期選抜で、全日制では、およそ 24,541人(5人に3人)を超える子どもたちが不合格となります。定時制では、およそ 759人(5人に2人)を超える子どもたちが不合格になります。こうして多くの子どもたちにダメージを与える前期、後期の入試制度を改めてください。

A前期、後期、全日制二次募集、定時制二次募集と受験ごとに受験料を納付する制度は、不合格となった子どもの心を二重三重に傷つけます。「手数料」の考えではなく、教育的配慮で一度の受験料ですむようにしてください。

Bすべての私学併願者の入学手続き(納金)を公立の合格発表後にできるよう指導を徹底してください。

以上

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