2022年10月30日
 10月25日の県教育委員会会議臨時会で「横浜翠嵐高校定時制及び県立他5校定時制の募集停止を見直すことを求める請願」の審議に先立って、請願者である「かながわ定時制・通信制・高校教育を考える懇談会」の保永博行が陳述しました。以下は、その際の陳述資料です。

 9月29日に発表された定時制6校の募集停止を、生徒、教職員や県民の声を聞くことなく、公表から1か月もたたずに、県教委臨時会は請願を否決して決定しました。

 26日の「神奈川新聞」は「拙速のそしり免れず」という見出しで、翠嵐定時制が約20年前から行ってきた外国につながる生徒に対する手厚い日本語教育や生徒支援に触れ、「翠嵐のように生徒に合わせた取り組みは、多様性を前提としたインクルーシブな学校づくりといえる。多文化共生社会に向けてより一層、重要性を増す学校であり、県教委は関係者の意見を真摯に受けとめ対応を見直すべきだ」と指摘しました。

  <陳述資料>

横浜翠嵐高校定時制及び県立他5校定時制の募集停止を
見直すことを求める請願

 
 

【請願項目】
1,2026年度入学生より予定されている横浜翠嵐、向の岡工業、磯子工業、茅ヶ崎、秦野総合、伊勢原高校定時制の募集停止をやめて、募集を継続すること。

2,横浜翠嵐、向の岡工業、磯子工業、茅ヶ崎、秦野総合、伊勢原高校定時制を募集停止とすると判断した理由を各々の学校について明らかにすること。


【 請願説明 】

 @ 定時制の募集停止については、「高校改革実施計画(全体)」(2016年)に「定時制配置の考え方」として、「定時制の配置については、全日制の今後の再編・統合の状況と全日制進学率の動向を踏まえ、適正な規模と配置にとりくみます。」とあっただけで、「高校改革実施計画(全体)一部改訂(素案)」にも具体的な記載がなく、パブリックコメントにも付していない。

A 「募集停止」の基準、規模(校数)、地域等についての具体的提案もない。

B したがって、9月29日の県議会・文教常任委員会での発表はあまりに唐突で、関係者の同意を得たものとなっていないのは明らかであり、撤回を求める。

C 横浜翠嵐高校は交通の拠点である横浜駅に近く、交通の利便性は他校に換えられないものである。夜間定時制にとって、「夜間の交通の便」は欠かせないものである。

D 横浜翠嵐高校定時制は、数多くの「外国につながる生徒」が通学し、こうした生徒からの信頼を得ている。

E 「外国につながる生徒」に対する教育は、永年の高校現場職員の手探りの努力の積み重ねによって築き上げたものであり、数年で実現できるものではない。

F その「努力の積み重ね」の一部を挙げると
・日頃の授業の板書やプリントなどの難しい用語(漢字)をできるだけ理解しやすいものに置き換える、漢字にルビをふるなどの「日本語学習」、「やさしい日本語で教える」。
・日本社会の慣習や「常識的なルール」についての学習・理解。
・労働法規や人権、就職手続きなどの学習・理解。

G こうした努力を支援するためのしくみ作り。
・大学研究者との連携(授業など教育活動へのアドバイス)。
・地域の各民族支援の活動団体への通訳派遣依頼など(担任面接や「質問学習日」など)。
・ハローワーク等労働行政との連携(就職指導)。
・大学・専門学校など上級学校との連携(進学指導)。
 

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