2004年3月13日

 2003年11月7日と11日に、「いのちとくらしと雇用・営業を守る神奈川県市民実行委員会」による対県交渉が行われました。そこで取り上げられ、県に示された04年度県立高校ならびに定時制にかかわる要求項目を紹介します

W、県民が安心して子育てを続け、青少年、成人が豊かな文化・スポーツを享受できる教育・文化・スポーツ行政を求めて


1.子どもの権利に関する項目

(2)卒業式・入学式は子どもたちが主人公であり、学校の主体性を尊重して、「日の丸」「君が代」の強制・押しつけをやめること。特に「斉唱」「起立」などで子どもたち・保護者・参加者・教職員の内心の自由が侵されることのないように手だてを講ずるよう指導すること。また、ILO・ユネスコの「教員の地位に関する勧告」に基づき、教員の市民的権利をどのように尊重するのか、明らかにすること。

(3)教育基本法の精神を生かし、子どもたちの「内心の自由」を保障するために、「心のノート」の活用を強制しないこと。公開授業を今後も行わないこと。

(4)外国籍児童生徒の日本語教室の増設と充実をはかり・日本語教育の教員の増員を国に要求するとともに、国際化にふさわしく、日本語に不自由な児童生徒が在学する学校に、その元国語のできる職員を派遣する基準を5人から引き下げること。子どもの指導と保護者とのコミュニケーションのために週に1日以上通訳を派遣すること。


2.国・県財政に関する項目

(1)県育英奨学金に関して
 03年6月補正予算で、県奨学金を希望する生徒の希望がかなうことになった。今後とも制度の改善をすすめ、より所得の高い生徒も返還免除規定の適用対象となるような制度にすること。

(3)県立高校に関して
 県立高校への予算配当が減る中で、教科教材の購入や環境整備に私費を充てている高校がふえてきた。机・椅子、掃除用具、カーテン、ストーブなど生徒の学習牛活にとって最低限必要な消耗品の購入が可能な県費の配当を行うこと。また、教育予算を十分に確保し、教材や部活、行事などの私費負担を軽減すること。


3.児童・生徒の必要に応じた学校運営を進めるための教職員定数を主とする項目

(1)学校現場で欠員が生じている教科については、新規学卒者の採用をして定員補充を行うこと。また、r情報」、「総合的学習の時間」や「産業杜会と人間」などの新しい科目について、現場の要求に基づいた人的配置や非常勤講師時間配当を行うこと。

(3)現在の保健室は精神面からも子どもたちをささえている。その今日的役割を考慮し、すべての学校に養護教諭を複数配置することを国に要求するとともに、7000人を越えた中学校の不登校の実態を考え県独自にも措置すること。障害児学校の高等部設置校には3人の養護教諭を配置すること。

(4)県議会でも大きな問題として取り上げられている6年連続全国最多の小中校生の暴力行為、全国的には28年ぶりに不登校が県内で小学校で2000人を越え、中学では2年連続の7000人台となっている。この暴力行為や不登校、陰湿化するいじめ問題などの解決は県民の強い要求であり、緊急対応を必要としている。
 それを未然に防ぎ、子どもたちの精神的不安解決や、保護者・教職員の相談にも大きく役立っているスクールカウンセラーと相談員の全学校配置を国に要求するとともに、県独白の措置でも措置すること。また、保健室登校の生徒数とそれをだれが指導しているかの実態を調査して市町村ごとに明らかにすること(資料請求)。また、そうした生徒がいる学校には、指導するための補助員を配置すること。

(5)最低でも週1日8時間のスクールカウンセラーの全校配置を実現すること

4.児童・生徒の必要に応じた学校運営についての項目

(1)教職員の人事評価制度、研修制度問題について
@国民全体に直接に責任を負って学校教育を行う教職員の研修は、自主・民主・公開を原則とし、機械的に「10年経験者研修」「英語教員研修」など持ち込まずに、任命権者は自主的、主体的な研修活動を奨励、支援していく条件整備を行うこと。

A初任者の就任から5年以内の退職状況とその理由を給与事務所毎に明らかにすること。(資料請求)

B教職員の評価は、授業改善、学校づくり、教職員の力量向上をめざし、管理職、同僚、子ども、保護者なども参加して、各学校で自主的に決められるべきものである。それは本人に開示され、納得性を高める論議が必要である。県教委が今年度から実施した人事評価制度は、教育困難に立ち向かう教職員の協力・共同の関係をゆがめ、教育の場に不必要な管理と競争、上位下達体制を持ち込み、それは子どもの実態をふまえた自由で率直な論議のできる開放的な雰囲気や管理職との信頼関係を破壊し、学校教育をゆがめ、子どもたちが最大の犠牲となるものである。県教委は人事評価制度を中止すること。

C教職員の人事評価については、教職員個人個人の評価ではなく、組織としての学校および、学年、分掌などの組織についての評価とし、校長・教頭・一般の教職員が議論を深め、子どもと教育についての合意を高め、チームワークある学校としての総合的な教育力の向上につながるものに改めること。また、各学校に対して保護者・県民が自由に意見を述べ、学校教職員と自由な意見交流のできる保護者県民と教職員の協同を、そのシステムに取り込むこと。


(2)厚生労働省通達と勤務時間問題に関して
@学校完全5日制で1日の授業時限は延び、教職員の6日分の仕事が5日に圧縮され、超過密労働が教職員の健康を害し、現職死が増えている。教職員の勤務形態は、直接学校のありように関わる問題として解決されなければならない。

A厚生労働省通達「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について」の徹底を前回約束したが、今年度のその方法、日時とその結果どのように改善されたかを明らかにすること。

