2005年3月17日


県教委、またしても定時制二次募集志願締め切り後に募集人員を増やす                   

―  責任を明らかにして、就学保障を  ―


 3月14日神奈川県教育委員会は、公立高校定時制の二次募集について、志願を締め切った後で急遽県立と市立の計6校の普通科で募集人員を計100名増やすと発表した。志願変更前とはいえ、昨年10月末に発表されていた定員を04年度入試に引き続き、緊急に増加させることについて、「あまりにも見通しがなく、場当たり的である」、「競争率の高さから志願をあきらめた子はどうなるのか」「そもそも公立高校全日制の入学定員を削減しすぎている」、「あふれかえる入学者をどうしたらよいのか」との声が保護者や定時制現場から出ている。

 3年前には、志願変更後に、昨年は今回と同様志願変更前に募集人員が増やされているが、当時県教委はこれは異例中の異例で、緊急避難で行うので理解してほしいと語った。しかし、今年もまたこのようなかたちで募集人員を増加させるということは、県教委の募集計画がきわめて杜撰であると言われても弁解の余地はないだろう。

 そもそもこのような事態をまねいた根本原因は、県立高校再編推進計画の前期計画で14校の県立高校を削減し、全日制の学級減を大幅にすすめ、公立高校の入学定員枠を減少させてきたことにある。また、横浜市内の市立定時制を4校も募集停止とした横浜市教委の責任も大きい。
 以下に、募集人員変更前と募集人員変更後の競争率、定員が変更となった定時制高校、さらに競争率の高い高校を示しておく(志願変更後の数値に直した。競争率が幾分低くなった学校もあるが、依然として高い競争率であるだけではなく、横浜翠嵐高校や横浜市立戸塚高校は、1倍を越えてしまった)。
           
学科   募集人員(変更前) 人員変更前競争率 募集人員(変更後) 志願変更後の志願者数 3月16日志願変更後の
競争率
普通科 330 1.74 430 541 1.26
工業科 210 0.60 210 150 0.71
商業科 35 1.20 35 42 1.20
単位制普通科 55 0.56 55 39 0.71
総合学科 9.00 9.00
合計 631 1.24 731 781 1.07


 以下(  )内の数字は、募集人員変更前の数値
学校名 募集人員 志願締切時
志願者数
志願変更締切時
志願者数
志願変更前の競争率 3月16日志願変更後の
競争率
横浜翠嵐 67(27) 66 76 0.99(2.44) 1.13
横浜市立戸塚 35(15) 31 48 0.89(2.07) 1.37
川崎市立川崎 31(21) 54 45 1.74(2.57) 1.45
川崎市立橘3年コース
        4年コース
9(4) 1.00(2.25) 0.89
18(13) 13 16 0.72(1.00) 0.89
川崎市立高津 50(35) 68 62 1.36(1.94) 1.24
川崎市立商業普通科 10(5) 10 0.60(1.20) 1.00


競争率の高い定時制高校
学校名 募集人員 志願締切時
志願者数
志願締切時競争率 志願変更締切時
志願者数
3月16日志願変更後の
競争率
希望ヶ丘 22 79 3.59 53 2.41
横須賀 13 1.44 12 1.33
追浜 31 36 1.16 35 1.13
平塚商業普通科 13 19 1.46 17 1.31
湘南 40 104 2.60 76 1.90
平塚商業商業科 23 27 1.17 27 1.17
川崎市立商業 12 15 1.25 15 1.25
神奈川総合産業 9.00


 今回のようなかたちで募集人員を増やすことは、募集人員が緊急に増やされるとは思わず、競争率のあまりの高さから志願をあきらめた子にとって、フェアーとはいえない措置である。そのためにも、昨年と同様定時制の三次募集を行い、志願をあきらめた子と今回不合格となった子のために、もう一度チャレンジする機会を与え、県教委はしっかりと就学保障を行うべきである。

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