2009年10月18日

 10月15日の神奈川県教育委員会議において、「かながわ定時制・通信制・高校教育を考える懇談会」から出されていた請願について、神奈川県教育運動連絡センターの事務局長が行った意見陳述を以下に資料として紹介します。


 神奈川県教育運動連絡センターの加藤です。貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。

 「全日制高校を希望する子どもは全日制で、定時制高校を希望する子どもは定時制で、通信制高校を希望する子どもは通信制で、子どもたちが安心して学べるように条件を整備していただく請願」です。資料を配布させて頂いておりますので、それに沿ってすすめさせて頂きます。

@ 資料1をご覧ください。県教委の高校再編整備10カ年計画は今年度が完成年度です。10年前、「全日制課程の再編整備の基本的な考え方」で94%の進学率を掲げました。しかし、その結果は、資料3に示します通り年々下がりつづけ、この春は88.7%で、希望しても全日制に入れなかった子どもが2,355人もでています。


A 知事が主宰する公私立高等学校設置者会議の結果を見てみますと、資料2に示しますように、その「基本的な考え方」は「生徒の視点に立った定員計画」、「進学実績向上」、「生徒の希望と適性に応じた進路確保」、「公私間格差の是正」いずれの項目も解決とは逆の方向に進んでおります。

B 資料4をご覧ください。公立高校は定員をオーバーして合格させていても、県内私学への進学者は下がり続け、欠員が多くでています。

C その結果、全日制に行けずに定時制・通信制への進学者が急増し、その割合は全国平均の2倍に達しています。それは資料5からも明らかです。

D 裏面の資料6に示しますように、神奈川の子どもたちが悩んでいることのトップが、小学生も中学生も高校生も「将来のこと」となっています。子どもたちが希望と夢をもって学べる神奈川にして頂きたいのです。

E いま、資料7、資料8に示しますように、子どもの貧困化・経済格差拡大は深刻です。

F 一方、県が今年の3月に発行した「神奈川力構想2008年白書」の第4章 資料神奈川力構想・実施計画の点検結果P154の4 今後の計画の推進にあたって では(4)今後検討する必要がある事項 イ 格差の連鎖を断ち切る政策 で、次のように言っています。

 「親の世代の雇用の格差や所得の格差が、教育など子どもの養育環境に影響し、親から子へ引き継がれていく『格差の連鎖』が拡大することが懸念され、中長期的な対応も必要となる。 (中略) 緊急的な雇用対策など『事後的な救済』を図るだけでなく、子どもを中心として、次の10年、20年に向けた生活の希望を持てるような『積極的後押し』の面からの支援を検討する必要がある」と。

G この白書を実効あるものにするためにも、全日制高校の進学率向上をはかることは県の責務と考えます。

H しかし、先の公私設置者会議では、「平成22年度公立高等学校全日制入学定員計画41,202人(公立中学校卒業予定者68,670人60.0%)」とするとして、公立高校の定員0.3%の削減を決めてしまいました。公私設置者会議が掲げる「基本的考え方」や県の「神奈川力構想」との整合性を県民が納得できるように十分に吟味してください。

I 制度の改善は後でもできますが、「15歳の春」は一生に一度しかありません。国が高校授業料無償化に向けて動き出そうとする時代です。どの子も希望すれば、全日制高校に行けるように、公立高校の定員を増やし、手だてを尽くしてください。

J 子どもたちが夢と希望をもって成長できる神奈川にしてください。よろしくお願いします。

K ありがとうございました。

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