B通達では、「労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録すること」その記録は「3年間保存すること」とされている。さらに、国会答弁では、「一般的には命令のない勤務につきましても始業時刻に入る」部活動などについても入る(第153回国会・H13/10/30参議院文教科学委員会・矢野文部科学省初等中等教育局長答弁)とされている。通達についての考え方には、「労働者や労働組合等から労働時間の把握が適正に行われていない旨の指摘がされた場合などには、当該実態調査を行う必要がある」とされている。

C県内の公立学校では、その「確認」r記録」が適正に行われていない学校が多い。県教委はその実態調査をして明らかにすること。

D教職員に時間外勤務を命じることができるのは4項目に限定されているが、実態として存在するそれ以外の「記録」された時間外勤務については、通達の主旨からして法・条例との整合性をどのように認識しているか。4項目以外の時間外勤務をなくするための県教委としての対策を明らかにすること。

E国市教育政策研究所の調査では、小学校の教員が学校で仕事をする時間は9時間42分、睡眠時間は6時間20分、自宅での持ち帰り仕事が1時間17分となっている。教職員の疾患や現職死が繰り返される巾で、教職員が心身ともに健康で、十分な準備とゆとりをもって子どもたちに接し、指導にあたれるように、県教委も教職員の過密労働の実態を調査すること。また、その改善策を明らかにすること。

Fいま学校では休憩・休息を実質的に取得できない状態が広がっている。労働基準法違反の実態を各設置者が調査し、改善の手だてをこうずるように、それを県教委自らが実施するとともに市町村教委を指導すること。児童生徒が学校にいる時間帯でも、教職員が休憩・休息をとれるように人員配置や休憩室の整備など条件整備をはかること。

G労働基準法の主旨からして、「休憩を勤務時間の途中におかなければならない」規定は、当日休憩が取得できなかった場合には、始業から8時間勤務した後は勤務から解放されると考えるが、これについての県教委の見解を示すこと。

H学校教育のさらなる活性化と教職員の育成のために、教特法20条に基づく白主的な研修を奨励するこ
と。


5.児童・生徒がよりよい学習生活を送るための学習編成についての項目

(1)公立小・中学校、県立高校の30人以下学級(定時制20人学級)を実現す亭こと公立小中学校の30人学級の早期実現の意見書を国にあげること。

(5)県立高校においては、すでにいくつかの高校で実施されている多クラス展開を、希望するすべての高校に導入できるよう制度的に拡充すること。


7.児童・生徒が安心して過ごせる学校施設・設備・事業に関する項目

(1)耐震診断の行われていない校舎についていち早く耐震診断を行うこと。また、その結果を公表し、いち早く耐震工事を行うこと。老朽校舎、老朽給水設備、老朽放送施設などの修繕を行うこと。パソコン室などのシックスクール対策を進めること。トイレのとびらや壁の材質の改善を行うこと。教室、職員室の冷房化を急いですすめること。

(2)時制設置校の夜間グランド照明および屋内照明改善、夜間給食制度の改善など定時制の教育条件を改善すること。また、定時制の教科書無償・給食費補助制度について、生徒の実態にかなった認定基準の弾力化を行うこと。


10.県立高校の再編・入試制度に関わる項目

(1)県立高校再編後期計画は、前期計画の実態から、凍結・停止すべきである。もし、後期計画を立ち上げる場合には、前期計画の到達点と問題点の県民的検証の後に、立ち上げるべきである。また、県民の公立高校指向の強まりや30人以下学級への要望の強い中、前期計画のような再編統合は行わず、単独改編にとどめるべきである。また、実質的に高校定員枠の削減となる「中高一貫校」の設置はしないこと。

(2)入試制度の急激な改変は子どもたちに混乱をもたらすことも配慮し、学校間隔差を拡大し、受検競争の激化を助長し、中学生に負担を強いる独白問題入試・入試と調査書の学校ごとの比率変更および学区撤廃は行わないこと。あわせて、普通科高校が激減した川崎南部学区などでは、普通科高校希望の中学生の二一ズに見合った数の普通科クラスを作ること。

(3)高校進学希望者の希望校種への全員入学を保障するため、全日制の計画進学率を95%以上に引き上げること。同時に、今春の公立高校の定員拡大によって前年の混乱を回避できた教訓を生かし、全日制高校の公立・私立の募集定員計画を志願の実態に合うよ1に見直すこと。

(4)04年度実施の新入試制度の問題点を検証するために、実施後ただちに受験生、中学・高校に実態調査を実施し、問題点の改善をはかること。

(5)県教委は募集定員計画を達成するには何が必要か明らかにすること(私学助成を大幅増額、リストラ・不況による家計の一層の逼迫を考慮し、奨学金制度のさらなる充実、公私立高校への入学に支度金制度の新設など)。

(6)県立高校の入学金、授業料の値上げをしないこと。

(7)県立高校の入試は、1度の受検料で、一連の入試(前期入試、後期入試、2次募集)を受検できるようにすること。

(8)「県立高校定時制再編通知」(1997年2月)による「募集停止基準」を見直し、三浦地区における県立夜間定時制の募集を再開すること。

(9)中学卒業生の進路希望調査結果をふまえて、「希望する子どもたちに高校教育を保障する」基本にたって定時制の募集定員を弾力的に設定できるよう改めること。それに伴う教育条件整備を行うこと。

(10)横浜市教委の定時制再編合理化計画を抜本的に見直しさせること。

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11.卒業後の就職や青年に夢を持った生活を保障するための項目

(1)ますます深刻化している若者の就職難を改善するため、雇用拡大の施策を講ずること。

(2)青年の就職難解決にむけて、県は青年の採用を積極的に行うこと。また、失業青年、学卒未就職者、フリーターが生活の心配がなく受けられる職業訓練、研修制度を充実させること。

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