2001年9月11日
横浜市立三部制定時制高校の名称は決まったが
          来年度 夜間定時制三校を募集停止にしてよいのか
 
 9月8日付読売新聞によると、来春開校予定の三部制総合学科定時制高校の名称が「横浜総合高校」となることが、このほど決まった。同じく来春開校する全日制の総合学科高校の名称は、「みなと総合高校」となる。
 横浜総合高校では、県内で初めて二回の選抜方式を導入し、そのうち1回目の試験科目を作文と面接のみとして、学力検査を行わないことにした。
 これは、定時制高校が昼間働く生徒だけではなく、不登校など学校になじめない生徒の受け皿となっている実態を受けての措置であるという。横浜市教育委員会は「高校で新たに学びたいという人の意欲を見つけていきたい」としている。

定時制で学びたいという生徒の多くを、受け入れることができない横浜総合高校
 しかし、この三部制定時制を開校することによって、来年度から港高校、横浜工業、横浜商業の定時制を募集停止とし、さらにそれ以降段階的に鶴見工業、戸塚高校の定時制をなくしていき、横浜市立5校の夜間定時制を1校に統廃合していくという横浜市教委の再編計画はきわめて問題が多い(詳しくは、「横浜市立定時制の『ストップ!!募集停止』シンポに参加して」を参照して下さい)。
 横浜総合高校の入学定員はまだ正式には決まっていないが、280人前後と考えられている。来春の募集停止が予定されている3校の今年度の入学者数は、港高校がほぼ入学定員の174人、横浜商業が95人、横浜工業は91人で三校合わせて360人である。この3校だけでも、280人という横浜総合高校の入学定員枠を超えている。戸塚高校と鶴見工業を合わせた市立定時制5校の入学者数は今年度525名であり、過去3年間の入学者数は491人(98年度)、512人(99年度)、544人(00年度)とほぼ500人前後を維持している。毎年500人ほどの定時制で学びたいという生徒を、横浜市立総合高校1校では、絶対受け入れることができないのは明らかである。
 市教委は、県立の定時制もあると言うが、横浜市内の県立定時制でも横浜翠嵐高校や希望ヶ丘高校では近年応募者が増加して、1030名もの不合格者を出さざるを得ない事態となっている。市教委はまた、全日制もあると言うが、全日制の入学者定員はここ何年も学級減を続けることによって大幅に減少している。そればかりではなく、全日制ではなく、あえて定時制を希望して入学してくる生徒、昼間の学校ではなく夜間の定時制を望む生徒が増えている。

今年度の新入生の中で、昼間部を望む生徒は4分の1弱にすぎない
 横浜市立高校教職員組合が2001年3月から4月にかけて、市立5校の夜間定時制の新入生に行ったアンケート調査によると、昼間部を望む生徒は4分の1弱に過ぎない。「自分の学校が昼間部だったらよかったか」という質問では、「思う」が113人(22%)であるのに対し、「思わない」が309人(61%)と昨年度の58%から増加し、過半数を上回る生徒が、昼間部には否定的だった。
 3部制定時制となると、1部や2部の昼間部にはこれまで全日制に入学していたような生徒が多く希望してくることが、東京や他県の例からも明らかになっている。夜間部である3部は募集定員が2クラス規模(70人)ともいわれており、夜間定時制を望む多くの意欲ある人が、市立の夜間定時制の募集停止により学ぶ機会を奪われることとなる。

学習権の侵害という人権侵害
 これは、まさに学習権の侵害という人権侵害である。定時制高校の保護者、生徒、卒業生、教職員らが横浜市弁護士会に人権侵害救済申立の準備をしているという。地元の神奈川新聞も7月5日付の社説で、「定時制募集停止で柔軟な対応を」と訴えた。このような理不尽で拙速、人権侵害といえる募集停止を見直すことが、横浜市教委に強く求められている。
 
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