2010年10月23日

2010年10月15日

神奈川県知事   松沢 成文 様 
教育委員会委員長 平出 彦仁 様

2011年度高校募集定員問題についての緊急要請書

                 

かながわ定時制・通信制・高校教育を考える懇談会

横浜市立定時制高校の灯を消さない会
        代表  高坂 賢一
よこはま定時制父母の会
        代表  沢崎 三郎
かながわ定時制通信制教育を考える会
        代表  中陣 唯夫
定時制高校を守る市民の会かわさき
浅野 栄子
不登校の親の会(こだまの会)
        代表  馬場 千鶴
教育委員会を傍聴する会
        代表  土志田栄子
県民要求を実現し、県政の革新を推進する連絡会 事務局長
 佐伯 義郎
新日本婦人の会神奈川県本部
会長  高浦 福子
神奈川県教育運動連絡センタ−
  事務局長 加藤  誠


 9月10日、知事が主宰する公私立高等学校設置者会議で、公立中卒者が2,228人減ることを理由に来年度公立高校全日制の定員を1,337人減らすことが合意された。このままでは来春も全日制進学を断念させられる子どもが多数出て、全日制進学率実績がさらに低下することは明らかである。

 会議ではこの春の進学実績の最終報告はなく、前年度の定員計画の是非も検証されず、入試をめぐって今中学校で何が起こっているか、子どもたち・保護者の苦しみの実態論議も全くなかった。私たちが県教育委員会に提出した請願、県民からの知事宛て要請、10万人近い県民署名がついた中卒者の希望をふまえた定員計画をもとめる申し入れ書などが全く審議されずに、公立中卒者の60%を公立高校全日制の募集定員とするとの方針だけで決められた。

@生徒の視点に立った定員計画を策定すること 
A全日制高校への進学実績を向上させるよう努めること 
B生徒一人ひとりの希望と適性に応じた進路を確保することを目標とした定員計画とすることなどの基本方針・合意事項の達成状況など全く論議されなかった。

 こうした公私立高等学校設置者会議のあり方にその存在意義を疑問視する声も広がっている。

 私たちが8月17日に県教委に提出した高校募集定員問題に関する請願は継続審議になったまま、9月29日の県教委会議でも審議されないままである。平年の流れでは10月19日に予定されている県教委会議で11年度の学校毎の募集定員が決定されると予想される。その前提となる請願を事前に審議することなく決めるなど許されることではない。当日、形式的に請願の審議をして、同時に11年度の募集定員を決定するとするならば、子どもたちの学習権を守り、保護者県民の切実な要求をとどける請願権を蔑にするものとして厳重に抗議する。

 経済格差拡大・貧困化から子どもたちを守り、育てることは、県民共通の切なる願いであり、県の白書でも貧困の世代連鎖を断ち切るには親の経済力のあるなしで子どもたちの高校進学が差別されることのないようにしなければならないと明らかにしている。

 11年度入試で全日制進学希望率が10年度の91.4%と同じ水準とするならば、公立全日制の定員を削減しなければ、私立高校公募400人増で、その希望する子どもたちほぼ全員を全日制高校に進学させることが可能である。

 仮に、公立高校全日制の募集定員を1,300余減らした場合は、公私設置者会議の合意事項を守るには私学にそれだけの進学者が増えるように学費補助を大幅に増やす責任が知事に求められる。いずれにしても、未来を生きる子どもたちのために県予算の増額が必要である。多くの県民はそれを「ノー」とは言わないであろう。

 全日制高校に進学する子どもたちが増えることは、緊急課題となっている定時制・通信制高校の過大化、過密化、環境の悪化の改善にも通じる。また、公立の定員オーバー入学で生ずる学習環境悪化を緩和することもできる。

 それが、県の調査でも、小学生・中学生・高校生いずれも「悩んでいること」のトップに「将来のこと」と答え、不登校全国一、生徒の暴力行為全国一など、子どもたちが育ちにくい不名誉な神奈川からの脱出の大きな一歩となると考えられる。 
 子どもたちを貧困から守り、貧困の連鎖を断ち、子どもたちが自分の将来に希望をもって学べる神奈川にするために以下の事項を強く要請する。


 .知事が主宰する高等学校設置者会議での基本合意事項「全日制高校への進学実績を上げる」「公私間格差の是正」とした子どもたち・県民への約束を守ること。

 .雇用情勢・家計状況悪化を理由に設置者会議の合意を凍結し、全日制高校を希望する子どもたちが全日制で学べるように、公立高校全日制の募集定員を削減しないこと。

 .私立高校生徒募集定員を増員するとともに、私立高校生徒への学費補助と私学助成の減額を元に戻し、増額・拡充をはかり、私学希望者が私学に進学できる条件を拡大すること。

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