2011年8月13日

 「かながわ定時制・通信制・高校教育を考える懇談会」は、8月10日の神奈川県公私立高等学校協議会において、知事宛に提出した「請願書」にもとづき陳情を行いました。以下に、当日行った保永博行氏の陳情を資料として紹介します。

2011年8月10日


 今回の請願では、次の5点について、ぜひ十分な時間を取ってしっかりと討議して頂きたいと思います。

 1,公立高校の募集定員を公立中学卒業者数の60%と固定する案を撤回し、公立高校全日制の募集定員を十分に増員すること。

 2,2012年度生徒募集計画については、少なくとも2010年度公立中学3年生の進路希望調査での全日制希望率91.4%の全日制進学率が達成できるように、公立高校生徒募集定員と私立高校生徒募集定員を確保し、さらにその定員を充足させるために私立高校生徒への学費補助制度の改善(助成額の増額と対象所得限度額の引き上げ)を図ること。

 3,「全日制計画進学率」を県民に明示して、生徒募集計画を策定すること。

 4,生徒募集計画の策定に当たっては、中学および高校の教員代表、PTAおよび保護者代表を正式メンバーとして参加させること。

 5,公聴会を開き、受験生の保護者、中学校・高等学校の教職員、県民、中学生から具体的な実態や問題点、意見などを聞いてそれを公表し、審議を行うこと。


 ご存じのように、今年春の全日制進学率は、88.0%とまたまた最低を更新しました。2007年入試に「率による割り振り方式」を導入して、「公立6割」にむけて公立募集枠を絞り込む中で、全日制の進学率は毎年急低下を続け、全国最低水準を更新しています。

 設置者会議と公私協を設置したそもそもの目的は、『基本合意』にあるとおり、@生徒の視点に立った定員計画、A全日制進学率の向上、B生徒一人ひとりの希望と適性に応じた進路の確保、にあったはずです。
 この3点、いずれも実現はおろか、毎年、逆に悪化する一方です。いま深刻なことは、神奈川の全日制希望率が異様に低くなってしまったことです。神奈川の全日制希望率はいま91.4%。全日制進学率の全国平均93.8%よりも低くなってしまっています。教育に関わる人たちは、それが何を意味しているかをよくよく考えなくてはなりません。

 本来、教育とは希望を与えるものであるべきです。それが、神奈川では、9年間の義務教育の最終段階で、『全日制進学をあきらめさせる』という『絶望』を与えているわけです。高校入試・生徒募集のあり方が、教育を破壊しています。
 それなのに、「公立6割」の『形式的な合意』だけが金科玉条のごとく、一人歩きしています。生徒達は、「全国一過酷な高校入試」をおしつけられています。全日制希望から 定時制 そして 通信制へという 不本意入学は増加の一途。 生徒の視点から、この状態を見れば、「大人たちは嘘つきだ」となります。

 設置者会議・公私協議会の皆さんは、なぜ、いまこの状態で「公立6割」をつづけるのかを、自信を持って生徒や保護者の皆さんの前で説明できるのでしょうか。つづける理由は何でしょうか。

 定時制・通信制の高校は「ドラえもんのポケット」ではありません。どんどんほうりこめばいい、そのうち、やめるか、どうするかは自己責任、などという状態は、とても正常な教育制度ではありません。

 いま、必要なことは、まず、「公立6割」を撤廃し、公立募集枠を増やすこと。また、私学生徒への学費補助を増額して、私学も募集枠を拡大し、全日制高校へ行ける条件をつくることです。入試も一本化に向けて動きだし、制度も変わろうとしています。

 せめて来年の全日制進学率は91.4%、その後は全国平均93.8%は実現して欲しいものです。当面それを目標に、計画進学率を県民に明らかにして、公私が協調して実行して欲しいと思います。

 以上、よろしくお願い申し上げて、口頭陳情を終わります。

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